第十二話 別腹
エルフたちは電気を食べられる。
何故それに気づいたのかと聞いてみたら、ハナちゃんが第一発見者とのこと。
くわしく発見のいきさつを聞いてみると、小腹が減っておやつを探した結果だという。
「それでハナおもったです。おんなじビリビリなら、たべられるです~!」
「思っちゃったんだ」
「あい~! おもっちゃったです~!」
ハナちゃんは、キャッキャと教えてくれた。しかし、その発想の飛躍が分からない。
……いや、彼らは電きのこをそれなりに食べていて、大好きなわけだ。
そんな大好きな食べ物と同じだよって言っちゃったら、食べようと思えるのかも。
俺たちは電気をエネルギーと言う概念でとらえているから、食べられるとは思わない。
でもエルフたちは、電気を「食べ物」と最初からとらえていたんだ。
だから、こんな発想が出来たと。
まあなんにせよ、凄い発見だ。こんなのわかるわけない。先入観があるからね。
というか、俺たちじゃ電気は食べられない訳で。
……そういや半年くらい前に、マイスターがバッテリーを食べようとしていたな。
あの時止めなければ、発見はもっと速かったかもだ。
ああいや、あれはダメだ。
電気じゃなくて「バッテリーそのもの」を食べようとしていたから。
バッテリーという「物体」ではなく、電気という「エネルギー」を食べる。
この発想が、必要だったんだ。
「――ハナ~、つまみぐいしたのね~?」
「うきゅっ!」
色々感心したり驚いたりしていると、カナさんがゆらりとハナちゃんの後ろに立った。
俺にいきさつを説明する過程で、ハナちゃんうっかり犯行を自供していたわけで。
ハナちゃん残念、逃げきれなかった。
お目々まんまる、エルフ耳をぴこっと立てて、うきゅっとビクビクハナちゃんだ。
「つまみぐいするこは、こちょこちょのけいよ~! はい、りょうてをあげて~」
「あや~、おかあさんごめんなさいです~!」
「では、はじめます。は~い、こちょこちょこちょこちょ!」
「きゃははははははは!」
ばんざいしたハナちゃんのわきの下を、カナさんが問答無用でこちょこちょだ。
ハナちゃんちでは、つまみ食いはこちょこちょの刑に処されるらしい。
……二人ともなんだか楽しそうだから、静かに見守ろう。
「ほーらもっとくすぐっちゃうわよ~!」
「あやー! きゃはははは!」
「そ~れ、こんどはわきばらこちょこちょ!」
「きゃはははは!」
和むなあ。
◇
「ハナ、おなかがすいたら、ちゃんというのよ。なんとかするから」
「あ、あい~」
数分ほどして、こちょこちょの刑は無事終了。
我が子を思う存分くすぐる事が出来たカナさんは、すごく満足そうな顔だ。
……ハナちゃんは、笑いすぎてぐんにゃりしているけど。
まあ、これからはおなかがすいたら遠慮しなくても良くなったね。
めでたしめでたしだ。
――さて、微笑ましい親子の交流が終わったところで。
電気の話に起軌道修正といきましょうか。
まずは、ハナちゃんの大発見について褒めておこう。
「話を戻すけど、ハナちゃんこれは大発見だよ。自分じゃ電気を食べようって思いつくのは、無理だったね」
「あえ? むりです?」
「自分たちは、電気を食べられないからね」
「あえ? タイシたちもビリビリきのこ、たべてるです?」
あ~、まあ。食べてはいる。でも、俺たちちたま人はですね、電気を食べているわけじゃないのですよ。
ちたま人が食べているのは、電気自体じゃなくてきのこ部分でして。
電気は放電するがまま、もぐもぐごっくんはしてないのです。
というか、そもそも電気を噛めないし飲み込めない。
「試しにこの電気を食べようと吸ってみたけど、空気しか吸えなかったよ」
「あえ? たべられないです? ちゅるんってかんじ、しないです?」
「あ~いや、そもそも自分たちは電気を吸えないわけでね」
「あえ?」
ハナちゃんは、俺たちもあたりまえに食べられると思っていたようだ。
けど、無理でござるよ。これはエルフたちの、特殊能力だ。
……食いしん坊方面での。
「あのねハナちゃん。自分たちは、電きのこのビリビリそのものは食べていないんだ」
「あえ? たべてないです?」
「そう。自分たちが食べているのは、きのこ部分だけで……ビリビリはどっかに流れてしまうわけで」
「わけですか~」
ハナちゃん、いまいちピンと来てないぽい。
この辺は、感覚を共有するのは難しいかもね。
俺だって、ハナちゃんたちが電気を食べたとき、どんな歯ごたえでどんな味かは理解しきれない。
話を聞いて、「そうなんだ」と思うだけだね。
……そういや、電気を食べたらお腹が膨れるのだろうか。
たしか「別腹」とか言っていた。
この辺も全く分からないから、聞いてみるしかないな。
「ちなみにだけど、ビリビリを食べたらお腹いっぱいになるの?」
「あや~……、なんか、べつばらっぽいのがいっぱいになるです?」
「さっきも聞いたね。その『別腹』ってやつ」
「あい~、べつばらです~!」
良くは分からないけど、「別腹」らしい。
甘い物は別腹、とは違う感じ?
どっかに、電気エネルギーを貯められる的な仕組みらしきアレがある?
ソレがアレしてこうなる?
う~ん、わからん!
「別腹がいっぱいになったら、ほかの食べ物は、食べなくても良いとか?」
「あや~、べつばらは、べつばらです。ビリビリだけだと……むりです?」
「それはそれ、これはこれって感じ?」
「あい! そんなかんじです~!」
……どうも電気だけじゃ、体は維持できないっぽいな。
生命維持は普通の食べ物で、電気はまた別のようだ。まあ電気はエネルギーだからね。
物質じゃあないから、流石にそこまではって感じなのかも。
でも、食べると何らかのソレがアレして、「別腹」というどこかしらに貯蔵される、らしい。
「このおやつは、おてがるでいいですね」
「みんなたべるようになったから、でんちがたくさん、ひつようになりました」
ヤナさんとカナさんが、数本目の乾電池をちゅーちゅーしている。
おやつ食べ過ぎですよ。
でもまあ、電池が不足しているってそういう事か。
電池が、エルフたちの新しい「おやつ」になったからなのね……。
「あや~、おやつおわちゃったです」
「じゅうでんしておこうね。ゆうがたまえにはまた、たべられるから」
「あい~」
電気食べ過ぎの結果、おやつがまた品切れになりましたと。
まあ単三型の電池だから、容量はそれほどないよね。
ニッケル水素二次電池だから、一千から二千mAhくらいしかないはずだ。
……ん? もっと大容量電池を食べたら、どうなるんだろう?
たとえば、リチウムイオン電池だったら?
こいつなら、電池残量が分かる。目で見て判断できちゃうやつだ。
……試してみよう。スマホの電気も、食べられるか。
現在の電池残量は……七十パーセントだね。
「……ハナちゃん、実はこれも電池が入ってるんだ。ちょっと食べみて」
「あや! でんきたべていいです!?」
「いいよ。全部じゃなくて、それなりね、それなり」
全部食べられると、過放電になるからね。
リチウムイオンバッテリが痛んでしまう。
「あい~! いただきますです~!」
俺の心配をよそにハナちゃんは、うきゃうきゃとスマホを受け取った。
そして、木のストローでちゅーちゅーする。
「あや~、のうこうなビリビリあじと、さわやかなあまみがあるです。これはおいしいです~!」
しばらく吸った後で、なんかをもぐもぐし始めた。
あと、そのグルメレポートは……俺には理解が出来ない。
電池の種類によって味が違うらしいけど、ほんと分からない。
……それはそれとして。電池残量はどれくらいかな?
「ハナちゃん、ちょっと見せて」
「あい」
ハナちゃんからスマホを受け取ってと。
さてさて、電池残量は――うお! 残り三十パーセントまで減ってる!
一気に電気が食べられてしまった……。
しかしこれ、リチウムイオン電池の放電能力を超えてるんじゃないか?
こんな短時間でこれほどの電力、供給できないはずだけど……。
でも、電池は減ってる。ユキちゃんにも見てもらおう。
「ユキちゃんこれ見てよ。ごっそり減ったよ」
「……――え? あ、ええ。何ですか?」
あ、だめだ。さっきまで固まってたから、状況が理解できていない。
ようやく解凍したってところだ。
……あまりユキちゃんには、無理をさせないようにしておこう。
よそ様の大事な娘さんだからね。きっちり家にお返ししないと。
しかし、電池残量がわかるもので試すとはっきりわかるね。
今ハナちゃんは、電気を思い切り食べたわけだ。
「あや~、まんぞくしたです~」
そして「別腹」がいっぱいになったのか、ハナちゃん満足顔だ。
おなかというか「別腹」が膨れたせいか、うとうととし始めてもいる。
ぽかぽかした家の中で、満腹になったらそりゃ眠くなるよね。
「すぴぴ」
というかもう寝てしまった。
「別腹」が満たされても、何らかの生理作用は起きるぽい。
「あら、ハナねちゃったわね」
「おふとんでねかせよう」
カナさんとヤナさんが、おねむハナちゃんを抱えて部屋から出て行った。
ハナちゃん、ゆっくりおやすみなさいだね。
しかし、「別腹」とはいえ、お腹が膨れるか……。
これについて、一つ気になる点がある。
エルフたちが、妙に電きのこちゃんに執着する点だ。
俺たちは、電きのこちゃんの電気までは食べられていない。
でもエルフたちは、その電気も食べているらしい。
俺たちには何の栄養にもならない電気。
だけどエルフたちにとっては……「別腹」的ななんかが満たされる。
あれほどエルフたちが電きのこちゃんに執着するのも、分かるかもだ。
俺たちちたま人は、電気の味は感じられて、きのこ自体は食べられる。
でも、エルフたちは電気も一緒に食べている。
もしかして、俺が思っている以上に……電きのこちゃんはエルフたちにとって「ごちそう」なのかも。
……流石に勇者向けは、行き過ぎみたいだけど。物事には限度があるよね。
まあとりあえず、おおまかな事は分かった。鍵は「別腹」だ。
いまエルフたちは、おやつが増えて喜んでいる状態だ。
このまま何もしなければ、「別腹」を満たした段階で満足して止まっちゃうと思う。
ここから先、何かに応用が出来るかどうか、調べなくてはいけない。
ハナちゃんの発見を応用して、何か面白い事が出来たら――楽しくなるな!
◇
「あや~、よくねたです~」
「ハナ、もうすぐゆうしょくのじゅんびするわよ」
「あや! ねすぎたです~」
夕方ちょっと前にハナちゃんが起きてきたけど、寝る子は育つだ。
たくさんお昼寝して、たくさん食べてすくすく成長している証拠だね。
「あ、私もおてつだいしますよ。食材の差し入れもありますから」
「あら、それはありがたいわ。それじゃあユキさん、いっしょにおりょうりしましょう!」
「ハナもてつだうです~」
女三人、キャッキャと台所に向かって行った。
俺もこのまま夕食をごちそうになる感じだ。
そうして一時間くらいして、良い匂いがしてくる。
今日は焼き魚かな? ハナちゃんのおじいちゃんは、よく湖畔でおかずを釣ってくる。
おじいちゃんの調子が良い日は、だいたい夕食が焼き魚になるみたいだ。
これは楽しみだな。エルフ世界の魚、あんまり食べる機会がないからね。
「はい、ゆうしょくできました」
「タイシ~、おさかなやいたです~」
「あと、野沢菜混ぜご飯ですよ。焼き魚と良く合います」
楽しみに待っていると、ほどなくして夕食が運ばれてきた。
いつもの野菜たっぷりお味噌汁に、ダイコンおろしを添えた、中くらいの焼き魚。
あとは……お漬物少々に、野沢菜と炒りゴマと、ちりめんじゃこの佃煮を混ぜたご飯。
炒め物は、ナスとピーマンとキャベツの油味噌炒めか。
今日も今日とて、ハナちゃんちの夕食はとても美味しそうだ。
「では、いただきます」
「「「いただきまーす!」」」
配膳が終わって、みんなちゃぶ台の周りに座って。
ヤナさんの号令で、待ちに待った頂きますをする。
さて、俺も一緒に食べよう!
野菜たっぷりお味噌汁は、いつもと変わらぬ安心の味。
一口すすると、胃が目を覚ます。
これから料理を食べるんだっていう、準備が出来る。
次に、焼き魚を食べる。エルフ世界の湖畔に沢山いる、ニジマスに良く似た魚だ。
白身魚であるエルフニジマスの身を摘んで口に入れると、ふんわりした食感。
あまり癖はなく、臭みも無い。良く処理されている。
エルフニジマスの焼き魚は、味は淡白、塩も少な目。これが第一印象だね。
だけどそのおかげで、この繊細な魚の旨味が感じ取れるようになっている。
さらに、パリっと焼き上げられた皮の香ばしさが混ざり合い、味に変化を与えて単調さを感じさせない。
また、醤油をたらしたダイコンおろしと一緒に食べると、ダイコンの辛みと醤油の風味が合わさり、より味に変化を与えてくれる。
「ハナちゃん、お魚、絶妙な焼き加減と塩加減だよ。お魚を焼くのも上手だね」
「うふ~、うふふ~」
焼き魚を褒めたら、ハナちゃんうふうふだ。
淡白な川魚を大量の塩でごまかさずに、少ない塩で逆に淡白さを美味しさに変える。
練習しなければ、この加減は難しいんじゃないかな?
魚を焼くのは根気がいるけど、手間をかけた分美味しくなる。
ハナちゃん、良く出来ましただ。
「……」
そしてユキちゃんが期待の眼差して見ているので、野沢菜混ぜご飯も食べよう。
野沢菜は……食感を損なわない程度にみじん切りになっていて、食べやすい。
ご飯の甘さと野沢菜漬けの塩分と渋みが、甘目に作られたちりめんじゃこの佃煮の味と合わさる。
ほかのおかずがなくとも、これだけで食べられるくらいの完成度で、ご飯と混ぜる具材の配分もちょうどいい。
ご飯が多すぎず、混ぜる具も多すぎず。
白米のおいしさを、これでもかと引き立てているね。
このご飯と焼き魚を一緒に食べると、いくらでも食べられそうだ。
思わずバクバクと食べてしまう。
「フフフ……」
沢山食べる俺を見て、妙に可愛く見えるユキちゃんもご機嫌の様子だ。
美味しいからね。お代わりしちゃうよ。
そして混ぜご飯をお代わりした後は、茄子とピーマン、そしてキャベツの油味噌炒めだ。
油と味噌、そして砂糖とみりんで炒められたナスは、たっぷりと油を吸って噛むごとにじゅわっと味がしみだしてくる。
そこにピーマンの苦みが被さり、キャベツの甘さが加わる。
味噌は赤みそでしょっぱいはずなのに、砂糖と油、そしてみりんのおかげで甘辛く、かつ濃厚な味わいが出せている。
お肉を使わず、野菜のみで構成されている料理なのに、力強くご飯のお供として大活躍だ。
「タイシ~、おみそいためはどうです?」
「もちろん美味しいよ。砂糖とみりんの加減が絶妙だね。理想の味付けだよ」
「うきゃ~」
「ハナちゃん、お料理上手だからいいお嫁さんになれるよ」
「ぐふ~」
ハナちゃんの喜びようを見ると、この野菜炒めもハナちゃん作だよね。
褒めたらぐにゃったし。
味付けが北信や県境地域のそれだから、妙に可愛く見えるユキちゃんに教えてもらったのかも。
というか、ハナちゃんちの料理、だんだん北信の味付けに似てきているね。
寒くなってからは特に。やっぱり、同じところに暮らせば、味付けも似てくるんだろうな。
寒いから、濃い味が欲しくなったりするわけだ。
「おかあさん、おかわりです~!」
「はいどうぞ。ハナ、たくさんたべるのよ」
「あい~!」
ハナちゃんもお代わりして、もぎゅもぎゅと夕食を平らげていく。
沢山お食べ。
……でも、さっき大量の電気を食べたよね。
そのうえ、夕食も沢山食べている。もりもり食べている。
電気を食べたら別腹に行くらしいから、ご飯も食べられるということかな?
いやでも、その別腹に入った電気は、一体どうなるのだろうか?
ご飯を食べたら体の栄養になる。食べ物は、成長と生命維持のために使われる。
……では、電気は?
かなりの高エネルギーなのに、別腹に行ってそれでおしまい?
そんな無駄なこと、生命体の進化で起きるか?
「……」
「あえ? タイシどうしたです?」
おっと、食事中に考え込んでしまった。
……一人で考えていないで、とりあえずの疑問を聞いてみるか。
「えっとね、ハナちゃんたちは電気を食べたら……『別腹』っぽいどこかに入るんだよね」
「あい。べつばらです~」
「じゃあ、その『別腹』に入った電気は、どうなるんだろうって思ってさ」
「あえ? そこそこ、つかうですよ?」
ん? そこそこ使う? 一体何に。
「わたしは、おんせんがよごれていないか、かくにんするときにつかってますね」
「あとは、やまでたべものをとっているとき、どくがないかとかかしら?」
え? ヤナさんは温泉の汚れ具合を見るのに使っていて、カナさんは毒草を見分けるのに使っている?
「あと、きれいないし……「きん」ってやつをみわけるときにも、つかいますね」
「ピリっとくるかんじが、ちがうです~」
は? 金を見分けるのにも使っている?
ピリッと来る感じが違うとな。
…………。
エルフたちの過去発言を思い出してみよう。
”ピリッとするやつ”
”ふわっとするやつ”
もしかして。
エルフたちは蓄えた電気を――放電できるのでは。
この「ピリっとくるやつ」や「ふわっとするやつ」とは、その放電した電気を使って……電気抵抗を判別していたのでは。
エルフたちは、物性を電気抵抗を使って、見分けている?
電気抵抗で、毒性を見分けている?
さらにだ。
”たとえば、みぎはあっちですね。ひだりはそのはんたいがわ”
……平原の人たちは、ちたまの南北を見分けた。前知識なしにだ。
これは……電気を使って磁場を発生させて、見分けていたのでは?
エルフ惑星は、地磁気があると推測される。
彼らは自分たちで磁場を発生させ、それにより惑星の地磁気とその極性を判別している、としたら?
……。
証拠は、そろっている。
妙に可愛く見えるユキちゃんに、ちょっと話してみよう。
「みょ――おっとユキちゃん、エルフたちって……もしかして放電出来るんじゃないかと思う」
「みょ? ……放電ですか。いやまあ、有り得る話だとは思います」
「ユキちゃんが来る前から、なんか不思議だったんだ。ピリっとくるとか言ってた部分」
「そうなんですか?」
ほんのちょっとした疑問だったけど、おかげで覚えていた。
やっぱり、エルフたちは油断ならないな。
彼らはやっぱり、ファンタジーの住人なんだ。
彼らは自分の色々な力に、まだ気づいていない。
そして俺も、彼らのすごいところ……まだ全然わかっていない。
ふふふふふ。これは……面白くなってきたぞ!
エルフたちの凄い所、電気を食べる能力。その根幹である――「別腹」。
これ、分析すれば――上手く活用する方法、出来そうだ!
ふふふふふ。
「あや~、タイシまたわるいおとなのかおです~」
ふふふ。もちろんハナちゃんにも協力してもらうよ。
明日、ちょっと実験してみよう。
それがうまく行けば、エルフたちはただのエルフではなくなる。
そう――電気エルフとなるのだ!
「これ、絶対悪い事考えてますよね」
「まあ、タイシさんのかんがえですから。わるいようにはならないかと」
「タイシ、またおもしろいこと、おもいついたです?」
おっと、悪い顔になっていたようだ。引き締めないと。
……ぐふふ。