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竜河の姫  作者: rusefarna
1章 人間界
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10話 授業

そんなこんなで1時限目をやり過ごした私は二限目の授業に参加するためにSクラスがあるS科の棟に渡った


当然特進科からS科に渡る時も透力がある

前にも言ったが白縫学園領は普通領とS領で土地が二分されており、その間には林が鬱蒼と茂っており、真ん中の門以外では行き来出来ないようになっている

林を抜ければ行けるんじゃないかって思う人もいるだろう、それを試そうとしてなんか酷い目にあった生徒がいるのだとか…

とにかくあの林は危険で何があるのか分からない不気味な所なので好んで通る人などいない


が、唯一それ以外で渡れるのがこの中高クラス棟だ

透力を使うので下の林を透ことなく移動が可能だ


使えるのは中高S科の生徒とS科教師の先生達だ

透力も通行証(学生証とか)がないと動かせないので、その他の者は渡れないという訳だ

ちなみに特進科とS科を繋ぐ渡り廊下ももちろんあるのだが、二重ロックがかかっており、通行証が必要な上に普通科と特進科を繋ぐ廊下よりも遥かに長く、使う人など皆無である



S科に到着すると、一限目と二限目の休憩時間のようで生徒達が教室を移動している


(あれ、とわ様じゃないかしら?)


(いつ戻ってこられたのしから、休学なさっていたはずでは?)


(確か中高は他の学校に行かれたはずだけど)


(いや、私はご病気で療養と聞いたわ)


久々に来た私に対して周りがざわざわしだした頃チャイムがなって、私は高一S1クラスに入った


教室は教卓に向かって段々になっており、特に席など決まっておらず、私は1番後のドア側付近に座った


二限目は魔法授業のようだった


言ってなかったが、ヴァンパイアは魔法を使うことが出来る


この学園が二分されている理由、それはヴァンパイアと人間を分けるためのものだ


前にも言ったがこの世界ではヴァンパイアの存在は信じられていない


つまり、表向きは成績優秀者のみが入れるS科という訳だ

加えて小学校は中高に比べて倍率が高くその難関を超えた先にあるのが中高S科、中高から入ってくる者などほとんどおらずエリート中のエリートという訳だ


だが、本当のところはそうでも無い

小学校の倍率は確かに凄いが、人間が来た時点で振るい落とされ、実際の倍率と本当の倍率は違う

中高の方もS2は特進科とどっこいどっこいの成績だし、S3なんて普通科クラスレベルの人もいる


二分が徹底されている理由、それはヴァンパイアの存在をばらさない為による徹底工作だ


前に林を通り抜けようとした生徒がいたという話をしたな、その生徒達は途中で迷子になり引き返してきたというのだが、一直線に進めばいい林で迷子になるなど考えられない

恐らく魔力障壁にぶつかったのだろう。それで記憶を操作されているはずだ。S科に侵入しようとしたのではなく林を探検してみたかったと


この学園は外側全体と普通科とS科領の境目に魔力障壁が展開されている

外側の魔力障壁は敵を入れないもの、つまり敵意のある者ははじき出されるようになっているが、それ以外の者は普通に通ることができる

普通科とS科の間の魔力障壁は全ての者が通れない強度なものだ

ゆえに、透力と普通科とS科を繋ぐ真ん中の門しか通ることができない


真ん中にある門のところのみ外側と同じ魔力障壁がはられており、警備員が通行人の身分をチェックするようになっている


これは余談だが、魔力障壁は作る人によって強度は変わってくる

当然だろうか、魔力が高い人の方が強度高く低い人のものなら簡単に壊れてしまうこともある

魔力障壁には何を通して何を通さないかは自分で決めることができる

この学園の場合外側は敵意をもつか否か

二分している方は誰も通さぬ強固なもの、真ん中の門はヴァンパイアであるか否か。

つまり、例えば人間が通行証を盗んで門に来たところでヴァンパイアでない限り渡ることができない


ちなみに透力が通れているのは、二分されている魔力障壁に透力のみ通れるよう設定しているからだ



(とわ、とわ、とわ!!!)

ハッいけない私としたことが意識を飛ばしていたようだ

目を開けると目の前に凄い形相の先生が経っている


え、、、どうしよう


「お前、堂々と眠りとはいいご身分だな!理事長子女は特別だってか、ハッ」

と皮肉を言ってくる


「だいたい今日から帰ってきて登校すると聞いていたが一限目を無断欠席とは肝が座っているな!はたまた遅刻か?」


聞くと教室移動の時間のようだ

口頭授業が終わり、これから体育館に移動して実践訓練をするようだ


我々S科が普通科と違うのは何も種族だけの事じゃない、授業内容、時間、ここでの生活の何もかもが違う


S科は一限50分じゃないし、年間行事とかも何もかも違う、ゆえに交わることはほとんどない

強いていうなら、図書館だけ同じ場所を使うのでそこでなら会うことが可能だ

S科側にも図書館はあるがこじんまりとした小さなもので授業に必要な分しか置いてない

図書館は普通科領門を入ってすぐの会館にある

会館は5階建てで、3階から6階が図書館の大型図書館だ

図書館の話はまた後で詳しくするとしよう



私はようやく席を立った

もうかなりの者が移動しているようで教室にはちらほら人影がいるのみだった


そこでようやく隣の人物と目が合った

隣に座っていた彼はようやく僕の視線に気づいたのかというような顔だ


(な、なによ。視線なら気づいてたわよ)

ずっと見られてることは分かっていた。むしろ彼と話すためにこの席に座ったと言っても過言ではない


見られてると言えば、今日は彼だけではなかった。教室中から視線が突き刺さる。当然だろう、久々に帰ってきたのだから


私は彼と教室を移動した

暗黙の了解のように沈黙が続く

そういえば昨日彼とあったかしら?と思い隣に居る彼を見るがいつもと何も変わらない


そう、昨日私は久々に彼に会おうと彼の部屋へ向かった

だが美麗との口論でそれどころではなかった

気づいたら自室のベッドの上で寝ていて、何事もなく学校に来たけど、あれからどうなったのかしら



そう今隣を歩いてる彼こそ白縫隼人、とわの双子の弟にして学年での成績は私に次ぐ2番目、成績優秀スポーツ万能、完璧人間である。強いて欠点を言うならば私以外に友達と呼べる者がおらず常に1人な所だろうか


それでも彼はその状況を嫌がっていない

元来人と関わるのがあまり好きでは無く、1人の方がいいそうなのだ


先生がさっき私を上の名前で呼ばず下の名前で呼んだのも、彼がいるからというわけだ


私達は無言のまま体育館に向かった


体育館は実はクラス棟の地下にある

もちろんその体育も魔力障壁がきっちり展開されている上に地下に作ったのは、もしも魔力が暴走したら困るからである


生徒達が全員来たところで先生が今日の授業内容を説明し始める


今日は模擬戦なんだとか

そういえばもうすぐ年に一度の行事トワイヤルバトルがあるからだろう


トワイヤルバトルというのはヴァンパイア生徒の一大行事、実践トーナメント戦の事だ

1:1のバトルは小学校、中学校、高校でわかれており、簡単にいえば上級生と闘えるチャンスという訳だ



「まず2人一組でチームを組んで相手チームと戦う、チームはこちらで勝手にくんだぞー」

先生の声が聞こえた

1:1のバトルなのに2人一組で模擬戦をやらせるのは、常に相手を把握するためなのだとか

2人一組ということは自分も含めて4人同時の動きを抑えておかなければならない。

こういう訓練が実践では役に立つらしい


私達は先生が作ったチームの振り分けの紙を見に行った


白縫とわは…と、私は紙に目を向ける

そこには


白縫とわand夕陽紅


と書かれていた


紅だ!と思ったのもつかの間

「とわーーーーーー」と1人の女の子が飛び込んできた


そう何を隠そう彼女が夕陽紅だ

紅は小学校の頃、小2からずっとクラスが同じだったこともあり私の親友だ


「とわ、久しぶり」万遍の笑みの彼女

「ん〜もう!全然連絡くれないんだもん。いきなり教室に現れるからびっくりしちゃったよ」

「また一緒に学校生活送れるなんて嬉しい」


紅変わってないな〜とホッとした私達はひとしきり話した


「それでね、この模擬戦、ほぼ実践訓練なの!」

そう口にしたのは先程も紹介した紅だ

さっきとは打って変わってとても真面目な表情をしている

私達は模擬戦の作戦会議中だ


「実践訓練?」

そう聞いた私に彼女は説明した


「中学までは模擬戦って魔力使うのも使用制限あったし、武器も模擬刀とかだったの!でも高校の模擬戦は魔力制限もないし、武器も本物使うの!」

「先生達も殺伐としてて、まるで何かに備えてるみたいな」


そう口にした彼女を見て思い出した

なんで忘れかけていたのだろう

久々の我が家、久々の学校生活に心浮かれていた

そうだ、そうだよ、私は前の学校が襲撃事件にあい白縫学園に戻ってくることになった


襲撃事件って普通ありえないんだ。過去何十年人間の裏で隠れて共存してきた私達ヴァンパイア。今まで存在を隠してこれたのは事件をもみ消しているから。いいえ、それほど大きい事件が起きていないから


でも私は事件に追われてここに戻ってくる羽目になった

これは何かの前兆かもしれない。保安隊も言ってた「もう隠しきれないかもしれない」と



何かに備えてる…その通りかもしれない

先生達は分かってる

もうすぐ何か巨大な事件が起きるかもしれないことに


(高校になったら実践するのが当たり前やのかな〜)

遠くで紅の声が聞こえる


私達は備えないといけない、学校のこと自分の実力全てを把握しておかないと

そういきこんだ私の意思は静かに燃えるのだった

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