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エルフのハナちゃん  作者: Wilco
第十三章 エルフだってできるもん!
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第八話 繋げてみれば


 電きのこちゃん研究のとっかかりとして、まずみんなで勉強会を行う。

 エルフたちがビリビリといっている、謎の現象の正体から学ぼうという方針だ。


「はいみなさん。みなさんはビリビリきのこの『ビリビリ』の正体って、何だと思います?」

「あえ? ビリビリはビリビリです?」

「タイシさんは、それがなんだかわかっているのですか?」

「かんがえたこともなかったな~」

「なんだろ?」


 ハナちゃんはじめ、エルフたちは首を傾げる。

 まあ、ちたまでも電気が当たり前になったのは……そう昔の事でもない。

 身近な例から説明して、電気と言うものを軽く知ってもらおう。

 たとえば、静電気だね。


「ここに見事な毛皮があります」

「ギニャ?」


 今回ご協力いただくのは、フクロイヌ。黒くてつやつやの、見事な毛皮の持ち主だ。

 この毛皮を、下敷きで擦ってみるわけだね。


「はい、この板で毛皮をこすってみると――」

「ギニャギニャ」

「――あや! なんかパチパチしてるです~!」


 フクロイヌの毛皮を下敷きで擦って、静電気をバチバチ起こしてみる。

 電きのこちゃんを食べたときのように、見事な火花が起きる。


「ギニャ~」

「え? もっとバチバチしてほしいの?」

「ギニャ」


 そして協力してくれたフクロイヌは、静電気が気もち良いのかおねだりしてきた。

 ――じゃあもっと、バチバチしてもらいましょう!


「ギニャギニャ」

「……とまあ、これもビリビリの一種です。これを私たちは『電気』と呼んでます」

「でんきっていうですか~」

「この電気はみなさんが使っている、あのカメラやおうちの光るのにも利用されています」

「へえ~」


 ユキちゃんが復唱してくれたけど、カメラやライトは電気で動いているね。

 どう使っているかはわからないけど、何に使われているのかはわかってもらえたようだ。


「まあこの電気というやつは、『力』の一種です。光らせたり動かしたり温めたり冷やしたりと、色々な力に変換できる便利なやつです」

「でんき、すごいです~!」

「ちからをへんかんする、ですか?」

「だんだんむずかしくなってきた」

「あたまこげる」


 電気が便利ですごい、とはしゃぐハナちゃんと、難しい話になってきて頭から湯気が出始める人たちとに別れた。

 エネルギーという概念がないと、この辺は難しいかもだね。

 まあ……色んな力に変換できる、簡単な例をみせてみよう。

 乾電池と豆電球、そしてモーターを用意してある。

 これで、簡単な理科の実験をしてみましょう!


「これはみなさんご存知のカメラの電池ですが、実は電気を発生させることが出来る道具なんです」

「あや! そうだったです!?」

「そうなんだよ。この小さな奴が、電気という『力』を作ってくれてたんだ。カメラは、この『力』をもらって動いてるんだよ」

「そうだったですか~」


 ハナちゃんは興味が出たのか、ぴょいっと前に出てきて電池を覗き込む。

 普通の単三型二次電池だけど、この村では貴重なパワーソースである。

 各家庭に備え付けのソーラーLEDライトには、USBで電源を供給する機能がある。

 このUSBに繋いで、単三形二次電池を充電してもらっていたり。

 だから、エルフにとってはかなり身近なパワーソースである。

 この単三形二次電池を使えば、電力という物を多少は理解出来るだろう。


「ここには、太陽の光を電気に変換して蓄えてあります。みなさんも家でやっているかと思いますが」

「あれは、でんきをためるためだったですか~」

「なるほど、でんきにかえていたわけですか」

「しょうげきのじじつ」

「よくわからないままつかってたけど、おもったよりすげえぎじゅつ」


 充電する作業はしてもらっていたけど、それがどんな行為なのかはこれで分かってもらえたね。

 じゃあ、次はいよいよ実演だ。力の変換を見てもらいましょう。


「それでは、この蓄えた電気を変換して光や動きに変えてみたいと思います。まずは光に」


 乾電池ソケットから伸びている銅線を、豆電球につないてみる。

 すぐさま、豆電球が明るく光った。


「――あや! ひかったです~」

「これが各家庭に設置されている、あの明るいやつの正体だよ。電気の力を光に変えているんだ」

「これはべんりです~」

「なるほど。あかるくなるしくみが……ほんのちょっとだけわかりました」

「おもしろいな~」


 電球を光らせると、ハナちゃんお目々キラッキラだ。

 ほかのエルフたちも、興味深そうな目で見ている。

 それじゃ次は、動きへの変換だ。モーターを回してみよう。

 プロペラを付けてあるから、動いているのは分かるはず。


「次は電気の力を動く奴に変えます。――ほら、回っていますよね」

「ものすごいはやさで、うごいてるっぽいです~!」

「つなげるだけでひかったりまわったり……ふしぎですね」

「でんき、すげええええ~!」


 これで電気が、変換可能な『力』だと理解してもらえたかな?

 それじゃ次の実験、行ってみましょう!


「これで電気という『力』が、一通り理解できたと思います。このまま、次の実験をします」

「わくわくするです~」

「おはなしはむずかしいけど、みてるとたのしいですね」


 ハナちゃんもうわくわく顔で、ヤナさんも楽しそうだ。

 やっぱり、座学より実験のほうがワクワクするよね。気持ちは良くわかる。

 じゃあワクワクが冷めないうちに、次の実験開始だ。

 電きのこちゃんを、電池の代わりにして動くかどうかの実験だよ!


「このビリビリきのこ……私は電きのこと呼んでいます。実はこれも、電気を貯めていると思っています。食べると電気が流れますから」

「それも、でんちとおなじことができるです?」

「多分ね。それを試してみよう」

「すごそうです~」


 と言うわけで、電きのこちゃんに豆電球の銅線をぷすぷすと刺す。

 ――ほらビンゴ、電球が光った。


「あや! タイシのいうとおりです~」

「なるほど、つまりそれは『でんち』ということですか」

「そうなります。このきのこは、電気を貯められるのです」


 ハナちゃんとヤナさん、もうすっごい前のめりだ。

 二人とも、結構こういった実験は好きなようだね。

 座学より実学、みたいな感じかな?


「うおおおお! あのきのこのひみつがつぎつぎに!」

「すげええ~!」

「きてよかった!」


 あっちら辺の森のエルフたちは、もう立ち上がってキャッキャしている。

 研究者魂が揺さぶられたかな?

 さて、これで基本は理解してもらえたところで……。


「タイシタイシ、ハナもひからせてみたいです~」


 あ、ハナちゃんも実験してみたくなったようだね。

 折角だから、ハナちゃんにもしてもらおう。


「それじゃハナちゃん、光らせてみようか」

「あい~」


 ハナちゃんは豆電球を手に取って、ぷすぷすと電きのこちゃんに銅線を刺す。


「やったー! ひかったです~!」

「おお! ハナ、やったじゃないか!」

「うふ~」


 見事実験は成功したので、ハナちゃんとヤナさんはキャッキャとはしゃぐ。

 微笑ましい親子のやりとりだ。見ていてほっこりするね。


「じゃあつぎは、これをつなぐです~」


 ん? ハナちゃん何を?

 あれ? 電池ボックスから伸びてる銅線を手に取ったけど。

 

「ひかるです~、ひかるです~」


 あ、いや……電池は光らないから。それはパワーソースだから、繋いでも――ん?


 ――電池と電池を繋いだら? どうなる?


 電池はパワーソースで、電きのこちゃんもパワーソース。

 パワーソース同士を接続したら……どうなるんだ?

 ……ちょっと見守ってみよう。


「つなぐです~」


 ぷすぷすと、電池ボックスの銅線が電きのこちゃんに刺さる。

 すると――。


「ひかったです~!」

「あ、ほんとだ。ほのかにひかってる」

「おもしれええ~」


 ――電きのこちゃんの模様が、光った。

 これは一体、何が起きている?


「あえ? タイシどうしたです?」


 考え込んだ俺を見て、ハナちゃん首をこてっと傾げる。

 ……今はまだ何とも言えないから、ちょっとこのまま様子を見てみよう。


「……ハナちゃん、これちょっとこのままにして、様子を見てみない?」

「あえ? ようすみるです?」

「そう。もしかしたらって思う事があるんだ」

「もしかしたらです?」


 ハナちゃんまた首をこてっと傾げる。

 そんな中、ユキちゃんが俺の左腕をつんつんとつついてきた。


「ユキちゃんどうしたの?」

「大志さん、これまさか……」


 ……どうやらユキちゃんも、俺と同じ考えに思い至ったようだ。


「たぶんそのまさか。これもしかしたら――充電できるかも」

「ですよね」


 そしてもし充電できるのであれば……何がおこるんだろ?

 やばい、なんだか――ワクワクしてきた。

 エルフ世界の謎きのこちゃん、生態が分かってきたぞ。


 ――そして十分後くらい。


「あえ? ひからなくなったです?」

「ちょっと調べてみよう」


 十分くらいして、電きのこちゃんの光は消えた。

 それ以外に特に変化はないけど、何も起きていないわけではないと思う。

 というわけで、電球を電池に接続してみる。


「あえ? ひからないです」

「そうだね。でも、これで分かったことがあるよ」

「わかったことです?」


 さっきまで満充電だった二次電池が、今はカラである。

 すなわち――。


「――この電池にあった電気は、おそらくこっちの電きのこに移ったと思う」

「あや! でんきがうつったです!?」

「多分ね」


 というか、あからさまに怪しかったからね。

 まだ確証は得られていないけど、この電きのこちゃんは充電できるはずだ。

 それじゃあ、もっと電気を恒常的に与えてみよう。


「次の実験をするよ。自動車を使うんだ」

「あえ? じどうしゃです?」

「そう。自動車は、電気を作ることが出来るんだ」

「あや! そんなことできるです!?」

「出来るんだなこれが」


 というか、ガソリン車だから電気が無いとエンジンは動かない。

 スパークプラグが火花を出せないからね。

 次は車で発電した電気を、この電きのこちゃんに与え続けてみよう。


 と言うわけで車の所まで移動だ。そして外はめっちゃ寒い。

 手早く作業をしないと。


「自動車は、どこかしらに電気を貯める仕組みを持っているんだ。たとえばこの車はここ」


 この車のバッテリー位置は、助手席の真下。

 助手席をスライドさせて、床下にある板を外すと……。


「あや! なんかごちゃごちゃしてるです~」

「へえ、こんな位置にバッテリーがあるんですね」


 みんな珍しいのか、中を覗き込んでくる。

 まあ確かに、車の基幹部分を見るのはあまりないからね。

 ハナちゃんもユキちゃんも、興味津々な様子で見ている。

 俺は自分で整備しているから、見慣れた光景だけど。


「じどうしゃって、こんなふくざつなんですね」

「なにがどうなっているのか、さっぱりわからん」

「かっこいいいい――」

「うわ! すぽーんってでたよ」

『あ、でちゃった?』


 後を付いてきたほかのエルフたちも覗き込む中、メカ好きさんは案の定離脱した。

 すぽって感じで。ゴースト○スターズがいたら、吸い込まれちゃいそうな見た目。

 早く戻さないと、アレしちゃうレベルで離脱している。


 でも、大丈夫。もう彼は――大丈夫なのだ!


「――すいません。とりみだしました」

「じりきでもどれるのね」

「すごく、しゅぎょうしましたゆえ」

「でちゃわないのが、いちばんだとおもう」


 メカ好きさん、一ヶ月の修行の結果――自力で戻れるようになったのだ!

 これで一安心だね。水温十二度の滝で、滝行してもらったかいがあったよ。

 ……離脱しないのが一番なんだけど、そこはあきらめよう。


 ――さて、面白体質の人は置いといて、さっそく実験だ。

 ブースターケーブルをバッテリにつないで、電線を挟んで……。

 マイナスから電きのこちゃんに接続だ。

 おお! 光りはじめたぞ。


「あや! ひかったです!?」

「なんだか、さっきより光が強い気がしますね」

「ユキちゃんの言うとおり、光は強くなっていると思う」


 電きのこちゃんの光具合は、乾電池と違って明らかに明るい。

 おそらく……電圧の違いだろうと思う。

 ニッケル水素二次電池の一.二ボルトと、自動車用鉛蓄電池の十二ボルトでは十倍も違う。

 あとはバッテリが上がらないようエンジンをかけて、しばらく放置だ。

 自動車の鉛バッテリは残り二十パーセント程度まで電力を消費してしまうと、バッテリ上がりになる。

 そして一度上がってしまうと性能が大幅に低下する。

 わりと電源としてはシビアな部品で、雑に扱うと即交換となる。


「それでは、私はしばらく車の中で待ちます。外は寒いので、みなさんは集会場でお茶していて頂けたらと」

「私も大志さんと、車で一緒して良いですか?」

「タイシ~、ハナものこっていいです?」

「あ! おれもみたい!」


 集会場でお茶しててと言ったけど、ユキちゃんとハナちゃんは見届けたいようだ。

 それと、メカ好きさんも。

 ……まあ、車内は暖房を入れるから問題ないだろう。


「それじゃ、後ろに座ってね」

「あい~!」


 こうして、電きのこちゃんの様子を見守る。

 車内は暖房のおかげで温まって来たので、待つぶんには問題ない。

 暖房はエンジンの熱を利用しているので、いくらつけても燃費とは関係ないのが良いね。


「うわああ~、きかいってすげええ~」

「機械がむき出しというのは、新鮮ですね」

「ごちゃごちゃして、むずかしそうです~」


 残留組のみなさんは自動車の知られざる内部に興味深々だけど、本来の目的はきのこだからね。

 まあ、退屈に待つよりはずっと良いかな。

 俺も車内が賑やかなので、楽しく待てる。ちょっとエンジン噴かしちゃったりして。


「あや! おとがおっきくなったです~!」

「お父さんが、朝寒いときにやってますね。チョークを弄るとか言ってます」

「……ユキちゃんちの車、古くない?」

「え? 古いですか? レオーネとか言う車らしいですけど」

「――それを今でも乗っているのは、ある意味ヤバいと思う」

「ええ……!?」


 チョークて。FI仕様の現代の車じゃなくて、それキャブ車じゃん!

 しかもレオーネ!

 部品もう無いでしょ。どうやって維持しているのか……。


 ――とまあワイワイキャッキャと充電しながら、のんびり待つことになった。

 さて、どれくらい充電すれば……変化がでるかな?



 ◇



「あや! いろがかわったです!?」

「緑色になりましたね。大志さんの思った通りですか?」

「まあ、だいたいは予想通りだね」

「でんき、すごいな~」


 果たして二十分後、電きのこちゃんは青から緑に変化した。

 間違いない。この電きのこちゃんは――充電された。

 そして、それすなわち品質を後から変えられるという事だ。

 レア中のレアである、赤い電きのこちゃんを――人工的に生み出せる可能性が出てきた。

 これが分かっただけでも、電きのこちゃん研究は相当な進歩を遂げたはずだ。

 今まで自然に頼っていた事の(ことわり)を解明し、人の手で再現する。

 今この瞬間、異世界の産物に――科学の手が届いた!

 ……絵的には凄く地味だけど、快挙だと思う。だよね?

 

「この発見はそのまま、電きのこの赤いやつを増やせる事につながるよ。ハナちゃん大発見だよ」

「あや! あかいやつふやせるです!?」

「時間はかかるだろうけど、多分ね」

「やったですー!」


 逆に言うと、赤い奴を黄色にも出来ると思う。やる意味はあまりないけど。

 ただ、これでエルフ大好き電きのこのレア度を……人工的に弄れる見当がついたという事だ。

 これは凄い発見だ。


「ハナちゃんよくやったよ。えらいね~。撫でちゃうよ!」

「えへへ!」

「私も撫でちゃいますよ」

「えへへ! えへへ!」


 俺とユキちゃんに撫でられて、ハナちゃんご機嫌だ。

 さて、この結果をみんなに報告しよう。



 ◇



 集会場に戻ると、みなさんお茶を飲んでまったりしていた。

 それじゃ、結果報告といきましょう!


「みなさん、結果が出ました。電気を後から補充することにより――色を青から緑に変えることに成功しました!」

「まじで!」

「おいしいやつ、もっとおいしくできるんだ!」

「やったー!」


 結果を聞いたみなさん、大はしゃぎだ。

 大好きな電きのこをもっと美味しく出来る手段がみつかったからね。そりゃ嬉しいだろう。

 特に、あっちら辺の森エルフたちなんて……。


「いきなりすごいはっけん!」

「このむら、すげええ~!」

「なんでそんな、かんたんにわかっちゃうの!」

「おれ、ここにすむわ。きのこけんきゅうするわ」


 彼らが長年抱えていたであろう謎が、ひとつ明らかになったわけで。

 そりゃあもう驚いている。

 まあこれは、こっちの科学者さんたちの苦労の賜物だね。

 先人のみなさま、ありがとうございますだ。

 ただ喜んでいるところ悪いけど、一つ問題がある。

 そこんところ話しておこう。


「あ~、でも問題はあります」

「え? もんだいあるです?」

「なんだか、ふおんなくうき」

「もんだいあるとか、ふるえる」


 問題があると言うと、みなさんぷるぷるし始める。

 いや、そんな震えるほどの問題じゃありませんから……。


「問題と言うのは、電きのこちゃんの色を変える為には沢山の電気が必要ということです」

「たくさんのでんきです?」

「この村にはそんなにたくさん、電気を作れる設備がないの。大志さんは、そこが問題かなって言ってるのよ」

「あえ? でんきそんなに、つくれないです?」


 ユキちゃんが補足してくれたけど、この村は発電インフラがソーラーパネルくらいしかない。

 あとは……たまに持ち込む発電機だ。

 大型バッテリは発電インフラではない。給電装置だからね。

 そしてソーラーパネルは効率が悪いし、そんなに大電力を生み出せない。

 発電機は高コストだしで、まあなんにしても効率が悪い。


「沢山の電気を作るのはとっても大変で、お金がかかるんです。だから、そう簡単に電きのこの色を変えるのは現状難しいですね」

「あや~、そうですか~」

「ひとつくらいなら、時間をかければ何とかなるよ。でも、ちょっと効率が悪いんだ」

「ざんねんです~」


 ハナちゃんしょぼんとしちゃったけど、まあそこはおいおい解決策を考えましょうだね。

 たとえば、充電に効率の良い電圧と電流量はどれくらいなのかとか。

 この数値がわかれば、装置が作れるかもだ。


 まあ、地味な検証作業になるけど、コツコツやって行こう。

 一応、これで電きのこちゃんの品質は管理できるめどが立った。

 電源のめどはたっていないけど、少なくとも手法は分かった。

 とにかく充電しろってことだ。

 そしてこれは、もう一つの応用につながる。


 電きのこちゃんの――栽培だ。


「あや~、タイシ、なんかめがキラキラです?」

「結構面白い実験が出来そうだからね」

「じっけんです?」

「そうそう、上手く行けば、電きのこちゃんを作れるかもだ」

「ほんとです!?」


 カミナリが落ちたら電きのこちゃんがにょきにょきするわけだ。

 それなら……電きのこちゃんが生えてくるなんかの木に、充電したらどうなるか。

 もしうまく行ったなら、ちたま科学の知識がきっかけで、おいしい異世界きのこが増やせようになるわけだ。


「多分ね」

「やるです~! ハナもじっけん、てつだうです~!」


 ハナちゃんも大好きな電きのこが作れるかもと聞いて、キャッキャし始めた。

 貴重な食べ物が好きなように作れる、これはやる気が出るよね。

 俺的にも、これはなんというか――すごいロマンがある!

 ちたま科学が、エルフファンタジーに大接近するわけだ。

 ――ロマンあふれる!


「え? いまきのこをつくれるかもってきこえた」

「まじで?」

「またまた~」


 俺とハナちゃんの話を聞いた他の方々も、半信半疑ながらワクワクした顔だ。

 みんなも巻き込んで、色々実験してみましょう!

 ほぼ趣味の領域になってきたけど、ロマンだからね。仕方が無いよね。


 ……さて、どうやれば実験が出来るだろうか。


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