第十話 わきゃきゃんめでぃかる
――とうとう、試練の日が訪れる。
精密検査のため、偉い人ちゃんをお医者さんの元へと連れていくのだ。
「き、今日と明日は……その体質を調べるために、ご足労いただくことになりますが……」
「いわれたとおり、きのうのよるから、おさけもしょくじもしていないさ~」
「ご協力、感謝いたします」
「うちのためにしてくれていることだから、なんでもないさ~」
偉い人ちゃんに予定を告げ、丸二日検査となることを告げる。
検査値に影響が出ないよう飲食を控えるのは、どうしても伝えないといけないことだからね。
……ただ、どんな検査をするかは、お伝えしていないわけで。
「あ~その~。検査というからには、いろいろ調べるわけでして」
「からだのためだから、がんばるさ~」
俺が言いよどんでいると、偉い人ちゃん気合みなぎる様子でわっきゃわきゃしている。
おおう、ますます言いづらい……。
しかし先生の予定も押さえてしまっているので、いまさら日程は変えられない。
なんとしても病院に来て貰い、検査を受けてもらうしかないのだ。
……まあ、検査後はしおしおになってしまうだろうことが予想される。
その後のケアに力を入れて、埋め合わせしよう。
「そろそろお時間ですので、行きましょうか」
「わかったさ~」
「検査中は私も付き添いますので、ご安心ください」
「ありがたいさ~」
検査の際はユキちゃんが偉い人ちゃんに付き添い、サポートする。
一人で謎機械がたくさんあるところで謎検査をされるのは、怖いだろうからね。
少しでも彼女に安心感を持ってもらえるよう、配慮はしてある。
さてさて、偉い人ちゃんには試練の時だけど、なんとしても乗り越えて頂きたい。
ということで俺とユキちゃん、そして偉い人ちゃんの三人で車に乗り、一路お医者さんのところへ向かう。
「わきゃ~ん、こののりもの、なんだかあんていしているさ~」
移動の最中、後部座席に座る偉い人ちゃんは、わきゃわきゃとはしゃいでいた。
窓の外に流れる景色や建造物を見て、お目々キラッキラだね。
「検査を終えたら、美味しいものでも食べに行きましょう」
「うわきゃ~ん! たのしみさ~」
そして検査後は美味しいものを食べようと伝え、希望を持ってもらう。
検査の後にはごちそうが食べられる、このご褒美があれば、チクっとするやつも乗り越えられる……かも?
そんな淡い期待を乗せながら、車はひた走る。
やがて――目的の病院に到着だ。
かなりの規模がある病院で、地域医療の中心を担う重要施設だね。
ここに神秘系も診察できる、凄腕のお医者さんがいるわけだ。
というか、院長さんなんだけどね。
「……わきゃん? なんだか、みょうなけはいがするたてものさ~?」
「ここは病院と言いまして、病気やケガを治療したりするところなのです」
「わきゃっ!? こんなにでっかいのさ~!?」
「ええまあ」
偉い人ちゃんは、この建物の役割を知ってびっくりしている。黄緑しっぽがカッチコチだね。
本当は色々説明したいところだけど、時間が無いのですぐにお医者さんと顔合わせしよう。
「では、向かいますか」
「わわわきゃ~ん。こっちのいりょう、なんだかすごそうさ~」
好奇心を爆発させ、偉い人ちゃんはてこてことついてくる。
うっ……罪悪感が……。
あれだ、おさんぽだと思ってはしゃいでいる愛犬をつれだしたけど、行き先は動物病院。
おまけに目的はワクチン注射。
そんなとき、飼い主さんが感じる気持ちがこうなんだろうか?
「わきゃん? なかはなんだか、へんなにおいがするさ~?」
「これは衛生管理のための、消毒薬のにおいです」
「たしかに、せいけつかんあるさ~」
とまあ、胸がズキズキと痛む中、軽く説明しながら移動する。
広い病院を三人で歩いて行き、院長室へ。さあ、面会をしよう!
さっそくドアをノックだ。
「どうぞ」
「失礼致します」
院長さんに招かれて、部屋に入る。まずは挨拶だね。
「本日は、よろしくお願い致します」
「おねがいいたしますさ~」
「初めまして、よろしくお願い致します」
院長室に入り、すぐさま挨拶する。
「はい、よろしくお願い致します。立ち話もなんですから、あちらへどうぞ」
俺たちを迎えてくれたのは、年齢五十歳くらいの優しそうな男性だ。
ただし、凄腕である。救ってきた人間は数知れない。
彼は妖精さんのときも、重要なアドバイスをもたらしてくれた見識のあるお方である。
「こちらが、今回検査をご依頼された方ですか?」
「そうですさ~」
「はい。彼女にはこんないきさつがありまして――」
今回は院長さんという要人のお力を借りるので、あまり時間を浪費するわけにはいかない。
すぐさま偉い人ちゃんが抱えている、蓄熱障害について概要を説明する。
「……大志君、またまたこれは、不思議な能力ですね」
「なにせ異世界の方ですから」
「自在に蓄熱できるなんて、仕組みがさっぱりわからないですよ」
「それについては、私もさっぱりです」
院長さん、異世界人の謎能力を聞いてくらくらしている。
でもまあ、ちたま流の検査はできるわけだ。
今回は蓄熱の秘密に迫るのではなく、ごく普通の精密検査を行い、身体的な知見を得るのを目的としている。
なにせ現状では、血液型すらわからないのだから。
診察しようにも、それらの身体的構造や特徴が分からなければ、とっかかりすら無い。
この検査は、本格的な医療行為に繋げるための、最初の一歩ってところだね。
「ひとまず人間ドックで検査し、結果を見てからになりますね」
「はい、よろしくお願い致します」
院長さんも、現段階では何とも言えないことはわかっている。
まずは精密検査を行うことから始めよう。
「わきゃん? にんげんどっくって、なにさ~?」
「人体の隅々を調べて、病気やその可能性などを見つけるための検査ですよ」
「なるほどさ~」
人間ドックという言葉に反応した偉い人ちゃんだけど、ざっくりとは説明しておいた。
俺は健康診断は毎年受けているけど、さすがにここまでの精密検査は経験していない。
なもので、何をどんな流れで行うのかは、具体的に説明ができないのだ。
すまぬ……すまぬ……。
「それでは、始めましょうか。検査着にお着換えいただき、あとは指示に従ってください」
「わかりましたさ~」
面通しと事情説明が終わったところで、院長さんは早速検査を始めるようだ。
てきぱきと指示し、検査の準備を整えることとなった。
それじゃあ、俺もユキちゃんにお願いしておこう。
「ユキちゃん、彼女のサポートをよろしくお願いします」
「はい、任せてください」
ということで、これから偉い人ちゃんの長い長い検査が始まる。
男の俺は付き添いができないので、あとはユキちゃんにお願いするしかない。
「では、きがえてきますさ~」
「行ってきます」
検査着に着替えるため、偉い人ちゃんとユキちゃんが院長室を後にした。
後はそのまま、院長さんの指示を待つこととなる。
「それで大志君は、これからどうするのですか?」
二人が部屋を出ると、院長さんが話しかけてきた。
俺はもうここでは出来る事が無いけど、ただ待つのは性に合わない。
ひとつ、俺なりの方法でアプローチするための計画がある。
「私はこれから、彼女のウロコについて、口の堅い会社に科学分析を依頼してきます」
「そういえば、加齢するごとに生え変わるらしいですね」
「はい。彼女と普通の方のそれぞれをサンプルとして用意し、電子顕微鏡での調査や各種分析を行います」
偉い人ちゃんが人間ドックで検査をしている間、俺は俺で別視点での調査を行う。
ウロコの色が変化するということで、そこにも何か秘密があるのではと思うわけだ。
灰化植物の分析を依頼した、口の堅いあの会社さんへ調査依頼をする。
人間ドックの検査結果とこの分析結果の両方で、何かつかめたらなという考えだ。
「うちのほうでも口の堅い病理医がおりますので、ご安心ください」
「なにからなにまで、ありがとうございます」
「妻も入守さんにはとてもお世話になっているから、おあいこですよ」
いろいろ良くしてくれる院長さんに頭を下げると、そう言ってにこやかな顔をしてくれた。
まあ、院長さんの奥さんも……爺ちゃんの代でうちの村に来た「お客さん」だったからね。
彼が異世界人に対する医療ができるのは、必要性があったからというわけだ。
おかげでうちも、頼れる人が身内になってくれて、大助かりしている。
これもまた、縁なり。
「それでは、そろそろ彼女の検査を監督しに行きます」
「なにとぞ、よろしくお願い致します」
「はい、お任せください」
そろそろ偉い人ちゃんも準備が終わったころなので、院長さんもお仕事開始だね。
では、俺は俺の仕事をするとしよう。
こうして、偉い人ちゃん精密検査が始まった。
◇
ここはとあるちたまの、とある村。
大志やユキちゃん、そして偉い人ちゃんが留守な中、村人たちはのんびり過ごしておりました。
「あや~、今日はなんだか、ぽかぽかです~」
「ギニャ~」
ハナちゃんも、おうちのテラスでフクロイヌとのんびりひなたぼっこ。
十月も終わりに近づいて寒くなってきましたが、今日はなんだかぽかぽか陽気です。
思う存分お日様を浴びて、ぐんにゃり過ごすハナちゃんなのでした。
「うふ~」
「ギニャ~」
そうしてしばらくのんびりぽかぽか、ぼんやり過ごした後は。
「おやつ、食べにいくです~」
「ギニャニャ~」
小腹が減ってくるので、集会場へおやつを買いに行きましょう!
ぽてっと立ち上がったハナちゃん、トテトテ歩くフクロイヌと一緒に、ぽてぽて集会場へ向かいます。
「ふがふが」
「ひいおばあちゃん、これくださいです~」
「ふが」
お店番のひいおばあちゃんに小銭を渡し、麩菓子を購入ですね。
お安い値段で見た目はわりと大量なので、村でも人気のおやつです。
さっそくハナちゃん、集会場の縁側にぽてっと座り、おやつをもぐもぐ。
「あや~、口の中ぱっさぱさです~」
「ギニャン」
フクロイヌと仲良く麩菓子を食べ、そろって口の中ぱっさぱさ。
水分を強力に吸収する、おもしろおやつを楽しんでおりますね。
「飲み物も、買ってくるですか~」
「ギニャ」
でも麩菓子を食べると飲み物が欲しくなりますので、またまた駄菓子屋へ足を運びます。
「今度は、これくださいです~」
「ふが」
ハナちゃん、口の中ぱっさぱさを解消するため、駄菓子のジュースをお買い上げ。
結構豪遊している感じですが、これでも使ったお金は四十円です。
なかなかリーズナブルな、おやつタイムですね。
「この飲み物、いつ見ても、どぎつい色してるですね~」
「ギニャギニャ」
お買い物の後は、再び縁側に座って飲み物を楽しみます。
ハナちゃんは緑色の謎液体をチョイス。フクロイヌはオレンジ色。
仲良くチューチューと、駄菓子特有の原色謎ジュースを楽しみます。
「うふふ~」
「ギニャニャ~」
のんびりほのぼの、美味しいお菓子を食べてハナちゃん足をぱたぱたさせちゃってますね。
そうして楽しく、おやつを食べていると――。
「あ! ハナちゃんだ。一緒にあそぼー!」
「きゃい~! 遊ぼ! 遊ぼ!」
「今みんなで、競争しているさ~」
エルフの子供たちや妖精さん、子供ドワーフちゃんたちから遊びのお誘いが。
神輿も一緒になって遊んでいたようで、ハナちゃんの周りをぴこぴこ飛んでおりますね。
「あえ? 競争してるです?」
「うん! だれがいちばん早く、木の実の皮をむけるか競ってるの!」
「なかなか、難しいね! 難しいね!」
「硬くて、大変さ~」
どうやら子供たち、謎な遊びをしているようです。
木の実の皮むき競争らしいですが、それは子供がする遊びなのでしょうか……。
「あや~、面白そうです~。ハナも参加するです~」
それは遊びなのかという疑問はありますが、ハナちゃんも参加するようですね。
キャッキャと両手をあげて、参戦を表明です。
「それじゃ、ここで遊ぼ!」
「あい~」
「木の実はこれだよ! これだよ!」
ハナちゃんも参加が決まって、さっそく集会場の縁側で準備が始まりました。
妖精さんたちがおびただしい量の栗の身を取り出し、ずらずら並べていきます。
どうもきゃいきゃいさんたち、栗拾いとかしているみたいですね。
食欲の秋ならではの遊びなのかも?
「この木の実を、一番早く全部皮むきできた子の勝ちだよ!」
「わかったです~」
こうして、謎の遊びがはじまりはじまり。
「じゃあ、はじめ!」
「いくです~!」
「きゃい~!」
「気合、いれるさ~!」
号令とともに、参加者は一斉に栗の実を手にしてむきむき。
しかし、硬い栗の皮はなかなか素手ではむけません。
栗の皮むき器はありますが、それなしでのトライです。
……なんという、不毛な遊び。
「うっわ! ハナちゃん妙に早い!」
「ハナはこういうの、大得意ですよ~!」
「すごいね! すごいね!」
しかしこの謎で不毛な遊び、ハナちゃんの実力が光ります。
栗の実のむきやすいポイントをきちんと押さえて、するっすると皮むきできちゃってますね。
ただ、子供たちの盛り上がりとはうらはらに、見た目はとっても地味。
地味極まりない闘いが進んでいきます。
「神様も追い上げてきたよ!」
「道具つかってるけどね! 道具!」
「なかなかの、おてまえ~」
そして神輿も追い上げていますが、あれれ?
神様は栗の皮むき器を使っております。
それは反則なのでは?
「あや~、負けないですよ~!」
「いい勝負してる! いい勝負!」
「どっちもがんばるさ~!」
しかしおおらかというかおおざっぱなみなさん、神様の反則技も気にせず応援ですね。
今は、ハナちゃんと神輿が地味にデッドヒートです。
そして――。
「むけたです~!」
「ハナちゃん一番だね! 名人だね!」
――ハナちゃん地味に一位で大勝利!
むき切った栗の実を掲げて、勝利宣言です。
やったねハナちゃん!
「神様も、いい勝負だったです~」
「僅差だったね! 僅差!」
「見ごたえ、あったさ~」
第二位の神輿も子供たちからたたえられ、ご機嫌にほよほよ光ってます。
細かいルールとかは無いみたいですので、道具を使っても良いのでしょう。
それじゃあなぜ、神輿以外は地味に素手でやっているのか、いまいち謎なのですが……。
まあ、楽しければ良いので、問題ありませんね!
「なんだか、面白そうなことしてるじゃん?」
おや? 地味に盛り上がっているところにマイスターがやってまいりました。
……なんだかもう、元に戻ってますね。いつの間に。
「あえ? 昨日までは白かったです?」
「うちにあった木の実を食べたら、一晩でこれじゃん?」
「どんなヤバいやつ、食べたですか~……」
ハナちゃんも、マイスターがいつの間にか元に戻っていて、お目々まんまるですね。
おまけになんだかヤバい情報も聞いてしまい、ドン引きです。
一晩で元に戻るポイズンとか、いったい何を食べたのでしょうか……。
とまあ、それはマイスターだからしょうがないとして。
「みんな何やってんの?」
「木の実の皮むき競争です~」
「お、それ俺も得意じゃん?」
マイスターの問いかけにハナちゃんが答えると、なんだかドヤ顔で栗の実を取り出しました。
彼も栗拾いしてるっぽいですね。たくさん出てきました。
「あえ? 得意です?」
「おう。いっちょ見せたるじゃん」
ドヤ顔マイスター、そのまま木の実を左手でつまんで――。
「――ほい!」
気合を入れながら、こつんと右手でチョップ。
ぱかりと、栗の皮が割れて中の実がころりと出てきました!
「あや~! 一瞬でむけたです~!」
「なにこれ! すごい~!」
「ふっふっふ」
あまりの謎技に、ハナちゃんたち子供グループびっくり!
そしてマイスターは超ドヤ顔。
でもまあ、どのみち地味なのは変わりません。
「なんか騒がしいと思ったら、また変なことやってる」
「つうか、あいつ元に戻ってんぞ。変なもん食ったのまちがいなし」
「しかしなんだろう、この安心感」
「でもなんでドヤ顔なん?」
「それな」
あ、賑やかな声を聞きつけて、村のエルフたちも集まってきました。
そしてみんな、マイスターにつっこみです。
「あら~、久しぶりね~。でもドヤ顔やめて~」
「もう元にもどってるとか、震える。あとドヤ顔やめて」
「なんなのこの人。それとドヤ顔やめような」
「もっと褒めてくれ」
腕グキさんたちも、毒草マイスターのご帰還に呆れたり震えたり様々な反応。
でも、ドヤ顔やめては共通です。
それとマイスター、みんなは褒めていませんからね。
とまあ、村はやっぱり平和そのもの。
マイスターのドヤ顔とともに、秋の朗らかな一日は過ぎていくのでした。
さてさて、村はいつも通りでしたね。
それでは次に、偉い人ちゃんがどうなっているか見てみましょう!
――ということで。
ここはとあるちたまの、とある病院。
院内では、偉い人ちゃんが人間ドックのメニューを粛々とこなして――。
「はい、さいけつします」
「うわっきゃ~ん! チクっとしたさ~」
……いませんね。
検査着すがたの偉い人ちゃん、初めての精密検査にぷるっぷるでした。
「わわわきゃ~ん……そんなの、必要なのさ~?」
「このコップに、ここのせんまで、おねがいします」
様々な液体を採取されております。
おまけに――。
「あわわわわきゃ~ん」
まあ、検査なのでいろんなあれこれがあるわけで。
怖がったり恥ずかしがったり、もう偉い人ちゃん落ち着く暇もありません。
「……お、お医者さんて、あんなとこまで調べるのさ~?」
「え、ええまあ。でも、ひつようなことですので」
前の検査は……ちょっと恥ずかしかったみたい。
あんなとこを調べられた偉い人ちゃん、真っ赤な顔を両手で隠してぷるぷるです。
黄緑しっぽも、いっしょにぷるぷる。
サポート役のユキちゃんは、そんな彼女をなんとかなだめておりますね。
「……でも、赤いしっぽのためならがんばるさ~!」
「そうです! めざせあかしっぽですよ!」
しかし偉い人ちゃん、あこがれの赤いしっぽを目指してがんばります。
ちたまに来てから、確実に体質は改善されておりますからね。
そういった成功体験もあるので、自らを鼓舞して検査をこなしていく覚悟がモリモリです。
さすが、偉い人!
「はい、それではつぎのけんさです。あれをこうして、こうします。それをああしてください」
「あわわわきゃ~ん……」
――あ、次の検査もわりとアレなやつでした。
偉い人ちゃん、気合を入れた直後なのに、すぐさましんなりです。
「あわきゃ~ん!」
こうして、その日は院内に偉い人ちゃんのカルチャーショックな叫びが、こだまし続けたのでした……。
がんばって、偉い人ちゃん。これだけ検査すれば、きっと何かわかるから。
……たぶんですけれど。




