国立科学院の謎
「私たちウイルスの脅威が高まる中、ウイルスを浄化するソフトの開発を秘密裏に進めているグループがどうやらあるらしいの。勿論、今までもあったのだけど、レベルが違うの。私たちの内情に関する知識量が半端ないらしいの……。彼らが完璧な浄化ソフトを完成させることが出来たなら、私たちはすぐに消えるでしょう……。全ての脅威が取り払われた世界。新たな平和がもたらされる……」
「それはないと思うけどな……」
隆司は皮肉をこめて否定した。
「君みたいな最強のウイルスを消せるプログラムが完成したら、間違いなく、その少数科学者たちの統制社会になっていくだろう。彼らは全てのウイルスを制御、生産出来るわけだ。マッドサイエンティスト何て可愛らしい名前を付けている場合じゃない……。まぁ、どのみち僕には関係のないことだろうさ。そんなソフト、あるはずないんだから」
「それがどうも、既に完成しているらしいのよ……」
「どこからの情報だ?」
「それは言えないけれど……。これは確かな情報なのよ。国立科学院の情報管理センターとか言う場所に保管されているらしいんだけど……。さすがは最強の科学者集団。ガードが固すぎて侵入できないのよ」
侵入できない……。
それはそうだろう?
何たってあの国立科学院だからって……。
本当に侵入出来ないのか……。
それってまさか……。
「あなたの思う通りよ。これが初めてだった。プライドをへし折られたわ。まぁ、仕方のないことかもしれないけれど」
そうか……。
父さんの仕業か……。
ということは?
この果てしない謎を解明すれば父さんの居場所を掴むことが出来るのか?
面白い!
やってみようじゃないか!
失う物なんかないさ。ひたすら前に進むだけ。
プロポーズの前に一仕事しよう。
二人の未来永劫を誓うため……。
「僕の携帯に入ることは出来るか?」
少女は、携帯?、と尋ねた。隆司は頷いた。
「そうだ、ここに侵入出来るか?君にとっては朝飯前だろう?」
「まぁ、それくらいなら……」
少女はパソコン画面から姿を消し、すぐさま携帯に乗り移った。すぐさま待ち受けに姿を現したので、隆司は妙な興奮を覚えた。
「さすがだ。よし。じゃ、行きますか!」
「行くってどこへ?」
「国立科学院に決まってるだろう?一応……」
「……学生番号270031 takashi sasaki……」
「相変わらず早いな……」
「それなら話は早いわ。ところでこのコードは今でも使えるの?」
「……何とかなるでしょ!」
「何よ、その根拠のない自身は?」
「ここに至って何も始まらないでしょ?ほら、行くよ」
隆司は携帯を懐にしまった。




