第九話 キツネさん、阻止する
俺たちはとうとうおひい様の救助に成功し、無事村まで連れて行くことに成功した。
そして、村に降り立つ宝石のようなホワイトドラゴンさんはと言うと――。
「あらー! 面白い造りのお屋敷ですね!」
ログハウスやユニットハウス、それと温泉施設の建物を見てくねくねしたり。
「足のある人が沢山ですね! でも転んじゃったりしません?」
「もちろん転びますよ」
「ですよね」
村人たちを見て学者の目をしたり。
「あらあらあら、珍しい物が沢山ですね!」
「こちらは甘いお菓子とか雑貨とか売っています」
「甘いお菓子ですか!」
駄菓子屋さんにべったり貼り付いたり。
「うわー! とんでもない規模の水田が!」
「今は田起こし中ですが、もうしばらくしたら田植えになります」
「良いですね良いですね!」
田んぼを見てめっちゃくねくねした。
とまあ初めて見る世界に大はしゃぎしていて、常にテンション高い。
「ぜ、ぜはー……ぜはー……、ちょっと……はしゃぎすぎました……」
ただ体力ゲージが常にアレなので、すぐにバテてしまう。
ドラゴンのみなさんが、お屋敷にしまっておきたい気持ちも良く分かるな。
ともあれ村に賑やかな仲間がまた増えたとあって、色々考えなければならないことも増えてくる。
「おひい様のお住まいを、どこにしましょうかね」
「そうですね……」
シカ角さんと相談するが、どこにしようか結構迷う。
まだ全員を救助していないため、ここだと決め打ち出来る段階ではないのだ。
「仮住まいとして、村の空き家にお住まい頂く事も可能ですが」
「本当はそれが望ましいのですけど、お世話する私たちはそうも行かないのですよね」
「ですね」
ドラゴンさんたちはエステのお仕事があるため、そうそう簡単に住まいを移すことはできない。まあウシ角さんがいるので、まずはおひい様と二人で暮らす、と言うことも可能ではある。
村に空き家はあるので、ゆっくりして貰うことも可能なのだ。
「他におひい様とお供さんは、町の寮でひとまず暮らして頂くとか」
「それも良いですが、町は騒がしいですから。出来れば、静かなところで落ち着いて過ごして頂きたいですね」
全員で固まるというならば、町にあるドラゴンさんたちの寮で暮らすのが一番手っ取り早くはある。しかし、シカ角さんの言うとおり、町は騒がしい。
それにちたま慣れしていないおひい様とウシ角さんでは、色々危ない部分もあるな。道を歩くのでさえ危ないので、気持ちは良く分かる。
今ウシ角さんは寮で過ごしているのだが、「ここは危ない」と言って寮から一歩も出ないらしい。それは正しくて、賢い人である。
ちなみにウマさんは村でのんびり過ごしているが、でかくて珍しい動物ってことで観光客のオオウケしていた。モフモフと首筋や背中を撫でられるのが嬉しいらしく、観光客に撫でてとねだっているところをよく見る。
「お供の方もおりますし、私たちが定期的に村に通うと言うのが落とし所ですか」
「そうですね。必要であれば、自動車を貸し出し致しますので」
「有り難いです」
「他のお供の方を見つけた場合も、ひとまず村で保護という形にしましょう」
こうしてシカ角さんとちまちますり合わせして、とりあえずの方針を決める。
お互い協力して、やっていこう。
「やっぱりこのお芋は、美味しいやね」
「ほっくほくです~」
そのおひい様は、ハナちゃんとお芋を食べてくねくねしている。
色々あったが、まあ元気みたいで良かった。
「……そうですね、早いところ他のお供たちも見つけましょう。おひい様も心配しておられるようですし」
シカ角さんもお芋をバクバク食べるおひい様を見て、心配そうに言った。
見た感じ、かなりおひい様はキャッキャしている気がするのだが。
知り合いから見ると、気づくところがあると言うことかな?
「何か気になるところが?」
「ええ、普段より食がだいぶ細いのです。やっぱりお供の方々を心配しておられますね」
「え? 食が細い……? あれで?」
「かなり細いですよ」
あんだけ食べていて食が細いの?
それなら普段どれだけ食べるの!?
◇
ここはとあるちたまの、とある村。
新たに加わった住人に、ひとまずおうちが割り当てられました。
「中はこうなっていたのですね! 過ごしやすそうです!」
「やはり、木のおうちが落ち着きますね」
このおうちに暮らすのは、おひい様とウシ角さんみたい。
きょろきょろと中を見ながら、くねくねしています。
「時間を見て私たちも顔を出しますので、宜しくお願いします」
「手間をかけさせますが、頼みます」
シカ角さんたちは町で暮らしていますが、ちょくちょく顔を出すそうです。
これは大志と相談した方針そのままですね。
「村の施設や規則など、案内しながら説明します。分からないことがあれば、お聞き下さい」
「ハナも案内するですよ~」
「せっかくだから、私も聞いとこうかな」
そして村で過ごすための説明は、ユキちゃんとハナちゃんが担当です。暮らすのはみんな女性ですので、同じ性別の人が適任ですね。魔女さんも、せっかくだから一緒に村を見て回るみたい。
こうして、住人の受け入れ業務がはじまりはじまり!
「こちらに井戸がありますが、こうすると水が出てきます」
「あらー! これは便利ですね」
「この水は主に掃除や洗濯と家庭菜園向けで、飲用は控えて下さい」
「わかりました」
最初に、家の近くの井戸水についての説明ですね。まあ実際は飲めるのですが、村では念のため控えております。
おひい様は手押しポンプを見てうきうきしていますが、話は聞いているみたいだから大丈夫かな。
「飲料水に関しては、炊事場の湧き水を使用して下さい。この容れ物を使えば、水汲みも便利ですよ」
「ハナも便利につかってるです~。運ぶときは、これを使うですよ~」
お次は最重要事項の、飲料水の確保についてですね。大志が適当に作って村人に配った、蛇口付きポリタンクの使い方を説明しています。
ハナちゃんが押す台車の上に二つ乗っかっていて、それを使うのですね。
「なるほど、これは便利そうですね」
「ここをこうやってまわすと、お水が出るです~」
「ほほう、鉄を使って、こんな繊細な道具を……」
ハナちゃんが蛇口の使い方を説明していますが、ウシ角さんが蛇口という道具そのものの工作精度に興味津々となっております。
「でも、鉄だと錆びませんか?」
続けておひい様が、蛇口を見ながら質問ですね。ごもっともな疑問です。
「これは特殊な鉄で、普通に使う分には、ほぼ錆びません」
「錆びないのですか!?」
ユキちゃんが回答すると、おひい様は飛び上がってびっくり! あんまりジャンプ力は無いみたい。数ミリ浮かんだだけですね。
こうしてちたまの合金に驚く白蛇さんですが、まだまだ案内は始まったばかり。
「次に公共施設をご説明します。まずは集会場から行きましょう」
今度は集会場に移動して、その役割と利用法用の案内です。
「こちら雑貨と駄菓子を販売しております」
「お金を使って、お買い物するですよ~」
「ふがふが」
早速ハナちゃんがチロルなやつを購入して、実演です。
「神様、どうぞです~」
あらあら買ったお菓子は、神棚にお供えしちゃうみたい。とっても偉い子ですね!
「そうそう、こちら神様のお住まいです。お供えすると喜びますよ」
「タイシさんからお聞きしておりましたが、こちらがお住まいなのですね。確かに凄く光っております」
お供え物に喜んでぴっかぴか光る神棚を見て、おひい様もちょっと驚いているみたい。
事前に聞いていたとは言え、思ったより光っているからかな?
「販売している商品については、後で私たちがご説明します」
「お金も用意するね。当座で必要な額はお渡しするね」
「貯金しといて良かったよ~」
売っている物の詳しい説明については、ちたまで二年も暮らしている三人娘がするようです。
生活資金も、彼女たちが工面するみたいですね。自分たちが出来ることは、できる限りやるようです。
「では、集会場としての使い方を説明しますね」
「はい」
「とは言え、普段は解放されていて、好きに過ごせる施設となっています」
「それは良いですね」
「必要なときは会議場ともなります。臨機応変に便利に使えますので、是非ともご利用下さい」
「わかりました。ありがたく使わせていただきます」
次にお隣の集会場の説明ですが、実際に村人が集まっておしゃべりしたり、ボードゲームで遊んだりしていますね。
見れば分かるとおりの施設ですので、ドラゴンさんたちも自由に使いましょう!
「次は居住区ですね、まずは妖精さんの所へ」
しばらく集会場でのんびりした後は、近間のお花畑ですね。
みんなで挨拶に足を運びます。
「ここが、妖精さんたちの暮らす場所です」
「こんにちは! こんにちは!」
「おだんごたべる? おだんご!」
「どうぞ! どうぞ!」
「あら! ありがとうございます」
現地ではさっそく妖精さんたちのお出迎えがありました。きゃいっきゃいでお客さんにお団子の爆撃ですね。
「甘いお団子にほのかなお花の香り、これは美味しいですね!」
そしておひいさまは、もらった夥しい量のお団子を完食ですよ。かなりの健啖家ですねこれ。
「あや~、あれをぜんぶたべられるですか~」
「尋常ではない……」
「なんという食欲」
それを見たハナちゃんとユキちゃん、なんとなく分かっていたとは言え驚いておりますね。
魔女さんもお目々まんまるです。
「羽根のあるちいさなちいさな人たちが、あっちにもこっちにも。夢がありますね」
やがて小腹が落ち着いたおひい様、妖精さんたちのお花畑をうっとり見回しました。確かにここは、この村でも屈指のファンタジーエリアですからね。
「やせないとね……、やせないと……」
「むしろふえたかも? ふえたかも?」
「へらない~」
ただしあっちの区画はダイエットに励むエリアのようで、現実と向き合っている子が寒天お団子を食べていますね。
とうとうカロリーがほぼゼロの食品に手を出しておりますが、減らない原因は寝る前にチョコを食べるからだと思います。
それはさておき、妖精さんたちに挨拶をして、美味しいお団子で小腹を満たした後はドワーフちゃんエリアですね。
「こちらの船に乗って行けばすぐです」
「船に乗るのは初めてです。ドキドキしますね」
船着き場にあるゴムボートに乗って、さあ行きましょう。
「……妙に沈みますね」
「ぎりぎりっぽいです?」
「どうしたのかしら」
あら? なんだかゴムボートがギリギリっぽいですね。みんなで乗船したからかな?
ともかく川の流れに乗って、なんとかドワーフちゃんの所へ到着です。
「わきゃ~、いらっしゃいさ~」
「特になんもないけど、ゆっくりするさ~」
「クワックワ~」
現地では、みんなの来訪に気づいたドワーフちゃんたちが歓迎ですね。
「水辺の世界とは、興味深いですね」
湖をカワウソちゃんと一緒に泳ぐ子や、甲羅干ししているペンギンちゃんを見ておひい様も楽しそう。
ドワーフちゃんたちに挨拶したり、ちっちの子たちの観測基地を見学したりして、楽しく湖見学ですね。
「わきゃ~ん、温泉入りにいくさ~」
「サウナで汗かくさ~」
「楽しみさ~」
そうしていると、偉い人ちゃんたちが船を準備している光景が目に入りました。
温泉に行くみたいですね。しっぽを振りながら、三人でわきゃわきゃしております。
「はて、オンセンというのはなんでございましょうか?」
「暖かいお湯が沸く、泉があるですよ~」
「ほう! そんなものが!」
温泉というワードを聞いて、おひい様が興味を持ちましたね。ハナちゃんが軽く説明すると、ピーンと白いしっぽを伸ばして食いつきました。
「わきゃ? せっかくだから、一緒に行くさ~?」
「一日の疲れを癒やすのさ~」
「そのあと飲むお酒が、たまらんのさ~」
おひい様の様子を見た偉い人ちゃんたち、お風呂へお誘いですね。ドワーフお風呂セットを取り出して、しっぽをぱたぱた振っています。
「そうですね、せっかくなので、みんなでお風呂に入りがてら色々説明するのも良いかもしれません」
「いいですね~」
「そう言えば、ここの温泉は凄いってエルフの人たちが言ってたわね」
ちょうどお誘いもあったので、ユキちゃんがこの後の行動を提案ですね。ハナちゃんもお風呂に入れるとあってニッコニコです。
魔女さんは話だけは聞いていたようで、こちらも乗り気のようです。
「良いですね。私も沐浴は好きですから」
「じゃあじゃあ、みんなでいくです~」
そんなわけで、女子たちは憩いの温泉へと行くことになりました。
途中の雑貨屋さんでドラゴンさんたちのお風呂セットを購入し、準備は万端! いざお風呂へ!
「こちらが女湯、こちらが男湯です。性別で別けてありますので、けして男湯に行かぬよう気をつけて下さい」
「あら、お風呂は性別で分けてしまうのですか? 面白い習慣ですね」
「色々と問題が起きますので、別けた方が無難なのです。歴史の知恵ですね」
「ほほう」
男性がいない種族のドラゴンさんだけに、お風呂が別々なのは不思議みたい。
この辺妖精さんやドワーフちゃんもそうですが、規則なのでまあ良いかとその通りにしている気配はあったりします。
この村では男が少数派なので、それらの種族にとって男湯は極秘エリアみたいな感じかもですね。
実際はシャンプーしながら面白髪型を造形して遊ぶ、面白男エルフたちがくつろいでいるだけなのですが。
「ささ、お風呂に入りましょう。脱衣所はこちらです」
「はいはい」
男湯に興味津々なおひい様をさあさあと押して、なんとか女湯に誘導したユキちゃんですね。ほっとくと論文のために突撃しそうなので、ヒヤヒヤ物です。
ともあれ無事おひい様をキャストオフさせ、浴室へ。まずは体を洗いましょう!
「うわ、これめっちゃ泡立つやん」
「やん?」
「何でもございません」
調達したお風呂セットで体を洗ったおひい様、ちたまのボディーソープにびっくりですね。付けすぎでめっちゃ泡立ってます。
「これで、頭を洗うのですよね?」
「はい。私が洗いますよ」
「お願い致します」
次に頭を洗う番ですが、お供ドラゴンさんがシャンプーしてくれるみたい。こちらは慣れているのか、適量を使ってしゃわしゃわと丁寧に洗髪してくれています。
「う、うわっ! 目が! 目がしみるんやよ!」
「やよ?」
「何でもございま――目がー!」
「目をつぶればよろしいのでは」
しかしシャンプーが目に入ったようで、おひい様はくねくねと大慌て!
お供さんは冷静に洗髪しておりますが、わりと容赦ない感じですね。甘やかしているのかそうでは無いのか判断に悩む所です。
なんだかんだで、お供さんもおひい様が可愛くてしょうがない雰囲気はありますが。
「ぜはー……ぜはー……びっくりしたんやよ」
「お風呂上がりにまた軽く洗いますよ」
「ま、まあ……これほど綺麗になるなら、受け容れましょう」
そしてピッカピカになったお姿を見て、お供さんはとっても満足そうです。
おひい様はまた洗われると聞いて身構えていますが、お肌や髪を触ってまんざらでも無いご様子ですね。くねくねしています。
そこはやはり女子、綺麗になることについて文句は無いみたい。
「ではでは、露天で温まりましょうか」
「いくです~」
おひい様の準備が整ったのを見た案内役の二人は、まずは露天をおすすめしたいようです。
空を眺め、風を感じながら入る露天は最高ですからね。
「こちらが露天風呂となります」
「これは見事ですね! 雰囲気あります」
「さっそくはいるです~」
そんなわけで露天の大浴槽へと浸かる女子たちですが、今日はちょうど良いお湯みたい。ほああ~っと声を上げて、ゆったりのんびり温まり時間の開始です。
「これは……染み渡りますね……最高やないか」
「やないか?」
「何でもございません」
初めての温泉の心地よさ、おひい様もぐでんとしながら堪能ですね。他のドラゴンさんたちもなが~く伸びて、だらけております。
「わわ……想像以上に完成度高いお風呂……しかも泉質良さそう」
「大志さんによると、温泉旅館出来る水準の温泉らしいよ」
「これがタダとか……通いたい」
魔女さんも村の温泉に感動したようで、溶けかかっておりますね。その理由の大半が「無料」では無いかと思われますが。
ただユキちゃんの言うとおり、高級温泉旅館レベルのお風呂がそこにはあります。
だいたいダイヤモンドをこねた妖精さんのおかげであり、その資金は宝石魔女さんの預金残高を激減させて捻出した物ではありますが。
まさか自分が支払ったお金が、ここに投入されているなど知らない魔女さんなのでした。
「ちたま……なんだか良いところみたいですね」
「外の世界は色々あるみたいですが、ヤマトの地は概ね良きところかと思います」
「この領域は結構特別だね」
「ここは良いところだよ~」
「外は結構おっかないですけど、ここは落ち着けて良いですね」
温泉に茹でられてだいぶ柔らかくなってきたドラゴンさんたちも、うっとりくねくねですね。
「……そう言えば、あっち側が男湯なのですよね?」
「位置関係からすると、そうだよ~」
「論文書きます?」
……しばらくお風呂を堪能したドラゴンさんたちですが、一部不穏な会話を始めましたね。落ち着いて、色々な好奇心がまた出てきたみたい。
「ちょっと覗いて見てみまし――」
「はいダメですよ。覗いたら夕食抜きの刑に処します」
しかし犯行は未然に防がれました! ユキちゃんガッシとしっぽを掴んで阻止ですね。良い仕事しています。
「なんとおそろしい……」
そして夕食抜きと聞いたおひい様、ぷるぷると震えながらお供さんを見ました。
あ、これ昔にやらかして、お供さんに執行された感がありますよ。結構やんちゃな人なのですかね?
「わきゃ~ん、うちらはサウナに行ってくるさ~」
「汗だく祭りするさ~」
「お肌をつやつやにするさ~」
そうして男湯の安全が守られたのはさておき、ドワーフちゃんがわきゃわきゃとドワーフスイミングセットを着用していますね。言うとおり、サウナに向かうようです。
「……そう言えば、さうなとはなんでございましょうか?」
ドワーフちゃんの様子を見て、おひい様が興味を持ったようです。
「いわゆる蒸し風呂ですね。お部屋を暖めて汗をかく施設です」
「あ、それなら私共もやっておりましたね。焼き石を使ったものですが」
ユキちゃんから説明を受けたおひい様ですが、どうやらリューンでも似たようなことはしていたみたい。想像がつくからか、くねくねしてご機嫌になりました。
「しかし、なぜ着衣をしているのですか?」
「蒸し風呂は男女混浴ですので、水着などの着衣が必須なのです」
「混浴やて?」
そして混浴と説明されると、おひい様のしっぽがピクっとしました。
明らかに論文書きたいと言う邪な考えが見て取れますよ。
「では、ちょっとさうなに――」
「はい邪な人はだめです。それとおひい様は水着がありませんので無理です」
そしてすぐさまユキちゃんに阻止される、よこしまおひい様なのでした。
でもユキちゃんも、大志狙いでサウナに行きますよね。よこしま度で言ったら、キツネさんのほうがずっと高いのではないでしょうか。なんたって、ダーク化しているから一目でわかりますよ。
「あや~、へいわですね~」
そんな女子たちの様子を見ながら、ハナちゃんがのんびりコメントです。
なんだかんだでおひい様とお供さんが、村に溶け込み始めているのを見てにっこりですね。
こうして村に新たな住人が加わったわけですが、ゆっくり村に慣れて貰いましょう。
まだまだ九人のドラゴンさんが救助を待っておりますが、その人たちが村に来ても戸惑わないよう、おひい様たちが導いてあげないといけませんから。
まあ残りの方々も多分面白めんどうな人たちだと思いますので、説明を丸投げ出来たらそれに超したことは無いですからね!