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エルフのハナちゃん  作者: Wilco
第十二章 この世界に存在しない花
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第三話 これ、どうしよう。――こうしよう!


 洞窟から歩いてそこそこの所に、湖が出来たでござる。

 それも、わりとデカいやつ。


「これがあったので、とおまわりしないといけなかったんです」

「どれくらいとおまわりするかわからなかったから、いったんひきかえしました」


 なるほど、移動経路に湖があって迂回を余儀なくされたと。

 そしてどれほど迂回が必要か、わからなかった。

 このため、引き返す必要が出てしまったわけか。


「そういう事だったんですね」

「ええ。とちゅうでたべものがつきたら、まずいかなっておもいまして」

「じっさいは、そこまでしなくてもよかったかんじですが」


 移動中の食糧を余裕を持って見繕って再挑戦してたら、そりゃ時間かかるよね。

 思ったより遠回りしなくて済んだみたいだけど。


 でも、危機管理としてはさすがだね。

 引き返すという決断を下すのは、実に難しい。プロでさえ難しい。

 でも、この人たちは引き返すと決断できた。

 元々一族を率いていた人と、消防団の長という肩書は伊達じゃないわけだ。


「お二人とも、引き返す決断をしたのはさすがです。それがどれほど難しいかは、良くわかります」

「かなり、なやみましたけどね……」

「リアカーがあったので、ひきかえすこともかのうになりました」

「そうなんですね」


 悩んだけど、リアカーがあったから決断できたらしい。

 移動コストが減らせた利点は、こういう所でも活きるんだな。


 まあこれで、元族長さんたちの到着が遅れた理由はわかった。

 そしてこれが――不測の事態らしいことも。

 あらかじめ知っていれば、引き返すなんてことはしないはずだからね。

 この辺、確かめてみよう。


「大雨が降った後、このように湖が出来たりとか……今までありました?」

「――ないですな」

「はじめてのできごとです」


 元族長さんと団長さん、首を横に振って否定する。

 思った通りだ。


「ハナも、こんなのはじめてみたです~!」

「わたしもですね」


 この森で暮らしていたハナちゃんとヤナさんも、こんな現象は初めてだという。

 ということは――不測の事態が起きたと見て、間違いない。

 今までにない出来事が、起きたんだ。


「いままで、こんなことはなかったのになあ」

「おおあめのあとは、かわができるくらいだったのに……」


 元族長さんとヤナさん、しゃがんで湖を覗き込んでいるね。

 聞くところによると、大雨の後は出来ても川くらいだったと。


「かわができると、これでいどうしたりするんですよ」


 ヤナさんがそう言いながら、エルフカヌーをよいしょと取り出す。

 ……そのでかいやつ、いったいどこにしまってるの?


「こんかいはねんのため、フネをつかわずにあるいてきました」

「いつものかわじゃなかったですから」


 元族長さんと団長さんもエルフカヌーをとりだして、にこにこしながら磨いている。

 それを今磨く必要があるのかは置いといて、なるほどね。

 エルフたちがフネを持っていたり、わりと水に慣れているのはそういうことか。

 大雨の後に川が出来たりするから、泳げなかったりカヌーがなかったりしたら困るんだな。

 時期により、エルフカヌーは必須装備になるわけか。


「リアカーのにもつを、フネにつもうともおもったんですけど……」

「どこにながされるか、ぜんぜんわからないですからねえ」


 元族長さんと団長さんは、「まいったまいった」という感じで頭をかく。

 まあそうだよね。いつもは川が出来る程度だったみたいだから。

 川と湖じゃ勝手が違うから、慎重になるのも頷ける。


 やろうとおもえば、カヌーで来れたっぽいけど。

 ……しかし、この現象はここだけで起きているんだろうか?


「これって、ここでだけ起きてるんですかね? あっちの森とかは大丈夫ですか?」

「あっちのもりは、いつもどおりですよ。みずうみができたのは、しってるかぎりではここだけです」

「それはよかった……」


 今度は団長さんが答えてくれたけど、あっちの森はいつも通りと。

 あっちの森出身のヤナさん、ほっとしている。


 そのほかの森がどうなっているかは、平原のひとたちに聞いてみよう。

 おそらく、なんにも起きていないとは思うけど。

 これは、多分――。


「……タイシ、なにかわかったです?」

「え? タイシさんわかるんですか? これ」

「なにがおきたんでしょう?」


 仮説をまとめようとしたところで、ハナちゃんやほかのみなさんに問いかけられた。

 では、話をしながらまとめるとしましょう。


「湖が出来た原因については、ある程度推測は出来ますね」

「やっぱりです~!」

「ほほう」

「きかせてほしいですね」


 みんな興味津々な様子で、俺の周囲に集まってくる。

 それじゃ、まずは実際にあった現象から順に説明しよう。


「みなさんの森って、水をとんでもなく吸収しますよね?」

「そうなんですか?」

「ふつうです?」

「そのへん、よくわからないですな」


 反応はいまいちだけど、俺からすると、エルフの森は異常なほど水を吸収する。

 これは、台風の時に証明されている。

 映像として証拠も残っているから、確実だ。


 ならば、話は簡単だよね。


「今までは大雨を、森がずんどこ吸収してくれていたんです。でも、もう――森はありません」

「あや~……」

「森が吸収するはずだった大雨が行き場を失って――湖ができた、と考えてます」

「そういわれると、そんなきがしますね」

「それっぽいですな」

「もりって、すごいんですね……」


 一時間に数百ミリの豪雨を吸収した上、流れてくる濁流すら吸収してみせた。

 そんな大食らいの食いしん坊プランツが、ここには――もうない。

 そりゃあ、大雨が降ったら溢れるよね。

 実際に、灰色の森の方から続いているいくつかの川から、湖に水が流れ込んでいる。


「もりがなくなると、こんなことが……」

「ものすごい、えいきょうあるんだ」


 俺の話を聞いて、ヤナさんと元族長さんが茫然(ぼうぜん)としている。

 これは仮説だけど、状況証拠からしてかなり有力な説だ。

 森が無くなった影響、ものすごいんです。

 それこそ、地球じゃ大気組成すら変わる。

 そこら辺の雑草ですら、集まれば環境を変える力を持つ。

 植物とは、ただそこにいるだけで環境を変えてしまう、すごい生き物だ。


 ……とまあ仮説は話したけど、実際問題これからどうするかだね。

 今の所直接影響が出ているのは、あっちの森との交通くらいか。

 そういえば、どれくらい迂回が必要なんだろうか。


「ちなみに、この湖を迂回すると……以前と比べてどれくらい日数がかかります?」

「のんびりいどうしたとすると、ふつかかみっかくらいですかな」

「いそげば、いちにちからふつかってところです」


 迂回に二日か三日か。まあ、ギリギリ許容範囲ではあるかな。

 移動にかかる時間が増えたのは、デメリットだけど。


「まあ、しかたなしですかな」

「まわりみちはやっかいですけど、いどうちゅうはけっこうたのしかったですね」


 ん? 仕方ないのはわかるけど……移動中は――結構楽しかった?

 良い事でもあったのだろうか。

 楽しいと思った理由を、聞いてみるか。


「楽しかったというと、何か良い事でもありました?」

「こんなおおきなみずうみを、ながめながらたびができました。これはよかったです」

「けいかんが、とってもよかったですかな」


 ……そういう事か。

 突如できたでかい湖だけど、その景観は確かに美しい。

 そんな美しい湖畔を眺めながら、のんびり旅が出来るわけだ。

 これは確かに、楽しいかもしれない。


「あとは、みずがたくさんあるので……もちものをへらせますな」

「みずをたくさんもってこなくてよくなるので、そのぶんらくになります」


 これも確かにそうだ。

 荷物のうち、水は重いしかさばる。

 でも、持って来ないとアレするから、用意せざるを得ない。

 そして荷物を軽くしようと水を減らせば……旅の途中は我慢を強いられる。


 この湖が出来たことによって、遠回りになるっていうデメリットは出来た。

 でも……メリットも、大きいな。


「この湖、もしかしたら結構いい感じかも知れませんね」

「そうですね。こんなでっかいみずうみ、なかなかないですから」

「こっちらへんだと、かなりめずらしいですな」

「めずらしいです~」


 色々驚いたけど、話を聞いた限りでは……あっちの森の人たちもそんなに困らないかな?

 荷物の水を減らせるってのは、大きなメリットだろうし。

 念のため、飲める水かどうかは後で水質検査をしておこう。

 雨水(うすい)で出来た湖だろうから、大丈夫だとは思うけど。


「ばう?」

「ばうばう」

「ばう~」


 ……ん? ここまで乗せてきてくれたフクロオオカミたち、なにやらばうばうとしているけど……。


「ばう~!」

「ば~うばう!」

「ばうばうばう!」


 ――あっ! フクロオオカミたちが湖に向かって走り出した!

 と思ったら、ばっしゃばしゃと水浴びを始めたぞ!


「ばう~」

「きもちよさそうです~」

「水浴びしたかったのかな?」


 ハナちゃんの言うとおり、フクロオオカミたちは気持ちよさそうに水浴びをしている。

 ……寒くはないのかな?

 ちょっと水温やらを確かめてみよう。

 手を入れれば、ある程度の水質や水温はわかるはずだ。


「タイシ、なにするです?」

「ちょっと湖の水温やら水質やら、見てみようと思ってね」

「ハナもやるです~」

「あ、わたしも」

「おれもやっとこう」


 水温やら水質を確かめると言ったら、みんなやってきた。

 それじゃ、みんなで見てみよう。

 まず水温は……冷たくはないな。気温よりちょと低いくらい。

 水質は、見たところ問題なし。変な匂いもしないし、綺麗な水っぽい。


「あや! おさかないるです~」

「え? どこにお魚が?」

「そこです~」

「ほんとだ、沢山お魚がいるね」

「たくさんです~」

 

 ハナちゃんが魚を発見した。淡水魚だね。

 この魚の生息できる水質ってどうなんだろうか。


「このお魚が住める湖って、水質はどうなのか知っているひといます?」

「あ、わたししってます。きれいなところだけにいますよ」


 ヤナさんが、はいはいと手を挙げて教えてくれた。

 きれいな水のところだけにいる魚か。それなら……これは綺麗な水ってことか。


「ということは、この湖の水質は問題ないってことですかね」

「おそらく。あと、このおさかなはおいしいですよ」

「おいしいおさかな、たくさんいるです~!」


 ヤナさんに確認をすると、お魚を見てじゅるりとしながら答えてくれた。

 ハナちゃんもじゅるりとしているけど、二人ともお魚はまたあとでね。


 しかし、水温は冷たくなくて、水は綺麗。

 そして景観バッチリで、おまけに水量豊富。

 この湖――素晴らしいのでは!


「今思ったんですけど、この湖かなりよさげではないですか?」

「これ、あそべるです~」

「みずものめるし、おさかなもいます。いいですね」


 ハナちゃんとヤナさん、おもむろにカヌーを取り出す。

 そうだね、遊べそうだね。でも、そのカヌーはしまっておこうね。

 もう遊ぶ気満々な二人だけど、着替え持って来てないからね。


 ここで水に濡れたら、村に帰ったとき寒くて風邪ひくから。

 こっちは暖かいというか、若干暑いくらいな気温だ。

 でも、村はそんなに気温高くないから。


「村の方は気温が高くないので、着替えも用意していない今日は、やめときましょう」

「あや~、ざんねんです~」

「そういえば、あっちはだんだんすずしくなってきてますね」


 村の気温に思い至ったのか、しぶしぶカヌーをしまう二人だ。

 ここで泳ぐなら、多少の準備はしないとね。


 しかし……泳ぐとなると、ライフセーバーを置いたり着替え出来る場所を作ったりしないといけないな。

 海あそびみたいなことも出来そうだから、きっと平原の人たちも殺到すると思う。

 勝手に遊んで良いよと放置すると……水難事故が怖い。


 とはいえ、この広い湖に目を光らせ続けるのも難しいな。

 村のエルフに、アルバイトで監視員をしてもらうにしても……。

 ちょっと、人手が足りない。

 村の維持管理や観光業という仕事もあるから、あまり余裕はないんだよね。


 でも、水難事故防止には監視員が必要だ。

 この辺、どうしたら良いだろうか……。


 ――あ! ちょうどいい人たちがいる。

 なんか仕事を探していた人たち、いたよね。

 リザードマンたちに、水辺の安全を守るアルバイトしてもらえば良いかも。

 そうすればこっちは水辺の安全を守れるし、あっちも収入が入ってにっこりだよね。


 ……ついでに、遊んでほしい海竜たちも呼んじゃおうか。

 そうすれば、観光客が海竜たちと遊んでくれるんじゃないか?

 海竜たちは遊んでもらえてにっこりだし、観光客は大型水棲動物と仲良く遊べて観光名所になる。

 これなら、良いかも。


 ……この目の前にある、大きな湖。なんだか出来ちゃった、でかいやつ。

 ここに湛えられている膨大な淡水は……もう色んなことに利用できちゃう。


 すでに、水遊びリゾートみたいなのが出来そうだ。

 あとは魚がいるから、水産資源も得られる。

 沢山水があるから、農業用水にも使えるかもしれない。

 さらに屋形船みたいなのを浮かべて、クルージングツアーとかも。

 観光、水産、運輸に農業などなど、色々できちゃうよね。


 ……やばい、夢が膨らむ。

 この湖がいつまであるかはわからないけど、有効活用できたとしたら。

 楽しい事沢山――出来るのでは!


 ぐっふっふっふ。


「タイシ~、なんかいいこと、かんがえたです?」


 ハナちゃんがぴょいっと登って肩車状態になったけど、思いついちゃいました。


「ねえハナちゃん」

「あえ?」


 ハナちゃんに呼びかけると、緑の瞳でこちらを見つめてくる。

 俺が何を言い出すのか、わくわくした表情だ。

 とりあえず、水遊びについて話してみよう。


「この湖でさ……海で遊んだ時みたいなこと、出来そうじゃない?」

「あや! うみであそんだこと、できそうです!?」

「見た限りでは、なんか出来そうなんだよ」

「たのしそうです~!」


 とりあえず、海あそびみたいなことが出来そうだと伝えてみた。

 それを聞いたハナちゃん、耳をぴこぴこさせて大はしゃぎだ。

 あの楽しかった佐渡旅行の海あそびを、それなりにこの湖でも出来そうなら……楽しいよね!


「海竜ちゃんとかも呼んで、観光客の人たちもさそってさ……みんなで水遊び出来たら――楽しくない?」

「いいかもです~! みんなよろこぶかもです~!」


 これはデカい湖であって、海じゃあない。

 でも、この豊富な水量なら……似たような事は、出来るはず。

 そして佐渡旅行の写真を見て、とても羨ましがっていた平原の人たち。

 彼らにも、似たような楽しみを――提供できるかもしれない。


 森が無くなったことによって、この世界には大きな損失が出た。

 しかし、森が無くなったことによって、巨大な湖が出来た。

 この湖を使えば、この世界が被った損失を……少しは埋められるかもしれない。


 そのためにも、この湖を有効活用――しちゃいましょう!



 ◇



「大志、この湖なかなかいいぞ」

「大丈夫そうかな?」

「水質に問題はないし、魚も結構いる。危険生物や怪獣も見当たらない。大丈夫だ」


 ということで、まず初めに高橋さんに湖を調べてもらった。

 けっこう良いという評価がもらえたので、農業用水や水遊びは問題ないだろう。

 危険生物もいないって事で、思う存分遊べちゃうねこれ。


「大志さん、簡易水質検査キットでも水質良好と出てます」

「ユキちゃんありがとう。これで確定だね」

「ええ。泳げますよ」


 高橋さんに確認してもらうのと並行で、化学的検査もした。

 結果は、問題なしだ。

 というか……検査の結果が出る前に、高橋さんが泳ぎだしてしまったのだけど。

 でもまあ、これで一つ目の懸案事項は解消だね。


「こっちで、タイシさんなんかやってるんだって」

「なんだろ」

「きいてみる?」

「ばうばう」


 一通りの検査と調査が終わったところで、マイスターとマッチョさん、そしてステキさんがフクロオオカミに乗ってやって来た。

 どうやら、噂を聞きつけたらしい。

 村であれこれ準備したからね。興味を持ったかな?


「――おわ! なんかみずうみできてんじゃん」

「まじだ。でけえなこれ」

「いつのまに、こんなのが」


 そしてさっそく、湖を見て驚く三人だ。

 この湖の存在、まだ一部の人しかしらないんだよね。

 三人にも軽く説明しておこう。


「雨を吸収してくれた森が無くなった為、大雨が行き場を失って湖が出来たようです」

「そこまでわかってるんだ~」

「かなり有力な説、という段階ですけどね」

「へえ~」

「そうなんだ」


 とりあえず現象に理由が付けられてはいるので、三人ともまあまあ納得だ。

 あとは今していることの意味について、教えておこう。


「今はこの大量の水は綺麗なのか、泳いでも大丈夫かを確認しています」

「およげるです~!」

「え! そんじゃ、さどのときみたいにあそべたりするの?」


 マイスターも、佐渡で遊んだ時みたいに出来るって考えたみたいだ。

 まあ、すぐに思いつくよねこれ。泳げるんだから。

 ただ水遊びするには、ライフセーバー役やら休憩所やら色々と整備する必要がある。

 実際に遊べるのは、もうちょっと準備してからだね。


「今は準備が必要で泳ぎは禁止ですけど、準備が整ったら水遊びができます」

「まじで!」

「うおお~! フネのていれしなきゃ!」

「またみずあそびできるとか、すてき」


 もうエルフカヌーを取り出して磨き始めた三人だけど、準備はまだ出来てないから。

 しまっておきましょうね。


「ばう?」

「ばうばう」

「ばう」


 ……三人がのってきたフクロオオカミも、なにやらばうばう話し合っている。

 これ、水浴びの相談なのかな? さっきもそうだったから。


「ばう~!」

「ばうばうばう」

「ば~うばう!」


 そしてやっぱり、ばっしゃんばっしゃんと水浴びを始めた。

 すごい気持ちよさそうだ。


「あや! またみずあびはじめたです~」

「フクロオオカミはみずあびだいすきだぜ。ただ、へいげんにはみずあびできるばしょ、あんまりないんだ」

「へえ~」


 水浴びの理由について、マイスターが説明してくれた。

 なるほどね。それなりの深さがあって、さらに広くて綺麗な水場。

 これは平原で見つけるのが、さぞかし大変なんだろうな。

 でも、ここにはでっかい湖があるわけだ。


 この湖、フクロオオカミごきげんスポットになりそうだ。

 俺たちも彼らを見習って、ここをエルフごきげんスポットにしなきゃね。


「ばう~」


 そうして、しばらく水浴びを楽しんだフクロオオカミたちが返ってきた。

 来たけど……。


「びっしゃびしゃにぬれてるから、のってかえれなくね?」

「これはむりだな」

「かわくまで、まつ?」


 ずぶ濡れフクロオオカミに乗るのはちょっと無理だな。

 いっしょに歩いて帰るとするか。のんびりと。

 そして、村に帰ったら……みんなに話してみよう。


 ――湖畔の水遊びリゾート、これから作るよって。


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