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病ヤバイ国

ぽん「お姉ちゃんが、あなたさん達はしっかり冒険と勉強をしてから来なさいって」ほら


もこ「それ、バスケチームの打ち上げ写真?」


ぽん「コンパだって」


ぴょん「食用に捕らえられた鳥が、果たして鳥かごから解き放たれることがあるのだろうか」


ぽん「は?」

もこ「はあ?」


ぴょん「自由を奪われた鳥がなぜ羽ばたける?」セタップ


ぽん「お姉ちゃん自由な人だから」


ぴょん「鳥かごの中に空があると思うか?」


もこ「どうしたん?」


ぴょん「オレは知っている。自由を奪われた親鳥だけでなく、愛を失った雛のことも」


ぽん「病気かな」


もこ「まさか……そのまさかやね」


ぴょん「オレは愛がほしい。心の彼方へと止まることを知らない愛がほしい」


ぽん「めんどくさ」


もこ「どうする?」


病院で診てもらいましょうか。

近くに医療が進んだ国があります。


ぽん「れりごー!」


いてーよー!やめてー!こけたー!


ぽん「到着」


ここは、病ヤバイ国。

最先端の医療が整う国です。


もこ「消毒液の臭いがする」


国そのものが清潔に保たれていますから。

ほら、外からやって来たスワンボートがさっそく消毒されています。


ぽん「ぎゃあ!僕らにまでスプレーしないで!」


白衣「これは我々からの歓迎さ」


ぽん「うへー……」


もこ「ぴょんぴょん、これで治ったんやない?」


ぴょん「オレの心に満ちる常闇はこの程度では祓えん。深淵の終極に居座る闇には一条の光も届かず、一点の日向も生まれないのさ」


ぽん「んー、蹴ったら治るかな」


もこ「あほ」じとー


ぽん「アホって言う方がアホなんですけど」


もこ「じゃ、ばか」


ぽん「バカって言う方が」


ぴょん「その悲しい争いはオレの闇の影響だ。落ち着いて心を取り戻せ。人は誰も愛し合うために生まれ、そして出会えたんだから」


ぽん「とりあえず、空想科学光線でも撃てば何とかなるかな」あしぱたた


とりあえず唾つけとけば治るかな、みたいに言わないで。

はやく病院に連れて行ってあげなさい。


ぽん「どこの?」


そうですねえ……。


白衣「いいとこ紹介するよ」


ということで、国立癒快ホスピタルへ。


せんせ「うふん。かわいこちゃん」


ぴょん「油断するな。オレの牙は貴様の魂すら噛みちぎるぜ」


ぽん「この通りおかしいんです」


せんせ「この子、もしかして思い込みが激しいタイプじゃないかしらん」


ぽん「?」


せんせ「ネガティブなとこなあい?」


もこ「どうやろね。おちにアドバイスくれるし」


ぽん「でも、ディーヴァさんはネガティブだって言ってたよ」


せんせ「ネガティブなら、そうねえ。ここ最近、何かに強く影響受けたのかも知れないわん」


ぽん「アニメかな」


もこ「昨日、二人して半分寝ながら一日中見とったもんね」


ぽん「そうそう」


もこ「二人とは趣味が合わんち、おちにはよく分からんかった」


ぽん「楽しそうに見てたじゃない」


もこ「魔法少女アニメは良かったっちや」


せんせ「もしかして愛の妖精、フェアリーハートのことかしらん?」


ぽん「うん」


せんせ「他には何を見たのかしらん?」


ぴょん「真の戦士、胎動編は素晴らしかった」


ぽん「あー、それのせいか」


もこ「特撮やね」


ぴょん「オレの空想科学服は、マコトと同じ昆虫戦士をモチーフにしている。そうあの日、テレビで風の戦士の背中を初めて見てから、オレの闇に変化が起きたように思える」


ぽん「語りだした」


せんせ「うふん。聞いてあげるといいわん」


ぴょん「オレは孤独に世界を旅した。彼のような正義を求めて」


もこ「へーそうなん」


ぴょん「ああ、色々な国を巡った。善の国で優勝して善を学んだり」


ぽん「一人で?」


ぴょん「それは辛かった。何より、相手を傷つける覚悟を身に付ける戦いは辛いものだった」


もこ「…………」


ぴょん「それからアライグマの国で、罪の洗いかたをアライグマの家族から住み込みで学んだ」


ぽん「アライグマさんいたの!?僕の時いなかったよ!」


いましたよ。


ぽん「うそつき!」


嘘ではありません。


せんせ「やだわん。幻聴が私にまで聞こえちゃうん」


私はナレーションという存在です。

とりあえず気にしないでください。

 

せんせ「じゃあ、続けて。他にどこへ行ったのかしらん」


ぴょん「そうだな。ああ、初めてぽんぽこを見かけたのが超越の国だ」


ぽん「ぽんちゃんです」


ぴょん「アヒルボートを空に見つけて。あねさんに会えるかとオレは期待した」


ぽん「お姉ちゃんのことね」


ぴょん「しかし現れたのは君だった。オレは、君が姫と次元超越装置を目指しているのを見て、初めは姫の味方かと思って警戒した」


もこ「待っち。姫は悪い人なん?」


ぴょん「ああ。全ての次元、いや、過去も現在も未来まで統べようと目論む、そうだな、欲望の影法師とでも言おうか」


もこ「よーーーわからん」


ぴょん「とにかく、君が敵ではないことを知ったオレは、万が一を考えて、国民の避難誘導を優先した」


あれは、ぴょんちゃんの働きだったんですね。


ぽん「そもそも、どうしてあの国にいたの?」


ぴょん「オレは過去が欲しかった」


ぽん「どうして?」


ぴょん「過去を失ったオレに未来はない。闇に陰がないようにな」


ぽん「は?」


ぴょん「光だよ。オレは光を失ったんだ。語るには語れない物語の中で、オレは悲劇のヒロインにされたのさ」


もこ「……」


ぴょん「恋しい光。それは弱り、切なく散り、ついには闇に果てた……」


ぽん「大丈夫?」


ぴょん「平気だ。今のオレには新しい光が見えているから」


もこ「その光、光、光っちなんよ」


ぴょん「君たちだよ」


せんせ「ああん……!」どきゅんっ!


もこ「どゆこと?」


ぴょん「ぽこ、君の進む優しさと。もん、君の美しい涙だよ」


もこ「はあ……ちょっち。席外すね」すくっ


ぽん「ウザくても最後まで聞いてあげなよ。ズッ友でしょう」つかみ


もこ「いつから?どこから?この星が何回まわった時?」


ぽん「はいはいはーい。続けて」


ぴょん「笑うことも、涙を流すことも、どれも人間らしさなんだ。オレは悪に復讐するためなら悪になろうと、心が、魂までいつか機械のようになっていた」


ぽん「ぴょんちゃんは人間だよ」


ぴょん「そうだよ。そうなんだよな」


ぽん「うん。そうやって悩むことも人間らしさだと僕は思うよ」


ぴょん「ありがとう」


ぽん「だから、もこちゃん」


もこ「なに?」


ぽん「いっーぱい悩んで。いっーぱい泣いていいよ」


もこ「もう泣かん!」ふん!


ぽん「そういう時は、僕が二人を笑顔にしてあげますから!」


もこ「はあ?」


ぽん「いま決めました!僕はお姉ちゃんと違って、悩んでる人や困っている人と笑顔を分けっこします!」


もこ「ふーーーん」


ぽん「もこちゃんも素直じゃないんだから」つんつん


もこ「やめっち!うっとっちい!」ぺち


ぴょん「楽しい」


ぽん「え?」


もこ「今なんて?」


ぴょん「ううん。何でもない」


ぽん「そう。とにかく治ったみたいだね」


もこ「そやね」


ぴょん「そろそろ悪の国に向かおうと考えていたが、チョコ姉の言う通り、もう少し冒険と勉強をしよう」


ぽん「勉強はぷちお断り」


ぴょん「一緒ならきっと楽しいぞ」


ぽん「それはどうかな」


もこ「で、先生。結局なんやったん?」


せんせ「彼女は恐ろしい妄想に沈んでいた。そんな彼女にあなた達が手を差し伸べ、救い、そして抱き締めてあげた。あはあん!いやあん!愛によって救われたのよおん!!」くねくね!


ぽん「世界中、変な人ばっかり」


ぴょん「オレが妄想に?そんなはずはない」


せんせ「恥ずかしがらないで。妄想は誰もが抱くものよ」


ぴょん「そうなのか……」


もこ「気にせんで。もう行くよ」ぐいっ


ぽん「ありがとうございました」ぺこりん


せんせ「ええ。お大事に、いえ、仲良くねん」


ぴょん「もこち」おとと


もこ「なんよ」すたすた


ぴょん「もしかして、君も妄想にとりつかれているのか」


もこ「そう見えっちや?」ぴた


ぴょん「……いや」


もこ「やろ。おちは、妄想なんか嫌いやっち」すたすた


ぴょん「そうなのか」


もこ「さーてと、スワンボートに帰ったらダンスレッスンでもしよ」


これから、どんな冒険が始まるのでしょう。

私はやっぱり楽しみです。


ぽん「次の国へ向かって」


ぎゃあー!よごれるー!うぃるすがー!


なのり「なのりー!」

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