第五話 毒きのこマイスター
「やきそばいかがっすかー!」
「わりとおいしいよー!」
ハナちゃんたちと散々遊んで、一休み。
リザードマンたちが運営する屋台で焼きそばを買って、頂きますだ。
そして、わりと美味しいというふれこみの焼きそば、ほんとにわりと美味しかった。
美味しい! と すごい美味しい! の中間くらいの「わりと」だったね。
カレー粉が隠し味に入っていて、スパイシーな風味が食欲を増進させる味付け。
色々工夫されているのが、とても良かった。
「わりとおいしかったです~」
「ほんとに、わりと美味しかったですね」
(なかなかのおあじで~)
一緒に食べたハナちゃんやユキちゃん、それと神様からも好評だ。
リザードマンたち、なかなかやるじゃないか。
伊達に、ちたまの調味料を定期的に購入しているわけではないな。
そうして感心しつつも、食事をとったあとはまったりとした一時に。
美しい湖畔を眺めて、三人でのんびりとする。
湖を眺めながら、水遊びをする人々の様子も眺める。
「おさかな、たくさんいるわ~」
「つぎは、つりしてみようか?」
「いいわね~」
腕グキさんとマッチョさんが、まったりカヌーに乗っていたり。
「このかいりゅうって、およぐのはやいな~」
「いいこね、よしよし」
「がうがう」
マイスターとステキさんが、海竜クルージングをしていたり。
「ああ~どうぶつちゃんいっぱいだわ~」
……動物好きお姉さんが、恍惚の表情で動物達と水辺ではしゃいでいたり。
みんな、思い思いに楽しんでいるね。
「この湖ができて、良かったね」
「よかったです~。みんな、たのしそうです~」
「秋にこんな遊びができるのは、なんだか特別な気がしますね」
運営はリザードマン世界に丸投げしているので、ほんと楽ちん。
まったり遊べる、良い所が出来た。
そして今のエルフ世界は、ちたまとリザードマンの――二つの世界が干渉しているわけだ。
これは結構な奇跡で、こういうことはあまり起こらない。
基本的には、ちたまとどこかの世界、という関係なだけだった。
この湖がなければ、この奇跡は起きなかった。
巡り合わせとは、不思議な物である。
そうして、異なる世界同士のコラボにほくほくとしていると……ハナちゃんと神輿がなにやら雑談をし始めた。
(おみずたくさん、もんだいなし~?)
「あい~、みんなたのしんでるです~」
(よかった~)
……くるくる飛び回る神輿とハナちゃんが、のんびりと会話だね。
神様と雑談するというのは、わりと凄いのかなと思うけど……まあハナちゃんだからね。
それはそれとして。神様は、大きな湖が出来たことについて、気にしているみたいだね。
まあ……普通はこんなでかい湖が出来たら、大災害だ。
神様的にも、心配なんだろうな。
(ここにおみずがたまっても、もんだいなし~?)
「もんだいなしです~。いいかんじです~」
(いいかんじ~!)
森の住人がいたら問題になってたかもだけど、みんな避難してるからね。
ここに大量の水があっても、問題は起きなかった。
それどころか、いい感じに淡水を利用している。
これは、不幸中の幸いかもだ。
あと、みんなタダでは転ばないって感じだね。
それに……元の住人であるハナちゃんが、問題なしと言いきった。
これが良かったのか、神輿はキャッキャと光っている。
神様、安心出来たみたいだね。
優しい神様、心配してくれて――ありがとう。
◇
「かみさまだ! おだんごたべて! おだんご!」
「たくさんつくったの! つくったの!」
「おそなえもの! おそなえもの!」
ぽんにゃりと会話していたハナちゃんと神輿のところに、妖精さんがどっとやって来た。
たくさんのお団子を抱えて、お供えかな?
妖精さんたちも、神様の計らいでここに来れたことは言ってある。
それ以降、毎日お団子をお供えしたりと、何かと神様を慕ってくれている。
神様、村のみんなから大人気だ。
(おそなえもの、たくさん~!)
「どうぞ! どうぞ!」
「おいしいよ! おいしいよ!」
「あや! おだんごたくさんです~!」
そして、おびただしい量のお団子が……。
次から次へと、お皿にどんどん積み重なっていく。
……妖精さんたち全員が本気を出したら、これくらいの量は簡単に量産できちゃうんだな。
小さいけれども、人数は沢山だ。力を合わせて、お団子こねこねだね。
数は力なり。
(きもちたくさん、ありがと~!)
「おそなえもの、ひかった! ひかった!」
「おだんご、きえてく~」
「いっぱいたべてね! たべてね!」
(ちから、もらったよ~!)
妖精さんのお供えをちまちま食べていく神輿は、ご機嫌だね。
くるくる回って、ぴかぴか光って。
もうなんか、元気いっぱいだ。
(いける~)
――あ、なんか神輿から……キラキラしたやつが出てきた。
妖精さんが出す粒子みたいなのが、キラッキラだ。
……くす玉を割ったときに、なんか似てる。
◇
ステキな湖畔リゾートがオープンしてから、さらに数日。
山が真っ赤にそまって、いよいよ秋本番だ。
そう――秋本番でござる。
山には食べ物が、たんまりでござるよ。
ということで、観光客の方々も交えて食料採取となった。
水遊びも良いけど、山遊びもね! という感じだ。
今はみんなで山に入って、楽しいイベントの真っ最中だ。
俺や親父が指導しながら、みんなで山の幸を採りまくり。
狩猟採取文化のエルフたちにとっては、超楽しいイベントだ。
もうみんな、キャッキャしながら楽しんでいる。
「なあなあ、このきのこ……すげえうまそうじゃん!」
「それをうまそうとおもう、おまえがわからない」
「あきらかにきけん」
「ピリっとしてる」
そしてさっそく、マイスターがお約束を。
赤くてにょろっとした、カエンタケちゃんだ。
これ、超危険きのこでございます。
というか、名前がもうヤバいよね。火炎て付いてる。
教えておこう。
「それはカエンタケで、触っただけで――アレします」
「――うわあああああ!」
「ほら、やっぱり」
「おまえは、きのみだけひろっとけって」
「そうしときます……」
相変わらずの毒きのこマイスターに目を光らせつつ、気を取り直していろんなものを採取していく。
「……お! このきのみ、あかくてうまそうじゃん?」
「それはヒヨドリジョウゴと言いまして、沢山食べるとそれなりの確率でアレします」
「ええ……?」
ソラニンたっぷりの木の実だよ! さすが毒木の実マイスターだ。
なんかもう、逆の意味で的確だ。
「……いっそのことさ、おまえがうまそうってやつを、ゆびさしてくれ。おれら、それちゅういするからさ」
「それがいいわ~」
「ぎゃくに、かくじつだよな」
「そうすべそうすべ」
「ええ……?」
マッチョさんからの提案で、マイスターが毒探知機に任命されてしまった。
これでマイスターも、大活躍できるかもだ。
「じゃ、たのむな」
「わかったよ……これとか?」
ん? マイスターがしぶしぶ指さしたのは……天然なめこっぽい。
なめこちゃんなら、美味しく食べられるけど……。
――いや、俺はマイスターを信じる。
これたぶん――コレラタケだ。
なめこそっくりで、プロでも騙されるヤバいやつ。
これは、毒きのこだ!
「これは食べられるやつにそっくりですが、恐らく――アレするやつです」
「そっくりなやつなの?」
「私でも見分けがつかないくらい、そっくりでヤバいやつです」
「ひえええ!」
凄いよマイスター、出だし順調だよ。
マイスターやるじゃん!
「ほんじゃ、これとかも?」
「これは……」
一見しいたけに見える。しいたけはとっても美味しいきのこだ。
でも、このきのこを割いてみると……あった! 黒い斑点。
――これは、ツキヨタケだ。プロでも騙される、第二弾。
「これも食べられるやつにそっくりな、アレするやつですね」
「なんちゅうきけんなやつ」
「おまえ、なんかすげえな」
「そお?」
ヤバいやつを見分けたのが褒められたので、マイスターまんざらでもなさそう。
やる気が出たようだ。
「これとかも、けっこううまそうじゃん?」
「お見事! それはスギヒラタケといって、私たちも近年まで食べられるやつとおもって食べてました」
マイスターすげえ! スギヒラタケを見分けたよ。
これ、数年前までは毒ないって思われてたやつだからね。
わりと普通に、食卓に上がっていた毒きのこだ。
「え? しらないでたべてたの?」
「ええ。アレするって気づかずに、ごく最近まで」
「うわあ……」
「そんなこと、あるんだ」
「やべえ、ヤバすぎるよこれ」
スギヒラタケ、毒があるって気づかずに普通に食べていた。
しかし、とある切っ掛けで毒があると判明。
国から注意喚起情報が出て、きのこ狩り業界に今世紀最大の激震走る、の巻。
これを事前知識なしで判別するとは――本物だ!
「いやほんと凄いですよ。この調子でお願いします」
「そお? ならがんばっちゃうじゃん!」
「いいぞーもっとやれー」
「おまえだけがたのみだー」
「たよりになるわねー」
俺は素直に讃えたけど、まわりのみなさん棒読みですよ。
ただ、マイスターはもう……ドヤ顔でやる気十分だね。
この調子で、頑張ってもらおう。
「これとかこれ! あとこれ!」
「さすがです! それ全部アレします」
「これも?」
「ええ。即アレするやつです」
「いよっし!」
なんだか、ガッツポーズを取るマイスターだ。
だけど、それって……マイスターが美味しそうって思ってるやつだよね?
外れたことを喜ぶようになってるけど、良いのかな?
「これもアレするじゃん?」
「正解! ドクツルタケです」
「もう、なまえに『どく』ってついちゃってる」
「やばさがよくわかる」
絶好調の毒きのこマイスターのおかげで、なんだかきのこ狩りは順調になった。
これは、なかなか得難い人材である。
「タイシ~、これたべられるです?」
「うおっ! 天然マイタケ! めっちゃ美味しいやつだよ!」
「おいしいやつです!? やったです~!」
マイスターの大活躍と共に、ハナちゃんも大活躍だ。
天然マイタケのでかいやつ、めっちゃ美味しいやつを見つけてしまった。
「タイシ~、あっちのやつとかも、たべられるです?」
「うわああ! コウタケ! 幻のやつ!」
「まぼろしのやつです!?」
ハナちゃんもマイスターと逆の意味でヤバいな。
なんか美味しいやつを、的確に発見する。
……というか、そっちの松しかないところ、案内してないのに良く見つけたね。
褒めてあげないとね。
「ハナちゃんすごいよ。今日はごちそうだよ」
「うふ~。ごちそうです~」
「たくさん食べようね」
「あい~!」
ハナちゃん、今日はごちそうと聞いて、うふうふ状態に。
うふうふハナちゃんだね。この調子でがんばってもらいたい。
「きのみ、たくさんひろった~」
「かわむきしなきゃ!」
「これ、トゲトゲ以外はおれたちんところのきのみと、そっくりだよな~」
観光客のみなさんは、キャッキャしながら栗ひろいに熱中している。
カゴには、イガグリが沢山だ。あとで皮むき器を貸し出そう。
しかし、湖リゾートに秋の味覚狩りにと、村の観光業は絶好調だね。
ここで採れた秋の味覚は、湖を眺めながらまったり食べる催しでもある。
これは、盛り上がるぞ。
◇
――というわけで、たんまり秋の味覚を採ったあとのお楽しみ。
湖畔に観光客を含めたみんなで集まり、思い思いに料理して食べていく。
「マイタケ、おいしいです~!」
「こっちのきのこも、おいしいですね!」
「このおりょうり、おうちでもやってみようかしら」
「ふがふが」
ハナちゃん一家はマイタケの美味しさに驚いている。
天然マイタケは、ほんと美味しいからね。
天ぷらにバター焼きに、バター炒めに、ホイル焼き。
次々に料理が平らげられていく。
「うわ! このどうぐ、かわがかんたんにむける!」
「これ、ほしいわ!」
「これさえあれば、まいにちのおりょうりもらくになるわ」
あっちの森から来た観光客のみなさんは、栗の皮むき器の便利さにうっとりしている。
焼いた栗をちょっと冷ましたあと、するすると皮を剥いている。
彼らはようやくこっちに来れたばかりだから、この道具を使うのは今日が初めてだ。
ものすごい欲しがっているので、あとで追加調達してこよう。
多分、凄い売れるぞこれ。
「もっときのみ、やきましょ」
「どんどんやくぞ~」
「たくさんあるぜ」
しかし、たき火に次々と栗を投げ入れているけど……。
それ、危なくない?
「お、はじまったな」
「そろそろくるわ」
「じゅんびよーし!」
――と思っていたら、ドッカンドッカン爆発しだした!
焼き栗がたき火の中から飛び出してくる!
「おっと」
「あら」
「そこね」
……飛んできた焼き栗を、華麗な身のこなしで避けているぞ……。
なんだかみんな、慣れている。
ヤナさんに、あれは大丈夫なのか聞いてみよう。
「ヤナさん、あれって大丈夫なんですか?」
「だいじょうぶですよ。とんでくるきのみをよけられるようになったら、いちにんまえです」
「え? 一人前?」
「ええ。どこでもやっていけるって、みとめられますよ」
「ハナ、まだうまくよけられないです~」
……。
なんだか、そういう文化らしい。知られざるエルフ文化だ。
爆発焼き栗を、当たり前に避けられるようになったら……一人前。
そういうのが日常なんだろうな。
皮に切れ目を入れても、どうしても爆発するやつは出てくるからね。
ただ……蓋をしたフライパンで焼けば、問題ないんだよね。
蓋を押さえておけば、別に爆発したって影響がない。
これは……エルフ文化に色々影響が出そうだから、黙っておくか。
その文化、大事にしてください。
◇
爆発焼き栗を華麗に回避するエルフたちを眺め、湖を眺め。
そして美味しい秋の味覚を楽しみながら、楽しく食事会は進んでいった。
「きのこ、おいしかったです~」
「きのこはまだまだあるから、食べたくなったら言ってね」
「あい~!」
ハナちゃんはおなか一杯になったようで、一休みだ。
ちょっと休めば、また食べられるようになるかな?
まあ、今日全部食べなくても良い。まったりと食休みしよう。
そうしてまったりと湖畔で一服。
しばらくのんびり湖を眺めていたら、ざぶざぶとなにかがやって来た。
あれは――。
「――ぎゃう」
「お、海竜ちゃんどうしたの?」
「ぎゃう~」
やって来たのは、海竜ちゃんだった。
ぎゃうぎゃうと、何かをくわえてひれをぱたぱたさせている。
……遊んでほしいのかな? 今みんな、山の幸料理と食べるのに忙しいからね。
だれかが来るのを、待ってたのかもしれない。
「海竜ちゃん、遊んでほしいのかな?」
「ぎゃうぎゃう!」
「それっぽいです~」
海竜ちゃんに聞いてみると、元気にお返事だ。
遊んで欲しいっぽいね。
それじゃあ、腹ごなしに海竜ちゃんと遊ぼうか。
「何して遊ぶ? 今は泳げないから、地上で遊ぶことになるけど」
「ぎゃう~」
遊びについて問いかけると、くわえていた石みたいなのをぽいっと投げた。
「ぎゃうぎゃう~」
「あえ? くわえてもどってきたです?」
そして投げた石をくわえて戻ってきたけど……。
これは、ボール遊びみたいなことをしたいっぽいね。
……石だと危ないから、ゴムボールを持って来よう。
「ボールの方が良いと思うから、ちょっと持ってくるね」
「ぎゃう」
海竜ちゃんもそれで良いみたいなので、さっそく休憩所にいってボールを借りてこよう。
大きめのやつが良いかな?
「いってらっしゃいです~」
「ぎゃう~」
それじゃ、ボールを借りてこよう。
◇
「こっちです~」
「ぎゃう~」
ボールを借りて戻ってくると、ハナちゃんと海竜ちゃんはすでに遊んでいた。
さっき海竜ちゃんがもってきた石を、ハナちゃんがぽてっと投げる。
海竜ちゃんは、その石を拾って戻る。そんな遊びだ。
石は危ないから、こっちのボールにしようね。
そのために借りてきたわけだし。
「ハナちゃん、石の代わりにこっちを使ってね」
「あい~」
ハナちゃんがぽてぽてと歩いてきて、俺に石を渡してボールを受け取った。
いや、石はそこら辺に置いといても……。
――ん? 何だこの石。なんかキラキラしているぞ?
なんだろ、この石……。
……黒いゴツゴツした石に、キラキラと光を反射する、つぶつぶがある……。
これって、なんかの鉱石かな?
エルフたちも色々な鉱石を持って来ていたから、その類かも。
でもなんか、金属じゃないっぽいけど……。透明な、何かだな。
「……あえ? タイシどうしたです?」
「ぎゃう?」
石を眺めていると、どうしたのかとハナちゃんたちがやってきた。
――おっと、石にかまってる場合じゃないか。
……場合じゃないけど、なんか気になるんだよな……。
「いやね、この石って綺麗だなって思ってさ」
「あえ? いしです?」
「ぎゃう?」
石が気になるというと、ハナちゃんと海竜ちゃんも覗き込んでくる。
なんかがキラキラ光る、へんな石。
ほんとこれ、何だろ?
「タイシ、ユキにきいてみるです?」
ユキちゃんに聞いてみようと、ハナちゃんが提案してきた。
確かにそうだな、そうしよう。
「そうしようか」
「ハナ、ユキをよんでくるです~」
そして、てててっと走って、ユキちゃんとこに行くハナちゃんだ。
元気いっぱいだね。
――そしてしばらく待っていると、ハナちゃんがユキちゃんを連れて戻ってきた。
「タイシタイシ~、ユキつれてきたです~」
「ハナちゃんありがと。良い子だね~」
「うふ~」
ハナちゃんの頭をなでなでして、労をねぎらってと。
「それで、私に見てもらいたいものがあるとのことですけど、どうしました?」
ハナちゃんをなでなでしていると、ユキちゃんが聞いてきた。
それじゃ、ユキちゃんに石を見てもらおうか。
「海竜ちゃんがこんな石を持ってきたんだけど、なんか気になって」
「この石ですね、どれどれ……え? これ――」
ユキちゃんが石を見て、ビックリ顔になった。
何の石か、もう分かったらしい。
「これって、何の石なの?」
「これ――ダイヤモンドの原石ですよ!?」
「え! ダイヤモンド!?」
ほんとに? ダイヤモンドの原石なんて見たことないから、良くわからない。
でも、そういわれると、それっぽいような……。
「反射率からすると、そうですね」
「そんなの見てわかるの?」
「ええまあ。……目に秘密がありますから」
「さようで」
確かに前そんなことを聞いたけど、秘密なので原理がわからない。
まあ、それはそれとして。
これがダイヤモンドだとすると……一体なぜここに?
よくわからないけど、これは――調査の必要があるな。
「ユキちゃん、これ他にもないか、調査してみよう」
「はい! ……フフフ、ダイヤモンドですよ大志さん」
「そうだねユキちゃん、ダイヤモンドだね……ふっふっふ」
調査しようと提案すると、乗り気な様子のユキちゃんだ。
だって、ダイヤモンドだからね。
もし沢山あるのなら……フフフ。
「あや~。わるいかおしたおとながいるです~」
「ぎゃう~」
――おっと、顔に出ていた。
いやいや、これは学術的な興味があってね。
邪な感情は……ちょっとしかないよ?
ちょっとだけしか。
……フフフ。