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ねこだん!  作者: 藤樹
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067 森林伐採と蜂の巣

 初日に随分と深い穴を掘ったと言うのに魔力元の発見には至らなかった。


 翌日、作業の効率化や今後のことも考えて魔力元までの道を作るために、木の伐採を行うことが決まった。

 伐採に当たるのは林業組合(ギルド)の者達で、双子を含めた狩人(ハンター)が案内兼護衛を努めることになった。



 まずは柵に向けて直線で道を通すために切るべき木に印を付けて行く。

 双子とウルマス、林業組合(ギルド)の牛人族の男性、クサーヴァーが印を付ける班に含まれ、時には魔法で上空に浮かび上がって進路の確認などもする。


「リーネ、聞こえた?」

「ん。何か居る」


 双子の耳はピコピコと忙しなく動かされ、捉えた物音に意識を集める。同時に、ラウリーは剣鉈と短剣を構え、リアーネは狙撃銃の準備を進める。

 先導するウルマスも既に準備を終えて意識を研ぎ澄ませている様子に気付き、もっと頑張らねばと思いながらもラウリーはいつでも動けるようにと腰を落とす。


 しばらくすると森の奥から音が近づきブブブブという多数の羽音であると気が付いた。


「おい、夜鴉蜂だ。気を付けろ! 近くに巣があるはずだ! 探すぞっ!」

「わっ! どうしよう!?」

「んー……。どうしようか? 蜂対策はしてない」


 ウルマスの声に周囲へ目を向け確認をする。


「誰か煙玉持ってるか?」

「あぁ、一つある!」


 クサーヴァーが答えて鞄から取り出した。

 足を止めて警戒していると、だんだんと羽音が近づいてくる。


「見つけた! 結構近いぞ! クソッ! 縄張りに入っちまってる!」

「リーネ。前は襲ってこなかったのに、どうして?」

「んー……。春になったばかりだから、まだ活動し始めたばかりなんじゃないかな?」


 ようやく全身が黒くて濃紺の羽を持つ体長三十センチ程ある夜鴉蜂を目視でとらえたリアーネは照準器を覗き狙いを付ける。


「ん。右側から行く」

「判った。なら俺は左からだ。ラウリー、守備は任せた!」

「任された!」


 パバシュッ!


 リアーネとウルマスの射撃によって二匹の夜鴉蜂を仕留めるが、残る五匹が接近を早めた。

 次弾装填発砲し、更に二匹を仕留めた頃には既に銃の間合いではなくなっていた。


「ハァッ! トゥッ!」


 真っ先に近づいて来た夜鴉蜂にラウリーは左右の剣で連撃を放つが、直前で上方へと逃れた夜鴉蜂は、しかし二撃目を避けることはできずに腹を裂かれ落ちていく。

 残る二匹は警戒を強めたのか、近付かずに暗い光を発して魔法を放った。


「まず……」


 そう言った切り、ウルマスが膝をついて眠ってしまった。


「え!? ちょっと、寝ちゃった? クーガさん起こしてあげて!」


 夜鴉蜂の魔法に驚き、クサーヴァーにウルマスを起こす様に頼んで、ラウリーは夜鴉蜂と睨みあう。


「ん。こっちは問題ない」


 パシュッ!


 リアーネに放たれた魔法は抵抗できたためか効果を見せず、夜鴉蜂が離れたことにより発砲したのだった。これによってまた一匹仕留めて残るは一匹となる。


 攻めるか逃げるかを逡巡(シュンジュン)した夜鴉蜂に対してラウリーが間合いを詰める。頭上に位置取る夜鴉蜂へと攻撃を届かせるために木の幹を蹴って飛び上がり両の剣で羽を切り裂いた。


「ふぅ。もういない?」

「ん。大丈夫」


 ウルマスも無事目を覚まし、落ちた夜鴉蜂の首をはねて行く。



 ウルマスの示した三十メートルと離れていない場所に、木の根元付近を取り込んで構造材の一部とし、低木程の高さに抑え後は地面と一体となった夜鴉蜂の大きな巣があった。

 静かに近付くと、周囲に三匹木に留まっているのを見つけることができた。


「蜂の巣ってあんなに大きいんだー……」


 ラウリーが夜鴉蜂の巣の大きさに目を丸くして言葉がこぼれた。


「さて、煙玉使うかね」

「ん、待って。魔法で何とかなるかも」

「何するの、リーネ?」

「ん。冷やすだけ」

「あぁ。なるほど。良いかもしれんな。じゃぁ頼むわ」

「ん、頼まれた。見えざる暗き炎よ、その熱を奪い去れ………『冷却』」


 巣を中心に周辺の温度が急激に下がり始め、表に出ていた夜鴉蜂が地面に落ちた。


「リーネー、さー、むー、いー」

「ん。リーネ、も。この、魔法は、失敗」


 ガタガタ震えて抱き合う双子を目にして、ウルマスとクサーヴァーは笑いを漏らす。


「すげー効き目だな! どこが失敗だよ大成功だって! ははっ。止め刺して行くか。リアーネは魔法の維持頼むわ」


 そうして落ちた三匹を手始めに、巣を切り開いて次々に首を落としていけば、五分とかからずに駆除を終えた。


「はぁ、こいつぁ楽だな。他の連中にも教えてやらにゃならんか」

「そうですね。うちでも上に報告しときます」


 蜂の子は好きな者も多く喜ばれることになるので、巣と女王蜂は回収して元の作業へと戻るのだった。



 その後、四刻程かけ掘削現場まで到達することができたが、伐採作業はまだまだ始まったばかりと言えるだろう。

 遠くから木を打つ斧の音が響いており、何度か木の倒れる音を聞くこともあった。



 魔力元まで道を通すための伐採だけで、一ヶ月近くを掛けることとなる。

 その後は、迷宮入り口周辺の木を伐採し開けた場所を作る予定であった。


 読んでいただけた方が楽しいひと時を過ごすことができれば幸いです。

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