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 第三章 20、この思いよ届け!

 まことは白石委員長を病室において、1人指令室であり自宅へと戻り、経緯を話した。

 泣きたくもないのに何故か涙が溢れ、繭子とこれから産まれる赤ん坊に想いを馳せた。


 先に戻っていた姫子隊、それに放送室を占拠した咲良らはまことの苦悩を自らの苦悩に変え、必ず黒龍・無縁の野望を阻止することを新たに誓い合い、運命の放送は翌日に持ち越すことにした。



 この日は、明日午前9時に重大な知らせがあるため、出来るだけ放送に耳を傾けてほしい旨のアナウンスを幾度となく流すこととした。

 

 翌日には繭子は退院し、父親が入院する病院へと戻り、それを見送ってきた白石委員長が合流した。

 鍛冶ガールと令和協力隊は遅れて合流した柊一とすーさんも交え、夜通し考え練った放送内容を確認し、いざ鎌倉とばかりに巌鉄斉だけを残して、咲良、まこと、権爺と委員長は三条市役所は放送室へと向かい、その他のメンバーは何故か市役所の屋上へと姿を消した。




「おはようございます。ニュースJAPONの新田です。えぇ時刻はもうすぐ9時とゆうことなんですが、本日は時間を拡大しての放送となります。えぇ時間拡大したのはですね、連日報道しております新潟県、三条市から重要なお知らせが市内アナウンスで伝えられるとゆうことなんですね。それでは中継をお送りしたいと思います! 今井日(いまいにち)さぁん!」


「はい! こちら三条市です。」

「今日はヘリからの中継ではなく、特別に許可を得ているんですよね?」

「はい! こちら三条市内にあるミズベリング広場とゆうところです。連日の地震を受け、三条市役所から重大かつ緊急の放送があるとゆうことで、市からの強い要請もあり、政府の許可を得ましてリアルタイムでお届け致します! あっ早速始まりました! お聞き下さい!」



 準備万端とばかりに市役所職員により、いつでも使える状態となっていた放送室へと、ぞろぞろと入った4人は互いを見ながら強く頷いた。


「9時です! 放送を開始します!」


 9時と同時に職員が放送開始を宣言した。



 ピンポンパンポーン。



「こちらは三条市です。市民のみなさんに重大かつ重要なお知らせがあり、避難指示が出されている中ではありますが、市内放送をもってお伝えします」


 職員はゆっくりと丁寧にそこまで言うと、静かにマイクを前市長たる権爺に託した。



「えぇ、みなさん、まずはおはようございます。前市長の権藤(ごんどう)正造(しょうぞう)といいます。大変な時とは思いますが、この放送に耳を傾けて頂きたい!」


 権爺はそう言うとマイクを握り締め続けた。



「薄々はお気づきかとも思いますが、この度重なる地震は単なる地殻変動によるものではありません。ご覧の通り市内のいたるところに5色の輝く柱が立ち、合流点には昔存在した三条城が甦りつつある。ワシらはこの事態究明のために行動してきました」



「どうやら原因は遥か昔の天文時代にあることを突き止め、選ばれた5人の少女達が天文へと時代を遡り、そして昨日無事に帰って来ました」


 さすがは権爺と言う他はない。堂々とそしてゆっくりと話を進めていく。


「彼女らは神々に選ばれた存在。天文の神々に己の秘めたる力を解放してもらい、今回の騒動をおさめる要なのです! 名付けて()()()()()!! 信用してもらうため、理解してもらうために、その鍛冶ガールの声と力をこれからみなさんにお見せしようと思う。ぞい」



 権爺はマイクをまことへと渡した。


「えぇ、私は市内の高校に通う女子高生です。たった今、ごん、前市長がおっしゃった言葉の意味をどうか理解してもらいたいのです! 私達の力だけではこの災厄を止めきることは出来ません。天文時代も同様に続く大地震に苛まれています。私達は……私達は大切な家族や大好きなこの街、三条を守りたい!! どうか力を貸して下さい!」



 まことはそう言うと咲良と頷き合って続けた。


「信じてもらうためにこれから私達の力を皆さんにお見せしようと思います! 市役所の方角を見ていて下さい!」


 そう言うとまことと咲良は屋上へと走り出した。



「わたしねぇ、この日のためってわけじゃないんだけど必殺技を考えて来たのよね」


 得意気に話す栞菜に茜も姫子も同じことを言った。


「奇遇ね。私もよ!」

「もちろん姫子もです!」

「あ、あらそうなの!? じゃあ、わたしから行くわよっ!」



 栞菜はそう言うと、足を肩幅にし、拳を握って銀色に輝くオーラをまとった。両目はギンギンと輝き、高めたオーラを上空に放つように両手を上げた。


「それ! 白銀閃光弾(はくぎんせんこうだん)!!」


 栞菜が放ったそれは、天高く突抜けると銀色の柱に向かっていき、そしてインパクトした。


 それは白龍・巌鉄が記した、柱に力を注入することでもあった。

 栞菜は全ての力を使い果たして倒れ込み、すーさんとお富が介抱した。



「よーし、じゃんじゃん行くわよっ!」


 茜もまた全力を解放したかのようにバチバチッと稲妻の力を宿し、黄色く変化した両目を空に向けると弓矢を打つようなポーズをした。


雷神矢(ライジングアロー)ーーー!!」


 茜が放った矢のような雷は雲に消えたかと思うと激しく黄色い柱に落雷した。


「ふぅ……。まぁこんなものね」


 いち早く駆け寄った軍司が茜を抱きかかえて少し下がった。



「お二人共凄い技ですね! でしたら姫子も!」


 姫子は言うと同時に、鮮やかな水滴を発生させ、自身に絡まるように優しく練るような素振りをした。同様に水縹(みはなだ)双眸(そうぼう)は癒しを作り出した。


「はぁーー! 瑞鏡止水波(ずいきょうしすいは)っ!!」


 激しい川の流れのように螺旋状に沸き上がったそれは、見事なまでの放物線を描いて水色の柱に降り注いだ。



「あー!! みんなやってるわねぇ!!」


 姫子が力尽きるのと咲良とまことが屋上に姿を現したのが同時であった。


 今まさに、この三条の地で不思議な、しかし温かな力が生きとし生けるものの目に焼き付く瞬間であったのだった。



 次回 21、みんなの力をひとつに!


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