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エルフのハナちゃん  作者: Wilco
第十五章 天空から見下ろす、大地の景色は
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第九話 それは……いずれ起きたこと


 風邪騒動が収まって。みんなでおやつ会をして。

 平和に日々は過ぎていた。


「あや~、きょうはすごいふぶきです~」

「こういう日は、じっとしているのが一番だよ」

「あい~」

「さすがにこの吹雪では、厳しいですよね」


 ハナちゃんの言うとおり、今日はものすごい吹雪だった。

 じっとしているのが良いというか、動けないというか。

 しょうがないので、集会場でのんびり日本語のお勉強だ。

 ユキちゃんも今日は自動車学校はお休みして、コースを覚えるのに専念だ。


「おだんごあるよ! おだんご!」

「たくさんたべてね! たべてね!」

「おいしいやつ~」


 集会場では妖精さんたちがお団子を量産して、訪れる人にふるまってくれている。

 とくに羽根を補修した妖精ちゃん、お団子製造の腕がめきめき上がっているね。

 くるくるぽんって感じで、お団子をすぐさま作ってくれる。

 俺たちは出来立て妖精和菓子を食べられるので、なかなか贅沢なひと時かも。


 ぽかぽかな室内で美味しいお菓子をつまみ、のんびりお勉強。

 ゆったりしたひと時。

 そうしてハナちゃんやユキちゃん、妖精さんたちとのんびり過ごしていた時の事――。


「ミュミュ~! ミュ~!」


 ――突然、ネコちゃんが窓を外から叩く。

 一体どうしたんだろう?


「ネコちゃんどうしたの? 今窓を開けるから」

「ミュ~ン!」

「あや! なんだかあわててるです?」

「何かあったのですかね?」


 窓を開けてあげると、ネコちゃんが飛び込んできて、俺たちの周りをくるくる走り回る。

 よくよく見れば、首になにかをぶら下げているな。

 これは……。


「これはネコちゃん便か。こっちからは飛ばしていないから、あっちの森に待機してた子だね」

「ミュン! ミュン!」

「タイシ、なんか急いでるみたいです?」


 どうもネコちゃんお急ぎみたい。……これは、緊急連絡の可能性があるな。

 あっちの森で、なにかあったのかも。


「伝言を聞いてみよう」

「あい」

「ミュン!」

「では、再生します」


 ネコちゃんの荷物から、ユキちゃんがICレコーダーを取り出して再生した。

 そこに録音されていたメッセージはというと……。


『こどもがねつをだしてしまいまして、ヤナさんのおくすりがほしいです! おねがいします!』


 という伝言が入っていた。

 ――急患か!


「ねつがでちゃったの? でちゃったの?」

「たいへん! たいへん!」

「おくすり、もうないの~」


 それを聞いた妖精さんたち、慌てだす。

 味をなんとかしたお薬は、製造に手間がかかるため在庫がない。

 村では風邪騒ぎが収束したので、油断していた。

 まさか、外部から緊急で依頼があるとか。


 ……ただ、ヤナさんなら在庫を持っていたはずだ。お願いしてみよう。


「ハナちゃんとユキちゃんはここで待っていて。自分はヤナさんに聞いてくるから」

「あい!」

「わかりました!」


 すぐさま行動に移し、ヤナさんの所へ。今日は家で帳簿を付けているはずだ。

 そしてすぐさまハナちゃんちに到着し、要件を伝える。


「あっちの森に急患がでたようで、お薬が欲しいそうです」

「わかりました。味をなんとかする前のおくすりは、まだあります」

「では、それを急いで送りましょう」

「今よういします」


 ヤナさんはスタタっと走って家の奥に入って行き、一分ほどで戻ってくる。

 ……防寒装備を着ているね。あと、その手には例の薬が入っているとおぼしき、包み紙が。


「私もいっしょに行きます」

「わかりました。では、集会場へ行きましょう」

「はい」


 ヤナさんを連れて集会場に戻り、早速配送の準備をする。

 念のため途中経過や配送結果を知るために、ネコちゃんにアクションカムを取り付けだ。

 十一番のカメラがスタンバイ状態だね、これにしよう。


「ミュ~」

「ちょっとじっとしててね」


 ネコちゃんの首にカメラを取り付けて、録画ボタンを押す。

 そうして準備をしていると、騒ぎを聞きつけて人が集まってきた。


「どうしたの?」

「いそいでいるみたいじゃん?」

「おれたちに、てつだえることある?」

「なにかあったのかしら~?」

「みんな、あわててるけど」


 ステキさん、マイスター、マッチョさんに腕グキさん、そして……メカ好きさんだ。

 彼らに現状を説明するため、ICレコーダーの伝言を再生して聞かせる。


「こどもが、ねつをだしたんだ」

「このおくすりなら、すぐにきくじゃん?」

「はやく、おくってあげよう」

「それがいいわ~」

「あのおくすり、すごいもんな~」


 みなさん状況は理解出来たようで、意見は一致したね。

 それじゃ、早く送ってあげよう……ん?


「まって! まって!」


 羽根を補修した妖精ちゃんが、ぴこぴこっと飛んで俺の腕にとまった。

 どうしたのかな?


「どうしたのかな?」

「このおくすり、あじがやばいやつ? やばいやつ?」


 羽根を補修した妖精ちゃんが、俺の手のひらの上にある、例のお薬を指さして聞いてきた。

 ……まあそうだね。凄くアレな味がするお薬だ。

 ただし――かなり良く効く。


「そうだよ。味を何とかする前のやつだね」

「こどもだと、のむのいやがるよ? いやがるよ?」

「――あ」


 妖精ちゃんが指摘したけど、確かにそうだ。

 急患のために薬を送っても、嫌がって飲んでもらえない可能性がかなりある。

 ……それはまずいな。

 緊急でお薬を必要としている容態なのに、飲むのを嫌がったら。飲まなかったら。

 ちょっとこれは……よろしくない感じがする。


「あじをマシにしたほうがいいよ! いいよ!」

「のんでもらわなきゃ、いみない~」

「こねましょ! こねましょ!」


 緊急だけど、妖精さんたちはこれから何とかしてくれるようだ。

 ……無理はさせたくないけど、今は頼るしかない。

 背に腹は代えられない、という感じだ。


「……申し訳ないけど、お願いできるかな?」

「わかったよ! わかったよ!」

「おくすり、こねましょ~」

「まかせて! まかせて!」


 妖精さん達は快く受け入れてくれた。

 それじゃあ、気は進まないけど……こねてもらおう。


「では、これをお願い出来るかな? ……無理はしないでね。無理は」

「たいじょうぶだよ! もんだいないよ!」

「さっそく、こねましょ! こねましょ!」

「はじめるよ~。そーれっ!」


 お薬を渡すと、早速妖精さんたちは羽根をキラキラと輝かせ始める。


「あじをなんとか、しましょうね! しましょうね!」

「おくすりこねこね~」

「おいしくなーれっ!」


 見る間に色が変化していく、例の薬。


「ミュミュ?」


 ネコちゃんも、その様子が珍しいのか近づいて見つめている。

 三人がかりで羽根を(きら)めかせるのは、なかなか見られない光景だからね。


「もうちょっとこねるよ! こねるよ!」


 そして、羽根を補修した妖精ちゃん、かなり羽根が輝いている……。


 ――嫌な、予感が、する。


 これを放置したらいけない、そんな、直観。

 ――止めなければ!


「三人とも止めて! それ以上はダメだ!」

「きゃい?」


 丁度こね終わったのか、お薬は綺麗な色に変化して――。


「あえ?」

「今、いっしゅん……」

「すごく、明るく光った……?」


 ハナちゃん、ヤナさん、ユキちゃんも、目撃したようだ。

 羽根を補修した妖精ちゃんの、羽根の一部が――ストロボのように、光った。

 まるで、何かが焼き切れたような、そんな……輝き。


「きゃい?」


 そして羽根を補修した妖精ちゃん、「あれ?」という顔で、自分の羽根を見る。

 俺も、まわりの人も、同じ個所を見つめる。

 その、光った部分は。何かが焼き切れたような、そこからは。


「……あえ?」


 羽根を補修した妖精ちゃん、その羽根。光った部分から、ひらり。


 何かが――落ちた。


「あや? あややや?」

「きゃい?」


 みんなでぽかんと、その部分を見つめる。

 羽根を補修した妖精ちゃんの、きれいな羽根。

 しかし「その部分」には。


 ぽっかりとした穴が――空いていた。


「やっちった~」


 自分の羽根に穴が開いてしまったことを確認した、妖精ちゃん。

 羽根に穴の開いた妖精ちゃん、「てへっ」って感じでてへぺろした。


 …………。


 ――大変だー!


「あやー! はねにあながあいちゃったです~!」

「君それ大丈夫!? 痛くない!?」

「大志さん! これは大変なのでは!?」

「えらいこっちゃ~!」


 ハナちゃん大慌て! 俺も大慌て!

 周囲で見ていた人たちも、騒然となる。みんなでワーキャー大慌てだ。


「これ、やべえんじゃね?」

「はねにあながあくとか、ふるえる」

「おくすり! おくすりつくらなきゃだわ~!」

「どうしよう!? どうしよう!?」


 もう大慌てで、羽根に穴が開いた妖精ちゃんを、手当てしようとする。


「あながあいちゃった! あいちゃった!」

「だいじょうぶ!? だいじょうぶ!?」


 もちろん他の妖精さんたちも、きゃーきゃーと大慌てだ。

 羽根に穴の開いた妖精ちゃんの周りを、きゃーきゃーちこちこと走り回っている。

 ……あ、イトカワちゃんがこけた。


 とにかくもう、みんな大慌てだ。

 大事な大事な羽根に、穴が開いてしまったのだから。

 しかし、当人はというと……。


「だいじょうぶだよ! とくにいたくはないよ!」


 羽根に穴の開いた妖精ちゃんは、羽根をぴこぴこ動かして、しきりに大丈夫アピールをする。

 しかしこれ……結構な大きさの穴が、空いてしまったわけで。

 この場の全員、大丈夫じゃないと思っているわけで。


「それよりはやく、おくすりとどけてあげよ! あげよ!」

「あや! それもあったです~!」

「あ、そうだ。まずは薬を急いで送ろう!」

「ミュッ!」


 羽根に穴の開いた妖精ちゃんに言われて思い出したけど、これは急ぎだった。

 慌ててお薬をケースに収めて、ネコちゃんの首に下げた袋に入れる。

 あとは……ICレコーダーに声を吹き込んでおかないと。


「お薬送ります。一回につき一粒、朝、昼、夜で三回の用量を守ってください。あと、出来れば食後に飲んでください」


 よし、これで良い。

 あとは……アクションカムの電源も大丈夫だね。赤いランプがついている。

 それじゃ、窓を開けてネコちゃん便の出発だ!


「ミュ~……ミュ~……」


 ……ネコちゃんも羽根に穴の開いた妖精ちゃんが心配みたいだけど、急患は急患で心配だ。

 後のことは任せてもらって、飛んでもらおう。


「ネコちゃん、後のことは任せてほしい。何とかするから」

「するです~」

「ミュ!」


 ネコちゃんの頭をなでながらそう言って、気持ちを切り替えてもらう。

 気合が入ったようで、背中の羽根をぱたぱたさせ始めた。


「ミュミュ~!」


 そしてふわりと空に浮かび、窓から外に飛び出して――高速で飛んで行った。

 ネコちゃん、お薬の輸送、お願いね。


 ……さて、急患のことはもうできることはない。

 次は、羽根に穴の開いた妖精ちゃんだね。

 本当に大丈夫なのか、確認しないといけない。


「それで、羽根にあいちゃった穴はどうしたら良いかな?」

「とりあえずほしゅうするよ! ほしゅうするよ!」

「おはな、とってくるね! とってくるね!」


 何名かの妖精さんたちが、妖精サクラを採取しにぴこぴこ飛んで行った。


「あや~……」

「まさか、羽根に穴が開いてしまうなんて……」


 ハナちゃんとユキちゃんはほんとに心配そうに、羽根の穴を見つめている。

 妖精サクラで補修するとは言うものの、果たして補修しきれるだろうか……。



 ◇



 無理やり補修しました。


「どうかな? どうかな?」

「なんとかしたけど、じしんないよ! じしんないよ!」

「ちょっとあなが、おおきいの~……」


 だだ、無理やりだったため……わりと厳しい感じだ。

 羽根の重量バランスもおかしくなっているし、強度だって不安がある。

 なにより、穴の直径が大きすぎて……妖精サクラの花びらだけでは、なかなか厳しかった。


「ためしてみるね! そーれっ!」


 不安がる俺たちをよそに、羽根をなんとか補修した妖精ちゃん、空を飛ぼうとする。

 しかし――。


「――だめみたい~……」


 ぴこぴこっと羽根を動かしただけで、諦めてしまった。

 これは相当……重傷なのでは……。

 治るとは聞いていたけど、どうなんだろう?


「この穴って、治るんだよね?」

「なおるです?」

「ちょっと、きびしいかも? かも?」

「……あえ?」


 ――え? 厳しい?


「厳しいと言うと……治らないの?」

「ここまでおおあながあいちゃうと、わりときびしい? きびしい?」

「ええ……?」

「――あやー! たいへんです~!」


 羽根をなんとか補修した妖精ちゃん曰く、治すのは厳しい、らしい。

 ユキちゃんは痛々しい目で羽根を見つめ、ハナちゃんは「あえ~? あえ~?」と右に左に大慌てだ。


「本当に、厳しい?」

「こうなっちゃったひとは、だいたいそらをとばなくなるね! なるね!」


 明るい感じで言うのだけど、前例はあるようだ。

 じゃあ、空を飛ばなくなったら……どうなるのか。


「こうなっちゃったら、その後はどう過ごすの?」

「おだんごをきわめるよ! きわめるよ!」

「お団子を極めるお仕事、あるんだ」

「あるよ! あるよ! す~っごくおいしいおだんご、つくるの! つくるの!」


 きゃい~きゃい~っと、羽根をなんとか補修した妖精ちゃんは言う。

 飛べなくなっても、特に沈んだところもなく。

 どうやら妖精さんたちには、飛べなくなった人に用意される仕事があるようだ。

 その仕事をするから、大丈夫らしい。


 しかし、今までの話しで――凄く気になることを言っていた。

 妖精ちゃんは「こうなっちゃった人は、だいたい空を飛ばなくなる」と言った。

 これに対応する形で、お団子専門職人になる、という社会制度みたいなものもあるようで。

 それはすなわち、こういう事だ。


 ――羽根に穴が空いて飛べなくなる妖精さんは――わりといる、のでは。


「こうなっちゃう人って、百人くらいいたらどれくらいの人がなるものなの?」

「ほぼいないね! いないね!」

「……じゃあ、千人くらいだったら?」

「え~と、え~と……そこそこ! そこそこだよ!」

「そこそこの人は、こうなっちゃうの?」

「そうだね! そうだね!」


 ユキちゃんが確認してくれたけど……。

 ごく稀なのか、そうじゃないのかは、ちょっと判断がつきにくい。

 でもそういう人は、他にもいるってことだね。そこそこは、いるらしい。

 じゃあ、なぜ穴が空いちゃうか、だね。


「羽根に穴が空いちゃう人って、さっきみたいな『力』を使った時になるの?」

「だいたいそうだね! きづいたら、あながあいてるらしいよ! あいてるらしいよ!」


 穴が空く原因は、妖精ぱわーフルドライブ、が原因と。

 それならやっぱり、あれは無理してたんだ。申し訳ない。


「……無理させちゃって、ごめんね」

「じかくがないのが、こまったところ? ところ?」

「自覚症状、無いんだ」

「ぜんぜんないよ! ぜ~んぜん!」


 羽根をなんとか補修した妖精ちゃん、ちこちこと歩いて全然アピールだ。

 飛べなくなっちゃったけど、とにかく明るい妖精ちゃんだね。

 でも、自覚症状が無いってのは怖いな……。

 本人も気づかぬうちに、羽根に負荷をかけてしまっているかもしれない、という事が起きるわけで。

 そうして気づかぬまま、この結果を招いた。


 これは、俺の責任……だな

 嫌な予感はずっとしていた。でも、妖精さんに頼り切ってしまった。

 勘に従うべき、だった。

 しかし、薬はなんとかしないといけない。……苦しいところだ。


 ……この羽根をなんとか補修した妖精ちゃんは、顔も知らない誰かのために頑張った。

 ただその結果がこれでは、悲しい。

 この結果には、さすがにヘコむ。


「あや~……」

「……」


 ハナちゃんもユキちゃんも、切なそうな表情だ。

 羽根をなんとか補修した妖精ちゃんは、明るく振る舞っている。

 ただ、じゃあそれでいいか、とは俺は思えない。


 ――なんとかしたい。


 ちらりと、視線をハナちゃんとユキちゃんに向ける。


「あい」

「ええ」


 俺の想いは伝わったのか、二人ともキリっとした表情で、頷く。

 そうだよね。これはあんまりだよね。


 起きてしまったことは、もう変えられない。

 ……でも、この報われない結果は――変えたい。


 変えたいのであれば――なんとかするしかない。


「みなさん、私はこの結果を……何とかします。もっと良い結果にします」

「タイシ~! ハナもてつだうです~! なんとかするです~!」

「私も全力でお手伝いします。気持ちは一緒ですから」


 宣言して、後戻りできなくする。

 そしたら、ハナちゃんやユキちゃんも続いてくれた。


「私たちの仲間のために、がんばってくれたのですから、もちろん協力します」

「おれらも、てつだうじゃん?」

「おれもやるぜ。さすがにこれはな」

「てつだうわ~」

「みんなでなんとかして、すてきなけっかにしましょう!」


 ヤナさん、マイスター、マッチョさん、腕グキさん親子も続く。

 特にヤナさんは「私たち」と言った。

 きっと他のエルフたちにも、協力を仰ぐだろう。


「きょうりょくするよ! するよ!」

「なんでもきいてね! なんでもね!」

「なんとかしましょ~」


 ほかの妖精さんたちも、やる気十分だ。

 自分たちの事でもあるから、真剣そのものだ。

 ……それでは、始めましょう!


 ――妖精さんの羽根なんとかするぞ計画、発動だ!


「みなさん、ご協力お願いします! ここらでいっちょ、私たちの力――見せましょう!」

「「「おー!」」」


 みんなで気合を入れて、いざ計画のはじまりはじまり、だ。


「きゃい?」


 そして勝手に盛り上がる俺たちを見て、羽根をなんとか補修した妖精ちゃん、あっけにとられる。


 ふふふふふ。妖精ちゃん、待っててくださいだ。

 きっと、何とかするから。


 妖精ちゃんがまた、天空を羽ばたけるように。

 また、楽しそうに空を飛ぶ、かわいい妖精ちゃんの姿を見るために。

 誰かのために頑張って良かったと、思えるような。

 そんな結果に、もっていこうじゃあないか。


 このけなげな妖精ちゃんが、報われるような――そんな結果に。


 今つぎ込める俺のリソース、全部妖精ちゃんのために投入する。

 出来ることは、全部――やりましょう!


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