004 普通とは自らの統計からなるものだ
村を出てしばらく歩くとそこに森が見える。その森に入る前に薄く霧が立ち込めている。
「此処が遺跡のある森よ。」
「んだか魔力が変に張り巡らせられたとこだな。」
「やっぱり仕掛けがあるんだな!流石、パルド遺跡を護ってるって言われる問いかけの森だけあるな!」
そう、早朝に支度を終えた俺たちはアンフィルの用意した食事をご馳走になった後アンフィルはついて着てと言ったきりのままに現象である。
「あら、貴方は知ってたのパルド遺跡に向かってるって。」
「テメェ、割と知識は持ってんのな。」
そう言ってソルはガシガシと俺の頭を撫でる。
「ソルフェーゼ様はご存知でなかったのね。」
「ここらにゃあ近づかなねぇからな。てか、パルド遺跡って名前がついてやがる時点で腹抱えて笑うっての。パルドってのが残ってるって言うだけあれは残せたんだなぁ!あれが作ったのかよ。ハッ、じゃあ魔獣はアレかぁ?知んねぇーし、どうでもいいがな。」
ソルは小馬鹿にと言うよりは嫌悪の勝った嘲笑いをして言った。それは何と言ってもパルドってのを蔑んでるのは伝わる。
「何なの本当。思っていたけどアンタってマトモじゃないわよね。この子も可笑しな子だけど。普通じゃない。」
「普通ねぇ?テメェは普通過ぎだ。まぁ、ヴァヴェにゃいいだろ。」
「何で俺には良いだ?」
「そう思うなら貴方ももう少し普通にしたら良いのでは?」
「ああ?俺にゃあ必要ねぇよ。普通ってのは平均、均衡を保つ事だ。未来の為、共に他と生きる為。それが普通である事。ヴァヴェにゃあ空気的な常識の類はねぇ。テメェの普通がいい刺激だってんだよ。バカが。」
「生きてれば必要でしょ!?そんなの!それにバカとか言われる覚えもないわ!」
相変わらず相手を刺激する口調でと言うかバカと言ってる辺り馬鹿にしてるのだろう。彼女、アンフィルはそれに一々反応して反発すのは疲れないのだろうか?今もバカと言われた事に怒ってるみたいだけど、それに付き合ってくれてるソルの優しさに俺は凄いなぁと感心するばかりだ。ソルは相手を無視する事は無い。初めて会った時にも気分が悪いと言っていた気もする。嫌な事は自分にも他人にも基本的にしない主義らしい。
「おら、さっさと案内しろ。いい加減ギャーギャーうるせぇ。ヴァヴェは良い子だぜ?まぁ、こいつは環境の性だが…テメェも少しは良い子にしろ。」
「あー!!腹立つ!!!腹立つわぁ!!!何でこんなのがソルフェーゼ様なの!?本当にっ!!君も馬鹿にされてるままでいいの!!反論しなさいよ!!」
「え?何で?ソルは誰でも馬鹿にしてるし、直ぐ嘲笑うけど、優しいぞ?」
それに対してソルは苦笑い気味にアンフィルはぽかーんとしてる。何か可笑しな事言っただろうか?
「ほら言ってんだろ?テメェ見たいのがいい刺激だって。コイツは知識だけはあるみてぇだが現実を知らねぇんだよ。会う人間も限られ、それに従うのが当たり前の環境だったら仕方ねぇが。」
「え?何?この子監禁されてたの?だから、エンドリアの第二王子なんて刷り込まれてるのかしら?」
「あ?何言ってんだ?コイツは間違いなくエンドリアの第二王子だぜ?そこの宝物庫に閉じ込められてたしな。まぁ、初めは無理矢理付いてこられたんだがダインスレイフ使えたから連れ回す事にしただげだからな。お陰で六花に追われて苦肉に転移魔導で逃げるなんて手をなぁ…。」
ソルは溜息をついて空を見上げる。それに対してアンフィルはえ?とかは?とか言って困惑している。
「ま、待って?え?エンドリアの第二王子は死んでるハズよ?第二王子はとても家族思いで幼い衰退の象徴の第三王子を庇って死んだんじゃ…?」
「ん?家族思いって俺は兄上にもあの子にも家族なんて思われてないぜ?俺は彼奴らの愛玩人形。俺にあの子や兄上を庇うことなんて許されてない。護られてそこに居るのが俺の存在する理由だった。」
「まぁ、アレだな。エンドリアの国王等はこれを自分達だけが秘匿し大事に隠し育ててたんだ。理由は知らねぇけど。」
「俺は兄上の誕生日プレゼントだから、産まれた時から兄上の物だから兄上の宝箱に入れられてただけだと思うけどな?」
「そんな扱いだったの?辛かったでしょう?」
「ん?何でだ?これは俺のありのままで正しい扱いだろう?本の主人公達はみんなありのままが正しいって言ってるし、それを辛いなんてそもそも思わない。辛いって言うのは大切な物を無くしたり関わった人が死んでしまった時の感情だろう?俺は何も無くしてないよ。」
何故だかアンフィルは開いた口を押さえて眉を潜める。そして、そして目をそらす。それにソルは溜め息を一つ零してアンフィルをポンと撫でる。
「まぁ、コイツはそれが生まれた時の当たり前だったんだ。嫌なんて感情なんかは情報の遮断のない贅沢で最悪な物だが、ドンドン壊してやるの良いぞ。」
「何なのよ。貴方も壊してあげれば良いじゃない。まるで私だけが壊すみたいじゃない。」
「そうは言ってねぇよ。」
「……納得はしないけど。今はそれよりも結界を超えられるか不安になって来たわ。」
「そう言えば問いかけとさ言ってやがったか?この変な魔力の変に張り巡らされてんのは精神系魔導の擬似大結界って事だろうなぁ。」
「擬似?良くわからないけど結界である事は確かだそうよ。魔獣が出現してからここ周辺に追加されたの。昔はそん事無かったのだけど。事故以来研究者や警備が居ないのをいい事に賊が何人か遺跡荒らしにきてる見たいだけど帰ってくる人は多いわ。まぁ、入ったら戻って来ないけど。この森から戻って来る賊がそのまま村に来る事もあるからね。彼らは皆乗り越えられない自身に出会うと言っていたわ。そして、酷いと精神をやられてるわ。」
「成る程な。パルドの野郎が得意としてた魔導だな。それも精神系は基本が扱いが難しい。それ故にそのほとんどが特級魔導。その中で最強の特級精神系魔導の自身の鏡か…。ヴァヴェは平気だろうが俺とお前か。」
「何故?俺は平気なんだ?それとパルドって人の名前なのか?」
「あ、まぁだいぶ依存した神父だったな。まぁ、それはどうでも良い。説明なんか聞くよかやってみりゃ解る。遺跡の前に着いたら大人しくダインスレフと話して待ってやがれ。待つのは苦手じゃないだろう。」
俺がうんと頷けば不満げな顔でアンフィルは愚痴をこぼす様に問いかける。
「…貴方だってそのくらい余裕なのではないの?扱いは特級だけど最弱の魔導なのだから。貴方はそれに打って変わってこの世で最強の魔導士。って伝わってる。そのくらい壊せるのでは無いの?」
「精神魔導は壊れねぇんだっての。テメェもエルフだろうが魔導の基礎ぐらい知っとけ。精神魔導は発動したら術者でも止めらんねぇ代物だ。何故なら誰でも解けるからだ。その一つの鍵さえ分かればな。感情が豊富な奴ほどそれは難しい。精神系魔導が最弱って言われんのは誰でも解けるってのと感情抑制が行われてる戦場に置いての話だかんな。」
ソルが呆れたように説明をするとアンフィルはそっぽを向いて口を少し尖らせてぽそりと言う。
「…私、魔導は嫌いなのよ。魔奏術と違って理論なんだもん。」
「ッチ、取り敢えず何の答えを求めてるかだけ考えろ。そうすれば鍵は開く。…たくっ、面倒な。」
それから少し進めば高い掘りと言うよりは複数のゲート状のアーチに囲われ中心に建物がある場所。それはまるでどこからでもここに入る事を受け入れて居る様な建物だった。
「ええ、あれが問いかけの森の由縁遺跡への入り口。」
「行くぞ。一旦結界でバラけるが同じ出口の筈だ。検討を祈る。」
そう言ってソルはスッとゲート潜り見えなくなってしまった。
「私も行くわ。貴方は気楽ね。きっと怖いものなんて無いのよね。羨ましいわ。」
そうしてアンフィルもゲートを潜る。
「怖いもの…。そう言えばこの間はソルが居なくなるとか、痛いとか、相手を傷つけるとか、色々思ったら動けなかったな。まぁ、今は関係ないか。怖いものって何だろうな。」
そうして俺もゲート潜る。潜ればそこは兄上の宝箱の中と言うよりは似たそこだった。
そしてそこには六花のエルマリアとピサリン、そしてさっき別れたばかりのソルが居た。
「え?何でここに…?」
『問いましょう。貴方は人の死を恐れますか?』
『問うわ。貴方は何故自我が欲しいのかしら?』
『答えろ。テメェは俺に何を願ってる?』
***
そこは礼拝堂。エルフの民達の眠るそこはよく美しいと口々に表される場所。
『問う。お前は何が救いたかった?』
「お父様…」
『この情景は君の答えが出ていない、目を逸らしてる情景だ。』
そこに映るのは礼拝堂から一変して砂埃に塗れた人が逃げ惑い倒れ込む遺跡の中。呻き声と悲鳴が響く中一つの歌声が美しくに轡しい響きがこだまする。
歌の聞こえる方に視線を向ければそこには美しさと醜さを両立させる四つ脚の化け物。美しい鬣、美しい鱗、美しいパーツの数々なのだが、それが総合的に醜さになっている化け物。そして、古代語で何かを語り掛け他の命を奪う。何と悍ましい姿か。
「嫌…。」
その情景は続く。そして私は私の姿を見つけてしまう。あの日わたしは儀式の間の外に出ていた。そうそこは安全な場所だった。私は私の怯えて泣く姿と必死に歌声の方、お父様のもとに行きたいと必死に手を伸ばす哀れな私。そして、研究員達は皆生き絶え、歌声だけが残った。
『××××××××××××--?』
魔物は最後に父に古代語で問いかけているようだった。しかし、それはそこにいる誰にも伝わない。何を問いかけられたのだろうか。古代語を今時操れる程の者は世界に居ない。その殆どが失われているからである。そして、その問いかけの後直ぐにお父様は殺される。
『「いやぁああ!!!」』
あの日の私の叫び声と今の私の叫び声が響く。乗り越えられない、乗り越えられなかった恐怖。信じたくないから見ないフリしてた。
『なのに、お前はずっと墓標で話しかけてくれるね。』
その言葉で目を塞ぎ耳を塞ぎ蹲って居た私は顔を上げる。その情景は遺跡から一変して最初の礼拝堂に戻って居た。
『さぁ、お前は何が救いたかった?』
「私は…」
『アンフィルちゃんはサルヴァドールさんの自慢の娘だね。何より歌声が素敵。』
『そうそう、サルヴァドールさんのテノールも素敵だけどね。魔奏術に癒してもらう時は本当に至福だね。』
『肉体も精神も癒されるものねぇ。』
情景はまた代わり遺跡内部のキャンプに居た。そこではお父様が微笑んで、発掘研究チームの皆んなが私を愛でていて私は幸せそうにしていた。そして私とお父様は皆んなに歌を歌う。それを皆んな幸せそうに聞く。
この遺跡の研究をしている理由は古の傷あり伝説に関わってる事からだった。お父様は昔から魔奏術の歌詞の意味と古の傷あり伝説について調べていてそれを調べ回ってる時に母様に出会ったと聞いてる。けれど母様は私が幼い頃に事故で亡くなったらしい。とても、自分と掛け離れて活発な人だったとよくお父様が話していた。それが災いして事故に遭ったと聞いている。けれど、最後まで素敵な人だったとお父様は話していた。
「…戻りたいわ。…楽しかったのに…。」
"過去は夢だ。それも幸せな。"
そんな詩が魔奏の始祖の譜にある。始祖の譜は魔奏の適性や練習の為にある歌と言わてる歌でこの歌はある意味で練習曲と言われている。理由は大気魔力との共鳴以外に術の発動が見られないからだ。
古代語で構成されてる今残る他の魔奏と違い唯一現代の言葉と古代語が混ざってるのが始祖の譜。けれど始祖の譜には余り古い言葉がない割に重要な部分は古代語でただでさえ抽象的でただ共鳴する為の旋律以外はただの詩らしい。今は新しい魔奏の歌を作るのとは失われている。この始祖の譜こそが一番新しく恐らく最後に作られたのだと実しやかに魔奏術師とその研究者達に言われていた。そもそも、この魔奏術自体旧暦の終わりに出来早々に失われたからだった。しかし、この始祖の譜だけは新暦に奏でられた唯一の曲。お父様は新曲を作りたい思いからこの曲の作者…古の傷ありエルフの研究のめり込んだらしい。
「そう言えば、私折角出会えたのに聞いてなかったわ。」
お父様がいつか永遠を生きてる古の傷ありエルフに会ったらこの譜の事。魔奏術の事。過去の事を沢山聞きたいと言っていた。
"取り敢えず何の答えを求めてるかだけ考えろ。そうすれば鍵は開く。"
そう、結界に入る前にその傷ありエルフ…ソルフェーゼは言っていた。
『もう一度問おうか。お前は何が救いたかった?』
「私は…私はっ!過去の自分の幸せだったあの頃をっ…………救いたかったの…。」
言葉にすると何とも自分主義な思いだ。自分が救われたいからお父様の死に縋っているのだ。あの魔獣を怨んでいるのだ。昔から自覚していた。けどそれに気づかないフリをしていた。気づきたくなかったのだ。村の村長にソルフェーゼの子孫だった母親の血筋でなったものだったけれどその場所も大切だったから、皆んなを思う為と言い聞かせてずっと過去を見ていたのだ。
『そうか。お前は前に進めるよ。安心してお行きなさい。』
「お父様っ!ごめんなさい!私は弱いからきっとまた、沢山の言い訳をしてしまうわ…。けど、ソルフェーゼ様が何をするつもりなのか私も気になるから…私はお父様のそのお話が凄く好きだったから!」
『行ってらっしゃい。愛しいアンフィル。』
見送るお父様の横には微笑むお母様がいた気がする。私は赤ん坊だった私を抱いて3人た魔導写真でのお母様しか知らないけれどお父様はきっとお母様と幸せなのかなって現実に戻されるって時に思った。
「あ!アンフィル来たよ!」
「…やっと来やがったか。いつまで待たせってんだ。」
「貴方達が早いのよ。」
「ッチ、まぁいい。案内さっさとしろ。」
「全く、せっかちね。…ねぇ、ソルフェーゼ様。」
「あんだよ?まだ文句あんのか?ってかいい加減辞めろ。様なんて付けられるほど偉くねぇし。テメェは俺なんかあがめてねぇだろ。」
「それもそうね。じゃあ、ソルフェーゼ。聞きたいのだけど貴方は始祖の譜…魔奏術を作ったの?」
「あ?……嗚呼、あれか。あれは久々に精霊と普通に歌ってやろうって思っただけだ。それをアイツが勝手に広めやがって…。テメェは魔奏使うとか言ってたな。魔奏術ってのは仮契約だ。その分心込めて歌えば答えてくれるがな。それ故に感情的になり過ぎるな。制御がきかねぇからな。」
そう言って彼は私の頭をポンって軽く叩く彼の姿はすこし笑って居たように思える。しかし、その後直ぐに口悪くさっさと案内しろと急かす。
***
「なぁ?結局あれってなんで2人は大分時間かかったんだ?」
それは単純な疑問だった。自分の問いかけに対しての答え死ぬ事についてはわからないし、自我を持つことは知りたいと思ったから知りたいし、ソルは俺の救世主ってのだけだった。そうしたら通れただけだった。そんな単純な事なのに何故だろうと思ったのだ。
「え…それは…その…」
「ハッ、ンなの認めるわけにいかねぇからだっての。けど、現実なのは確かだ。それを無理矢理受け入れるってのは壊れる程の事だってだけだ。まぁ俺はもう壊れる所まで壊れてんから関係ねぇけどな。この小娘も俺の期待通りに壊れねぇで来たからな。テメェにはまだ解らねぇって言っただろ?解らねぇってのが解ったそれで今はいい。」
「そうなのか?正しさをありのままってのはダメなのか?」
「ンなの、テメェの判断だ。正しさも悪さもテメェの判断と他人の相互判断。けど、最後に決めるのはテメェってだけだ。」
「よくわからないな。」
「これから分かるさ。なぁ、アンフィル。」
「え、ええそうね。正しいだけで生きられた楽よね。私にはとても難しいわ。」
「難しいのか…。」
俺がそう呟いた後にソルがふぅ、と一息間をおいてアンフィルに言う。
「アンフィル。お前は旅とか興味あるか?」
「え?突然なによ?」
「興味あるか、ないかだっての。」
「あるけど?昔はお父様と色んな所に行ったわ。お父様がここで遺跡の研究を始めるまでだけどね。」
「そうか。なら、オハンはテメェに持たせようと思ってる。」
「は?貴方が欲しいんじゃないの?」
「あー、その何だ。複数持てるもんでもねぇんだよ。5宝ってのは。基本は一人一つだ。所有者がいんなら無理矢理連れて行くんだがな。所有者の居ない場合は所有権の持てそうな奴を探さなきゃならねぇ。多分、テメェはその権利は持ててるから問題ねぇし。俺が人柄気に入ってるから護るぐらいはすんだろしな。安心して付いて来い。」
「え?は?意味わからないわよ?5宝って所有権なんてあったの?明確な行方が知られてないオハンとゲイ・ボルグ以外の5宝は割と転々と持ってる人変わってた気がするけど…」
「あれは使わないから持てんだよ。おい、ダインスレフ。あれはお前らが気に入ってるから気に入ってないかだけだろ?確か。」
そう言うとダインスレフは無言を貫く。それに対してソルラ舌打ちをして「ヴァヴェ、そのバカに喋らせろ。」と怒鳴り睨んでくるものだからとばっちりだ。
「ダインスレフ、どうなんだ?」
『もうぉ、ソルちゃんは横暴ねぇ。そうよぉ〜。気に入らない子に何で力なんてかさなきゃなのよぉ?他の子だって同じよぉ。みんながみんな私みたいに喋れるわけじゃないけどぉ。でも、みんな意思は持ってるもの。でもそうねぇ、確かにオハンはこの小娘みたいな声の子好きよぉ?私はキーキー煩くって嫌だけどぉ。』
「…昨日も思ったのだけど、その剣は何故喋るの?……それにしても失礼な剣よね。キーキー煩くって悪かったわね。貴方も相当性格悪いから私も嫌いよ。お互い様ね。」
「はぁ…ダインスレフ、テメェは大概の奴が嫌いだろうが。俺と渋々話すのだってアイツとの約束だろって解ってる。」
『うふふ、私ねぇ、ソルちゃんの図に乗らない所はダァイスキよぉ?貴方はぁ昔から卑屈よねぇ。そこがぁ私はダァイスキ。』
「うるせぇ。」
『何人殺しても罪を背負う異常なのがぁ、私好み。まぁ、それ以外はダァイ嫌いだけどぉ。ヴァヴェちゃんはそのままでいいのよぉ。』
「俺は変わりたいよ?」
『そうねぇ、貴方は変わっちゃうわけねぇ。ずっと箱庭に居れば良かったのにって思うけどぉ。貴方の場合は因果だものぉ。変わる事を要求されているのよぉ。』
ダインスレフは変わらないで欲しいと言う割に変わることに対して面白がってる気がする。
「ちょっと、話戻すけど。ソルフェーゼは5宝持ってないんだから持てる権利あるんじゃないの?」
「あ?俺にんな権利ねぇよ。特にオハンとダインスレフには嫌われてるからな。それ以外は所持者が今のところいんからそいつら何とかする予定だ。」
「ゲイ・ボルグの所在を知っているの?」
「あ?あーおいおいな。それよりあそこか?」
そう言って大きな壊れかけた扉の前にやって来る。
「え、ええそうよ。あそこが。封印の間。」