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エルフのハナちゃん  作者: Wilco
第十六章 当たり前すぎて、気づかなかったこと
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第十二話 見回りしましょう


「おいしかったさ~」

「まんぞくさ~」

「ごちそう、たくさんたべたさ~」


 納豆ごはんやら味噌汁やらで、しっぽちゃんたちはお腹いっぱいになったようだ。

 まだまだ料理はあるのだけれど、ちょっと一休みだね。


「ぽかぽか、あったかいさ~」

「のんびりさ~」

「あったまるさ~」


 お腹が膨れたしっぽちゃんたち、のびのびとくつろぎ始めた。

 ぽかぽかお天道様に照らされて、たれパ○ダのように軟体化だ。

 それなりにちいさなしっぽちゃんたちがくつろぐ姿は、可愛らしい。


「大志さん、みんなうとうとし始めちゃいましたね」

「ゆっくりして貰おう」

「のんびりです~」


 みんな祭り開始早々、のんびりした雰囲気だ。

 ゆる~い方々である。

 それじゃあ、しっぽちゃんたちにこの後のイベントを伝えて、俺は他を回ろう。


「みんなゆっくりしていてね。もうしばらく後だけど、お料理して出来立てを食べる催しもするから。

「ハナ、がんばっておりょうりするです~」

「私も美味しいお料理作りますよ」


 祭り前半は出来合料理中心で、後半は現地で料理した物が中心だ。

 焼きたて出来立ての、熱々の料理を楽しんで貰いたい。


「味噌に漬け込んだお魚も焼いたりするから、楽しみにしていてね」

「わきゃ~! たのしみさ~!」

「きたい、たかまるさ~!」

「わきゃ~! わきゃ~!」


 しっぽちゃんたち、期待が爆発しているのか、ぱったぱったとしっぽを振る。

 ご期待にそえられるよう、こっちも頑張りましょうかね。

 では、他のグループも見て回ろう。


「それじゃ、自分は他の人たちを見てくるね」

「いってらっしゃいさ~」

「いってくるです~」

「ごゆっくり」


 しっぽちゃんグループに見送られながら、移動を開始する。

 お次は、エルフたちの所かな……ん?

 身長三十センチくらいのちいさな子が、俺のズボンの裾を掴んでいるね。

 どうしたのかな?


「きみ、どうしたの?」

「……う、うちもいっしょに、いっていいさ~?」


 ちょっとおずおずしながらも、こちらを見上げて聞いてきた。

 もちろん大歓迎だね! 積極的で大変よろしい。


「ぜひとも、一緒に来て欲しいな。のんびり楽しく、一緒に見て回ろう」

「わきゃ~! ありがとさ~!」


 わきゃきゃっと喜ぶ、ちいさなしっぽちゃんだ。


「うちも、きょうみあるさ~? いっしょにいくさ~?」

「かあちゃもいっしょに、いくさ~!」


 そんなちいさなしっぽちゃんを見て、どうやらお母さんも付いてくるようだ。

 もちろん、一緒に見回りしましょうだね。


「なかま、ふえたです~」

「一緒に行こうね」

「よろしくさ~」

「あいさつ、してくるさ~」


 こうして新たな仲間も加え、お祭りの見回り第二弾開始だ。

 お次はエルフ軍団のところへと向かいましょう!



 ◇



「これ、やばいほどうまくね?」

「まじで?」

「うわ、まじでうまいぞこれ」

「このお酒、ほんとにヤバイですね」


 エルフ軍団の所へ赴くと、なんだかお酒を飲んでいる一団がいた。

 マイスター、メカ好きさん、マッチョさんとヤナさんだ。

 彼らの飲んでいるお酒は……マーブル蛍光色の、見た目が極めてアレなやつである。

 そんなお酒、俺は知らないぞ?


「みなさん、それって何ですか?」

「自作の果実酒ですね。ほら、焼酎に果物をつけ込むと良いって言っていた、アレです」

「みんなで、つくってみたのだ」

「さむくなるまえから、しこんでたじゃん?」


 エルフ特製、果実酒か。どうやらずいぶん前から仕込んでいたようだ。

 一体どんな果実をつけ込んだのだろう?


「これ、なんの果実で作ったのですか?」

「あの、とろけるように美味しいやつと、ほかに何種類かですよ。ほらこれです」


 ヤナさんが瓶を持ち上げて見せてくれたけど、正直よく見えない。

 それほど、どぎつい蛍光マーブル色をしている……。

 かなりサイケデリックな液体だ……。

 唐草模様ちゃんと、ほかに何種類かの果物を漬け込むだけで、なぜこんなにサイケになるんだろうか……。


「果物を何種類か組み合わせて、ほかにお花の蜜をしこたま入れました。組み合わせは結構、工夫しましたよ」

「さようで」


 ヤナさんがニカっと自慢げな顔をしたのだけど、こっちはドン引きである。


「わきゃ? これっておさけさ~?」

「みため、かなりふしぎさ~?」


 しっぽちゃん親子は、興味津々でこの液体を見ている。

 こどもしっぽちゃんは、お母さんに肩車されているね。

 ちいさいから、こうでもしないとテーブルの上が見えないか。


「タイシ~、このおさけ、よなかにひかってたです?」

「さ、さようで……」

「うわあ……」


 そしてハナちゃんから衝撃情報が。……どうやら光るらしい。

 ユキちゃんもそれを聞いて、さすがに「うわあ」と引いていた。

 ちたま的には、光るやつは色々と危ないやつだからね。


「このいろって、そんなにだめかな?」

「おれらてきには、おいしそうないろじゃん?」

「しょくよく、そそるよな?」


 しかし俺たちの反応を見て、メカ好きさんもマイスターも、マッチョさんも首を傾げる。


「まあタイシさん的にはなじみが無いでしょうけど、美味しいですよこれ。お勧めです」


 ヤナさんは、ちたまではこの色の食品になじみが無いと、理解があるようだ。

 でも、お勧めはしてくる。かなり自信がある顔だ。

 ……このサイケリキュール、ホントに美味しいの?


「どんな味がするのですか?」

「甘シャキ! そのあとふんわり? って感じですね」

「それそれ」

「まさにそれ」


 ヤナさんが味を教えてくれた。

 マッチョさんとメカ好きさんも、その表現で良いらしいようで、うんうんと頷いている。

 ただ申し訳ないのだけど、正直良くわからない。

 どんな味か、全く伝わってこないわけでして。

 エルフ文化というのは、わりと意思疎通が難しいところがあるね。


「飲んでみるのが一番ですね。ささ! どうぞどうぞ!」

「ええ……?」


 文化交流の難しさを実感していたところで、ヤナさんがトクトクとデンジャーリキッドをグラスに注いでいる。

 ……それを飲めと言うのですか?


「まずはお試しで、これくらいで」


 そして、一口分くらいが注がれたグラスを手渡してくれる。

 ……これも文化交流だ。


 ――腹をくくりましょう!


「では! ありがたく頂きます!」

「どうぞどうぞ!」

「ぐいっと! ぐいっといくのがおすすめ!」

「いっちょガツンといくじゃん!」


 ヤナさんが煽り、マッチョさんも煽り、マイスターも煽る。

 ブレーキ役がいないまま、半ばノリだけでサイケデリックアルコールをぐいっと呷る。


 ――うわあ! これ美味いぞおおおおおお!



 ◇



「確かに甘シャキ! そのあとふんわり? 味でしたね」

「でしょでしょ?」


 エルフ特製マーブルリキュールは、言うとおり美味しかった。

 ヤナさんも自慢げに、ちびちびと味を楽しんでいる。


 このお酒の味はと言うと……。

 最初は蜜のキャラメルっぽい甘さとカスタードっぽい甘さがが口に広がり、「甘」となる。

 次に、ブドウ、マンゴー、ビワ等の複雑な果実系の味が「シャキ!」と口の中を爽やかにさせる。

 そのあと焼酎のアルコールが、ピーチリキュールのような風味に包み込まれ、ふんわりとした後味を残す。

 そんな不思議なお酒であった。


「おれたち、すげえおさけをつくってしまった……」

「たくさんつくろう!」

「いいじゃんいいじゃん!」


 マッチョさん、メカ好きさん、マイスターがめっちゃはしゃいでいる。

 まあこれ、確かに製法は簡単なのに、効果は絶大だね。

 そしてこれ、売れる。見た目はどうあれ、味が分かってしまえば売れる。


「……大志さん、また子猫亭に持ち込む気ですよね?」

「バレバレかな?」

「わるいおとなのかお、してたです~」

「わきゃ?」


 どうやら、顔に出ていたようだ。ユキちゃんには俺がどうするかバレバレで、ハナちゃんも不穏な空気を感じ取っていた。

 ちいさなしっぽちゃんは、まだこのノリは分かっていないようだけど。

 いずれ、この村のノリに付いてこれるようになると良いな。


 とまあ、しっぽちゃんたちをエルフのノリに染めるのはまた今度にして。

 今はみんなの様子を確認しないとね。


「そうそうみなさん、お料理はどうですか?」

「まだ時間は早いので、ちまちま食べてますね」


 ヤナさんの言うとおり、確かにみんな抑えめだ。

 ポテチをわいわいと摘まんだり、エビフライをキャッキャとかじったり。

 そしてポテチや燻製をおつまみに、お酒をちびちびと飲んだり。

 まだまだ、本気を出して食べていないね。


「おひるすぎたら、おりょうりもあるので」

「おつまみを、しょうしょうってかんじだわ~」

「まだまだ、はじまったばかりなの」

「ハナも、たくさんつくるです~」


 カナさんが気合いを入れて、腕グキさんはケガしないように気をつけていて。

 ナノさんもハナちゃんも、自分たちの出番を待っているようだね。

 エルフたちは、今は力を蓄えているわけだ。

 後半に大爆発するため、雌伏の時だね。


「わきゃ? これってもしかして、ほくほくしたやつさ~?」


 そんな奥様方を見て、こどもしっぽちゃんが何かを指さした。

 ……カナさんが食べている、ポテチかな?


「これのことだったら、じゃがいもを薄切りにして揚げたやつだよ」

「わきゃ~! やっぱりさ~!」

「こういうの、うちらはおやつでよくたべてたさ~」


 ポテチを教えてあげると、しっぽちゃん親子がわきゃわきゃとはしゃぎ始めた。

 どうやら、おやつでよく食べていたらしい。

 多分、ほくほく根っことやらをスライスして揚げていたんだろうな。

 じゃがいも大好きな彼らだから、ポテチもお口に合うだろう。

 おやつとして、食べて貰おうかな?


「それなら、遠慮せずにこちらもどうぞ」


 お皿にポテチを取り分けて、しっぽちゃんたちに渡してあげる。

 

「わきゃ~! ありがとさ~!」

「このおやつ、ひさしぶりさ~!」


 ポテチを受け取ったしっぽちゃん親子は、もうわっきゃわきゃでポテチを食べ始めた。

 ……これ、しっぽちゃんたちには、じゃがいも料理が鉄板でウケそうだな。


「……ユキちゃん、午後のお料理大会では、じゃがいも料理を追加してみようか」

「今ある材料ですと、粉ふきいもとかジャーマンポテトとか、肉じゃがとかなら出来ますね」

「それは良い。俺も手伝うから、献立を増やしてみよう」

「はい。そうしましょう」

「ハナも、おてつだいするです~」


 ポテチに喜ぶしっぽちゃんたちを見て、急遽献立を追加だ。

 せっかくだから、ちたまのじゃがいも料理、堪能して貰おう。


「おいもがすきなら、これもどうかしら~?」

「わきゃ~!」

「こっちもおすすめなの」

「わきゃ~! わきゃ~!」


 そうしてユキちゃんと献立追加を決定しているうちに、しっぽちゃん親子がどんどん餌付けされていく……。

 腕グキさんはフライドポテトを食べさせてあげていて、ナノさんはそこにケチャップをつけてあげているね。

 しっぽちゃん親子、ポテチを食べたりフライドポテトを食べたり、大忙しだ。


「これはたくさんあるから、他のみんなにもお勧めしてあげてね」

「わかったさ~」

「みんな、よろこぶさ~」


 ぱったぱったとしっぽを振って、わきゃわきゃと喜ぶしっぽちゃん親子だ。

 確かにこれは、餌付けしたくなるね。ちいさくて可愛らしい。


 さて、そろそろ次のグループに行くか。

 妖精さんグループはどうしているか、見てこよう。


「それじゃ、そろそろ次に行こう。妖精さんたちのところだね」

「そうですね。エルフさんたちは、大丈夫そうですから」

「ようせいさんのところへ、いくです~」

「わきゃ~」


 ということで、お次は妖精さんだ。

 桜の木に集まっているから、そっちに行ってみよう。



 ◇



「きゃい~」

「きゃい~、きゃい~」


 ……妙に数が多い。

 たくさん桜が生えている一角には、大勢の妖精さんがきゃいきゃいとはしゃいでいた。


「ユキちゃん、妖精さんの数、なんか多くない?」

「どしどし来ていますから、増えてはいると思います」

「にぎやかです~」


 まあ、確かにユキちゃんの言うとおり、どしどし村に来ているからね。

 四百人くらい来ていたって、不思議じゃあない。

 大勢来たって問題ないので、どしどしお越し下さいだね。


「タイシさんきた! おだんごたべて! おだんご!」

「しっぱいしたやつ~……」


 たくさんの妖精さんを眺めていたら、サクラちゃんとイトカワちゃんがお団子をお勧めしてきた。

 ……イトカワちゃんのお団子は、見事な小惑星形状だった。

 しかもよりにもよって、黒ごまをつかったごま団子。

 サンプルリターン出来そうなほどの、再現度だ。


 というわけで、サンプルリターンしてみよう!


「二人ともありがと。さっそく頂くね」

「どうぞ! どうぞ!」

「いつもしっぱいしてるわけじゃないよ! たま~にするだけ!」


 イトカワちゃんのたまに失敗アピールは聞き流して、お団子を受け取る。

 サクラちゃんのお団子は……ふわもちお団子だね。

 外側は、求肥(ぎゅうひ)みたいなふわふわもちもちで、中身は……チョコレートクリームと、キャラメル味の花の蜜だ。

 これは美味しい。お店で売れる。


「これ、美味しいね! さすがお団子職人だ」

「ほめられちゃった! ほめられちゃった!」


 サクラちゃん大喜びで、きゃいきゃいと白い粒子を出した。

 それじゃあ次は、二五一四三番小惑星(イトカワ)だ。いざ、サンプルリターン!


 ――おお! ごま団子風味だけど、中身の餡に果物が混ぜられている!

 甘酸っぱくて、イチゴ大福みたい!

 ごま団子なのにイチゴ大福、これは意外性があって美味しい!


「これもなかなか良いね! 発想が新しい!」

「よそうがいにうけた! うけちゃった!」


 おいいい! 予想外って!

 イトカワちゃん、ダメ元でお勧めしたの!?



 ◇



「あ、ホントですね。これは新しい」

「このおかし、おいしいです~!」

「きゃい~! またまたよそうがい! よそうがいにうけちゃった!」


 イトカワちゃんのイチゴごま団子は、イトカワちゃんの予想外にウケた。

 前衛芸術家として、これからも頑張って欲しい。


「このあいだは、たすかったさ~」

「ありがとさ~」

「どうしたしまして! どういたしまして!」

「きゃい~」


 そんな小惑星団子を食べながら、しっぽちゃんたちは妖精さんたちに、ペコペコとお礼をしている。

 真夜中に受け入れ作業をしてくれて、色々良くしてくれたみたいだからね。

 こっちも大変助かった。

 そのお礼も込めて、今日はウイスキーボンボンを大量投入してある。

 妖精さんたち、遠慮無く食べて下さいだね。


「これ、おさけがはいってておいしいね! おいしいね!」

「ともだちにも、おしえてあげよ! おしえてあげよ!」

「なかなかの、おてまえ~」


 今ウイスキーボンボンに群がっているのは、お花の服を着た妖精さんだ。

 ということは、村の外から来た子っぽいね。

 ごきげんでウイスキーボンボンをかじっている。

 友達に教えてあげるとか言っているから、こっちからもお願いしておこうか。


「みんな、お友達に教えてあげてね。あと、お土産に持って行っても良いよ」

「ほんと! ほんと!」

「ありがと! ありがと!」

「ひろめちゃうよ! ひろめちゃうよ!」


 お土産に持って行って良いというのが効いたのか、みんなきゃいっきゃいだ。

 白い粒子が眩しい。

 甘い物大好きな妖精さんたち、元気いっぱいだね。


「わきゃ? これもおさけさ~?」

「おさけのにおい、しないさ~?」


 そして妖精さんたちがご機嫌で食べているウイスキーボンボンを見て、しっぽちゃん親子が首を傾げた。

 まあ、チョコレートにブランデーが封入してあるから、お酒の匂いはしないね。

 ただ、一口食べたらわかるはずだ。

 ちょっと食べて貰おうかな?

 ウイスキーボンボン程度なら、ちいさなしっぽちゃんたちでも問題ないだろうし。


「二人とも、ちょっと食べてみる? 甘くて美味しいお菓子だよ」

「そうするさ~」

「いただきますさ~」


 俺にお勧めされるがまま、しっぽちゃん親子がウイスキーボンボンを一口食べる。

 すると――。


「わきゃ! これ、これはおいしいさ~!」

「おさけ、ちゃんとはいってるさ~!」


 ――それはもう、ご機嫌になった。

 わきゃわきゃとウイスキーボンボンを口に放り込んで、しっぽをぱたぱた振る。

 これもお口に合ったようだけど……なんか、目の色が違う。

 納豆やポテチを食べていた時とは、眼力が違うのだ。


「これ、そんなに気に入ったの?」

「これは、すばらしいさ~!」

「おさけがはいったおかし、うまれてはじめてたべたさ~!」


 どうやら、お酒が入ったお菓子は新鮮だったようだ。

 とんでもなく気に入ってしまったようで、二人ともウイスキーボンボンに夢中になってしまった。

 でも、あんまり食べ過ぎると酔っ払っちゃうよね。

 ほどほどにしてもらおう。


「これはお酒だから、量はほどほどにね」

「わかったさ~」

「こどもは、これくらいにしとくさ~」


 素直に聞き入れてくれたようで、食べる速度は抑えめになった。

 まあ、たくさんあるのでぼちぼちとお楽しみ下さいだ。

 短時間に一気に食べなければ、問題はないからね。


「わきゃ~」

「おさけのおかし、いいものさ~」


 そうしてウイスキーボンボンを楽しむしっぽちゃん親子を、のんびりと眺める。

 ずいぶんとリラックスした様子になってきたので、祭りの雰囲気にも慣れてきたかな?

 この調子で、村に溶け込んでいって欲しいね。


 さて、しっぽちゃん親子にはこのまま楽しんで貰うとして、俺は他の妖精さんたちに声をかけてこようかな?

 遊びに来たお客さんもたくさんいるみたいだから、俺の顔は覚えて貰わないとね。

 村の責任者として、顔を覚えて貰うのは大事なお仕事だから。


 というわけで、お花の服を着た妖精さんたちを中心に、声をかけに行こうと歩き出したところ――。


「これがうわさのおだんご! うわさのおだんご!」


 ――もう一心不乱に、様々なちたまのお団子を食べている子を発見した。

 大福、ごま団子、マシュマロ、チョコレート、等々……。

 ありとあらゆるお菓子を、夢中になって食べている。

 とんでもない食いしん坊妖精さんが、そこにいた。


「ふしぎなおだんご、たくさんあるね! おいしいね!」


 白い粒子をきらめかせながら、お団子を食べる一人の妖精さん。

 次々にお団子が、この妖精さんに消費されていく。

 なんちゅう食欲だ。


 ……この子は一体、何者なんだろう?


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