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ねこだん!  作者: 藤樹
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083 だらだらと炬燵で

 双子は炬燵に入って、温めて軟らかくなった可可(チョコレート)に塩を振った白岩薯(ジャガイモ)の揚げ菓子を付けて食べていた。


「甘い……のに、しょっぱい」

「ん。不思議に美味しい」


 特に何をするということも無く、炬燵の上に山と盛られた揚げ菓子に手を伸ばし、思い出したように甘いお茶を口にする。


「「ぷはぁーーっ」」

「ぷはぁー、じゃ、なーーいっ!」


 そう言ってスパーンっと、扉を開けて入って来たのはルシアナだった。


「そんな! そんな? ……それ、美味しいの?」

「早く中に入ってほしいの。後がつかえてるの」

「そうそう、うちだって居るんだから」

「ん。寒いから早く閉める」


 双子の抗議の視線を受けて、ルシアナに続いてロレット、レアーナも現れ炬燵に潜り込む。

 そして目の前の揚げ菓子に手を伸ばしたラウリーは、たっぷりと可可(チョコレート)を付けてルシアナに差し出した。


「美味しいかは自分で確かめて。早く」

「えー、うん。あーーん」


 パクリと口にし首を傾げて判断に迷う顔をする。


「お、美味しいの?」

「まぁ、食べてみないと判んないって」


 そう言って、レアーナは気にせず食べ始め、それに続く様に恐る恐るとロレットも口にする。


「そういえば、迷宮ってもっと魔物が外に出て来るものだと思ってたんだけど、そんなこと無いんだねー」


 ノイェトゥアも順調に攻略も開発も進んでいると組合(ギルド)に行く度、耳に入ってくる。


「魔物同士で縄張り争いがあるからだって言ってたの。魔物にとっても迷宮内の方が居心地が良いんじゃないかって」

「そっかー。じゃあ放っておいても大丈夫だったりするのかな?」

「それは違うと思うの。時間と共に迷宮は大きくなってるの。放っておくとどれ程の物になってしまうのか想像もできないの」

「ん………? もしかしたら世界中を覆う程の迷宮になるとか?」


 リアーネの言葉に驚きと共にそんな可能性もあるのかと皆は喉を鳴らした。

 静まり返った部屋の中で、揚げ菓子に可可(チョコレート)を付けて食べる音だけが聞こえてくる。


「「「ルーナ食べすぎ!」」」

「え!? いやー、なんか、ねぇ? ついつい手が出ちゃうんだよ?」


 そんなルシアナを助けるマリーレインの声が、昼食の準備ができたと階下から届いて来た。



 昼食後も双子の部屋で皆は炬燵に潜り込む。


「はぁー、やっぱり冬は炬燵で陽黄柑(ヒオウカン)だよねー」

「ん。間違いない。んぐんぐ」


 ストーブの上で真っ黒になった陽黄柑(ヒオウカン)を皿に取り分け剥いていく。


「どうして、陽黄柑(ヒオウカン)焼くんだよー。んぐんぐ」

「そんなこと言って、ルーナも食べてるじゃない」

「そうなの。んぐんぐ。美味しいの。んぐんぐ。文句言う必要は無いの」

「そういえば、鍛冶工房はどこも真っ先に炉の確認してたけど、地震で壊れた建物ってみんな建て替え終わったんだっけ?」

「んー……? どうだろ? 最近どこかで工事してるとも聞かなくなったし終わったんじゃない?」

「それなら聞いたの。今は街中の建物を点検するんだって忙しいみたいなの」

「そういや、うちも見てもらってたかな? んぐんぐ。あれまだ終わって無かったんだ」

「ん。でも、ノイェトゥアのおかげで街の拡張問題もひとまず解決」

「あー、でも個人の住宅とかは、まだまだ先になりそうだよねー」

「もうすぐうちらも探索者になれるけど指導迷宮からだから、結局ここのは行けないからねー。最初はどこか考えてたりする?」

「お魚!」


 いつの間にか二つ目の陽黄柑(ヒオウカン)を剥いていたラウリーが簡潔に希望を述べる。


「お魚ってラーリ………、ブハラトムーレでしょー。まぁ、良いんじゃない?」

「んー……、ラスカィボッツ」

「それいいね、リーネ! 鋼の地底都市だったら爺ちゃんもいるし、変わった鉱物も手に入れやすいよ!」


 すまなさそうな顔をして言うリアーネにレアーナが賛同の声を上げたのだ。


「ん。それも楽しみ。だけど、リーネの今までの魔法陣を新しく作って各地で保管登録してほしいって、錬金組合(ギルド)に頼まれてる。ラスカィボッツで新型の魔法鞄(マジックバッグ)を作れると色々助かるらしいから、最初の移動先に指定されてる」

「うぁー、お魚がーー………」


 ぱたりと倒れて炬燵に潜り込み、うめき声の様にラウリーの口から洩れる言葉を皆は聞こえないふりをするのだった。

 リアーネは炬燵に入ったまま手を伸ばし、腰鞄(ウェストポーチ)を手にすると中から箱と本を取り出した。


「リーネ? これって、もしかして?」

「ん。今まで作った魔導具の魔法陣と制作資料をまとめた本。やっと用意できた」

「開けていい? 魔法陣ってみんな追加で作ったんだよね?」

「ん。他の街でも登録するから三十組程作った」

「うわぁー。この箱で一組入ってるのね? よくこれだけ作ったの。全部すっごい小さいの!」


 レアーナとロレットは大きく息をつき感心した目でリアーネを見る。


「はぁーー。陽黄柑(ヒオウカン)美味しい」


 ルシアナは我関せずと陽黄柑(ヒオウカン)を食べていた。



 夕飯の声と共にレアーナは帰宅して、お風呂を済ませば双子はまた炬燵に潜り込む。


「ぬくぬくだねー」

「ん。満足」


 読んでいただけた方が楽しいひと時を過ごすことができれば幸いです。

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