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小説の書き方を勉強していくエッセイ  作者: Yuji
2.基本プロットを学ぶ。
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3/12

Act 1~日常生活、そして事件発生~

基本プロットを学ぶ。その二。


あけましておめでとうございます。


注意:当エピソードは、超名作アニメ『天元突破グレンラガン』の重大なネタバレを含みます。


 繰り返しになってしまいますが、時代とジャンルを越えて受け入れられるナイスなプロットは三部構成。



 ◇◇◇◇


 Act 1:

 主人公の元々の生活があって、ある日人生を変える大事件が起こる。


 Act 2:

 なんとか頑張って事件を切り抜けるけれど、そうして得た成功は、まやかしだったことが判明する。


 Act 3:

 まやかしの成功、そして陥った絶望から立ち直った主人公は、仲間や道具を集め、知恵を駆使して事件の元凶を解決する。


 ◇◇◇◇



 ……そんな感じなのだそうです。


 この基本プロットに、思い描いたキャラクター、ジャンルの決まり事、作家の遊び心などが編み込まれて、唯一無二の小説が爆誕するというわけですね!



 ……簡単に聞こえます?



 いやいや、やっぱり難しいですねー。少なくとも、初心者にとっては。


 プロットの骨組みだけぽんと出されても、漠然としているというか。


 ということで(どういうことで?)、ここではAct 1の部分を少しだけ詳しく見ていきます!




 ◇◇◇◇




『主人公の元々の生活があって、ある日人生を変えるほどの大事件が起こる』




 Act 1、これだけですね!


 いや、これだけなのですが、もうちょい。


 手元のハウツー本によれば、物語全体の最初の二割がこの部分なのだそうです。



『二割かぁ……ちょっと長いんじゃないの?』



 と自分は思います。


 十万字の中篇小説だと、最初の二万字。百部分で完結するなろう小説だと、最初の二十部分。


 どうでしょうか。初心者作家を脱却した方。Act 1にあたる導入部分、こんなに長く書かれますか?



 ここでちょっと一つ、例を出してみましょう。アニメ『天元突破グレンラガン』で考えたいと思います。


 グレンラガンです!熱いロボアニメ!


『いやそれ小説じゃないじゃん!アニメじゃん!』


 って思われるかもしれません。全くもってその通り。申し訳ないです。


 なぜグレンラガンかというと、自分が好きだからです。あとプロットがきれいなので。


 好みで選んじゃ、客観性に欠けますかね?


 でもまあ、いいじゃないですか。自分のエッセイですので。自分がそこから何かを学べればいいんです。


 それでグレンラガン、総集編込で全二十七話なのですが、Act1に当たる導入部はどれほどの長さなのかといいますと……



 最初の二話!だけ!



 2/27話!二割なんてもんじゃあありません!五分四厘ですよ!すくない!


 でも、多くの小説やアニメ、映画ではそんな感じかと思います。特になろう小説では。


 そう考えると、不遇のAct 1と言えるでしょう。


 でもこの部分をしっかり書かないと、小説読んでくださる方は置いてきぼりくらっちゃいますからね。だいじなのです。


 不遇のAct 1、もっと詳しく見ると、五つの要素を含んでいるのだそうです。これが、先に述べた『十五のプロット・ポイント』の内の五つです。


 一つ一つ、見ていこうと思います。


()内の英語はタネ本での表記です。もしも興味がある方は原著を入手して、その部分を読んでみてください。もっと詳しく書いてあります。




 ◇◇◇◇




 ①冒頭部分(Opening Image)


 ハウツー本によれば、


『まずは主人公とその世界のスナップショットをチラ見せすることで、読み手にこれから始まる物語の行く先、作品のムードやスタイルを告げる』


 そうです。


 なんのこっちゃ!となりますが、要は小説の最初の最初の最初のシーンですね。物語のさわり。プロローグ。


 コメディなら明るい人物が何が面白いことを喋ったり、ホラーならなんだか怖い事件の描写だったり。


 この部分を読んだ方が、


『あーはいはい、この小説はこんな雰囲気なのね。完全に理解したわ。つかんだわ』


 ってなってくれれば万々歳です。


 逆に本編とまったく関係のないシーンを冒頭にぶっ込むのはナンセンス、ということになりますね。




 ②テーマの言及(Theme stated)


 これは、Act 1のどこか(どこでもいい)、多くの場合は『③日常生活』の中なんかに挟まれるちょっとした台詞や描写なのだそうです。


 これから起こる事の前触れや、主人公が物語の最後に学ぶことが『さりげなーく』言及されるのだそう。


『さりげなーく』です。


 つまりは構成考えてないとできない芸当!


 使うのは難しいですが、できたらかっちょいいこと間違いなしですね。


 ちなみに自分は、気に入った小説なら何度も読みます。紙媒体であってもなろう小説であっても。


 二週目、三週目と繰り返して一つの作品を読むと、ようやく気づくんですね。


『うわー、この作家さん、冒頭部分で実はオチに繋がる大事なこと書いてる!』


 って。


 つまりはこの『②テーマの言及』という輩、一周目の読者は読んでも気が付かないことが多いです。そして小説の主人公も無自覚だったりします。


 気づかれないのに、そんな事書いて意味あるのかしらん?ってなりますが、でも、無意識下で何かしらのフックになることは間違いないと思います。そしてこれ使える方はまじかっちょいい。好き好き大好き超愛してます。




 ③日常生活(Setup)


 Act 1のメインパートといえるでしょう。


 主人公の『これまでの』日常生活です。完璧とは言えないけれど、ダラダラした、変化のない毎日。



 ジャージを着たまま家にこもってネトゲする。

 会社に行くために大都市の満員電車の中でもまれる。

 貴族の令嬢として舞踏会とかで優雅なひと時を楽しむ。



 などなど。そんな主人公の日常です。


 さっきの『②テーマの言及』は、多くの場合この部分でチラッと描かれるそうです。




 ④事件発生(Catalyst)


『③日常生活』パートでは変化のない日常を送る主人公ですが、ある日大事件が発生します。


 大事件です。ただの事件じゃあありません。


 起こった事件はとっても大きいので、主人公はこれまでの生活や考え方を変えざるを得なくなるんですね。それくらい大きい事件。


 あわてんぼうのちゃんねーが


『きゃあ遅刻しちゃう!トーストくわえて走っちゃうぞおー』


 っていうだけでは不十分。遅刻なんて『日常生活③』の一部ですから。大事なのはその後。


『……そうしてトラックにぶつかった私は、トラックと心が入れ替わってしまったのだ……私はこれからトラックとして生きていく……くすん……泣きたくてもウォッシャー液しか出ないの……』


 くらいでないと。


 これが、物語が始まるきっかけになります。


 ハウツー本によれば、この事件はでっかいほどいい。超重大な "life-changing event (p.25)" であるべきなのだそう。ここが弱いと、『え、主人公はなんで元の生活に戻らないの』って読者さんは思われるみたいです。




 ⑤葛藤(Debate)


『④事件発生』によって生活を変えることを余儀なくされた主人公ですが、やっぱり葛藤もあります。


 失われた日常への未練。新しい世界への恐怖。大事件への心理的又は肉体的反応。それが葛藤となって現れます。


 元の生活に戻れないことを認めて、変化を受け入れる過程を描くことで、読者さんは感情移入してくれるのですね。




 ◇◇◇◇



 ……と、ここまでがAct 1。


 長かったですか?なんだかすいません。振り返ると、



『①冒頭部分』で作品の雰囲気をさらっと知らせて、主人公の『③日常生活』を描く過程で『②作品のテーマ』をさりげなーく描写。変化のない日常が続くかと思われたある日、人生を変えるほどの『④大事件』が発生します。『⑤葛藤』しつつも、主人公は元の生活には戻れないことを受け入れ、新たな人生を歩み始める。


 ということでした。


 これが、小説の最初の部分。小説全体の5~20%の文量で描かれます。


 ……やっぱり難しいですね……




 ◇◇◇◇




 実例出しましょう!グレンラガンでいうとですね!



 プロローグの宇宙大戦争シーン!


「敵艦隊!無量大数!」

「天の光はすべて敵、ですか……」

(中略)

「グレンラガン、スピンオン!俺を誰だと思ってる!」

 音楽と効果音どおーん!タイトルどおーん!!


 かっちょいいですねえ!このシーンが『①冒頭部分』です!このシーンによって物語終盤までのイメージが広がります!


 ……伝わらない?じゃあグレンラガン見ましょう!




 んで、場面はジーハ村の『③日常生活』に移ります。


 ジーハ村は地下の村です。この世界では、人間は地下に潜って生活しているんですね。主人公シモンが「毎日毎日、掘ることだけが俺の仕事だ」って言いながら穴を掘ったり、アニキとおバカなことをして村長に怒られて牢屋に閉じ込められたりします。地震に怯えて暮らす村の生活も描かれます。そんなシーンです。




 その中でですね、アニキはシモンに向かって


「お前のドリルは、天を突き破るドリルなんだよ!!」


 って言ってますね。シモンはそんなアニキに呆れてしまいますが、その後本当に天元突破するんだからすごいです。アニキのこのセリフが『②テーマの言及』になっているんですね。かっちょいい。




 地震は怖いけれど、平和な毎日が続くかと思われた、ある日のこと。第一話Bパートのこと。


 シモンが謎の小型ロボット・ラガンを発掘して、村の天井が崩れて巨大な獣人ガンメン(敵)と美女ヨーコ(味方)が村に落ちてきます。


 これによって、それまでの村の生活が壊されてしまいます。これが『④事件発生』です。


 なんとか獣人ガンメンを撃退して地上に出たシモンとカミナですが、そこにはさらなる二体の敵ガンメンが。



 〜ここまでがアニメ第一話。ここからがアニメの第二話〜



 地上の敵を前にして、主人公シモンは萎縮してしまいます。「俺たちの村に帰る!」って言って逃げます。おお情けない。


 アニキは「いつまで逃げる気だ、シモン」「せっかく(村から)出たんだ。今までのお前を捨てるなら今だ」って励ましますが、シモンはうじうじしたまま。


 変化のない村の生活への未練があるのです。ここが『⑤葛藤』場面です。


 二話Bパートで、故郷のジーハ村を苦しめてきた地震の原因が敵のガンメンだったことを直感したシモンは、ようやく戦う覚悟を決めるのでした。




 ……と、ここまでがグレンラガンのAct 1。一話と二話。


『主人公の元々の生活があって、ある日人生を変えるほどの大事件が起こる』という部分。


 そうして物語が始まっていくのです。




 ◇◇◇◇



 ……どうだったでしょうか。楽しんで読んでくださった方がいらっしゃるかは分かりませんが、自分は楽しかったです。小説の書き方の勉強というよりもグレンラガンの解説になってますが、そこはオーケーです。



 Act 1について、長々と書いてしまったと思います。残りのですね、


 ・Act 2

 なんとか頑張って事件を切り抜けるけど、そうして得た成功は実はまやかしだったことが判明する。


 ・Act 3

 まやかしの成功、そして陥った絶望から立ち直った主人公は、仲間や道具を集め、知恵を駆使して事件の元凶を解決する。


 は、次回以降書いていきたいと思います。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 自作品に当てはめて考えました すごくためになりました 自分が弱いな―、とおもっているところがてきめんに指摘されていて吐血しそうです [気になる点] じつはグレンラガンてちゃんとみたことない…
[一言] グレンラガンは名作ですよね!! 私も大好きです!!w そしてこのことからも、名作は大なり小なりAct 1から3の三部構成を踏襲していることがわかりますね! 今回も勉強になりました! あと、 …
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