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エルフのハナちゃん  作者: Wilco
第十九章 エルフ旅行
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第六話 消防団、始動!


「と言うわけでみなさん、明日すっごい台風がやってまいります」

「たいへんです~!」

「たんぼ! たんぼがしんぱいだべ!」

「たいさくしなきゃ!」


 さっそく集会場で台風襲来を告げると、エルフのみなさん大慌てだ。

 去年台風は経験しているから、どんなものかは理解しているからね。


「たいふうのあいだは、いったんひなんするね! ひなん!」

「みずうみで、のんびりすごしましょ~」

「おだんごつくってるね! おだんご!」


 妖精さんたちは、湖畔リゾートへ自主避難だね。

 三千人くらいいらっさるから、まあそれが一番か。


「おっきなあらし、くるみたいさ~」

「たいへんさ~」

「クワ~」


 そして台風を経験したことの無いドワーフィンの方々は、訳も分からずきょろきょろしている。

 みなさんには、昨日撮影された台風の様子をご覧頂こう。


「はい注目。今こちらに向かっている台風とはどんなものか、説明するよ」


 おなじみのプロジェクターと、おなじみのスクリーン。

 今回はこれを使って、台風勉強会だね。


「わきゃ? これはなにさ~?」

「これはね、目に見えている出来事を写し取って、後からまた見られるようにする道具だよ」

「なんだか、すごそうさ~」


 まだちたま文明機械のことを、あまり知らないドワーフちゃん。

 興味津々でスクリーンを見上げる。まあこの辺は、見てもらった方が早いね。

 それじゃあノートPCで動画を再生して、西のほうでえらいことになっている映像を見てもらいましょう!


「はい、今から映すよ……。これは昨日実際に起きた出来事で、今も遠くで猛威を振るっているやつなんだ」


 動画を再生すると、大雨と強風でいろんなものが飛ばされる映像がスクリーンに映し出された。

 屋根がはがれたり車が水没したり、トラックが横倒しになったり。

 駐車場で、沢山の車が風で転がる映像も。

 電柱が倒れ電線が切れてしまい、高電圧の火花が散ったりする瞬間は、かなり怖い。


「うわ……。大志さんよくこんな映像集めましたね……」

「ちょっと検索したら、すっごい集まったんだ。しかも、どんどん動画は増えている」

「それだけ、ヤバいって事ですね……」

「そうだね。これはヤバいよ」


 ユキちゃんは、やや引き気味で映像を見つめていた。

 俺もちょっと引いている。相当ヤバい災害ってのが、良くわかるよ。

 ……正直、こんなんどうすりゃ良いのってレベルの大災害だ。

 さらにプロジェクターで投影されたそれは、大画面でド迫力!

 これ以上ないくらい、ヤバさを伝えてくれる衝撃映像でござるね。


 さてさて、これで台風がどんな物か、分かってくれたかな?


「……――」


 あれ? 反応がないぞ?


「大志さん、ドワーフさんたち……気絶してますよ?」

「目を開けたまま気絶……だと……!」


 どうやら、刺激が強すぎたようだ。

 しっぽドワーフちゃんやペンギンちゃん、目を開けたまま気絶してしまった。


「……――」

「――」


 おや? 他のみんなからの反応もない。

 ……まさか?


「同じく、エルフさんたちや妖精さんも気絶してますよ」

「去年台風経験してるのに……」


(……――)


 おまけに神輿も、ぽとりと落ちる。

 村人気絶祭りになっちゃったよ!?


 そんなにヤバイ映像なの? これは?



 ◇



「そんなわけで、家とかを補強するぞ」

「田んぼにも縄を張って、イネがなるべく倒伏しないように対策する予定です」


 気絶祭りから程なくして、高橋さんと親父も村にやってきた。

 この辺の準備があったから、午後からの来訪となったわけだ。

 それじゃあ、急いで準備を始めよう!


「あんまり時間が無いので、急ぎでやりましょう」

「わかったです~!」

「いそぐわよ~!」

「がんばんべ!」


 何をするかは決まっているので、あとは手分けするだけ。

 結束が高い村なので、みなさんいそいそと動き始める。


「動物たちは、大丈夫かな?」

「みんな、みずうみへいったです~」

「避難早いな!」


 こういうのに敏感そうな動物たちは、すでに避難を終えていた。

 行動が早いのは、助かる。


「ギニャ~」

「あれ? 君は残るの?」

「ギニャ」


 しかしフクロイヌは、集会場で待機するようだ。

 しっぽをふりふりして、こちらを見上げている。


「……まあ、心強い仲間が増えたって感じかな?」

「ギニャ」

「フクロイヌなら、なんとかなるです~」


 フクロイヌ一匹くらいなら、一緒に過ごしても問題は無い。

 残りたいようなので、この子の意思を尊重しよう。


「それじゃ、よろしく頼むね」

「ギニャ!」


 せっかくなので、フクロイヌをなでなでしてもふもふを堪能しておく。

 まあ、ピリピリしがちな待機任務の、緊張をほぐしてくれるのは間違いない。


「何かあったら、消防団まで連絡を。必ず一人は、集会場で待機しますので」


 俺がフクロイヌをもふもふしている間に、消防団長のヤナさんが緊急連絡先の告知を行った。

 それじゃあ、俺も仕事をしよう。まずは無線の貸出だね。


「各ご家庭にも無線を配りますので、何かあったらコールサイン『アルファ』を呼び出して下さい」

「むせんき! つかっていいの?」

「ええ。遠慮なさらず、使って下さい」


 今回は世帯ごとに無線を配布する。

 とはいえ、腕グキさんちはハナちゃんのお家で過ごす。

 あと、ナノさんとその娘さんは他のお家で過ごすことになる。

 なので、全世帯に無線配布ではない。


「緊急事態の時は、『メーデー』の手順で通信をしてください」


 続けてヤナさんが、消防団員たちに緊急時の通信手順を再確認する。

 この辺はみんな練習してもらったけど、さすがにメーデーは使う機会はなかったからね。

 念を押す意味で確認するのは、良いことだ。


「応答があるまで、この緊急手順を続けて下さい。そしてメーデーを受信したら、その周波数はメーデーが解除されるまで専用となります」

「わかったじゃん!」

「まかせるのだ!」


 俺が説明するまでもなく、エルフ消防団員たちが手順を確認し、気合いを入れた。

 村を守ろうという意志が、伝わってくるね。


「わたしたちも、おてつだいしますぞ」

「こちらのしょうぼうだんかつどう、さんこうにしたいです」


 さらにあっちの森メンバーも参加だ。元族長さんと、団長さんだね。

 この二人は屈強なので、臨時とは言え隊員として申し分ない。

 大変に、ありがたい申し出だった。


「いやはや、人手が欲しいところでしたので、助かります」

「こういうときは、たすけあいですからな」

「こちらもおせわになっていますので、これくらいはおてつだいさせてください」


 二人とも、胸をドン! と叩いて頼もしさアピールだ。

 ここは遠慮せず、お言葉に甘える方針で行く。

 とまあエルフたちはこれで体制が整ったので、お次は妖精さんたちだ。


「嵐がやんだら呼びに行くので、それまで湖畔リゾートで待機しててね」

「わかったよ! わかったよ!」

「おとなしく、してます~」

「きゃ~い」


 妖精さんたちも、これで大丈夫。エルフィン湖畔リゾートは、普通にお天気だからね。

 さて、これでエルフたちと妖精さんたちは大丈夫だ。


(わたしは~?)

「タイシ、かみさまはどうするです?」


 謎の声から、自分はどうするか問い合わせがあった。

 ……集会場で待機かな?


「ひとまず、集会場で待機をお願いしたいです」

(いいとも~)

「それで、いいみたいです~」


 ほよほよと神輿が神棚へ飛んでいき、駐車。

 神輿から出た光の玉は、ゆるゆると神社へ入っていった。これで神様も大丈夫だ。

 あとは……ドワーフちゃんたちだね。


「みんなは、どうしたい? こちらとしては、妖精さんたちと一緒に湖畔で待機していて欲しいかな?」

「だいたいは、そうするさ~」


 ん? 「大体は」そうする?

 どう言うことかな?


「大体はそうするって、何かな?」

「うちらも、みまわりをてつだうさ~」

「おうちもしんぱいだから、ようすはかくにんしたいさ~」

「おとなのうち、なんにんかは、しょうぼうだんにさんかするさ~」


 どうやら大人を選抜して、消防団活動に参加したいようだ。

 正直ちょっと心配だけど、大丈夫かな?


「風も雨も凄いけど、大丈夫?」

「うちらのところも、わりとあらしはあったさ~」

「おんなじこと、してたさ~」

「およぎはとくいだから、だいじょうぶさ~」


 リーダー格のお母さんドワーフちゃんを始め、何人かの大人たちがそう言った。

 おそらく、この方々が選抜メンバーになるかな?

 ……念のためライフジャケットを身につけて貰えば、大丈夫か。

 それに身代わり地蔵にも登録してあるから、何かがあっても体は大丈夫だ。

 彼女たちの意志を尊重して、参加して貰おう。


「わかった。ご協力感謝します」

「まかせるさ~」

「むらを、みんなのちからでまもるさ~」

「わきゃ~!」


 提案を受け入れて貰えて気合いが入ったのか、しっぽをピン! と立てるみなさんだ。

 村を守る活動に参加したい。そんな意志が、伝わってくる。

 まあみんなちっちゃいので、可愛らしいのだけども。

 ひとまず、三人でチームを組んで貰って、無線を配布しよう。

 あと、無線の使い方も教えておかないといけないね。


「それじゃ、無線を配布するよ。使い方はこれから教えるね」

「わきゃ? むせんって、なにさ~?」

「その、くろいはこさ~?」

「なんのどうぐさ~?」


 無線と聞いて、何名かが首を傾げた。

 ドワーフィンにあるおとなりの湖へ挨拶に行った人以外は、初めて見たからね。

 この辺の説明も踏まえて、付け焼き刃だけど消防団訓練をしておこう。


「無線とかの説明も含めて、みんなにはちょっと消防団訓練をしてもらうよ」

「わかったさ~」

「がんばるさ~」


 ――こうして、台風対策本部が動き出した。


 その日はみんなで手分けして、雨戸に板を打ち付けたり、屋根を補強したり。

 倉庫のドアを封鎖したり、田んぼに縄を張ったりも。

 さらに妖精さんの暮らすミニチュアハウスを待避させたり、ドワーフちゃんのお家を補強したり等、色々対策を施した。


 思いつく限りの対策を行い、あとは備えるだけ。

 ……今年もまた、長い夜がやってきそうだ。



 ◇



 ――翌日、夕方。


「風が強くなってきましたね」


 集会場の窓に風が吹き付け、ガタピシ揺れる。

 そんな様子を見て取ったユキちゃん、耳をピンと立てて警戒した。

 ユキちゃんの言うとおり、そろそろ暴風圏に入る。


「予報通りだね。これから深夜にかけて、暴風圏に入るよ」

「タイシ、ハナたちもそろそろ、おうちかえったほうがいいです?」


 集会場で待機する人のために、ハナちゃんたちは夜食を作ってくれた。

 ギリギリまで残って、消防団活動を支えてくれている。

 でもそろそろ限界だね。


「そうだね。そろそろ避難した方が良いよ」

「わかったです~。おうちかえるです~」

「そうするわ~」

「みまわり、がんばってね」

「うちらも、ひなんするさ~」


 避難勧告を出すと、ハナちゃんたちはいそいそと帰宅の準備を始める。

 残って手伝いをしてくれたドワーフちゃん数名も、荷物をまとめ始めた。

 あとの事は、消防団にお任せ下さいだ。


「それじゃ、みんな気をつけてね」

「タイシもきをつけるです~」

「私もハナちゃんちにいますので、何かあったら連絡下さい」

「それじゃ、ひなんするさ~」


 やがて準備が整った人から、いそいそと避難を始めた。

 さあ、もうすぐ暴風圏だ。安全第一で、過ごそう。


「……今年のは去年と違って、かなり激しそうですね」


 ヤナさんも去年来た台風との違いを感じ取ったのか、やや不安げな様子だ。

 下手に過小評価しても危ないから、そのままを伝えよう。


「ええ。動画でお見せしたとおり、例年に無い強さで危険な台風です」

「……気をつけて、見回りしましょう」

「そうですね。安全第一です」


 警戒を強めるヤナさん、耳がピンとした。

 まあ、ずっと気を張っていても疲れるから、適度に休憩を挟んでね。


「しかし、たいきちゅうは、やっぱりヒマじゃん?」

「にほんごのべんきょう、しとくか?」

「だな」


 他の方々は適度に力を抜き、適度に緊張を保てているようだ。

 若干ピリピリしつつも、それぞれの時間を過ごし始めた。


「……やっぱりこれ、くっつくじゃん?」


 ……ひらがなマグネットを体にペタペタつけたマイスター、首を傾げる。

 相変わらずのビックリ人間だ。


「それがくっつくの、おまえだけなんだよな~」

「なんで、じしゃくがくっつくのか。おまえはおかしい」

「わけわからんのだ」


 他のみなさんも、マイスターに磁石がくっつく謎は分からないらしい。

 変な草とか食べているからじゃない?

 エルフ酒とかを飲んでも、たまに光るし。


 でもまあ、マイスターの変な芸のおかげで、緊張はほぐれた。

 この調子で、台風を乗り切ろう!



 ◇



 だんだん、だんだん風と雨が強くなってくる。

 集会場の縁側にある大きなガラス窓は、板が打ち付けられていて外が見えない。

 しかし、打ち付ける雨と風は激しい。

 まるでアナログテレビの砂嵐みたいな音が、集会場に響き渡る。


「これ、おれらのところのおおあめくらい、すごくね?」

「こっちでも、こんなあめがふるんだな」

「はげしいのだ」

「ギニャ」


 消防団員たちも、いつになく強い雨と風に緊張を高める。

 ……そろそろ、見回りを始めようか。


「ではみなさん、見回りを始めましょう。必ず三人一組で行動してください」

「おう」

「まかせるのだ」


 とはいえ、今回は対策が必要だ。

 チームを組む時は必ず、俺、親父、高橋さんがメンバーに含まれるようにしている。

 三人とも頑丈でさらに力が強いので、大体の事態に対処可能だからだ。


 というか俺たちなら、竜巻に突撃しても無傷で帰ってこられる。

 見回り要員兼、護衛って感じだね。

 ひとまずこの体制で運営して、嵐が治まったらまた考えよう。


 それじゃ、まずは俺が最初に見回りをするかな。

 一緒に見回る相手は……ヤナさんとお母さんドワーフちゃんだ。

 とりあえずこの三人でいったん様子を見て、後続メンバーの運用に対する叩き台としよう。


「では、見回りに行きましょう。ヤナさん、お母さん、お願いします」

「分かりました!」

「じゅんびは、できてるさ~!」


 二人とも準備万端な様子で、立ち上がった。

 この気合いみなぎる二人と共に、集会場を出る。

 すると――。


「――うっわ! かなりの風と雨ですね!」

「これは、大変そうです!」

「わきゃ~! なかなかすごいさ~!」


 集会場の外に出た途端、のけぞるような風と当たると痛い雨が俺たちを襲う。

 こりゃあ、予想以上だ!

 ……でも、怯んでいてもしょうが無い。行動しないと。


「ではまず、住宅から見て回りましょう!」

「分かりました!」

「いくさ~!」


 気合いを入れて、各家庭の見回りを開始する。

 対策が功を奏しているのか、特に何かが起きている様子は見受けられなかった。


「こっちは大丈夫そうですね!」

「ええ! 問題ありません!」

「よかったさ~!」


 住宅の無事を確認したら、次はすぐさま畑を確認だ。

 野菜がたくさん育っているだけに、気になるところではある。


「では次は野菜畑ですね!」

「ええ!」

「たべもの、だいじさ~!」


 そして野菜畑へ到着。見た感じは……多少、被害が出ているな。

 トマトやナスが、落っこちている。ただ、これ位なら普段でもあることだ。

 落ちてしまったお野菜は、持って帰ろう。

 もう食べられるやつだから、台風でどこかに飛ばされたらもったいない。


 そうして野菜を拾って、野菜畑の見回りは終了だ。

 今のところ、被害は軽微ってことろかな。

 じゃあ次は、田んぼだ。ここがやられたら、めっちゃ困る。

 小まめに確認しておきたいところだ。


 ――――。


 そうして田んぼや温泉施設、宿泊施設なども巡回した。

 どこも被害は出ておらず、ほっと胸をなで下ろす。

 あとは、エルフの森とドワーフの湖を確認すればひとまず終了だ。


「では、森の方を見ましょう」

「はい!」


 いそいそとエルフの森まで移動すると――。


「――ぴっぴ~」

「ぴぴ~!」

「ぴぴぴぴ~」


 ……ワサビちゃんたちが、台風の中でも元気に水泳大会をしていた。

 というか、大雨が降ってとっても喜んでいる。


「ぴち~、ぴちぴち」

「ぴち」

「ぴちぴち」


 しかも、毎月蒔いていた種から――芽ワサビちゃんが、発芽しまくっている。

 ワサビちゃん水耕栽培場だけ、天の恵みに大盛り上がりって感じだ。


「ぴち」

「ぴぴ~」

「ぴち~」

「ぴっぴぴ~」


 芽ワサビちゃんが発芽するたびに、大人ワサビちゃんがぴっぴと喜ぶ。

 このすごい状況でもへっちゃらなこの植物? たち。

 ほんとたくましいでござる……。


「……ワサビちゃんたちは、大丈夫そうですね」

「むしろ、喜んでますね……」

「わきゃ~……へんないきものさ~」


 ヤナさんもお母さんドワーフちゃんも、その様子を見て反応に困っている。

 あれだ……この状況でも、めでたいことはあるんだなって思えば良いかな?

 ワサビちゃんたちには、台風パワーも天からの恵みなのだ。


 台風は天災でもあり、恵みでもある。

 ワサビちゃんのように上手く付き合っていければ、理想なんだけどね。

 まあ、ちょっとは手加減して下さいって感じだ。


「ここは大丈夫そうなので、次に行きますか」

「そうしましょう」

「そうするさ~」


 そしてまた、次の場所へと向かう。

 エルフの森は、相変わらず雷を吸収して幾何学きかがく模様を描き。

 電きのこの収穫が楽しみな感じだった。


「お花畑も、問題なしですね」

「というか、ここから下は水が流れてませんね」

「ふしぎさ~」


 続けて妖精さんのお花畑も確認したが、大雨を受けて花が咲き誇っていた。

 それにこのお花畑も、水があったらあるだけ吸収するようで。

 食いしん坊なのは間違いないね。

 

 しかし……エルフの森と妖精さんのお花畑のおかげで、水害は起きそうにない。

 これは本当に、ありがたいことだ。


 とまあおおむね問題が無い事を確認して、最後にドワーフの湖へと向かうことに。

 ただ、移動手段をどうするかが問題で……。


「船は使えませんよね」


 ドワーフの湖から村までは、いつも船で移動していた。

 わさわさちゃんが伸ばしてくれた川を使えば、すぐに到着なんだけど……まあ無理だろう。


「この雨と風ですからね……」


 ヤナさんも同意見のようで、ちょっとお困り顔だ。

 この豪雨と風では、川が氾濫はんらんしていないはずがな――。


「わきゃ~? かわは、しずかなものさ~?」


 ――い?


「これなら、ふねがつかえるさ~!」


 ……どゆこと?


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