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エルフのハナちゃん  作者: Wilco
第二十六章 最後の一つ
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第四話  たまごのひとたち

 リューン大救助作戦の準備を進める傍ら、卵から出てきたと言われる方々をハナちゃんちに集めて話を聞いてみることにした。

 参加者は結構大勢になっている。卵から出てきてない組としては、俺とユキちゃんとハナちゃん、あと魔女さんだ。

 卵から出てきた組は、既知としてヤナさんと偉い人ちゃん、そしてモルフォさんも参加だね。モルフォさんの付き添いで、サクラちゃんもきゃいきゃいと加わっている。

 そして、新たに加わったメンバーはと言うと……。


「えっと……この方々がそうなんですか?」

「分かっている人という点ではそうです」

「そうだと判明していない人もおられると」

「卵から出てきたと言うことを、そもそも忘れちゃった人もいるんじゃないかなと」

「さようで」


 ヤナさんに聞いてみたけど、今分かっている範囲ではという話らしい。

 というか、卵から出てきた事をそもそも忘れている人もいるかもってか。

 普通そこ忘れないんじゃない? でもまあ……エルフだからって言われると納得しそうである。

 細かいこと気にしない人たちだからね。

 まあ俺も気にしないことにして、集まって貰ったメンバーが結構意外ではある。


「うではなおったわよ~」

「おかあさん、ふりまわしてるとまたケガするよ」

「グキってなりそうなの」

「かっこいい~」


 そう、腕グキさんとステキさん、ナノさんとメカ好きさんがその人たちだったのだ。

 ヤナさんと偉い人ちゃん、そしてモルフォさんは以前聞いていたのだが、まさかこの人たちもそうだったとは……。

 まあ、改めて確認してみよう。


「みなさん、卵から出てきた記憶があるのですか?」

「あるというか、もってるわよ~」

「わたしも」

「もってるの」

「わたしもありますよ。ありますよ」

「ぼくもあります」


 聞いてみると、所持しているらしい。見せて貰おう。


「ちょっと見せて頂けます?」

「いいわよ~」

「とりだすの、ちょっとたいへん」

「おもいの」

「けっこうおおきめですね。おおきめですね」

「よっこいしょっと」


 まあやっぱり取り出すのは面倒そうなので、お手伝いしてと。

 そうして出てきた卵と言えば――。


「大きさが違いますね。模様はやっぱり派手ですけど」

「いろいろあるですね~」


 一見するとモルフォさんのがかなりちいさくて、二十センチくらいか。


「そのときのきおくでは、ちょうどいいおおきさでしたよ。でしたよ」

「と言うことは、卵から出たときは子供だったのですか」

「そうですね。そうですね」


 モルフォさんはそういう事らしい。まあこども妖精さんなら十分な大きさかな。

 でもこのお母さん、普通の妖精さんの倍くらいのデカさなんだけど。子供ドワーフちゃんサイズにまで成長している。

 卵から出てきた時点で、体の大きな子供だったぽいな。ちょうど良いとか言っているから。


 さて、モルフォさん卵観察はこれ位にして、お次は腕グキさんとナノさん、あとメカ好きさんのだ。

 百六十センチくらいの今まで見たことがあるものだね。色は蛍光グリーンと赤である。


「こっちはヤナさんたちのと同じですね」

「そうですね」

「そっくりさ~」


 まあ今のところ多数派の形態とは言える。腕グキさんとナノさんやメカ好きさんも、子供の状態で卵から出てきたということだ。

 あとで細かい話は聞いてみるとして、問題はステキさんの卵だね。

 彼女の前に置いてある物は結構小さくて、五十センチから六十センチくらいだ。色はどピンクで目がちかちかする感じ。

 この大きさだと、子供とは言えかなり幼い状態でないと入れないと思うのだ。


「この卵は大きさとして、子供が入るには厳しくないですか?」

「ああ、それは単純に赤ん坊だったからです」

「え? 赤ん坊ですか?」

「たまにあるんですよこれが」


 聞いてみると、ヤナさんからそんな回答が。どうも卵から出てくる人は、年齢に幅があるようだな。

 赤ん坊まで出てくるという話なのだが、それは大丈夫なのだろうか。


「赤ちゃんだと、何も出来ませんよね?」

「まあそうなんですが、なんとかなるみたいで」


 そう言うと、ヤナさんがちらりとステキさんを見た。

 あまり触れないようにしていたのだが、腕グキさんとステキさん二人とも卵から出てきたと言うことは、そういう事なわけで。

 ちょっと聞きづらいんだよなあ……。


「そうなのよ~。うちのまえにこれがあって、このこがいたのね~」

「ふしぎなであいとか、すてき!」


 と思ったら腕グキさんがあっさり認定してしまい、しかもステキさんニッコニコである。

 もうほんと何にも気にしてないというか、当たり前に仲良し母娘である。

 つまり二人は血縁関係ではなく、養母と養子という事な訳だ。

 しかし血のつながりはなくとも、ちゃんと家族している。素敵なことだね。


「えっと……お話を聞かせてもらっても、よろしいでしょうか?」

「いいわよ~」


 特に気にしていないようなので、ちょっと話を聞いてみよう。

 この二人に、どんな出会いがあったのかを。



 ◇



 ここはとある世界の、とある村。

 そこそこの数のエルフが、のんびりと暮らしておりました。


「おかあしゃん! きのみとりにいこ!」

「あらあら」


 そんな村を、キャッキャと歩く母娘がおります。

 まだ三歳くらいのカナちゃんと、そのお母さんですね。

 あったかぽかぽかのお日様に照らされながら、のんびりと向かっています。


「きのみたくしゃんだね!」

「あらあら」


 果たして現地では、割と良い感じに森の恵みがありました。

 ちっちゃなカナちゃんでは手が届かないので、大体のお仕事はお母さんがやっています。

 カナちゃんはつまみ食いがお仕事かな?


「おかあしゃん! あまいやつも! あまいやつ!」

「あらあら」


 夕食分の採取を終えて、今度はおやつ分を取りに行くようです。

 カナちゃんに手を引かれて、お母さんもあらあらと甘いやつが沢山実る場所に行きましたが――異変が起きておりました。


「あらあら?」

「おかあしゃん、これなに?」


 お母さんお目々まんまる、カナちゃん興味津々ですね。

 そこにあったのは、わりとキツい配色の、卵でした。

 二人はしばらくの間、まじまじと謎の物体を眺めております。

 そんな時のことでした。


「あら~、こんにちは~」


 卵の反対側から、七歳くらいのぼんやりとした女の子がこんにちは!

 もっしゃもしゃと甘い果物を食べながら、のんびり挨拶です。


「あらあら?」

「おねえしゃん、だれ?」


 村では見たことのない子供です。カナちゃんとお母さん、その子に尋ねてみますが……。


「わからないわね~。わたしは誰かしら~?」


 どうやら本人にも、なにがなんだか分からないみたい。


「おうちのひと、いないの?」

「わからないわ~」

「あらあら!」


 色々聞いてみましたが、自分が誰かもわからない、家族のこともわからない。

 これは大変だと思ったお母さん、すぐさま集落に連れて行くことにしました。


「見たことない子供だべ」

「どっから来たん?」

「わからないわね~」

「まじで」


 集落に到着し、村のみんなも事情を聞いてみますが、結局何もわかりません。

 みんなで頭を抱えて、どうすんべと考えていたところ、一人の老人がやってきました。


「ふぉふぉふぉ、別に心配せんでも大丈夫だぞ」

「おじーしゃん、だいじょうぶなの?」

「カナ、こういうのたまにあるんだよ」

「そーなんだ!」


 やってきたのは、カナちゃんのおじいちゃんですね。この村一番の長老で、いろんな出来事を見てきた生き字引です。


「たまにこういう子供が現れるから、まあ村のみんなで手助けしようってのが決まり事だな」

「へ~」

「不思議なこともあるもんだな~」

「そんじゃ、おうち作ってあげるべえ」


 身寄りの無い子供が突然現れて騒然となりましたが、そういう事がたまにあるならまあ良いか。長老もそう言ってるし。

 そんな感じで特に細かいことは考えずに、村で受け入れることが決まりました。

 どのみち考えてもわからないのですから、それが良いですね。


「あら~、みんなありがとう~」

「おねえしゃん、よろしく!」

「よろしくね~」

「あらあら」


 こんな感じで特に何も考えない村人と、やっぱり何も気にしない記憶喪失の子との暮らしが始まりました。

 村に仲間が増えましたね!


「あら~、これはこうすると、美味しくなるわよ~」

「まじだ」

「料理上手えな」


 村人になったその子は、とっても料理上手でした。あんまり美味しくない木の実を、めっちゃ美味しくする技法を知っていたり。


「これ、こうすると食べられるわよ~」

「食うにはちょっと勇気いるんだが」

「ほらほら~」

「うわああああ!」


 今まで食べられないと思っていたお芋みたいなやつを、食べられるようにしたりと、結構村で重宝されるようになりました。

 こうしてすぐさま共同体に溶け込み、それでもやっぱりのんびりとその子は暮らしていきます。

 というか元々のんびりにもほどがある性格なので、生き方ものんびりですね。

 そんな感じで数年ほど、村で暮らしていたのですが……。


「あら~、やっぱり家族が欲しいわね~」


 ある日突然、おもむろにそんなことを言い始めました。

 なんだかんだで、その子も家族は欲しかったようです。村のみんなが家族のような物とは言え、お家ではひとりぼっちですからね。


「大きくなれば、結婚とかして家族持てるぞ」

「そうなんだけどね~」

「まあ、気長に待とう」

「そうするわ~」


 その時は仲良しの結構マッチョな男の子にそう言われて、のんびり待つ方針にしました。

 しかし、その数日後――。


「ば~ぶ」

「あら~! 赤ちゃんよ~!」


 お家の前に、赤ん坊が入った卵が置かれていたのです!


「なんだべえ。赤ん坊がおるぞ」

「どこの子かしら」

「あらあら!?」


 これには村人たちも大騒ぎ! しかしどれだけ調べても、この赤ん坊がなぜここにいるのか分かりません。


「あららら~、可愛いわね~」

「ばぶ~」

「私がお母さんになるからね~」

「ばぶ!」


 大慌ての村人たちをよそに、その子はニッコニコですよ。

 欲しかった家族が出来たとあって、お母さんになるわよとやる気みなぎっております。

 赤ん坊の方も、なんだかそれを聞いて喜んでいるみたい。キャッキャしています。

 でも普通はお母さんじゃなくて、お姉さんになるとかじゃないですかね。

 いきなり母親になる宣言とか、ゆるい性格とは裏腹に肝っ玉すごいですよこの子。


「ふぉふぉふぉ、まあこんなこともあるさ。細かいことは気にせず、みんなで育ててあげようじゃないか」

「そうすべ」

「まあいいか」

「おっきくなるんだぞ~」

「ばぶばぶ」


 この様子を見て、村のみんなも特に気にしないことにしました。

 ただお母さんになる宣言したその子は、まだまだ子供です。

 みんなで手を貸しながら、育てようという方針になりました。


「みんな、ありがとうね~」

「ばぶば~ぶ」


 家族が出来たその子はとても嬉しそうですね。赤ん坊も、なんとなく受け入れられたことを理解しているのか、キャッキャと喜んでいます。

 こうして村には、また不思議な赤ん坊という仲間が増えたのでした。


「がんばって育てるからね~。腕が鳴るわ~」

「いまグキって音しなかったか?」

「ばぶ」


 ちなみに気合いを入れすぎて、腕をグキっとしたみたい。

 それはともかく、村のみんなが見守る中、二人の生活が始まりました。


「はい、よちよちよ~」

「ばぶば~ぶ」

「お前、子育て上手すぎねえ?」

「まさに熟練のおっかさん」


 子供が赤ん坊を育てるのは大変だろう、と思っていた村人でしたが、その子はなんだか子育て上手!

 まだ十歳くらいな見た目なのに、知識と技術は肝っ玉母さんそのものです。

 専業主婦スキルがもりもりですね。


「あら~、雨漏りしてきたわ~」

「俺が直すよ」

「たすかるわ~」


 ただ、家事は得意でも工作は苦手みたい。仲良くなったマッチョで体格の良い男の子に助けられながら、のんびりぽわぽわと赤ん坊を育てていきました。


「よかったら、他の子の面倒もみるわよ~」

「あらー! 助かるわ!」

「うちの子もお願い。やんちゃ盛りだから何かあったら言ってね」

「ねーちゃんよろしくー!」


 やがてその家事スキルが認められたのか、今度は子守も任されるようになりました。

 こうしてその子は村にもっともっと溶け込み、それでもやっぱりのんびりと暮らしていくのでした。

 めでたしめでたし。


 それから十年後――。


「あら~? この子なんで倒れてるのかしら~」

「行き倒れとか、ふるえる」


 家の前で倒れていた子供を拾ったり。


「外の世界が見たいんで家を飛び出して旅してたんだけど、力尽きたじゃん」

「たくさんお食べ~」

「こどもなのに旅するとか、ステキなのかふるえるのか迷うわ」

「実際やってみて、無謀だったと思うじゃん」


 どうやらその子は、遠くの森の出身みたい。

 平原の人に便乗したりしながら、旅をして来たようです。

 本人も、無謀だったと言っているようですが。


「あ、この草食えるじゃん」

「それはアレするやつよ~」

「え? 俺普通に食ってるんだけど……。というか、何でも食わないとヤバかったじゃん?」

「毒草を普通に食べるとか、ふるえる」


 食糧の乏しい旅だったようで、何でも食べてきたようです。そのせいか、毒耐性が凄いことになっているみたい。

 でもそれは食べちゃだめですからね。


「お世話になったんで、色々お手伝いするじゃん」

「ありがたいわ~」

「ふわふわ寝床とか、すてき」


 その子はお世話になったお返しに、ちまちまと二人の住環境を改善してくれました。

 野営するときに培った経験で、干し草をふわふわにしてくれたりと、旅で身につけた知識を活かしてくれてますね。


「おまえなかなかやるな。つうか旅してきたとかまじすげえ」

「そお? 照れるじゃん」


 何くれと無く二人に手助けしてきたマッチョな男の子も、同じように手を貸すこの子と意気投合し、親友になりました。

 たった一人から始まった彼女の生活ですが、今や娘や気の置けない男子もいて、とっても賑やかです。


「賑やかで良いわね~」

「お友達が増えるとか、ステキ」


 こうして一層賑やかになった村ですが、出自が謎の人でも特に気にしないまま受け入れて、平和に日々が過ぎていきました。

 毒草を平気で食べる男の子も受け入れるのは、おおらかにもほどがあるとは思いますが。

 そんな生活を数年続けたある日のことです。


「あら~! また卵があるわよ~」

「仲間がふえるとか、すてき」

「え? またなの?」

「でっけー卵じゃん!」


 またまた卵がありました! 数年おきに、謎の仲間が増えちゃってますよこれ。


「こんにちはなの」

「はじめまして。ところで僕は誰ですか?」


 ただ、相変わらず卵から出てくる子供は、細かいことを気にしていないみたい。

 きょろきょろと周りを見渡しながら、にっこり挨拶ですね。

 毒草を平気で食べる子が住み着いても気にしない村ですので、相変わらずおおらかに村に溶け込ませてくれるでしょう。

 こんな感じで、ちいさな村には、人が増えていったのでした。



 ◇



「こんなかんじなのよ~」

「波瀾万丈なのかそうでないのか」

「へいわがいちばんです~」


 腕グキさんが村に溶け込むお話やステキさんが現れた話は、そんな感じだった。

 それに付随して、マッチョさんやマイスターとの馴れ初めと、ナノさんメカ好きさんが現れた話も聞けたのだが……まあほのぼのとしていて和む。ドラマがあるのか無いのか良く分からないレベルでラブアンドピースと言うね。

 出生が謎という衝撃の生い立ちがあれど、生き方は極めてのんびり。

 マッチョさんもその頃からの知り合いみたいで、仲が良いのも当然なるかな。

 大体は腕グキさんの料理実験に付き合って、色々食べさせられたようだが。

 かなり年期入った付き合いってことか。そりゃほっとけずに、お隣の森に避難せず、村に残るよね。


「と言うか、行き倒れてたんですか」

「あんときはヤバかったじゃん」


 さらりと言うけど、マイスターは無謀過ぎである。あと、毒草でも食べられるのに行き倒れていたのは、なぜだろうか。


「行き倒れた理由とか、あったりします?」

「なんか、あの森は食えるやつが少なかったじゃん?」

「そうなのですか」

「おう」


 食えるやつが少なかった、つまりその当時から森の衰退は著しかったと考えられる。

 よその森基準で突入してしまったが、あの森では食料を探せなかったって感じだな。

 それが原因で行き倒れてしまったが、腕グキさんやステキさんと知り合えたわけだ。人間万事塞翁が馬である。

 あと遠くの森出身らしいけど、どの辺なんだろう?


「ご出身の森がどこか、地図で分かります?」

「あ~、てきとうにいどうしてたから、わかんないじゃん?」

「まいごです?」

「そうともいう」


 聞いてみると、出身の森がどこか分からないとかね。ハナちゃんが言うとおり迷子になってるよこれ。どれだけ無謀な旅をしていたかがうかがい知れる。

 さすがマイスターだ。


「なんとかなってるから、いいかなって」

「ダメだとおもうです?」

「まじで」


 おまけにこの気楽さである。

 まあそれはそれとして、ナノさんとメカ好きさんも卵出身なわけだが――。


「ぼくらはさいしょからいっしょだったんで、これはうんめいかなと」

「あっさりけっこんしたの」


 チラリと視線を送ると、そう答えてくれた。二人同時に現れたから、運命感じちゃったか。

 確かに結婚とは、そういう勢いも必要である。

 あと同じ境遇の者同士、気が合うってのもあるんだろうな。助け合ってきたのだろう。

 そりゃあ愛が芽生えるのも当然というものだ。


「うちもそんなかんじさ~」

「このこがながれてきたときは、びっくりしたさ~」

「けいさんがとくいで、それもびっくりさ~」


 偉い人ちゃんも、おおむねそんな感じらしい。お供ちゃんたちは、彼女が子供の頃から顔見知りみたいだ。


「わたしもですね。わたしも」

「おかあさん、おだんごしょくにんでゆうめいだからね! ゆうめい!」

「ほめられてしまいました! ほめられてしまいました!」


 モルフォさんも同様で、まあみんな集落に受け入れて貰ったのだろうね。

 のんびりほのぼの暮らしてきたのは、彼女たちの性格を見ればわかる。

 あっちの世界は、良いところなんだろうな。


「まあでも、結局何もわからないと」

「異世界の謎、つかみどころが無さ過ぎる……」

「大体こんなもんだよ。謎がわかる方が少ないからね」


 今までの話を聞いて、ユキちゃんと魔女さんもお目々ぐるぐるである。

 そうなのだ、結局何にもわからずじまい。

 でも世の中こんなもんである。現代のちたまですら、謎を解き明かしたケースがごくわずかだ。

 ましてや異世界の謎とか、どれほど調べようがわかるとは思えない。

 本人たちにも分からないのだから、どうしようもないな。

 それに解き明かす必要があるのか? と言う話でもある。ロマンはあるけど、平和すぎてもうそのままで良いじゃない的な感じがするのだ。


「ということは、みんなもはねがはえるです?」

「あら~? はねがはえるのかしら~?」

「はねがはえるとか、すてき」

「いいかもなの」

「どうやってはやすの?」

「きゃい~。はねがあるとたのしいよ! たのしいよ!」


 こらそこ、羽根は生えないからね。多分ね。

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