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ねこだん!  作者: 藤樹
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021 課題提出と高等部

「みんな、お休みはどうだったかな? 課題忘れてきた人はいないでしょうねー? 今から集めるからねー」

「持って来た!」

「ん? それはお土産。はい昇級課題」

「なっ………!!」


 鞄の中を見たルシアナの顔色は青く染まって来た。


「わはは! ルシアナは忘れたのか? はいこれ、うちの」

「ルーナ、食卓の上に忘れてたの。たしか……ここに、一緒に持って来たの!」

「ありがとう、ロット!!」


 大げさにも感じる程に抱き着いて喜びを表すルシアナに、姉にでもなった気分のロレットだった。

 夏の休みも終了して久しぶりの学院でのこと。朝一番には講堂で学院長先生の睡眠の魔法もかくやという長話で一眠り。友人達とのお喋りもそこそこに担任によって語られる。


「リアーネさんは、この課題が評価されたら高等部へ移ることになります。いつも使ってるのとは違って簡素な見た目の鞄ね」


 行っちゃうと寂しいという声があがり、若干嬉しくなりながらも自身も寂しいと感じるリアーネの耳は垂れ気味であった。


「でも凄い鞄! リーネとお揃い」

「どう凄いのか教えてはくれないのかしら?」

「ひみつー」

「ん。魔術の先生に聞いてみて」


 そうして、翌日からの予定など連絡事項を伝えて解散。



 ◇



 翌日早速、魔術教師ペレィトに呼ばれたリアーネ。他の面々は初等部で授業中。


「この鞄は凄いぞ。構造に魔法陣も書類で確認した。稼働状態だと魔石の魔法陣が見られないってのは魔法鞄(マジックバッグ)の少なくない欠点だな。どんな感じか確認したかった」

「転写元の魔法陣、錬金組合(ギルド)に預けてる」

「そうか! それは行かなきゃならんな!!」



 さぁ行こうと手を引かれ、授業はいいのかと疑問に思いながら錬金組合(ギルド)にやって来た。


「ああ! いらっしゃいお嬢さん! あの魔法陣、話題になってますよ!」

「おお! それだ! それを見に来た!」


 鼻息の荒い状態のペレィトに高揚した受付嬢の声が部屋に響くと、ザワリとしていた周囲が一瞬静かになって、「あの娘が?」「いやいや、若いどころか幼過ぎる」といった声が漏れ聞こえてくる。


「ええ……と、お部屋案内します、ねー……」


 気まずそうに案内をして、お茶菓子を出され魔法陣が持ってこられる。


「効果を確かめるために組合(ギルド)で試作してね、使った人みんな驚いてたわよ。もちろん私もね」

「ん? 今までなかった?」


 ペレィトが魔法陣を見分している間、受付のお姉さんはリアーネと茶を飲みながら話してくれる。


魔法鞄(マジックバッグ)ってね、『空間圧縮』『重量軽減』『魔力集積』この三つ、それぞれが付与された魔石が付けられてたんだけど、取り出すときが大変だったのよ。何が出てくるか分からないから、目的の物が出てくるまで取り出し続けるの。それはもう大変すぎるからって空き部屋で全部出す人も多かったわ。使い勝手が悪いからって容量の大きな物は嫌われてたの」


 それに、と続けて教えてくれる。


 情報系の魔法で中身の情報を知り移動系の魔法で任意の物を取り出す仕掛けが、いかに画期的なことかと。さらには『時間遅延』は掛かっていないため生ものの保管には向いてなかったこと。使用する魔石の個数が、四面体に口部分と中に二組ずつの十二個使うより、六面体で八個使ったリアーネの作った物の方が、少し大きめの魔石が必要とは言え使う数が少なく容量増大につながったことなどだ。さらに増やしてみようかといった声もあったが試算だけで済まされた。おそらく劇的な効果は無く費用対効果の悪い物になるだろうと。


「ああ、これはよく考えられている。精度の高い魔法陣が効果を高めているし、空間系魔法を使う魔物の革を使うか、大きな魔石と鞄を使えば容易に大容量の魔法鞄(マジックバッグ)にできるように設計されている。なぜ今まで無かったのか不思議な気分になるよ」

「そうですよね! これなら旅の鞄にも使えますよね!」

「どうして、このような構造にしたのかね?」

「んんー? いっぱい入ると便利。食べ物腐らせずに持ち運びたい。中身の確認方法も必要。任意の物を取り出せないと不便……だから?」


 首をかしげて思い起こし、指折り答えていく。


「今までの魔法鞄(マジックバッグ)がどんな物だったかは知ってたのかね?」

「ん。名前といっぱい入ることだけは『魔導具の迷宮』っていうパブティスタ・ヘルモンドの書いた魔導具の本で読んだ」

「それ、かなり詳しく解説してたはずなんだが……」

「ん? 秘密なのかと思ってた」

「あはは……」

「これなら文句無しに最優の評価だ。これ以上を付けられんのが惜しいくらいだぞ」



 そうしてリアーネの高等部昇級が決定された。



 ◇



「リーネ!」

「ラーリ!」

「お前らいちいち引っ付くな。で、どうだった?」

「鞄もう返却されたんだねー」

「お帰りなさいなの」


 授業を終え一緒に帰ると初等部の下駄箱前で待っていたラウリーは、リアーネと離れていた寂しさを埋め合わせるように抱きしめあう。

 鞄のこと、高等部を案内されていたこと、明日からそちらへ行くことなどをリアーネは端的に話していく。


「そっかー、寂しくなるな……」

「授業以外では会えるよな」

「一緒に帰ろうなの」

「ん。みんなも早く昇級すれば良い」

「そしたらまた一緒だね!」


 勉強頑張ろうと声を上げ、賑やかな声が響いていく。


 読んでいただけた方が楽しいひと時を過ごすことができれば幸いです。


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