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ねこだん!  作者: 藤樹
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024 二刀剣術と格闘術

「やっ、はっ、やーーっ!」

「ほれ、右、右、左。いいぞ! その調子だ」


 右、左とラウリーが両手に持つ模造短剣が目まぐるしく繰り出される。それを弾き、受け流し、誘導し、あるいは躱して、掠らせることすらないのは専技教師としての矜持だろうか。


「にゃーー! 避けるなー」

「はっはっは、避けるに決まってるだろう。何言ってるんだ。ほら、目を離さない」


 雨が降ったりやんだりのため体育館で戦技訓練の時間である。

 この授業はリアーネもできるだけ時間を合わせる事になっているが、本日は別授業が重なっていて不参加であった。

 子供達は順番に戦技教官と打ち込み稽古を行っていて、今はグレックとラウリーが稽古中であった。


「もっと早く。もっと隙を無くして。単調になるな。大振りするな」

「えいっ! はっ! やー!」


 受け流しながらも懐に潜り込み蹴りを放つ。

 脇を抜け素早く反転し膝を狙う。

 反撃を避けるために後退し、すぐさま接近、突きを放つ。


「ほいっと」


 ラウリーの攻撃は簡単に捌かれて、軽く足を引っ掛けられてコロンと転がった。


「また負けたー!」

「十分動けてるから大丈夫だ。これで一巡したな。次は……バランス崩しだ!」



 バランス崩しを終え、次の素振りの時間になると、近くにいた教師にラウリーは聞く。


「先生ー、どうやったら先生に当てられるー?」

「そうだな……他の武術も知らないと、どうにもならんだろうなー」

「えーっと、蹴る殴る?」

「弓もあり?」

「じゃあ、うちは槌がいい!」

「私は魔術なのー」

「そうだな、何を使うかによって相手との間合いの取り方が変わるんだ。最も近い距離は無手の格闘術、次に短剣、剣、槍、弓と遠くなっていく。魔術は弓に近い扱いだが別物として考えた方が良いだろう。そういった間合いを意識しないと強くはなれんだろうな」

「何から始めたらいい? 短剣のままでも良いの?」

「そうだな……まずは格闘術からやってみるか」

「「「やるぞー、おぉーーっ!」」」

「何だお前ら、いつになく熱心だな?」

「リーネに追いつく!」

「先に昇級されたからねー、ボクも頑張らないと」

「うちも追いかける!」

「私も置いて行かれたくないの」

「そうかそうか! 基礎をちゃんと知らないと強くなれんからな。さっそく稽古するか!」

「「「おー!」」」


 まずは拳の握り方、手は繊細で下手な物を殴れば自分が怪我をするだけだ。きちんと拳を保護する装備を身に着けること。そんな基本以前のことから丁寧に教わっていく。

 拳と掌、肘での殴り方を一通り教えたら、今度は蹴りである。

 それぞれの攻撃がどの程度の間合いを持っているかを実感させていく。


 もう一人の戦技教官と組んで、今まで教えた攻撃をどう躱すか、受けるか、受け流すかの見本を見せていく。体の動く範囲、動作の意味、そして、それぞれの動作を繋いで攻防を途切れさせない流れを作ること。


 いつしか、バランス崩しなどの遊び主体の体力向上の時間が、本格的な格闘術の時間となっていた。子供達も教師の手本に魅せられて真剣に聞き、実践をしていく。


「これは剣でも槍でも同じことだ。戦技には流れがあり、その時の状況に合わせて攻防を組み立てなきゃならん。わかったか!」

「「「はいっ!」」」



 ◇



「リーネ!」

「ラーリ!」


 授業も終わり帰宅時に車寄せの屋根の下で、ヒシッ! と、双子は抱き合った。


「離れて寂しかったのは判るけど、もう何日目? 毎回やってるだろ」

「あはははー」

「寂しかったのー!」


 追加でロレットが双子に抱き着いていく。


「うちもまぜろー!」

「レーアも!?」


 ひとしきり引っ付いて満足したのか、四人の視線はルシアナに向かう。


「それー!」

「ん。突撃」

「ルーナも寂しかったよな!」

「一緒なの!」

「な! やめろ! 引っ付くなーっ!」

「「「ルーナ、可愛いっ!」」」


 頬を染めて言葉では拒否していても、行動に移さずされるがままのルシアナである。



 傘をさしながらの帰り道、今日のでき事がお互いの話題に上る。


「戦技いっぱい教わったー」

「ん? どんな?」

「格闘術!」

「突きと蹴り!」

「流れなの」

「短剣二本使うのはどうしたらいいかな?」


 ラウリーは珍しく考え込んでいるようでリアーネに相談する。


「んー……ラーリ利き手は?」

「えっと? どっちも?」


 両の掌をワキワキとして、どちらを主に使っているかと目を向けるも、同じくらい使っていると結論付けた。


「ん。そうだね。二刀剣術は、利き手に攻撃用で長めの剣、逆は盾の代わりで短剣などを使う。でも、ラーリなら、同じ剣二本使えば両方で攻撃も防御もできるようになる。これは双剣術と言っても良い」

「おぉー。双剣術!」

「なんかかっこいい! ボクの弓は両手使わないと無理だしなー」

「うちも槌二本って使えるかな?」

「私は短剣一本でも難しいのー」

「んー、レーアは戦槌とかの長柄の槌が良いと思う?」

「リーネリーネ! どんな練習したらいい?」

「ん。右を攻撃、左を防御、基本の二刀剣術を練習。それから左右逆にして練習が良い。格闘術でも多分一緒。左右同時攻撃はそれができるようになってから」

「わかったー!」


 軽く拳を握り込んでパンチを放つが、傘が邪魔で続けるのは断念した。


「それで、リーネは今日どうだった?」

「高等部ってどんなだった?」

「怖くなかったの?」

「ん、大丈夫。みんな優しかった。鞄も人気。授業はまだ余裕ありそう」

「そっかー。良かったね!」

「リーネ可愛いもんな!」

「高等部でも鞄、人気なのか!」

「まだ余裕……あるの?」


 いつもの屋台で菓子を買い食いしながら、尽きぬ会話も賑やかに、惜しみながらもそれぞれの家に帰って行く。


 読んでいただけた方が楽しいひと時を過ごすことができれば幸いです。

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