表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
エルフのハナちゃん  作者: Wilco
第二十章 未来へと繋がる、色
288/448

第五話 保安しちゃうよ


 いよいよ空港での保安検査となり、これを乗り越えれば後は乗るだけ。

 もうちょっとですよみなさん。

 ということで、保安検査をパスしましょう!


「ではみなさん、事前にお教えした手順の通りお願いします」

「「「はーい」」」


 みんなは荷物を「仕舞って」いるので、手ぶら。

 金属類も無いので、まあ問題は出ないと思う。

 出ないと良いな。出ないはず。……出ないよね?


「何事もなかったですね」

「ハナも、とおれたです~」

「きんちょうしたけど、あっさりだったわ」

「ふがふが」


 思った通りで、ハナちゃん一家は何事も無くパスした。

 続いて腕グキさん一家も、他の家の方々も。


「わきゃ~。きんちょうしたさ~」

「うまく、できたさ~」

「あっさりさ~」


 しっぽドワーフちゃん組も、特に問題なし。

 金属類に気をつけてさえいれば、あっさり通過出来るよね。

 とまあここまでは予想通りなんだけど……。

 ちょっと妖精さんたちが、大丈夫かどうか心配ではある。


 妖精さんたちは、羽根に緋緋色金ヒヒイロカネという謎金属を使った、脆化病パイパス手術が施されている。

 念のため村で金属探知機に反応しないことは確認してあるけど、空港の金属探知機で反応しないかはわからない。


 まあ、緋緋色金は超伝導物質で、マイスナー効果のため磁力を通さない。

 金属探知機は電磁誘導の効果で金属に過電流を起こさせ、そこで発生した交流磁場から磁場の変化を探知して警報を鳴らす。

 この理論からすれば、磁力を通さない緋緋色金は、探知機に反応しないはずではあるけど……。

 はたして、どうなるか。


「こうかな? こうかな?」

「はい、検査証です」

「きゃい~」


 どうやら心配しすぎていたようで、妖精さんたちも問題なくゲートを突破。

 あっさり検査をパスした。

 よかったよかった……。


 緋緋色金が探知機に反応しないと分かって、安心して手続きは進んでいく。

 大体の子が手続きを終え、あとはサクラちゃん、イトカワちゃん、アゲハちゃんだね。

 まずはサクラちゃんが、んしょんしょと手続きを進める。


「小さいのに、一人で手続きが出来て偉いわね」

「きゃい~! ほめられちゃった! ほめられちゃった!」


 その愛らしい姿に、検査員のお姉さんも思わずにっこり。

 褒められたサクラちゃん、白い粒子をキラッキラだ。


 しかしその瞬間――。


「ピー」

「あ、あれ?」

「きゃい?」


 サクラちゃんが引っかかった! なぜ!?


「ち、ちょっと検査させてもらうね」

「どうぞ! どうぞ!」


 慌ててボディチェックを始める保安員さんだけど、何も出てこない。

 問題ないので、再度ゲートをくぐろうとすると――。


「ピー」

「ま、また?」

「きゃい?」


 なぜか、サクラちゃんが引っかかる。

 保安員のおねえさんも動揺だ。怪奇現象である。


「おしごとたいへんだね! たいへん!」

「う、うん。そうだね」


 しかしサクラちゃんは特に慌てもせず、白い粒子をキラキラさせてお姉さんを励ます。

 良い子だなあ。


「ピー」

「ま、またなの?」


 だが何度やってもサクラちゃんが引っかかる。

 なぜだ……なぜだ……。


「わたしたちは、とおれたね! とおれたね!」

「あっさり~」


 つっかかるサクラちゃんとは違い、イトカワちゃんとアゲハちゃんはパスしていた。

 どうしてサクラちゃんだけ、引っかかってしまうのか。


「もういっかいだね! もういっかい!」

「ごめんね」


 おねえさんには、サクラちゃんは小さな子供に見えている。

 子供を何度も検査するのは、心苦しい物があるのだろう。

 わりと焦りながら、やさしく慎重に検査をするが……。


「ピー」

「なぜなの?」


 やっぱり引っかかる。

 他の子と違いは無いはずなのに、サクラちゃんだけどうしても。

 一体、何が原因なんだ? よく観察してみよう。


「きゃい~」


 じっとサクラちゃんの様子を見ると、おねえさんに構って貰えるのが嬉しいのか粒子がキラッキラ。

 周囲の慌てぶりとは対照的に、本人は至ってマイペースだ。

 そしてゲートをくぐる瞬間――粒子の軌道が乱れた。

 まるで何かに引き寄せられるかのように、強制的に動きがかき乱されている。


 これは、もしかして――。

 さっそく、試してみよう。


「ねえ、ちょっとキラキラを止めることは出来るかな?」

「きゃい? できるよ! できるよ!」


 サクラちゃんに聞いてみると、出来るらしい。

 それじゃあ、キラキラを止めてゲートをくぐって貰おう。


「おねえさんから紙を貰うまで、キラキラを我慢してね」

「わかった! わかった!」


 ということで、キラキラストップ中のサクラちゃん、保安検査に再挑戦。

 すると……。


「あ、大丈夫ですね。では、これが検査証ね。なくさないよう気をつけてね」

「おねえさん、ありがと! ありがと!」


 無事、保安検査をパスした。

 思った通りだ。


「大志さん、あの子はどうして引っかかったのですか?」


 検査をようやくパスしたサクラちゃんを見て、ユキちゃんが原因を聞いてきた。

 まあ、簡単な話だ。


「えっとね、妖精さんのキラキラ粒子は……磁力がある、もしくは磁力に引き寄せられるっぽいんだ」

「え? 磁力ですか?」

「そう、磁力だよ。これが原因で、金属探知機に引っかかったぽい」


 金属探知機は磁界の変化を捉えるだけに、大量のキラキラ粒子で誤動作したんだろう。

 おそるべし、妖精さんキラキラ粒子って感じだね。

 妖精さんの羽根は、ようせいぱわーという高エネルギーを放出するラジエータの役目もある。

 同時に、放出された粒子もエネルギーはある程度残っているって感じか。


「なんにせよ、原因は分かったから対処は出来るね」

「次からは、すんなり行けそうですね」


 ユキちゃんと二人で、ほっと胸をなで下ろす。

 さてさて、これで大体の人はパスしたかな?


「こちらへどうぞ」

(ども~)

「ピー」

(およ?)


 ああああ! 神輿が引っかかった!

 そういや金属部品めっちゃあったよ!

 フォローしとかないと!


「え、えっとですね……この方は神輿なものでして」


 慌てたせいか、思わず出た言葉がこれ。

 言ってから気づいたけど、雑すぎるフォローになってしまった……。

 なんだよ俺、「神輿なものでして」とか。それ全くフォローになってないよ。


「大志さん、それって……フォローになっていない気がします……」

「正直、自分でもやってしまったと思っている」

「ですよね」


 ユキちゃんからも、つっこみを頂く。

 あれですよ。思わずだったんですよ。


 とまあ、やらかしてしまって慌てたのだけど――。


「まあ、神輿ならしょうが無いですね」

(そうなの?)


 ――保安員さんは、「そうなんだ」的な対応で神輿を通してくれた。


 え? それでいいの?

 どうやら神輿はしょうがないらしい。俺の雑なフォロー、通っちゃったよ……。


「大志さん、通ってしまいましたね……」

「だね……」


 ユキちゃんもそれで良いのかとびっくり顔だけど、俺も驚いたよ。

 これもまあ、増幅石のお蔭なのかな?

 魔女さんに感謝だね!


「はい、検査証です」

(わーい!)


 と言うことで、ちょっとヒヤっとしたけど神輿は通過できた。

 よかったよかった。


「ピー」

「あ、なんかおとがしたじゃん?」


 マイスター! 今度はマイスターがひっかかった!

 なにか金属類を身につけていたのかな?


「……何も金属はないですね」

「おう。あぶないものは、なんももってないじゃん」

「ピー」


 しかし、またひっかかる。


「あれ?」

「も、もう一度お願いします」

「おう」

「ピー」

「も、もう一度……」

「まじで」


 保安員さんがボディチェックを何度しても、何度ゲートをくぐっても引っかかる。

 今度はマイスターが無限ループにハマった。

 マイスター効果により、なぜか金属探知機に引っかかる。


「ピー」

「な、何故……」

「なんでだろ?」

「も、申し訳ございませんが……こちらの方に来て頂けますか?」

「え?」


 あ、マイスターが別室に連れて行かれそうになってる!

 大変だー!!!!!


 ――――。


「こ、この方は……磁石がくっつく特異体質なんですよ」

「よくわからないけど、くっつくじゃん? ほら、ぴったしと」

「なにそれ怖い」


 あわてて保安員さんたちにマイスターの特異体質を説明して、なんとかパスした。

 まあ確証はないのだけど、多分この体質が原因じゃないかと思う。


「磁石がくっつく人間て、いるんだ……」

「すげえ」

「テレビ出られるんじゃないかしら?」


 そしていきなりのビックリ人間登場に、保安員さんたちも動揺していたけど。

 でもまあ、分かって貰えたのでよかったよかった。

 もうほんと、疲れたよ……。


「これで、全員パスしましたね」

「そうだね。あとは搭乗時間まで待つだけかな」


 とまあ色々あったけど、全員これで飛行機に乗れる。

 ここまで来てしまえば、もう心配することは無い。

 ふふふふ、もうホントに……逃げられないよお。


 そうして一安心していると、ハナちゃんが俺の所にぽてぽてとやってきた。

 どうしたのかな?


「タイシタイシ、ハナたち、あとはどうすればいいです?」


 やってきたハナちゃんより、これからの行動についてお問い合わせが来たね。

 ……まあ、その辺でのんびり待つことにしようか。

 登場のアナウンスがあるまで、出発ロビーで一休みってことにしよう。

 

「飛行機への搭乗はもう少し待つから、この辺でゆっくり一休みかな?」

「あい~。タイシとゆっくりするです~」


 他のみなさんにも、休憩の旨お伝えしよう。


「みなさんも、この辺からあまり離れずに休憩していて下さい。飛行機に乗る時間になりましたら、お伝え致します」

「わかったさ~」

「あっちに、なんかおみせあるじゃん?」

「いってみましょ」

「おれもおれも」

「ひこうきみてるよ! ひこうき!」


 そう伝えると、村人たちは各々過ごし始めた。

 のんびりベンチに座るドワーフちゃんたち。

 キャッキャとお店を物色するエルフたち。

 窓際に集まって、飛行機を見物する妖精さんたち。

 みんな楽しそうだね。


(どれにしようかな~)


 ……おおう、神輿が売店で食べ物を物色し始めた。

 さっき食べたでしょ!?



 ◇



 神様に自腹を切らせるのもあれなので、ハナちゃん通訳の元食べ物を購入。

 神輿はサンドイッチが食べたかったようなので、三人分お買い上げだ。


(おそなえもの~)

「さんどいっち、おいしいです~」


 神輿とハナちゃん、サンドイッチをもきゅもきゅと頬ばる。

 ハナちゃんにこにこ笑顔、神輿ぴっかぴかでほんわかするね。


「たまごさんど、ごちそうです~」

(おいし~)


 特にたまごサンドが気に入ったようで、ハナちゃんお耳がぴっこぴこだ。

 神輿はポテサラサンドがお好きな模様。

 俺も二人に混じって、もぐもぐとサンドイッチを食べる。


「平和だねえ」

「あい~」

(のんびり~)


 三人でベンチに座り、飛行機を眺めながら楽しく間食。

 まあこういうのも、良いよね。


「が、我慢ですよみなさん。今日は水着を着るのですから」

「おいしそうだわ~」

「でも、たべたらおにくが」

「ふるえる」


 そしてあっちのほうでは、ユキちゃんが女子エルフたちを止めていた。

 誘惑に負けそうな女子エルフたちだけど、なんとか踏みとどまっている。

 でも、せっかくの旅行なのに食べたいものを我慢するのは、ちょっとあれかなあ……。


 こんな機会はあまりないのだから、食べちゃえば良いのではと思う。

 どのみち、深夜のラーメン暴食で手遅れなわけだし。

 ちょこっと、背中を押してみようか。


「そこな女子のみなさま。耳寄りなお話がありますよ」

「みみよりな、おはなし?」

「なにかしら?」

「きいてみましょう」


 女子エルフたちに声をかけると、みなさんすすすっとこっちにやってきた。

 まず艦隊を一か所に集める。悪魔の囁き戦術の基本だね。

 では、そそのかしミサイル――発射!


「沖縄についたら思いっきり泳ぐので、食べた分は――チャラになるのでは」

「「「――!」」」


 ぽつりと、まさに悪魔の囁きをしてみる。

 すると――。


「――ゆうきもらった!」

「これください!」

「わたしはこっちを!」

「そうよね~。およぐんだものね~」


 女子エルフたちの防壁があっさり決壊。

 みなさん五百円玉を握りしめて、サンドイッチの売店に群がる。

 あんまりに薄い防壁だったというか、ほぼ紙のようなだいえっとしなきゃ装甲。

 無いも同然だったでござるよ。


「おいしいわ~」

「たまごがふわふわとか、すてき」

「ごちそうよね!」


 やがて幸せそうな顔で、サンドイッチを大事そうに両手で抱え、もくもくと食べる女子エルフのみなさん。

 こうして、だいえっと艦隊は……はかなく散ったのだった。


「あ、ああああ……最悪の事態に」


 そしてなすすべも無く、堕ちていく女子エルフたちを眺めるユキ先生。

 すまぬ……すまぬ……。

 でもまあ、せっかくの旅行だからね。だいえっとは後でやればいいのですよ。多分。


 とまあだいえっと艦隊を壊滅させたり、ハナちゃんや神輿とのんびりすごしたり。

 そうしているうちに、良い時間になった。

 そろそろ搭乗時間かな?


『ご登場の案内を致します。にほん航空――』


 ちょうどいいタイミングで、搭乗アナウンスが始まった。

 それじゃあみんなで集まって、飛行機に乗りましょう!


「はいみなさん、いよいよ飛行機に搭乗します。後について来て下さい」

「「「はーい!」」」


 村人たちに声をかけて、集まって貰う。

 さてさて、全員そろっているね。

 では、搭乗口に並びましょう!


「こちらに並んで、チケットをかざしてから順番に乗り込みます。フェリーと同じですね」

「俺たちが先導して案内するから、大志たちは後詰めを頼む」

「わかった」


 親父たちがまず乗り込み、後続の村人たちを誘導する。

 俺たちは全員乗ったのを確かめてから、最後に搭乗だね。

 役割分担を決めて、いざ搭乗開始!


「じゃあ大志、先行くな」

「タイシ~、おさきにです~」

「機内でお待ちしてます」

「きんちょうするわ」


 親父たちが乗り込み、ハナちゃん一家が乗り込み。


「こっちにいけばいいのかな?」

「そうみたい」

「いくべ~」


 他のエルフたちもどしどし乗り込み。


「ギニャギニャ」

「クワワ~」

「ぎゃ~う」


 動物たちも、特に止められることも無く乗り込み。

 フクロイヌも海竜ちゃんも、当たり前のようにチケットをかざして乗り込んでいる。

 器用な動物たちだ。

 ちなみにペンギンちゃんは、フクロイヌのフクロから顔を出してキャッキャしていた。

 カンガルー状態だね。


「たのしみだね! たのしみ!」

「ひこうき~」

「き、きんちょうするさ~」


 それに続いて、妖精さんとドワーフちゃんたちも問題なく乗り込んでいった。

 偉い人ちゃんはずいぶん緊張していたけど、もう乗ってしまったからね。

 引き返せませんよお。


(のりもの~)


 そして神輿は、何故か俺の頭の上でぴこぴこしている。

 まあ……一緒に乗り込みましょうだね。


 そうして、全員問題なく飛行機に搭乗できた。

 ここで引っかかる要素は無いからね。

 後は、神様と俺、そしてユキちゃんが乗り込むだけ。

 さっさと乗り込んでしまおう。


「じゃあ神様とユキちゃん、一緒に搭乗しよう」

「はい」

(ひこうき~)


 ウキウキ気分で、飛行機に乗り込む。

 ボーディングブリッジを歩き、キャビンアテンダントさんにお辞儀されながら機内へ。

 エコノミークラスの座席をめざし、てくてく歩いて行く。


「自分たちの座席は……こっちかな?」

「タイシタイシ~、こっちです~」

「あ、みなさんもう座ってますね」


 座席を探しながら歩いていると、ハナちゃんが手を振ってお出迎えだ。

 窓際の席に座って、キャッキャしているね。


「これが、ひこうきのなかか~」

「バスをひろくしたかんじ」

「まどはちっちゃいのね」


 他のエルフたちも、やや緊張気味ながらも座席に大人しく座っている。

 しっかりシートベルトをしているあたり、偉いな。

 エルフたちは問題なさそうだけど、他の方々はどうだろう?


「こんなんが、ほんとうにとぶのさ~?」

「このいす、いいかんじさ~」

「なかはいがいと、ひろいさ~」


 しっぽドワーフちゃんたちも、椅子に座ってわきゃわきゃしていた。

 窓を覗き込んだり、椅子を倒したり戻したり。

 中の様子が珍しいのか、きょろきょろしている子もいるね。


「わわ、わきゃ~……けっこうたかいさ~」


 ちなみに偉い人ちゃんは、よりにもよって窓際だ。

 窓の外を眺めて、けっこうな地上高にぷるぷるしている。

 さらに間の悪いことに、エンジンと羽根がよく見える位置。


 ……飛行機の羽根は、飛行中にぐいんぐいん曲がるわけで。

 めっちゃしなるので、それを見て気絶しなければいいけど……。

 それとなく、偉い人ちゃんの様子をうかがうようにしよう。

 気絶してたら、起こしてあげないとね!


「ひろいね! でっかいね!」

「ふわふわ~」


 元気な声が聞こえた方を見ると、妖精さんたちの集団がはしゃいでいた。

 妖精さんたちはちいさいので、機内がとっても広く感じているようで。

 クッションとかを取り出して、ふわふわを堪能中だね。


「ギニャギニャ」

「クワックワ~」

「ぎゃう」


 そのすぐ側に座る動物たちも、特におびえる様子も無くくつろいでいた。

 シートベルトもちゃんとしていて、わかってらっしゃる。

 ……一体どうやってシートベルトを付けたのかは、わからないけど……。


 とまあ、おおむね問題なく席に座れたようで。

 ここまでは大丈夫だね。

 あとはしばらく待っていれば、タキシングが始まる。


「タイシタイシ~、こっちすわるです~」

「真ん中の座席にどうぞ」


 窓際の三列席では、ハナちゃんが手を振ってとなりの座席にお誘いだ。

 真ん中が俺で、通路側がユキちゃん。

 両手に花の座席だね。


(たのしみ~)


 神輿も自分の席に向かっていき、ぽふっと座る。

 それじゃあ、俺も座席に座って待つこととしよう。


 もうすぐ、もうすぐ羽田を出発して空の旅だ。

 さて、みんなは離陸する瞬間の、「ふわぁっ」に耐えられるのか。

 その前の加速もなかなかの恐怖ポイントだけど、大丈夫なのか。


 色々心配なところはあるものの、あとはなるようにしかならない。

 みなさん、もうすぐ離陸ですよお。

 空を、飛んじゃうんですよお。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ