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くっさい国

ぐべあああ!びゃあああ!ひぎいいい!


ぽん「久しぶりに墜落しちゃった」ぺろ


ここは、くっさい国。


ぽん「れりごー!」


ひげえええ!ぞおおお!ふあああ!


ぴょん「ここに降りなきゃいけない」セタップ


ぽん「だって臭い国だし」


この国は、賞味期限マジ切れの納豆な足臭と、とても発酵したニンニクな口臭と、サラダ油で炒めたネギな脇臭と、ゴミの日に出し忘れた生ゴミな頭臭と、毎日へらへらしたうさん臭さを醸し出すスカトルク宰相が治めている国です。

とは言え、国中がその悪臭に包まれているわけではありません。


ぽん「もう、しかたないかな」


めえええ!みゃおおお!わおおお!


もこ「くっさ!」


ぽん「ほれみい」はなつまみ


ぴょん「これは妄想の仕業か」


国民の仕業です。

どうやらここ最近、スカトルク宰相の臭いが勢いを増して強まり、国中で香水やら芳香剤をやけくそになって撒き散らしたみたいです。


ぽん「どれだけじゃ」


ぴょん「おじさんにはとても耐えられん」


ぽん「は?あなたさん、何を言うとるのじゃ」


もこ「ちょっち、二人とも話し方おかしいやよ」


ぽんちゃん、ババ臭く。

ぴょんちゃん、オヤジ臭くなったようです。


もこ「はあ!?」


ぴょん「それはびっくり。だが、ぎっくりだけは勘弁」


はんぺん「しゃ……?」ぷるぷる


はんぺんが戸惑っています。


もこ「きゃあー!サメー!」ぺちん!


はんぺん「しゃあああく!」ずしゃあ!


ぴょん「はんぺん!」がーん!


もこ「え、知り合い?ごめんなさい」うるうる


はんぺん「うん、平気だから気にしにゃいで」


ぽん「なまぐさっ!」びくっ!


それはサメだからです。


ぽん「そう」


はんぺん「ここに、もうしょういにゃい」


ぴょん「それは何よりだ」


はんぺん「どうにゃら、善の国から送られた正義のおかげで、世界中で減ってるみたいにょ」


ぴょん「それはグラビアと同じくらい、素晴らしい情報だ」なでなで


もこ「あれなに?」


ぽん「ぴょんちゃんのお友達で、いつも世界中の妄想の情報をくれるのじゃ」


もこ「へえ。すごいサメなんやね」


ぴょん「はんぺん、いつもありがとう。しばらく故郷に帰って休んでくれ」


はんぺん「しゃ?」


ぴょん「もこちがいれば、妄想が向こうから会いに来る。だから休むといい」


はんぺん「あの子は妄想の娘。あぶにゃいよ」


ぴょん「大丈夫。もこちは、クマバチみたいだから」


もこ「クマバチ……それどういう意味やよ」じとー


ぴょん「オレなら本当に大丈夫だから」ぎゅ


はんぺん「わかった」すりすりみ


ぴょん「私……そうしたら……また……会おうね」ひそひそ


はんぺん「約束にゃよー」すいー


ぽん「何を約束したのじゃ」


ぴょん「オレが立派になること」


ぽん「そう。それはなれるとよいな」


ぴょん「なるさ。カビた鰹が立派な鰹節になるように」


なのり「わけわかめこんぶなのり」


もこ「さ、アヒルボートに戻ろう。なーんもすることなっち」


ぴょん「一杯飲んでいかないか」


もこ「どこまでおっさんやよ。おちら、子供やっち」


ぴょん「ハッカ湯に浸かりながらハーブティーを一杯やるのは、それはもう最高だぞ」


ぽん「ハッカ湯とは何ぞ?」


ミントのお風呂と思ってください。


ぽん「それはお断りじゃな」


ぴょん「ミントはいいぞ。心までスカッとするからな」


ぽん「いらぬ」のんのん


もこ「付き合ってられんちや」やれやれ


ぴょん「決まった。まずは温泉を探そう」ぐいっ


もこ「ちょっち、やめて!」おとと


温泉、見つからず。


ぴょん「おじさんには辛い国だ」髪へなー


もこ「さ、帰りましょう」


ぽん「わし、喉が乾いたわい」


よっぱらい「この、減らないミックスジュースいるかい?」


ぽん「インチキ臭いからいらぬ」


乳牛「じゃあ、私はいかが?」ちら


ぽん「牛さんがなぜ町中におるのじゃ」


あれは牛車といいます。

この国では牛さんが主な交通手段なのです。


乳牛「飲む?」ちら


ぽん「いらぬ。というか、あなたさん、かなり乳くさいぞ」じとー 


乳牛「年ごろの牛だし」きょとん


ぽん「年を取るとどうしてものう……」


乳牛「もー……」


もこ「ねえねえ。あのお店行かん?」


ぴょん「よし。ならおじさんと競争だ」


もこ「しません」すたすた


ぽん「これ、まてまて」ぱたぱた


もこちゃんが気になった服屋さんへ。


もこ「ぜんぶ古くさい」


ぽん「わしは好きじゃて、こういう服。どうじゃ似合うか?」ふわぽん


もこ「水玉シャツに無地のタイトスカート。んー悪くないけど、おちらにはやっぱりレトロやよ」


ぴょん「イケイケじゃないか」うんうん


もこ「おっさんうるさい」じとー


ぴょん「しかし、おじさんはやはりミニが好きだな」


ぽん「やん、この助平さん」つん


もこ「あほくさ」ためいき


お店から出ると、通りが何やら賑やかです。

あれは大道芸ですね。


ぽん「じゃ、じゃ、のじゃ……えーと」


もしかしてジャグリングですか。

今やってますよ。


ぽん「お、それは嬉しい」


ゴリマッチョとホソマッチョが交互にリンゴを投げ合い握りつぶすエンターテイメントをご覧あれ。


ぽん「若い子はええのう」にまー


もこ「子供が何を言うか」


ぴょん「アップルはバケツに入れているが、あれはどうするのだろう」


ホソマッチョ「安心して」


ゴリマッチョ「僕らの姫にプレゼントします」


乳牛「んもー。姫だなんて」ぽっ


ぽん「さっきの牛さんではないか、羨ましい。わしも牛さんになれたらのう」じゅるり


ゴリマッチョ「さ、次はなんとお客さんをジャグリングしちゃいます」


ホソマッチョ「誰かお手伝いしてくれるお子様はいないかな?」


ぽん「はいはいは……わしは年寄りじゃった」がくっ


ぴょん「まさか、君はぴちぴちだよ」


ぽん「そうか?ならジャグリングしてもらえるのか?」


ぴょん「してもらえるさ」かたぽん


ぽんぴょこ、三人揃って前へ。


もこ「あの。おちは」


ホソマッチョ「怖がらないで」なでなで


もこ「う、うん……」てれ


ぽん「あーいいないいなー!」


ゴリマッチョ「さ、君も準備はいいかな」だっこ


ぽん「お嫁さんになる準備はできておりますぅ」てれてれ


ゴリマッチョ「ははは!面白い子だ!」


それ、と始まるマッスルジャグリング。


もこ「わわわ!」くるくる


拍手喝采、見事なお手前です。


ぽん「わしは今、二人のマッチョさんに取り合いされとるのじゃな……」ぽー


ぴょん「お父さんは感心しないな」くるくる


もこ「ぴょんぴょん、なんかキャラが変よ」くるくる


普段の自分との違いに、ぴょんちゃん自身が戸惑っているのかも知れません。


もこ「自分なんてどうでもいいやよ」くるくる


ホソマッチョ「どうしたのかな?」


もこ「…………」しゅん…


ゴリマッチョ「おい、これまでにしようか」


ホソマッチョ「うん。そうしようか」


ぽん「えー」ぶーぶー


ゴリマッチョ「みなさん!ありがとうございましたあ!」


ホソマッチョ「元気出してね」あたまぽんぽん


もこ「はい」にこっ


楽しいショーが終わり、三人は汗臭いことに気付く。


もこ「今度こそ戻って、お風呂入ろう」


ぽん「えー、もったいない。若いマッチョさんの汗じゃぞ」くんくん


もこ「どんびきやっち」じとー


ぴょん「……雨だ」


もこ「うん。ちょうどいい」


ぽん「やじゃー!もう少しだけー!」おててぱたぱた


ぴょん「あまり困らせないでくれ」


もこ「お、元に戻った?」


オヤジ臭さは風に飛んでいったようです。


ぽん「うわっ、汗臭い。お風呂入ろう」


こちらは雨でババ臭さが落ちたみたいです。


もこ「じゃ、れりごー」


ぽん「スワンボートまで競争ね!」とたとた


もこ「あ、まてー!」ぱたぱた


ぴょん「オレも!」たたっ


ぽん「……あれ?もこちゃんだけ何もなかったね」とたとた


ぴょん「そう言えば」たたた


もこちゃんは田舎臭いでした。


もこ「はあ!?」


ぽん「しゃべり方がねー」くすくす


もこ「田舎くさくないもん!」うるうる

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