第五話 作戦準備はじめ!
卵生まれの人たちが結構存在することが判明したけど、話を聞いても良く分からなかった。
まあみなさん幸せそうなので、それで良いかなと。
今後も機会を見て、ちまちま話を聞いて行ければ良いと思う。まだなんかありそうだからね。
ただ、謎を放置する実績のある俺たちなので、まったくもって忘れる可能性も大きい。
だって目の前のお仕事が沢山なんだもん。調べ物している余裕があまりないのだ。
直近の優先課題としては、おひい様の救出がある。
「おう大志、海の事前調査してきたけど、水深はそれほどでもないな。予測通り遠浅だ。今のところ、危険生物も発見されていないぞ」
「高橋さんありがと。水深は目算で良いから、どれくらいって分かる?」
「まあ、沿岸だと良くて二十メートルくらじゃないか? ほとんどは十メートル未満だった」
「それなら、サルベージはなんとかなりそうだね」
「ああ」
そのおひい様救出には海底探査が必要と言うことで、高橋さん率いるリザードマン部隊にランクルやら装備やらを貸し出して、軽く現地の環境調査をして貰った。
結果は遠浅の海であり、サルベージは十分可能だろう、という所である。
あくまで「だろう」なので、実際にやってみて何が起こるかはまだ分からないが。
「とりあえずサルベージ船の設計が出来そうだね」
「そうだな。まあこれくらいなら、あり合わせの物で出来るだろ」
「だね」
深海探査とその引き揚げとはならないので、DIYで作れるな。
長期的に使うわけじゃないから、ある程度やっつけ設計で割り切っていこう。
あとは移動の高速化のために、船外機も用意しとくかな。そのボートでサルベージ船を引っ張れば良いと思う。
「とりあえず中古船外機でも買おうかな。異世界でスクリューとかあんまり使いたくないけど、作業時間的に見るとしょうがない」
「だな」
動力で回すスクリューは強力すぎるので、異世界では非常時でもなければ使いたいものではない。事故がとても怖いのだ。
今回は仕方なしに投入するけど、多用は控えて運用にも細心の注意を払おう。
というわけで着々と救助作戦は出来上がっていくが、やらなければならない仕事は他にもあって……。
「田植えの準備は俺らがやっとくから」
「大志ちゃんは、救助活動に専念してね」
「爺ちゃん婆ちゃんありがと、助かるよ」
そう、もう田植えの準備をしなければならない時期なわけで、捜索活動に農作業に色々あるのだ。
あと物資調達とか予定の調整とか人員配置計画とかもう助けて。
「タイシさんおつかれですよね?」
「もみますよ?」
「あしつぼ?」
ああああああ!
◇
のっけからマッチョトリプルディアラハンを食らったのだけど、回復は出来た。
元気いっぱいな感じで、まずは目の前の案件に取り組もう!
「というわけで、まず最初におひい様を海底から救助したいと思います」
「唯一、居場所がわかりますからね」
「できることから、やるですね~」
ユキちゃんとハナちゃんも同意してくれているけど、一番手っ取り早いからね。
前回は現地情報が無かったため、海の存在にて阻まれてしまった計画だ。
今度こそ準備をちゃんとして、海底から引き上げたいと思う。
「わきゃ~ん、うみをみにいくさ~」
「たのしみさ~」
「たくさんおよぐさ~」
そして海での活動なため、ドワーフちゃんたちのお力を借りるわけだ。
偉い人ちゃんとお供ちゃんたちは、もうすっごくワクワクしておられる。
「とりあえず、村から数人のドワーフちゃんを動員しますが、大丈夫ですか?」
「もんだいないさ~」
「まずはやってみるさ~」
「わきゃ~」
リーダードワーフちゃんを筆頭に、エコーロケーションに自信がある子に集まって貰ったが、やる気みなぎる感じだね。
彼女たちの他に、高橋さんを始めとするリザードマン部隊と、海竜ちゃんたちにも協力要請はしてある。
ドワーフちゃんは捜索要員なんだけど、リザードマンや海竜ちゃんは護衛部隊だ。
どんな生き物がいるか良く分からないので、念のためだね。危ないのが来たら追っ払って貰う想定でいる。
「ちなみに、どうやって海底から引き上げるのですか?」
「知りたいね。私たち海には詳しくないね」
「気になるよ~」
「方法があるのですか?」
そうして動員する人たちに了解を取っていると、ドラゴン三人娘と魔女さんから質問が来た。
具体的な方法が気になっているようなので、説明しておくか。
「とりあえず、ゴムボート二隻を鋼鉄の枠組みで連結した、双胴船を作ります。概念図はこれですね」
「あや~! こんなのつくれるです?」
「わっきゃ~ん、なんだかすごそうさ~」
「ふたつのふねをつかうって、ぜいたくさ~」
「かっこよさそうさ~!」
紙に印刷したイメージ図を見せると、ハナちゃんと偉い人ちゃんたちが、かぶりつきになった。
まあ八人乗りのゴムボートはドワーフィン救助作戦の時に用意したものだし、鋼鉄フレームの作成はそう難しくはない。構造計算も終わっているからね。
あとは資材を買ってきて、溶接すれば出来る所まで設計してある。これは高橋さんと二人でバチっとやる予定だ。
「とりあえずこの双胴船にウィンチ――まあ引き揚げ機を装着して、海底二十メートルから一トンの物体を引き揚げられるよう設計してあります」
このゴムボートは一隻で千二百五十キロの積載能力があり、二隻で二.五トンとなる。
サルベージ用機材と連結用の構造、そして作業員の重量を考えると、引き揚げる物体の重量は安全率を大きく取って一トンまでって所だな。
「タイシ、いっとんってなんです?」
やっつけサルベージ船の諸元について説明したら、ハナちゃんからご質問だね。
分かりやすく言うと、そうだな……。
「えっとね、重さの単位で、一トンは妖精さん三千六百人分の重さくらいかな?」
「あや~! すごそうです~!」
「そんなにおもくないとおもうよ! おもくないよ!」
「かるいはず! かるいはず~!」
妖精さんの重さに例えたら、ハナちゃんびっくり。
そしてフェアリーちゃんたちが集会場に乱入し、重さの例えに抗議の嵐である。すまんかった。
でも、俺は君たちの数字を見ちゃったんだよお。
キッチンスケールに表示されてたやつを参考にしたから、結構正確な数字なんだよお……。
痩せると四千人以上は引き揚げられる、とも言う。数字はおふと――基準なのだ。
「げんじつをみるのだ。みるのだ」
「きゃ~い」
「あきゃ~い」
ほら、イトカワちゃんが、キッチンスケールの上でおいでおいでしてる。
……この子、いち早くダイエットに成功しておるわ。やるではないか。
まあそんな妖精さんたちの、機微な数字は見なかったことにしてだ、話を続けよう。
「へらない……へらない……」
「こんなはずでは……こんなはずでは……」
「とりあえず今回はランクルとマイクロバスを使って、一気に海岸沿いまで人員輸送しちゃいます」
キッチンスケールの上で現実を見た、サクラちゃんとイトカワちゃんはそっとしておく。
それはそれとして、一応前回走破したときのドラレコ映像から、川沿いを行けば大丈夫そうだという感触は得られている。
まあランクルを先行させて、マイクロバスで走れるかどうか確認しながら行けば大丈夫だろう。
ただバスのタイヤがパンクしたら、とんでもなくめんどいことになる。慎重にルート選定しないとだね。
「マイクロバスで行くのですか」
「本当は大型バスで行きたいのだけど、村まで入れないからね。マイクロバスでギリギリなんで妥協したよ」
大型バスだと、田んぼのある平地の所までしか行けない。
そっから先はマイクロバスでギリギリなのだ。もうちょっとしっかり道路整備した方が良いかもしれないな。
もしかしたら、重機が必要になる局面もあるかもしれない。この辺は、合間を見て計画していこう。
……ん? また仕事が増えないかな? 気にしないことにしよう。
「今のところこのような計画ですが、現地では臨機応変に行きたいと思います。いわゆる行き当たりばったりですね」
「あや~、やっぱしそうなるですか~」
「何が起こるか分からないのは、前回心底分かりましたからね」
「異世界、油断がならない……」
行き当たりばったりとぶっちゃけてしまったけど、どれほど計画して準備しても、結局そうなってしまうだろう。
すべてを想定するのは無理であるので、その場その場で対処出来るよう柔軟性という名の出たとこ勝負になることは避けられないと思う。
「私たちも、がんばります」
「色々ありがたいね。助かるね」
「道案内は任せてよ~」
「なるほど、男は行き当たりばったりと」
ドラゴン三人娘も、今度こそという感じだね。お供ドラゴンさんは相変わらず面白いのだが。
さてさて、それじゃあ準備しましょうか!
――その二日後、突貫工事でサルベージ船を組み上げ、捜索準備が整った。
エルフィン湖畔リゾートで試験をしたが、思ったより良く出来ており一安心だね。
「あや~、これはゴツいですね~」
「なんだかすごそうさ~」
「これで準備出来ましたね」
湖に浮かぶやっつけサルベージ船を見て、ハナちゃんや偉い人ちゃん、そしてユキちゃんもほっとしている。
ワーレントラス構造のフレームにウィンチを付けた引き揚げ装置だが、カルマン法とリッター法を併用した構造計算にて、強度は確認済みだ。AIちゃんに頼るまでもなく、表計算ソフトで出来るレベルだからそう難しくはない。
「テントや食糧も準備出来ていますので、いつでも行けますよ」
「こっちは大丈夫だよ~」
「あとは積み込むだけだね。急いでやろうね」
「男は工作が得意っと。鉄の枠組みとか、なんだか凄いですねこれ」
物資など整理をして貰っていたドラゴンさんたちも、準備完了のようだ。
お供ドラゴンさんは、船の出来を見て興味深そうにしているが。
ともあれ必要な装備と人員は揃った。
いよいよ、おひい様をサルベージするぞ!
◇
おひい様救出作戦初日は、ランクルとバスを往復させ、海岸まで物資や人員輸送およびベースキャンプ設置を行う。
本格的な捜索は、翌日からだ。
と言うことで、第一陣の移動を開始する。
メンバーは、リザードマン五人と、海竜ちゃんとそのお友達をランクルに乗せる。運転は高橋さんだ。
マイクロバスは俺運転で、乗員はドラゴンさんたち四人と、偉い人ちゃん三人組が乗っている。
あとはハナちゃんユキちゃんと魔女さん、それと神輿や親父もバスに乗り込む。
「この第一陣で拠点を作るけど、親父と高橋さんはいったん引き返して、第二陣のドワーフちゃんたちを連れてくる予定だよ」
「がんばるですよ~」
(おでかけ~)
今回の第二次おひい様捜索は、五日を期限として計画してある。もし期限内に発見が出来なかった場合は潔く諦めて帰り、また計画を練る想定だ。
ひとまずは、現地に向かおうじゃないか。
「こちら大志、準備完了。どうぞ」
『こちら高橋、了解した。出発する。どうぞ』
無線で連絡を取り合い、ランクル組に先行してもらう。
「モヒヒ」
あとなぜかウマさん一頭が凄く着いて来たがったので、ご一緒して貰うことにした。
ランクルからちょっと離れた所で、一緒に走り出す。俺たちも追走しよう。
「それでは、出発!」
「いくですよ~!」
「わきゃ~ん、うみさ~!」
「たのしみさ~!」
「さがすのさ~!」
出発の号令をかけてアクセルを踏むと、ハナちゃんや偉い人ちゃんたちがテンションアゲアゲになった。
大冒険って感じでワクワクしているんだろうな。
でも海岸まで十二キロしかないから、車だとあっさり到着するんだよお。
冒険している感はゼロかもしんないよお。
「おっ! 結構揺れますね」
「鋪装されてないもの」
バスが走り出すと荒野だから結構揺れたが、ユキちゃんも結構な揺れにびっくりしているね。魔女さんはなんだか平気そうだ。言う通り、舗装されていないから揺れはしょうがない。
でも時速三十キロくらいでゆっくり安全運転すれば、まあなんとかなるかなってくらいだ。
『こちら高橋、前方に岩がいくつか転がってる。迂回するか? どうぞ』
しかし早速、岩という障害物が立ちはだり、車列が停止する。
さて、どうしようかな……。
「ウマさんにどけて貰いましょう。ちょっとお待ちを」
と思っていたら、ウシ角さんが手を挙げて提案してきた。
「ねーえ! あの岩をどけてくれない?」
「モヒヒ!」
回答する間もなく、窓を開けてウマさんに声をかけている。
そしてダッシュで岩場に向かったウマさんはと言うと――。
「モヒー!」
ドカドカと岩を蹴り飛ばし、道を作ってしまった。すごい力持ちだよ。
というかありがたい。
「うわ、これは助かりますね」
「これから先も、あの子がどけられそうな岩ならそうして貰いましょう」
「ありがたいです」
「と言うかおひい様との移動中も、ウマが岩をどけてましたから」
「そうなんですか。凄いウマですね」
「でしょでしょ?」
ウマさんは、岩をどけてくれる役目があったぽいな。だから着いて来たがったのかもしれない。なんちゅう賢い動物なのだ。
『こちら高橋、ウマが岩をどけてくれたんだが、いっそのこと先頭を走って貰おうか? どうぞ』
「こちら大志、そうしてもらおう。どうぞ」
『こちら高橋、了解した。通信終了』
この様子を見ていた高橋さんも、作戦を変更したようだ。ウマさん先行で、岩をどけて貰うプランで行くことになった。
「それじゃあ、おねがいね」
「モヒヒ」
こうして心強いウマさんのおかげで、ある程度は大きな回り道をせず進めるようになった。
車の邪魔になりそうな岩をどけて貰いながら、そこそこ順調に進んでいく。
その甲斐あってか、一時間ほどで海岸に到着できた。
「うみです~!」
「わきゃ~ん、これはうつくしいさ~」
「あこがれのうみさ~!」
「すごいさ~!」
早速海岸ではハナちゃんや偉い人ちゃんたちがキャッキャわきゃわきゃと走り回り始めたが、確かに風光明媚ではあるな。
このまま大海原を堪能したいところだけど、今回はお仕事なのだ。さくっと次の行動に移ろう。
「それじゃ拠点を作ろう。ここをキャンプ地とする!」
「おてつだいするです~」
「まかせるさ~」
号令をかけると、ハナちゃんや偉い人ちゃんたちもしゅぴっと戻ってきた。まあキャンプ準備なので、ワクワクがいっぱいな顔だね。
そうして各々寝泊まり用のテントを設置したりかまどを作ったり、くつろぎ用ベンチを置いたりビーチパラソルを設置したりと動き始めた。
「それじゃ俺たちは、第二陣を迎えに行ってくるわ」
「道は大体わかったから、まあ二時間かからんと思う」
「わかった、道中気をつけて。設営はこっちでやっとく」
親父と高橋さんは、海底探査主力メンバーのドワーフちゃんたちを迎えに行く担当だ。
とりあえず十人を動員してある。あとは妖精さんが三十人かな。
そんなわけでバスとランクルを走らせる二人を見送り、こちらはこちらの仕事をしよう。
俺やそのほかのリザードマンチームは、司令部用の大型テントや各種設備の設営担当だ。
今回は荒野と海で見通しが良いため、無線通信を活用していく。そのため通信機のアンテナを立てたりソーラーパネルやバッテリーも設置する必要があり、わりと大がかりになっている。
「あや~、なんかそっちは、ごついですね~」
「わりと本格的な司令部だからね。ハナちゃんも遠慮無く遊びに来てね」
「あい~!」
こうして全員で力を合わせ、拠点を構築していく。ちと大がかりなので、第二陣が到着するまでには終わらない感じだ。
「わきゃ~ん、フネがたくさんさ~」
「これ、すぐにつくったってきいたさ~」
「すごいさ~」
着々と準備が進む中、偉い人ちゃんたちが捜索メンバー用の船を並べ終えて、キャッキャしている。
エルフ重工に発注してなんとか揃えて貰ったが、結構な速度で建造してくれて大助かりだ。まあ無理をせず、定時に終えられるペースで良いという範囲でだけど。
徹夜残業して物を作っても、事故が増えてさらに品質が下がるだけだからね。短期的に見ても長期的に見ても、損しかしない。
これは経営者が見ている数字にすぐには反映されない事象なので、気づいたときには……と言うことが良くある。
というか高橋さんとバイトした工場でそれが起きていたけど、現場を見ていない経営陣は全然気づいておらんかったな。
エルフ重工や俺も気をつけないとそうなるから、常に警戒していこう。
とは言うものの、どうしてもがんばらないといけない局面は出てくるもので、難しいところではある。
「タイシ~、こっちはおわったです~」
「こちらはもう少しかかりそうですね」
「こっちもです」
やがてそれぞれの担当から進捗報告が上がってくるけど、だいたい予定通りに拠点構築が進んでいる。みんな協力してくれてありがたい。
今報告してくれたハナちゃんとユキちゃん、それと魔女さんもしっかりお仕事してくれていて、ほんと助かる。
「第二陣連れてきたぞ」
「わきゃ~! きれいなうみさ~!」
「ここでおしごと、いいかんじさ~!」
「がんばってさがすさ~!」
「おさがしものがんばるね! がんばるね!」
「きゃい~」
そうしているうちに第二陣が到着し、ドワーフちゃんたちは海をみてわきゃわきゃだ。妖精さんたちもきゃいきゃいと飛んでいて、一気に賑やかになった。
「それじゃああと少しだから、慌てずやりましょう」
「「「はーい」」」
第二陣の人たちも加わって、ベースキャンプ構築は一層捗り、夕方前に無事準備は完了した。
明日からは、いよいよおひい様サルベージ作戦が始まる。
「いよいよ明日から捜索を開始しますので、みなさん宜しくお願い致します。明日の作戦概要ですが――」
メンバーを集めて、予定している作戦の内容を軽く説明する。明日また説明するから、今はさらりとで良い。一晩寝たら忘れる可能性あるからね。
「そんなにむずかしいことは、しないです?」
「現地に行って、素潜りで探すだけだからね」
「どきどきするさ~」
軽く話を聞いて、ハナちゃんも概要は理解したっぽい。そう、やることは単純なのだ。
素潜り捜索隊長のリーダードワーフちゃんは、ちょっと緊張しているみたいだけど。まあこちらもサポートはするので、どどんと構えて頂きたい。
「お、思ったより大がかりです」
「海で活動するのは初めてだね。ちょっと怖いね」
「やればなるんとかるよ~」
「この水着と言うやつ、不思議な布ね」
概要を聞いたドラゴン三人娘は、ちょっと不安そうではある。海での活動経験が無い人もいるようで、緊張しているようだ。
あとウシ角さんは、水着をびろーんと伸ばして相変わらずのマイペースという。
ちなみにドラゴンさん用水着は、上は市販だが下が普通のポリエステル生地の長いスカートなため、めくれるとドラゴン腰巻大公開な事故が起きる可能性がある。気を付けて頂きたいものだ。
そのうち、ドラゴンさん用水着の開発はした方が良いかも知れないな。
まあ事故防止に気を付けるとして、作戦概要説明は終了だ。それじゃあ、次のイベント説明をしよう!
「この作戦の成功を願って、今日はこれから壮行会です。ぱーっとやりましょう!」
「「「わーい!」」」
異世界での救助作戦とあって、結構不安もある。チームの一体感を出すために、貴重な物資を初日に浪費する壮行会をしちゃうよ!
あんまりカリカリにやっても疲れるだけだからね。足りなくなったらまた運べば良い。
それじゃあ、浜辺で夕日を見ながら、バーベキュー開始!
(おそなえもの~)
「あや~、これはこれで、たのしいですね~」
「わきゃ~ん、おさけたくさんのむさ~」
「救助活動が始まっていないのに豪快」
さっそくハナちゃんがお料理を開始し、うきうきしている。その周りを神輿が飛び回り、隣にいる偉い人ちゃんやお供ちゃんたちは、もうグビグビやっているね。
その他のメンバーもノリノリでバーベキューを始めているのをみて、魔女さんが目を丸くしている。
でもうちの村ではこれが標準なのである。
「なるほど、男はノリが良い、と」
「部隊の大半は女性です」
ウシ角さんだって、ノリノリで焼き鳥焼いてるじゃないですか。しっぽがめっちゃくねくねしてますよ。
ともあれ、ようやくおひい様サルベージの準備が整った。
いよいよ明日、作戦を開始するぞ!