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 第三章  4、書!書!ふたたび。 いったんバイバイ!令和へ帰る

 ゴゴゴゴゴゴォォォォ


 突如大きな地震が起き、屋敷内の一室はグラグラと横に揺れ、囲炉裏に続く(かぎ)がぶらんぶらんと踊った。

連日のように地震が多発していた。


予想外の宣告に、鍛冶ガールの面々、それに軍司は驚きを隠せない表情でしばらくは黙り込んでいた。

気狐・千恵は胸元から持参した帳面を出すと、さらさらと何事か書き記し始めた。

それに気付いた栞菜はそっと千恵に近付き、質問する。


「お千恵さん、なに書いてるの?」

「これはね、数年前から多発するようになった地震や災害なんかをずっと記しているのよ。それとそれにまつわる事なんかがあれば出来るだけ残しておこうと思って」


「やっぱり! それ()()()()でしょ!? ねぇ! まこと!」

「えっ? 三条伝記? じゃあ狐の神様のお千恵さんが作者ってこと!?」

「だから作者は()なのですね!?」


栞菜とまこと、それに姫子は三条伝記の作者が千恵であることに気付くと、未来でどれだけ手掛かりとなり、助かったかを語り聞かせた。


「まぁ! それは嬉しいわ。私が書いた事が後々に役立つなんて! それに題名も付けてもらえるなんて」

「そっかぁ。お千恵さんだったんだね! ありがとうございます!」 


茜は生真面目に一礼して言うと、一同はそれにならって頭を下げた。


「どういたしまして」


千恵はしっとりと笑うと、記入に没頭していく。


「あれ? じゃあじいちゃんも記しなよ! なんだっけ? ()()()()だっけ??」

「そうだわ! 初代様の書かれた秘伝乃書も未来で重要なんですよ! それが、元で私達は動いてきたんですから!」


まことに激しく言われ、巌鉄斉は少し圧倒された。


「わ、わかっておるわい! 途中までは記したのじゃ…………ワシも色々とやらねばならぬことが山積みでのぉ…………()()は巌鉄斉の名を襲名した者しか読むことは出来ぬ。心しておくように!」


「だからぁ知ってるよそんなこと!」

「ムムッ、鎮地盤の事も書いておくからなっ」

「だからぁ知ってるよ、そんなこと! あたし逹がこっちに来る時にはまだ1ヶ所しか書かれてなくてぇ、あっちのじいちゃんも困ってたよ!」

「ムムッ、わかったわい! しっかと克明に記載しておくわいっ」


「な、なんか軽いなぁ()()()の巌鉄斉さん…………」

「そうなのよ。調子が狂うのよ。シリアスなところなのに」

「まぁまぁ! それで私達は令和に戻って何をすればいいのですか? あっ、そうか?!」

「ほほう気付いたか? やはりワシの子孫なだけはあるて」


満足そうに天狗を見ると、天狗も何度も頷いていた。


「ざっくばらんに言うとじゃな。それぞれの鎮地盤から五つの力を大地に浸透(しんとう)させて、地震を静めようという話なんじゃが、こちらの時代だけでそれをやっても鎮めきれぬのじゃ。そこでじゃ、令和の時代の人々にも助太刀してもらいたい!」


巌鉄斉は一同を見渡すと続けた。


「そなたらは戻って協力者を集め、それぞれの鎮地盤に配置してもらいたい! 以降はワシが秘伝乃書に記しておく!」


鍛冶ガールの面々は納得すると、それぞれがパートナーと短い言葉をかわし、最後に咲良を見た。

咲良は新たな目的に瞳を輝かせ、一度帰れることを内心喜んでいた。


「じゃあ今すぐ行こう! 本成寺(ほんじょうじ)へ!」

『おう!!!!!』



令和ですること。

それは五つの鎮地盤の場所を特定し、それぞれに配備できる協力者を求めること。

そして未来と過去で協力し、地震の根源を鎮めることにある。


咲良逹が出発すると間もなく、助作と格兵衛が馬を走らせてやって来た。三将からの伝言に影虎は沈思(ちんし)しながらも、あれこれと今までの構想と、もたらされた情報を目まぐるしくも、その明晰な頭脳で整理していった。

何故か嵐蔵だけは会って直々に話したいと言う。


「よしわかった! ワシも早々に城へ戻ろうほどに。それまでは決して動かぬようにと。そして戦支度をしておくように伝えぃ!」

『ははぁ!!』


助作と格兵衛は(きびす)を返し、今度は三条城目掛けて馬を走らせた。


巌鉄斉と千恵は滑らかに筆を走らせ、秘伝乃書と三条伝記を(したた)め終わると一息ついた。


「ふぃ~。霊力を使いながらの記入はなかなか疲れるものじゃて。お待たせしたな、神()()方」


執筆を固唾(かたず)を飲んで見守っていた神々は、内心ではこの巌鉄斉とゆう人間は何者なのかを各々が考えていた。


大蛇・白夜が代表するように巌鉄斉に静かに質問した。


「巌鉄斉殿は何者なのです?」


当然問い質されるであろうと予測していた初代・巌鉄斉は神々を見詰め、内から神秘的なオーラを放ち始めると笑った。


「ふぉっふぉっ。あの娘らにはまだ隠匿(いんとく)していたかったでのぉ。そなたらの気遣いに感謝するぞ」 


次に口を開いたのは千恵だ。


「いいえ。あなた様は我々よりもさらに上級の神々の力を感じますが如何(いかが)?」


「むぅ~む…………」


巌鉄斉は息をはくとまた黙った。


「ワシはそなたとは古い付き合いで肝胆相照(かんたんあいて)す仲じゃと思っておる。そろそろ話してもらおうか」


永年に渡りはぐらかされてきた天狗も同調した。


「おい、じじぃ! 早く語らんか! ワシも忙しいのだっ」


そして最後には癇癪(かんしゃく)を起こした影虎が性急に噛み付いた。


巌鉄斉は立ち上がると内なる力を解放した。

それは神々ですら圧倒されるほどの膨大で神聖な霊気であった。

目映い光に眼が眩んだ神々は、手を当て眼を細めて巌鉄斉を見ていた。


「ここの力はっ!」


白夜が気付いたかのように呟いた時、巌鉄斉はニタリと笑うと本当の姿に変化していくのであった。




――――――――――




その後、神々の対話があったのだが、実は鍛冶ガールは重要な会話があるのではないかとのまことの発言により、屋敷の片隅で息を殺して聞き耳をたてていたのだ。

全ての話を聞いて驚いた少女達は、予想以上にただ事ではないことを確認すると、静かに屋敷を離れ、本成寺へと急行した。



「んじゃ行くよ! みんな!!」

『おー!!!』

「いったんバイバイ! 天文」


咲良を先頭に鍛冶ガール一行と軍司は本成寺は赤門を潜り、令和へとタイムスリップしていった。

今度は気絶せず、令和へと帰ってきた。



『ただいま!令和!!』



次回 5、叛乱党の女部隊長、四季彩


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