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ねこだん!  作者: 藤樹
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034 ラウリーの大好物

「おっさかっな、おっさかっな!」

「たっのっしみー」


 街の南西門から出て道なりに田畑を通り過ぎて行き、よく行く森の手前の川が見えて来た。橋の手前で河原に降りて、ラウリーは手に持った釣り竿を掲げる。


「大物ー釣るぞー!」

「んー!」

「お前ら元気だなー」

「ルーナは釣り嫌いなのか?」

「ルーナ、お魚は小骨が面倒なだけなのー」

「薬草の採取してくるけど、みんな十分に気を付けるのよ。お昼頃には戻ってくるわね」

「「「はーい!」」」


 川まで一緒に来ていたマリーレインとは、ここで別行動となる。

 ラウリーはリアーネ以外の四人分の釣り竿と練り餌を腰鞄(ウェストポーチ)から出して渡していく。

 その間にリアーネは周囲に虫除けの香を焚いて置いていく。


 それが終わると、河原に石を積み上げ穴を掘り、『石変化』で水槽を作る。泥や砂が混ざらないように川から水を引き入れて、反対側から流れるようにする。釣ったお魚は一旦ここに入れて泥抜きをしておくのだ。比較的流れの速い清流でもあるので長期間の泥抜きの必要は感じない恵まれた環境であった。


 それから色付き眼鏡を出して装着すると、気合を入れて川面を見つめる。


「リーネ? その眼鏡? 何?」

「なに? 目、悪くなったのか?」

「黒い……眼鏡、なの?」

「ん? これは、試しに作った。泳いでるお魚が良く見えるようになる」

「リーネ! ラーリも掛ける!?」


 先に釣り始めていた皆も、それぞれ眼鏡を受け取り掛けていく。


「「「おぉーーっ!」」」


 水面の光の反射が抑えられ、水中を泳ぐ魚の姿をクッキリと捉えることができ、皆は驚きの声を上げた。



 大きな岩の前に狙いを付けて、投げ入れるラウリー。岩に弾かれ餌が外れた。


「むー、失敗したー」


 気を取り直してもう少し上流を狙って、今度は上手くいったようだ。

 川面に潜む大きな魚に向かって、徐々に餌が近付くように竿を操る。


「きたーっ!」


 しなる竿を立て岸に寄せて行く。思った以上に大物で水面からは持ち上げることはできそうもない。


「リーネ! おっきい! どうしようっ!?」

「ん? ちょっと待って」


 一旦竿を上げてから腰鞄(ウェストポーチ)からたも網を取り出して、さっと近づけ掬い上げる。


「やったー!」

「んー! 重ーい」

「ラウリー、早いなー。もう釣ったのか」

「これは、うちも負けてられないなっ!」

「わぁー。大っきいお魚なのー」


 水槽の中へと移し替え、次の大物を目指して竿を振る。



 岩の裏側の流れの複雑な場所や落ち込むように深みのある場所など、黒眼鏡(偏向グラス)のおかげでお魚がどこにいるのか良く見えたから、五人共に沢山のお魚を釣り上げた。


 ◇


「え? ちょっと釣れ過ぎじゃない?」


 昼を前に戻って来たマリーレインの言葉通り、水槽の中には沢山のお魚が犇めいていた。


「水も結構綺麗ね」

「ん。『水浄化』掛けたけど、掛けなくても大丈夫そう」

「それでも一応、使っていた方が良いわよ。あと使えれば『浄化』もね」


 沢山釣れて満足したのか、それとも飽きたのか、リアーネは竿を片付けてマリーレインと話し始める。


「お昼の準備しましょうか」


 調理卓にまな板、包丁、携帯コンロと取り出して、リアーネはやる気を見せる。


「んー、この小さめのお魚は?」

「これは雨鱒(アマゴ)ね。塩焼きが美味しいわよ」


 塩を手に取りぬめり取り、腹を裂いて顎下から鰓ごと一気に内臓を取り除く。血合いも取って洗えば綺麗な身が現れる。いつの間にかロレットも参加して、雨鱒(アマゴ)岩鱒(イワナ)媛鱒(ヒメマス)蒼魚(アオウオ)と大きさ見た目も混ぜこぜのままに流れ作業で下処理を進めていった。仕上げに『食料浄化』の魔法を掛ければ、泥抜きが不十分だったとしても美味しく食べられるだろう。


「ね、これ食べれるよね?」


 ルシアナの取って来たのは沢山の蟹と川蝦だった。澤紅蟹(サワガニ)朱条蝦(アカスジエビ)沼蝦(ヌマエビ)とどれも小振りだが美味しそうだった。


「それは、三、四日は泥抜きに水槽に入れておいた方が良いわね。魔法で浄化も限度があるし」


 水槽の中のお魚は既に全て下処理されていたようだ。開いた水槽にドサドサと入れて、逃げないようにたも網を被せて、『水浄化』に『浄化』もまとめて掛ける。


「焚火の準備できたよ!」


 いつの間にやらレアーナが、枯れ枝を集め焚火を熾していた。

 雨鱒(アマゴ)に塩を振って串を刺し遠火でじっくり塩焼きにする。

 他の魚は素揚げにして甘酢餡にサッと浸けたり、香辛料をたっぷりとすり込んで衣を付けて天ぷらにする。


「「「かんせーい!」」」

「来たーっ! 大物だーーっ!」


 ラウリーはまだ、お魚釣りをしていたようだった。



「美味しーね!」

「ん。美味し」

「お魚も良いけど、蟹も速く食べたーい」

「塩焼き美味しいから文句言わなーい」

「甘酢餡かけも美味しいの!」

「ふふふ。どれも美味しくできたわね」



「あのお魚はどうするの?」


 マリーレインの言う通り、水槽には六十センチ近くある一際大きなお魚が一匹、蟹と蝦と一緒に入れられていた。


「晩御飯?」

「んー、持って帰る?」


 結局、しばらく泥抜きしてからお魚は下処理をして布にくるんで腰鞄(ウェストポーチ)に入れ、蟹と蝦は活きたまま籠に入れてルシアナとロレットが持ち帰った。


 読んでいただけた方が楽しいひと時を過ごすことができれば幸いです。


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