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エルフのハナちゃん  作者: Wilco
第二十四章 赤い星
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第十話 調達は順調?


 ハナちゃんを思う存分ぐにゃらせた翌日のこと、ドワーフィン在住の偉い人ちゃんへ、ネコちゃん便を飛ばした。

 感応石の供給について、可能かどうかと供給量の確認だね。


『わきゃ~ん、あのむらさきのやつ、きょうきゅうはだいじょうぶさ~』

『しずんでるやつ、あつめるさ~』

『ちっさいやつとか、すなみたいなやつなら、けっこうとれるさ~』


 果たして偉い人ちゃんたちの回答は、大丈夫だよってことだった。

 どうも大きなやつは稀少だけど、小さなやつなら安定供給できるぽい。

 これで、あの石をお金に換える要素が揃ったな。


「ユキちゃん、大丈夫そうだよ」

「では、魔女さんにメールしておきます」

「ありがとう」


 早速ユキちゃんがスマホでメールをめるめるし、連絡完了だ。

 あとは回答を待つのみだね。


「タイシ、おしごとじゅんちょうです?」


 方々に連絡を取ってつなぎを付けていると、ハナちゃんがお茶とお菓子を持ってきてくれた。

 気の利いたよい子だね。


「ハナちゃんありがと。気が利くね」

「うふ~」


 頭を撫でてあげると、エルフ耳をてろんと垂らしてうふうふ顔だね。

 よかった、今日は一撃でぐにゃらない。落ち着いた感じかな?


「うふふ~」


 と思ったら、ハナちゃんが俺の右隣に来て、ぽてっと座りにこにこだね。

 甘やかしてオーラがみなぎっている。ご要望通り、甘やかそう。


「ほほう」


 それを見ていたユキちゃんも、なぜか左隣にふわっとお座りになられた。

 良い感じに位相をずらした耳しっぽもぽわぽわしていて、毛並みが素晴らしい。

 ふあさっふあさっとあたるキツネしっぽの感触も、またエクセレントだよ。


「うふ~」

「ふふふ」


 よくわからないけど、二人ともご機嫌なのでそっとしておこう。

 こんな感じで、三時間ほどのんびり過ごしていたらですよ。


「わきゃ~ん、あのいしをもってきたさ~」

「あつめたさ~」

「さがせば、けっこうみつかるさ~」


 偉い人ちゃんとお供ちゃんが、はあはあと息を切らせてやってきた。

 当日中に集めてもってくるとか、ふるえる。


「あや~!? とつぜんのいらっしゃいです~!」

「え? 今日のうちにですか?」


 ハナちゃんはエルフ耳ぴっこーん状態で、ユキちゃんはキツネ耳としっぽをピンとさせて、二人ともめっちゃ驚いている。

 俺もびっくりだよ。


「一緒に私たちも帰ってきたわよ」

「催事の準備、そろそろしないとだからな」


 そして二人でイチャイチャ旅行をしていた親父とお袋も、一緒に帰ってきた。

 たしかに催事の準備があるから、帰ってこなきゃだよな。タイミングとしては、バッチリか。

 偉い人ちゃんたちがすぐに来れたのも、この二人がいたから迅速に行動出来たって感じだね。


「二人ともお帰り」

「おかえりです~」


 まあハナちゃんと一緒に、親父とお袋にお帰りの挨拶だ。

 結構長くあっちで観光してたけど、二人とも全然変わりが無い。

 元気で何よりだよ。


「それと報告なんだが、新種は出て来なかったぞ」

「夜の時期に再調査が必要ね」


 続けて親父から報告があり、残念ながらちっちの子は確認出来なかったそうだ。

 お袋の言うとおり、夜の時期でないと見つけられないかもだな。

 ドワーフィンはまだ夜にはなっていないため、あの新種たちは、現在休眠しているかもだ。


「ちょっと調査計画立てとく」

「そうだな」


 あの新種ちゃんたちは、まだまだ謎だらけだ。知り合って間もないからね。良くわからないことが多い。

 もうちと村の子たちと交流して、それから計画を練り直そう。


「おはなしおわったさ~? これがおかねになったら、フネのしはらいにあてるさ~」

「たくさんかうさ~」

「とにかくフネなのさ~」


 親父たちとの話が終わったのを確認してから、偉い人ちゃんがハアハア息を切らせながら、ちゃぶ台の上に小さな袋を置いた。

 中を覗いてみると、小さな紫色の鉱石が、ざらざらと入っている。

 そうそう、この感応石が実は本題だ。きちんと対応しよう。


「これって、どこで採れるのですか?」

「かわぞこをさらうと、こつぶなのはわりととれるさ~」

「でかいのは、めずらしいさ~」

「みんなで、あつめたさ~」


 まず採集方法を訊ねたところ、どうやら川底を(さら)えば良いみたいだ。たしかに、角が丸くなめらかに削れているね。

 大河を流れているうちに、角が削れてこうなったんだろう。


「これって、それなりに供給できるのですよね」

「そこはだいじょうぶさ~」

「フネがほしいこは、そっせんしてあつめてるさ~」


 まあ、思っているより安定供給出来そうではある。

 これで一安心だね。


「あ、大志さん魔女さんから返信来ましたよ」

「ちょうど良いね」


 大騒ぎの中、魔女さんからの返信も来た。内容はどうかな?


「あの原石五十カラットは、研究所がこのお値段で引き取りたいそうです」


 ユキちゃんがメールを見せてくれたけど、一億二千万円とな!

 億は超えるかもって聞いてはいたけど、ホントに超えた。

 そしてここまでお金を出すと言うことは、研究のみならず実用化も見据えてってところか。


「ということは、本格的に触媒として研究するってことか」

「画期的な検知器を、実用化出来そうってことらしいですね」


 なんにせよ、これでようやく換金が出来る。

 現在用意出来ている感応石の写真とともに、売却の要請をしておこう。


「ユキちゃん、この小粒の写真を撮って送ってほしいな。あと、あのでかい原石は売却オーケーですって感じで」

「わかりました」


 またユキちゃんがめるめると、魔女さんにメールを送る。

 さて、これでめでたく、大量の船を作ることが可能となった。


「おめでとうございます、あの原石がお金になりますよ」

「それはよかったさ~」

「ちなみに、おいくらになったさ~?」

「きになるさ~」


 さっそく偉い人ちゃんたちに伝えると、しっぽをぱたぱた振って嬉しそうだ。

 お値段が気になるようで、三人ともこちらに目をくりりっと向けてきた。

 みんなもう日本円の価値も分かっていて、計算も出来る人だからね。

 そのまんま伝えよう。


「にひゃくまんえんくらいなら、うれしいさ~」

「一億二千万円です」

「わ……きゃ? いちおく?」

「一億二千万円です」

「じょうだんではないさ~?」

「一億二千万円です」

「ほんとの、ほんとさ~?」

「一億二千万円です」

「……」


 偉い人ちゃんたちが固まったけど、あまりの額に驚いたようだ。

 せっかくだから、どれくらいの船が作れるか例えてみよう。


「あの船なら、二千隻は作れますね」

「――……」


 そして喜ぶかと思ったら、三人とも目を開けたまま気絶した。

 嬉しさの余りって感じかな? それともちがう?


「あや~、カチコチです~」

「流石に衝撃だったみたいですね」


 ともあれ、これでドワーフィンに船をバラ撒く計画は、かなり加速しそうだ。

 まあ量産には限界もあるので、まずはぼちぼちとやることになるけど。


 ――その数日後。


「入金確認しました」

「では、取引完了と言うことで」


 またぞろユキちゃんちにて、魔女さんと感応石の売買を完了させた。

 あとは供給についても、まあ無理の無い範囲で契約を交わす。


「これで、研究も捗ります」


 魔女さんは大きな取引を終えて、ほっとした感じだね。

 なんだか大事になってしまったけど、こちらは大いに助かった。


「ちなみにですが、この『感応石』で計測器を作ろうってプロジェクトが立ち上がってますよ」

「へえ、計測器ですか」

「魔術で使う『謎エネルギーの正体』について、どこから来るかが分かるかもって、業界は騒然としてますね」

「思ったよりヤバいことになってますね」

「ですね」


 確かに神秘界隈じゃ、質量保存の法則が成り立たないことが多い。

 でもそれはなんでだろ? という疑問も当然ある。

 普通じゃ無い何かが起きているが、「まあ使えるならいいじゃん」で来ているのは確かなのだ。

 でも魔女さんとかは、魔術大好き研究者みたいなもので、どちらかというと学者なんだよね。

 当然そう言うのも研究して解明したいというのは、理解できる。


「あと、実は試作品も今日もってきたんですよ。カットの際に出た微粉末でも、こんなのが出来ますよって例ですね」


 そう言いながら、魔女さんがネックレスを見せてくれた。

 ドッグタグみたいな、四角い板がぶら下がっている。


「これはプラチナの板なのですが、そこに微粉末を塗布してあります」

「ほほう」


 確かによく見ると、紫のつぶつぶが見える。


「例えばですけど、この板をそこに居るうかつな娘に近づけると……」

「はえ?」


 おもむろに魔女さんが、そのネックレスをうかつキツネさんに近づけると――。


「あ、緑に光りましたね」

「そうなんですよ。この娘の修行の足り無さがすぐにわかるんです」

「はええ?」


 とても淡くだけど、四角いプラチナの板が緑に光った。

 あれだ、ユキちゃんが油断して漏洩させていた、ゴッドパワー的なやつと感応したって感じだね。

 まだまだ修行がたりぬから、こうしてバレてしまうわけだ。


「これは便利ですね」

「簡単な加工でコレですよ。そりゃ騒ぎになります」

「はえええ?」


 ユキちゃんを置き去りにして、俺と魔女さんは二人で納得する。

 でもまあ、応用は色々効きそうだね。良かった良かった。


「おかげで助かりました。ありがとうございます」

「いえいえ、私の方も仲介料でそれなりに潤いましたので」

「大志さんのおかげで、家も臨時収入があって良かったです」


 お礼を言うと、魔女さんとユキちゃんも儲かったのかニコニコだった。

 まあ一番儲けたのはうちなんだけど。

 二人とも、言うほど仲介料取ってないんだよな。良い人たちである。

 せめて、なにかほかの形でお礼をしたいな。

 ……そんで、こういう場合に俺が出来る手段は、エステ送りしかないわけだ。


「大商いが出来たお祝いで、二人をエステに招待とかどうですか?」

「え!? よろしいのですか!」

「わあ! 嬉しいです!」


 あの凄腕エステは、ユキちゃんの話によると魔女さんと行っていたって話だからね。

 当然彼女も知っているわけで、お目々キラキラだよ。


「なかなか行けなくて、もやもやしてたんです。ユキは結構エステしているみたいなのに」

「ふふふ、最上級コースは凄いわよ」

「ぐぬぬ」


 ユキちゃんは割と俺が招待しまくっているけど、魔女さんはなかなか行けなかったようだ。

 最上級コースとか、憧れなのかもね。


「では、明日とかどうでしょう?」

「もちろん行きます!」

「楽しみですね!」


 そんなわけで、ユキちゃんと魔女さんにご褒美を贈呈することになった。

 良い機会だから、エステさんの様子も見ておこうかな。


 ――というわけで、翌日だ。

 二人を乗せて、凄腕怪しいエステサロンへと向かう。


「……大志さん、荷台に積んであるあの人型のモノ、なんですか?」


 道中、ワンボックスの荷台部にあるブツをみて、ユキちゃんと魔女さんがドン引きしている。


「先祖代々伝わる、強化外骨格だよ」

「ええ……?」

「先祖代々……?」


 どこのご家庭にもある、扱いにこまるやつだね。

 うちも先祖代々物置の肥やしにしてきたけど、これも一般家庭ならあるあるかなと。

 でもユキちゃんと魔女さん、どん引きしている。なぜだろうか。


「大志さん……ちなみにこれって、何に使うのですか? 都市でも滅ぼすとか?」

「ユキ、この人どこの惑星出身なの?」

「都市は滅ぼさないよ。あとぼくはちたまじんだよ」


 ユキちゃんからは何処を滅ぼすのかと聞かれ、魔女さんからはちたま出身を疑われる始末だけど、俺には使命があるんだ。

 そのためには、物置の肥やしになっていたこの飾り物を持ち出すのも、仕方が無い。

 とかやっているうちに、エステへ到着だ。


「それではお二人とも、ご堪能あれ」

「行ってきます!」

「楽しみー!」


 二人は強化外骨格のことはもう忘れて、虚ろな目でエステに入っていった。

 それじゃあ俺は、ホームランを打ちに行くぞ!



 ◇



 ホームランを打てたかどうかは、聞かないで欲しい。

 今の俺は、敗北感でいっぱいだ。


「あ! 大志さんどうですか?」

「最上級コース、ホント凄い!」


 悲しみの目でサロンの前に到着すると、虚ろな目のユキちゃんと魔女さんがめっちゃはしゃいでいた。

 キツネさんはもうつやつやふわふわで、毛並みの素晴らしさにとても眼福だ。

 魔女さんも、バイト疲れで荒れたお肌がつやぷるりんだね。


「二人とも、とても綺麗ですよ」

「ふ、ふふふふ……」

「ですよね!」


 そつなくミッションをこなすと、二人ともキャッキャと大はしゃぎだね。

 ではでは、さくっと車に乗ってこの場を去ろう。

 ということで二人を乗せて、ユキちゃんちに向かう。


「そういえば大志さん、今回あの人が準備を手伝っていましたよ」

「働きぶりはどうだった?」

「手際が良かった感じがします」


 道中、エステさんについてユキちゃんから報告があった。

 良い感じにがんばっているようだ。手際が良いということで、将来が期待できる。


「あ、あの人ね。確か知り合いだっけ?」

「そうなの。エステティシャンになりたいって、がんばっているわ」

「凄いね~。見習いであの手際は見事よ」


 魔女さんもエステさんを認識していたのか、働きぶりを褒めている。 

 第三者から見てもそれなら、ほんと良い感じなんだろう。

 これは俺もにっこりだね。


「エステといえば、一つご相談がありまして」

「相談ですか?」


 ほくほくしていたら、魔女さんから相談があるとのことだ。

 何だろう? エステと言えばだから、それ関連だよね?


「サロンの方が、この試作品を見て『その触媒売って下さい!』って凄くお願いされてしまって」

「感応石ですよね? サロンの方が欲しがったのですか?」

「そうなんです。どうしても、必要みたいで」


 ……良く分からないけど、魔女さんが身につけていた感応石触媒の試作品を見て、「触媒自体」を欲しがったようだ。

 何に使うんだろう?


「いかがでしょうか?」

「まあ、あのサロンにはお世話になっているし、身内も勤務していますから……お譲りしましょうか」

「本当ですか! 取引は私が仲介しますので、是非お願いしたいです。一カラット未満の超小粒で良いそうなので」

「わかりました、用意しますね」

「ありがとうございます!」


 提供を了承すると、魔女さんが虚ろな目で喜ぶ。

 う~ん、大丈夫だろうか。洗脳されている人の言うことだから、ちょっと怖い。


「これであのサロンも、もっと凄くなるね!」

「そうだね!」


 本当に、大丈夫なのだろうか……。



 ◇



「大志、今年は桜の開花がちと遅れそうだな」

「積算温度がちょっと足りないね」


 四月中旬になり、催事に関しての準備をするにあたって開催日の検討だ。

 だが今年は開花が遅くなりそうで、ちと日程が読めない。


「ピポ」

「計算すると、四月末頃が開花時期なんだ」

「ピポポ」


 わからないので数年の気象データと催事の時期を照らし合わせ、AIちゃんに開花予想をしてもらったが、そうなるらしい。

 この辺の予測をAIちゃんは良い感じで当てるので、信用できるな。


「じゃあ、四月末で予定を立てるか」

「村にも話を通して、準備しよう」

「今年もぱーっとやりましょう!」


 とりあえず話はまとまったので、爺ちゃんたちにもネコちゃん便を飛ばそう。

 あのネコちゃんのおかげで、祖父母も余裕を見て里帰りしなくて済むから、連絡がギリギリでも間に合うけど、念のため。


「それじゃあ、自分は先に村に行って話してくるね」

「おう、俺たちは後から行く」

「いってらっしゃい。子猫亭には私が話を通しておくわ」


 オードブルとかはお袋が手配してくれるらしいので、お任せしよう。

 それじゃあ、村に行くか。

 ということで車を走らせて、村に無事到着だ。


「タイシタイシ~、おかえりです~」

「おかえりさ~」

「ただいま。元気でなによりだね」

「あい~、ハナはげんきです~」

「うちもげんきさ~」


 今日はハナちゃんと偉い人ちゃんがお出迎えしてくれて、いつもの挨拶だね。

 ではでは、まずヤナさんに話を通そう。


「今日は催事について打ち合わせしたいから、ヤナさんとお話をしに来たよ」

「おとうさん、おうちにいるですよ~」

「うちもそのおはなし、ききたいさ~」


 今日の用件を伝えると、ハナちゃん曰くヤナさんは自宅にいるようだ。

 偉い人ちゃんは催事について話を聞きたいらしいので、一緒に行こうか。


「では、ハナちゃんのおうちに行こう」

「あい~」

「いくさ~」


 こうして三人で仲良く歩いて、ハナちゃんのおうちにお邪魔しますだ。


「あ、タイシさんこんにちは」


 ハナちゃんの言うとおり、リビングでヤナさんがのんびりしていた。

 早速お話をしよう。


「ヤナさんおじゃまします。今日は催事について、予定を立てたいなと」

「お! もうそんな時期ですか!」

「四月末を予定してます」


 軽く日程を伝えた後は、細かいところの打ち合わせだ。

 みんなでぱーっとやりたいから、お料理とか参加者とかを見積もらないとね。


「では、人数から――」


 こうして打ち合わせを開始し、具体化していく。

 まず人数だけど、村人は全員参加するだろうってことで見積もっておくことにした。

 あとは偉い人ちゃんから、自分やお供ちゃんたちと、あっちの湖からも何人か参加したいとの申し出があったので追加しておく。

 もちろん、観光客のみなさんもウェルカムだね。


「なにか()し物がある場合は、その場のノリで――」


 前回はドワーフちゃんたちが、ガムランみたいなのを演奏してくれた。

 今年もやってくれるかもしれないので、期待はしておこう。


「雨天は気にしないで大丈夫です。なぜか晴れますので――」


 とまあ細かいことを相談し、ヤナさんから村人たちに通知してもらう。

 村長だからね。それでまた要望や意見がでたら、集会場で会議しながら調整しよう。


(おまつりときいて~)

(わたしもさんかするよ!)


 当然こう言うの大好きな神様たちも、どこからか話を聞きつけてやってきた。

 ただ話を聞きたいだけな感じで、意見とかは無いみたいだけど、キャッキャと楽しそうだ。


「おまつり、たのしみですね~」

「そうだね。今年も大騒ぎしよう」

「あい~」

「ハナちゃんのお料理、楽しみにしているから」

「がんばるです~」


 ハナちゃんも催事が楽しみなようで、うふうふと話を聞いている。

 今年も美味しいお料理、沢山作ってね。


「お料理もそうですけど、お酒を沢山作らないとですね」


 お料理ときたら、お酒も大量に必要だ。去年の催事では、ほとんど飲んじゃったからね。

 今年は人数もより増えるので、もっともっと準備する必要がある。


「あ、それなら大丈夫です。お酒は量産してますから」

「しゃしゃ~」


 と思ったら、ヤナさんが梅酒用のデカいガラス瓶を持ってきた。

 その中にはうねうねちゃんが、元気に泳いでこちらに手? を振っている。


「この子たち、お願いすると味を調整してくれるんですよ」

「しゃっ」


 というか、お願いすると請け負ってくれるんだ。

 うねうねちゃんは「まかせて!」的な感じで、触手をしゃっしゃしている……。

 偉い子でお父さんびっくりだよ。


「それじゃあ、ご褒美にお砂糖をドババっとあげよう」

「しゃしゃ~」


 ご褒美にお砂糖を沢山あげようと言うと、うねうねちゃん大はしゃぎだね。

 がんばってお仕事して頂きたい。


「群れをまとめているのはこの子ですので、何かある場合は、この子に話を通すと早いですよ」

「さ、さようで」

「ええ」


 なお、ヤナさん曰く……このガラス瓶の子がリーダーなようだ。

 確かに、体が大きい気がする。色もちょっと濃いかな。

 いやいやいや、なんで植物がそんな組織的行動するの?

 元々は苔なはずだよね? おかしくない?


「しゃしゃ~」


 ……まあ、細かいことは気にしないことにしよう。

 エルフィンの動植物は、そういう存在だと思えば悩まなくて済むからね。

 思考停止だって、時には大事だと思うんだ。たぶん。


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― 新着の感想 ―
[一言] いちおくにせんまんえんとか…ふるえる やったね偉い人ちゃん!お舟が増えるよ! 感応石があれば不思議パワーをお漏らししてる人をサクッと見つけられますね 不思議パワーも強化外骨格も通用しないなん…
[良い点] ドワーフ植物記 と言う訳で大豆畑を作ろうにも、技術の担い手が見付からず深刻化する後継者問題ですね。 家族総出(二名)で探しても決して痕跡を残さない「ち」の者は、プロフェッショナルな影の軍…
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