第六話 異世界探査あどべんちゃー
壮行会という名のバーベキューパーティーを散々やった翌日、とうとうおひい様救出作戦を開始する。
朝食を楽しく頂いた後、みんなに集まって貰った。
「本日はいよいよ作戦開始日となりました。予定としましては――」
ということで捜索隊のみなさまに、本日の計画を説明する。
まあ船外機を付けたゴムボートでサルベージ船を引っ張り、現地に向かう。その後ドワーフちゃんたちが素潜りで探査する、と言うだけなのだけど。シンプルイズベストだね。
「ハナたちは、これにのるです?」
「そうだね、船の割り当てはこんな感じかな?」
続けて地面に棒で絵を書きながら、船団と人員の割り当てを説明だ。
動力付きの船にはドラゴンさん四人や、ハナちゃんとユキちゃんと魔女さんも乗船する。神様もだね。
ドワーフちゃんたちはこちらで用意した船に乗って貰い、直列にロープで連結する。それは海竜ちゃん二頭が分担して引っ張って行く。
リザードマンたちはゴムボートを二隻用意して、目的地まで泳いで押して行ってくれる。
このゴムボートには片方に妖精さんが乗船し、片方は水やおやつなどの物資を搭載だ。
なおかつ現地でのリザードマンや飛行組の休憩場所にもする。まあ船上補給基地って感じかな。
今回用意した船は全部屋根付きにしたので、快適に過ごせるだろう。
「わきゃ~ん、だいぼうけんさ~」
「たのしみさ~」
「フネ! フネにのれるさ~! しかもやねつきさ~!」
なお偉い人ちゃんたちも便乗するようで、わきゃわきゃとはしゃいでおられる。お仕事を兼ねたレジャーな感じで、息抜きになれば幸いかな。
疲れたらベースキャンプに戻って、お昼寝してもらっても良い。屋根付き船を用意したので、そこでもお休み出来るとは思う。
まあ彼女たちは実働部隊じゃなくて、オブザーバーだからね。今回の仕事内容を実際に見て、ドワーフィンからの動員を考えたり調整するのが真のお仕事なのだ。つまり、後々めっちゃ忙しくなる運命である。それまでは、ゆっくりして頂きたい。
それはさておき、そろそろ行動を開始しよう。
「では、始めましょう!」
「「「おー!」」」
みなさん水着姿で、ライフセーバージャケットも着込んでおり準備は万端だ。日焼け止めもぬりぬり済みだね。
それでは、船に乗り込んで現地に向かおう!
――と、その前に。
「みなさん水着が良く似合ってますよ、流石ですね」
「うきゃ~」
「フフフ……」
「なるほど、ユキはこのマメさにやられたと」
「ですよね」
「当然だよ~」
「しっかり選んだからね。自信あるからね」
「男は勘所を押さえているっと」
お袋のアドバイスを守り、きちんと水着は褒めておく。でないと恐ろしいことが起きるからね。
ともあれミッションは達成したので、さあ捜索に乗り出そう!
「あらー! 動力のある船は速いですね!」
「これならすぐだね!」
「楽ちんだよ~」
「男は謎の道具を持っている、と」
ゴムボートを進めると、ドラゴンさんたち大はしゃぎになった。こういう海レジャーはやったことないんだろうな。
というか、そもそもリューンに発動機は無いからね。
「あや~、これはこれで、おもろいです~」
「引き揚げ船を牽いていますが、なんとかなる物ですね」
「道具の揃え方がお金持ち……」
一緒に乗船しているハナちゃんたちも、お目々キラキラだ。ユキちゃんは引っ張っているサルベージ船を細かく気にしていてくれて、ありがたいな。
魔女さんは船外機の値段を想像しているのか、ぷるっている。でもこれ中古だから、ぶっちゃけ原付二種バイクくらいのお値段だ。そんなに高くない。
「ぎゃうぎゃ~う」
「ぎゃう~」
「わきゃ~ん、らくちんさ~」
「ちたまのフネ、かいてきさ~」
「そのうちかうさ~!」
海竜ちゃんに牽引されている偉い人ちゃんや捜索隊も、長々と連なる船上ではしゃいでるな。
二頭で分担してくれているから、そんなに負担でもないようだ。快調に目的地まで進めている。
「この海、すっげえ魚がいるな」
「えいようほうふかも」
「いいうみだな」
ゴムボートを押しながら泳いで随伴しているリザードマン部隊は、海の様子を観察しているようだ。
お魚豊富な、良い海っぽいね。まあこれは、リューンの特殊な自転が絡んでいると推測される。
この辺の調査も、いずれ救助活動が終わったらやってみたい。だがまあ、まずはドラゴンさんたちを全員見つけてから考えよう。
「だいはくりょくだね! だいはくりょく~!」
「うみはいいね! うみはいいね!」
「きゃい~!」
そのゴムボートに乗船している妖精さんたちも、ご機嫌できゃいきゃいしている。
キラキラ粒子が軌跡を描いていて、楽しんでいるのが良くわかるね。
屋根の上で大空を見上げている子もいたりで、満喫出来ているかな。
「こっちの方角です、どんどん近づいていますよ!」
こうしてシカ角さんナビで案内されながら、おひい様が沈んでいると思われる海域Xへと船を進めた。
おひい様、待ってて下さいね!
◇
「ここです! この辺!」
三十分ほど船を進めたところで、シカ角さんからこの辺アラートが出た。
早速停船し、捜索隊でぐるりと囲む。その間に俺は適当にコンクリブロックを重りにしたブイを沈めて、場所をわかりやすくする。
あとは係船するために、アンカーをぽちゃっとな。今回は海域Xの海底環境が不明なため、砂場でも岩場でも安定した把駐力を誇るフィッシングアンカーにしてみた。これなら流されることは少ないだろう。
「うちらも、じゅんびするさ~」
俺と同じように、ドワーフちゃんたちも船からぽちゃぽちゃ投錨している。
しばらくして全員係船出来たようなので、捜索開始の号令をかけよう!
「それでは、捜索を始めましょう!」
「「「おー!」」」
実際の海底探査では、まあドワーフちゃんが潜って探す、だけなのだが。
一応海底に危ない生き物がいた場合に備えて、ダイビング用グローブを装着してもらってはいるけど、変な物は触らないルールにはしてある。
そういうのがあった場合は、リザードマン部隊の出番だ。
「それじゃ、俺らは周囲を警戒するな」
「ぎゃう」
「ぎゃぎゃ~う」
「頼んだ」
またリザードマン部隊と海竜ちゃんたちは、周辺警戒だ。
捜索中のドワーフちゃんを囲むように、外側に海竜ちゃん、内側にリザードマンたちが回遊して警戒および警護を行う。
「こちらアルファ、現着した。これより捜索を開始する。どうぞ」
『こちらブラボー、了解した。ベースキャンプは昼食の準備をしておく。どうぞ』
「こちらアルファ、汗をかくので塩気が強い物を要望する。どうぞ」
『こちらブラボー、了解した。通信終了』
またベースキャンプで待機している親父に連絡はしておく。今日の昼食が楽しみだ。
さてさて、それじゃあ俺たちは、船上で色々指令しよう!
「ではみなさん、海底探査お願いします」
「まかせるさ~」
「きをつけてさがすさ~」
「がんばるさ~」
ドワーフちゃんたちにお願いすると、みなさんわきゃっとお返事をして、ぱちゃっと海に潜っていった。
あとは様子を見ながら、色々方針を考えて行こう。
「うちらは、フネをたんのうするさ~」
「すばらしいフネさ~」
「あんていしているさ~」
偉い人ちゃんたちは、しばし大好きな船を愛でるようだ。屋根付きであるためだいぶ興奮していたけど、ドワーフちゃんにとっては贅沢装備なのかもね。
そんな彼女たちもわきゃわきゃと漕ぎ出して、その辺を動き回り始めた。遠くへ行かなければ大丈夫かな。
「タイシタイシ、ハナたちはどうするです?」
「待っているだけですよね」
「ちょっと暇しそうです」
あとはハナちゃんやユキちゃんと魔女さんから、船上チームはどうするか問い合わせが来た。みんなには、シュノーケリングをしてもらおうかな。
捜索活動中のドワーフちゃんたちを見守れるし、暇つぶしにもなる。というかそのために持ってきてあるし。
あとは減圧症の関係上、海中活動担当はこれを無視できる種族でないと無理である。
海竜ちゃんは当然として、リザードマンとドワーフちゃんは水棲なだけあってヘーキなのだ。潜るのが当たり前の種族なだけある。
俺も実は出来ると言えば出来るのだが、得意な人たちにお任せするのが一番だ。
と言うわけで、ハナちゃんたちにはシュノーケリングのお仕事を依頼しよう。
「みんなにはシュノーケリングをしながら、水面下のドワーフちゃんたちやいろんな状況を観察してほしいな。自分はここで指示を出す必要があるから、みんなで行っておいで」
「わーい! うみのなかをのぞくです~!」
「そうしますね!」
「わわ……異世界の海でシュノーケリングとか夢みたい!」
シュノーケリングのお願いをすると、ハナちゃんたち大はしゃぎだね。
思う存分、リューンの海を堪能して頂きたい。何か発見があるかもしれないから、俺としても楽しみだ。
「ほほう、しゅのーけりんぐ? ですか」
「興味あるね。それって何だね」
「海の中を覗けるって聞こえたよ~」
ハナちゃんたちに指示を出していると、ドラゴンさんたちがすすすっと近寄ってきた。
そういや、彼女たちも船上ではやることがないんだよな。流されていないか確認するため、定期的にナビは必要なんだけど。ほんでもブイを見ていれば、大丈夫という話でもある。
ここは一つ、彼女たちにもシュノーケリングをして貰おうか。ハナちゃんたちと交代で良いんじゃないかな。
まずはご質問の、シュノーケリングについて説明しよう。
「こういう道具を顔にはめて、息をしながら水面下を見て遊ぶやつですよ」
「あらー! それは良さそうですね」
「海の中に入るのはこわいけど、面白そうだよ~」
「試してみたいね」
佐渡や沖縄の海遊びで使ったやつを見せると、ドラゴンさんたちも興味津々になった。
まずは船上で、海に顔をつける形で試して貰おう。
「ではでは、これを付けて顔を沈めて試して見て下さい」
「やってみます」
「まずは誰から試そうね」
「お先にどうぞだよ~」
と言うことで一つをシカ角さんに渡して、海中観察を試してもらおう。
慣れてきたら、海に飛び込んで遊泳だね。
「あっらー! これは面白いですね! 海の中がよく見えます。と言うかお魚たくさん!」
「面白そうだね。次は私が見たいね」
「ヤマトの人はいろんな道具を持ってるよ~」
シカ角さんが早速試してみると、しっぽをくねくねさせてはしゃぎ出した。
あとはみなさん交代で、色々試して下さいな。
という感じで、ほくほくと眺めていると――。
「キャー! お供の人が落ちたわ!」
「前のめりすぎだね。楽しかったんだろうね」
「流されていくよ~」
うわー! ウシ角さんが落水した!
救助しないと!
「ちょっと救助してきます!」
「お願いします!」
慌てて海に飛び込み、流されながらもはしゃいでいるウシ角さんをキャッチだ。
と言うか肩を叩いたら、自分で泳いで船に戻ったのだけど。
はしゃぎすぎて、落水しても気にしなかったようだ。お騒がせドラゴンさんである。
「なるほど、男の言うままにはしゃぐと、落水すると」
「それ男のせいじゃないですよね」
船上に戻っても相変わらずの彼女だが、しっぽはめっちゃくねくねしている。
かなり楽しかったようで、何よりですね。
「わたしたちも、うみあそびするね! うみあそび!」
「ただようだけ~」
「きゃい~」
(のんびり~)
それを見た妖精さんや神輿も、海を漂うだけ遊びを始めた。かわいいのう。
そんな感じで、空中チームと船上チームが漂ったりシュノーケリングをしながら、じりじりと捜索をしていくのだが……休憩時に、問題が判明したのだ。
「わきゃ~、みつけられないさ~」
「けっこう、すなとかどろとかが、つもってるさ~」
「このなかにしずんでいたら、さがすのはたいへんかもさ~」
屋根の下で涼みながら、んぐんぐとペットボトルで水を飲むドワーフちゃんたちだが、ちょっとお困り顔でそう報告してくれた。
どうやら砂や泥が結構堆積しているらしく、そう簡単に探査出来る環境ではないようだ。
これに対処すべく、色々考えないといけない。堆積物を手で掘るのは、効率が悪いし危ないからね。何かが潜んでいたら事である。
「そう言えば、この辺の海岸線って変動が激しいのでしたっけ?」
「この辺と言うか、どの海岸線も季節により変動しまくりですね」
「なるほど」
シカ角さんに聞いてみたけど、この辺は冬は陸地であったと推測される。そして洞窟からここまで、車で来られるような平地なため、起伏が少ないとも言えた。遠浅の海と言うのもそれを証明しているな。
そして水深が浅いので、比較的波が穏やかだ。浅い場所では波の速さが遅くなる性質があるためだね。
前回なぜこの海が遠浅であるとすぐに分かったのかは、この波の性質から導き出されている。
風が吹いていても浅い場所で波が遅くなるため、波の屈折が発生し海岸と波が平行になるのだ。
かつ、波が穏やかと言う事で砂や泥が堆積しやすい。つまり、よくよく考えてみれば当たり前の自然環境だよって話だな。
たとえ異世界でも、ちたま自然環境の考察をある程度は応用できるわけか。
地形や状態を見てここがどういう場所なのかを考える、これは忘れがちだが大事な事なのだろう。
「自然という物は、面白いものですね。農業をやっていると、毎日振り回されて大変ですけど」
「ですね~」
「それはありますね」
そんな感想を述べると、趣味が農業というシブいお子さんのハナちゃんと、稲作をやってたぽいドラゴンさんたちもしみじみと頷いた。
あと自然と言えば、潮位も気になるところだ。一応ベースキャンプはリザードマンの調査や地形を見て、満潮時はこの辺というアタリを付けて場所決めしてあるが……絶対とは言えない。
まあ様子を見ながら、危ないようならキャンプの移動も考えておくか。影響を及ぼす星が三つもあるから、短期間の観測で全部分かったとは思えないからね。水と言う要素が絡んでくると、自然は一気に予測が困難になる。コツコツやっていこう。
さて、リューンネイチャーの考察はこれくらいにして、捜索の方針は決めないといけないな。
とはいえ装備がないため、今採れる作戦は現状維持しかない。
「ひとまずはこのまま捜索して、お昼になったら戻りましょう。対策はいずれ考えます」
「わかったさ~」
「とりあえず、なんとかしてみるさ~」
「手は深く突っ込まなくて良いですよ。危ないですから」
「そうするさ~」
まあ海底をほじくって水が濁ってしまっても、エコーロケーションがあれば特に問題は無い。
あとは堆積した砂や泥の中を調べるなんかを用意すれば良いので、ちょっと考えておこう。
とりあえず無線で状況は報告して、作業を開始だ。
そうして午前中の捜索は、ウシ角さんが落水しただけで終わった。
全員そろっているのを点呼で確認したのち、さくっとベースキャンプへ戻る。
お昼を食べたら、また探査をしよう!
◇
「報告した通り、海底に厚く堆積する砂や泥が障害になるね」
「俺も考えたんだが、やっぱり長い棒でつっつくしかないなそれ」
昼になったのでいったんキャンプへ戻り、親父に相談してみる。
結論としては、棒でつつこうという話になった。手っ取り早いのが一番だね。
砂や泥の中に何がいるかもわからないので、安全面からしても望ましい。
「昼飯食ったら、村までひとっ走りして調達してくるわ」
「助かるよ、親父ありがと」
「ついでに欲しいものあったら言ってくれ」
棒は親父が調達してくれるとのことで、まあランクルで走ればあっという間だ。
他に欲しいものとあるので、ドラゴンさん分のシュノーケルを持ってきて貰おう。
それ以外は今のところ無いかな。
「タイシタイシ~、いっしょにたべるです~」
「汗をかいたから、しょっぱい物が美味しいですね」
「ごちそう……!」
(おそなえもの~)
「つぶつぶおだんごだね! つぶつぶ!」
そうして親父と打ち合わせしていたら、ハナちゃんたちが昼食を持ってやってきた。
一緒に食べて、鋭気を養おうか。あと魔女さんはなんだかじゅるりとしている。たんとお食べ。
まあ確かに、単なるソーセージと野菜を炊き込んだピリ辛パエリアなんだけど、ロケーション効果でめっちゃ美味しそうではある。
「この『ぱえりあ』ってやつ、辛みがあって良いですね」
「暑い時に食がすすむね」
「おいしいよ~」
お米大好きドラゴンさんたちも、献立は気に入って貰えたようだ。はふはふと食べている。
「男の料理は多彩、と」
「調理したのは女性陣です」
下ごしらえは親父だけどね。ここの海産物が採取できれば、シーフードパエリアとかも良いかもしれないけど、まだ現地情報少ないからね。
とりあえずは捜索に集中しよう。
「ほんじゃちょっと行ってくる」
「モヒヒ」
「きをつけるです~」
「行ってらっしゃい」
そうこうしているうちに、ちゃちゃっと昼食を済ませた親父がランクルを走らせる。ウマさんに先導してもらいながら、村へと装備調達するために戻っていった。
親父が帰ってきたら、捜索活動昼の部を開始しよう。
「ちょっと待ち時間が出ちゃったけど、食休みとしては丁度よいかも知れない」
「ですね~」
「沢山食べましたからね」
「おなかをおちつけるさ~」
やがて昼食を食べ終わり、親父を待つ間ゆったりと過ごす。
「モヒヒ」
「道具を調達してきたぞ、これくらいの長さで良いだろ」
「十分だよ。じゃあ、午後はこれを使って探してみよう」
「「「はーい」」」
食休みもそろそろいいかなと言うところで、親父が装備を調達してウマさんと一緒に帰ってきた。往路で道をある程度整備した関係上、結構移動が早くなっているな。これは今後の捜索にも役立つと思うから、よい傾向だ。
さてさて道具も調達できたし、また海に出てブイの周辺を集中捜索しよう。
そんなわけでまたぞろ船団で出発し、今度はあっさり海域Xへと到着だ。
もう慣れたもので、みなさんすぐさま準備を終えて捜索を開始する。
「わきゃ~、なんとかなりそうさ~」
「つつきまくるさ~」
今度は棒を装備したドワーフちゃんたちが、わきゃわきゃと海底を突くのである。
なかなか大変な作業だとは思うけど、突くと泥が舞い上がる。その中で普通に作業するのは、俺やリザードマンには無理なのだ。エコーロケーションが使えるドワーフちゃんでないと、出来ない作業である。
ここは一つ、お任せしよう。
「こっちは、なんもなさそうさ~」
「つぎのばしょをさがすさ~」
息継ぎついでに進捗も報告してくれて、状況を把握しやすいのも助かる。
たまに自分もシュノーケルを付けて海中の様子を確認してみるが、ドワーフちゃんは器用に海底の泥を突いて、まんべんなく探査してくれていた。これなら、あれこれ言わずに任せても大丈夫だろう。
リーダードワーフちゃんも、きっちり探査範囲を確認しながら、指示をしてくれている。
どうやら水中でのコミュニケーションをエコーロケーションで行っているらしく、コツコツという音が常に飛び交っていた。チームワークはバッチリと言った所か。
「ぎゃうぎゃ~う」
「ぎゃう」
さらには外周で警戒中の海竜ちゃんたちとも合図しあっているようで、こちらが何も言わなくても連携しているようだ。リザードマンたちも、それを見て警戒範囲を動かしていく。
水中の連携行動は、もう俺が口出ししなくても良いね。みなさん優秀で助かるよ。
こうして、初日の探査はじわじわと範囲を狭めて行った。あの水晶玉が正しければ、きっとおひい様の卵は見つかるはず。
まだまだ捜索は始まったばかりだ、安全第一で、地道にやっていこう!