盾矛の国
ぽんちゃんの夢探しは始まったばかり。
さて、空の境界に見える国は盾矛の国です。
ぽん「たてほこのくに」
ぼん「色んな形のお城がいっぱいだね」
ここは矛盾の多い国で、いつも揉め事が絶えません。
ぼん「よし。いっちょ解決しますか」
いえ、そっとしておきましょう。
ぼん「そっとしておけるわけないでしょう」
ぽん「笑顔は大事で大切だもんね」
ぼん「そう!だから、僕達で笑顔の絶えない国に変えてみせましょう!」
ぽん「おー!」
うわー!だれだー!やめてー!
ぼん「到着」
チグ「シャチホコのチグだよ」
ハグ「シャチホコのハグだよ」
ぼん「グリとグ」
ぽん「がおっしゅ!」がおー
ぼん「が、がおっしゅ!」がおー
チグ「なにしに来たの?」
ハグ「今立て込み注意」
ぼん「なんだ。あなたさん達も揉めてるの」
チグ「たたかいだ!」
ハグ「まけられないんだ!」
ぽん「ふーん」
ぼん「いったい何で揉めてるの?」
チグ「遊びたいし寝たい」
ハグ「寝たいし遊びたい」
ぽん「は?」
チグ「どうしろってんだ」
ハグ「ウキウキ約束そっち」
チグ「約束オッケーそっち」
ハグ「で?」
は?
ぼん「なるほどね。僕にお任せ!」
ぽん「どうする気?」
ぼん「空想科学夢幻郷!」ててーん!
チグ「なんだその機械」
ハグ「なんだその装置」
ぼん「これは明晰夢を見られる機械だよ」
ぽん「明晰夢?」
意識がハッキリする夢のことです。
夢の中で自由に何でもできるのです。
ぽん「おー!」きらきら
チグ「どうしろと?」
ハグ「どうしたい?」
ぼん「ほら。これを枕カバーに入れておやすみ」
チグ「かたい」
ハグ「いたい」
ぼん「気にしない気にしない」
気にせず二人は道端のど真ん中で熟睡しました。
ぼん「さて、ここからはあなたさんの出番だよ」かたぽん
ぽん「え!?」
ぼん「自分の力で、何か成し遂げてごらんなさい」
ぽん「でもでも……」
ぼん「僕の妹でしょう。大丈夫」
ぽん「ぷち頑張ってみようかな」
見届けてみようかな。
ぽん「応援してね!」
もちろんです。
ぽん「あの!」
ぽんちゃん、緻密毛量の男性に勇気を出して声をかけます。
オパンティヌス「ワタシに何か用かしら」
ぽん「どうしてそんなに服をいっぱい着ているんですか?」
チョッキン側近「無礼者!この御方はオパンティヌス国王であらせられるぞ!」ちょきちょき!
ぽん「うわっ!でっかいザリガニ!」びくっ
チョッキン側近「前髪パッツンにしましょうかい!」ちょきん!
ぽん「やだ」真顔
ぼん「姉です。突然、妹が失礼しました。しかし、お二方が何か揉めていらしたようで、可愛いくてお利口さんの妹はそれがとても心配なのです」
オパンティヌス「よきにはからえ」
ぼん「好きになさいって」
ぽん「じゃ、脱がしていいの?」
オパンティヌス「ワタシは王様でして、身なりをきちんとしないといけませんのよ」
ぽん「でも、それで揉めてたんでしょう」
オパンティヌス「まあ、そんなところです。だって暑いし」
ただ今の気温、体感八十度です。
ぼん「空想科学服のおかげで気にならなかったな。そんなに暑いのなら死にますよ」
チョッキン側近「だからキンキンのコラコーラをお飲みになって下さいと申しましたのに」
オパンティヌス「歯や骨が溶けちゃうでしょう!」
チョッキン側近「じゃあ、熱々のお抹茶でよろしいんですね!」
ぼん「その選択肢どうして……」
ぽん「とりあえず脱いだら?」
オパンティヌス「だから身なりがですね」
ぽん「大丈夫!」びしっ!
オパンティヌス「え?」
ぽん「透明な服を着ていますって言えばいいんだよ!」
いやいや、そんな屁理屈は。
オパンティヌス「そいやあ!!」びりばりい!
チョッキン側近「素敵にござりますう!」うるうる
まかり通りパンツ一枚に。
こうして、この国に裸の王様が誕生しました。
それから。
ぽん「車も飛行機も列車も船も好きなら変形すればいい!」
イケメン「なるほどなあ」
ビジョ「頼んだわよ」
イケメン「無理だろうなあ」
ぽん「痩せたいけど食べたいなら、運動しながら食べればいい!」
ぽちゃ娘「その発想はありませんでしたわ」
ほそ母「さあ、ラーメンと走りましょう」
ぽちゃ娘「汁がこぼれて熱いよぅ……」
ぽん「勉強したいけど休みたいなら、マッサージ屋さんですればいい!」
マジ勉「えーと」
店長「ここはこうです」
マジ勉「どちらも助かりまーす」
ぽん「今お風呂入らなきゃいけないけどダルいなら、明日の朝早くに入ればいい!」
リーマン「その考え、ショック受けました」
若妻「じゃあ、ご飯も明日の朝するね」
リーマン「作りかけなのに?え?」
というように、次々と矛盾ぽいことを解決していくぽんちゃん。
ぽん「太陽さんもお月さんも好きなら一緒になればいい!」
朝は日食、夜は月食。
お昼は定食になる。
ぽん「目玉焼きにソースか醤油?オイスターソースでいいんじゃない」
目玉焼き定食が流行る。
ぼん「美味しそう!けど……」
お新香セットかサラダセットかで揉める。
ぽん「どっちもで」
ぼん「あ!僕もそれで!」
白米か玄米かで揉める。
ぽん「お赤飯で」
ぼん「僕は、ぷちうどんでお願いします」
味噌汁は白味噌か赤味噌かで揉める。
ぽん「お豆腐のオツユがいいな」
ぼん「ミツバを浮かべてね」
ぽん「僕はやめてね」
ぼん「美味しいのにー」
ぽん「好きなものは、それぞれでいいでしょう」
その言葉に店ごとざわつく定食屋。
オパンティヌス「よーし。国民がいつでも好きなものを選べる定食屋を城につくりますよ!」
チョッキン側近「?!え」
オパンティヌス「どれもこれも合わせようとすることはありません。一人でもよいですが、しかしそれでも、誰かと分かち合って選んでいきましょう。それがもしかなうなら、どうでしょう?」
チョッキン側近「素敵やん!超気持ちいい!!」
オパンティヌス「それではこれから、そうして立ちはだかる無理難題も皆で答え合わせながら乗り越えていきませんこと!」
拍手の嵐が定食屋を破壊し、翌日より、好きを選べる大衆的な定食屋がお城から広まった。
互いに好きなものをオススメしあう姿は、なんと微笑ましいこと。
ぼん「好きのアラカルト。いい曲だね」にこっ
昭「ありがとう。私は何より、君の笑顔がまた見れて嬉しい」
それからお姉ちゃんが偶然にも、夕日の国より観光に訪れていた元カレと仕合わせていい感じになり。
ぽん「恋したいなあ」
と、昭さんがギターで奏でるメロディに心誘われて同じく想い馳せる人が増えたことで、たくさんのアベックが生まれた。
そうしてこの国は。
ぽん「笑顔の絶えない国になりました」
ぼん「ぽんちゃん!よくできました!!」なでなで!
ぽん「えっへへー!」てれりんこ
こんなことってあるのでしょうか。
はい。あるのです。
何かを解決する答えも笑顔も、いつだって誰かと誰かの間にあるものなのです。
ぼん「それは小さなキッカケから」
やめてくれぼんぼーん!きゃー助けてー!ひどいって何度もー!
ぽん「めちゃくちゃになることもあるんだね」
ぼん「れりごー!」




