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エルフのハナちゃん  作者: Wilco
第十一章 エルフ農業(収穫祭)
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第三話 おうちのお話


「たべもの、なくなっちゃう、なくなっちゃう」

「たいへん! たいへん! おなかぺこぺこ、こまっちゃう!」

「どうしましょ、どうしましょ」


 今の森の大きさではそうそう持たないという事を伝えると、妖精さんと虫さんあわあわ状態になってしまった。

 なんだか、最初の頃のエルフたちもこんなことあったような……。

 

 まあ、相談しながら解決策を一つ一つ見つけて行こう。

 まずは食料だ。


「食べ物については、こちらで甘いものと、花粉の代わりになるものを用意します。おなかぺこぺこにはさせませんから」

「ほんと! ほんと!」

「ひとあんしん~」

「じゃあ、これたべてもいいよね! いいよね!」


 こちらで食べ物を用意するというと、妖精さんたち一安心の様子。

 そしてさっそく、花粉おだんごを食べ始める。さっき食べ終わったのに、また食べている。

 あと……そのおだんご、どこにしまってたの?

 さっき食べ終わった後、手ぶらだったよね?


 ……まあそれはそれとして。

 どんな食べ物が良いかは、色々用意して味見してもらおう。

 花粉荷ほどの完全食は用意できないかもだけど、複数の食材を組み合わせれば賄えるとは思う。

 食糧の相談は、ひとまずこれくらいにしとくか。


 それじゃ次に、着るものだ。これはエルフたちも協力してくれる。

 それに妖精さんたちをみた限りでは、花びらの服はけっこう手が込んでいる。

 きっちりパーツごとに綺麗に組み合わせているから、自分たちで服を作ることも可能なんじゃないかと思う。

 とりあえず布を見せて、出来そうかどうか判断してもらおう。


「次に着るものなんですけど、私たちはこういう布を持っています。みなさんこれを使って、自分の服を作れたりします?」

「みせて、みせて」

「おはなとちがう、ふしぎなひらひら~」

「ふわふわさらさら、ふしぎ~」


 妖精さんたちに布の切れ端を渡すと、みんな集まってきゃいきゃい始めた。

 ほおずりしたり、頭にかぶったり。かじってしぶい顔をする子も何名か。

 食べちゃだめだからね。食べられないからそれ。


「つくれそ、つくれそ」

「ちょっとすきまがおおいけど、できなくないよ、なんとかするよ」

「かわいいふくを、つくりましょ~」


 やがて、布をあれこれしていた妖精さんたち、手ごたえを感じたようだ。

 作れそうと言っているね。

 ただ、ちいさな妖精さんたちにとっては、こっちの布は目が粗いようだ。

 俺たちの目には見えない織り目の隙間も、ちいさな妖精さんからしたらでっかい隙間だもんな。

 そりゃ当然か。


「大志さん、多分妖精さんたちには、シルクかスーピマコットンの布がいいかと思います」

「シルクはわかるけど……スーなんたらコットン? 何それ」

「スーピマコットンです。これは高級綿で、このコットンの極細糸を使った布があるんです。織りかたにより、コットンなのに撥水性がでたりします」

「へえ。そりゃすごい」


 ユキちゃんが、妖精さんに提供する布についてアドバイスしてくれた。

 なるほどシルクかなんたらコットンね。

 そのなんたらコットンは良く知らないけど、使えそうだ。


「なんかすごいぬの、あるっぽいぞ」

「みてみたいわ~」

「どんなんだろ~」


 俺とユキちゃんの話を聞いていたエルフたちも、興味を持ったようだ。

 エルフたちに見てもらう分も、ついでに調達しよう。

 これは明日で良いか。


「布は明日用意してみますので、みなさんお楽しみに」

「いくらくらい、かかりますか?」


 布を用意すると伝えると、ヤナさんがお値段を聞いてきた。

 ……正直俺もわからないわからないけど、値段はかなりお高い事は伝えておこう。


「私も良くは分かりませんが、かなり値段は高い布ですね。なので、どんなものか確認する程度の分量となります」

「わかりました。……なんだか、こうかなぬのっぽいですね」

「ええ。こっちでも高級品ぽいです」


 値段は高いと伝えると、ヤナさん若干腰が引けているね。

 まあ、その布を購入するかどうかは、布の出来と価格を見てもらってから決めればいいか。

 これで布の話はひと段落かな?


 それじゃ最後に、家の話だ。

 花の中で過ごしてもらうのは、こっちじゃ心配だからね。


「最後に皆さんが過ごす寝床の話なのですが、こっちだと花の中で過ごすのは、ちょっと心配かなと」

「だめなの? だめなの?」

「おはなのおうち、いいにおい」

「おまけにたべもの、そこにある~」


 妖精さん達は花の家についてきゃいきゃいアピールして来るけど、なるほどわりと快適なのね。

 ただ、花の家に住むのはダメって思ったらしく、ちょっと残念そうだ。

 ダメなのではなく、ここではお天気が優しくないって感じで話そうか。


「ダメってわけでもないですけど、こっちは雨も多かったりで、ちょっとお天気が優しくないんです」

「たまに、すっごいおおあめ、ふってくるです~」

「こうずい、こわい~」

「きゃー!」


 おっと、ハナちゃんが凄い雨降ってくると言ったら、妖精さんたちぷるぷるだ。

 洪水で大変な目にあっただけに、トラウマっぽいね。

 しかし、ハナちゃんの言う通りでもある。


 近年の日本と言わず地球は、なんかどんどんお天気が極端になっていく。

 ドガっと豪雨が降ったかと思ったら、ほんのせまい地域だけのことだったり。

 今年もなんだか梅雨には全然降らなかったのに、それ以降は大雨が続いたり。

 わけわかんないお天気だ。ソバ農家とか大打撃を受けてた。

 この村ではまだソバ栽培はやってないけど、やってたら同じように打撃を受けてたね。


 あと、台風もそろそろ連続でやってくる頃合いだ。

 幸いにも今のところ台風が逸れているので、まだ主だった被害はでていないけど。

 いずれやってくるから、今のうちに用心しておかないといけない。


 こういう事があるので、花の中で過ごすのはやっぱり不安なわけだ。

 ただ、それじゃどこで過ごしてもらうかは、実はノープラン。

 詳しく話を聞いて、それから決めようって感じだね。

 ということで、話を聞いてみよう。


「みなさん、花の中で過ごす以外に、なにか寝床ってあったりします?」

「はっぱ! はっぱでおうちをつくるの」

「つちをかためて、かんたんなおうちもつくるよ!」

「あめさえしのげば、もんだいないの」


 なるほどね。雨をしのぐことができれば、どれでも良いと。

 特にこだわりはないんだな。

 でも、葉っぱの家や土の家もそれはそれで不安だね。

 台風がきたら困るな。冠水したり風で飛ばされるよね。


 さてどうするか……。


「妖精さんたちの家、どうしようかな……」

「むむむ」


 あんまり良い発想が出て来ないので、ちょこっと考え込んでみる。

 ハナちゃんも真似して、俺の隣でむむむむハナちゃんになっているね。

 一生懸命お手伝いをしようと、頑張る姿はとってもかわいい。

 なでとくか。


「むふ~」


 あ、「むむむ」と「うふ~」が混ざって「むふ~」になった。

 考えながらうふうふ出来るなんて、器用だね。

 むふむふハナちゃん、出来上がりだ。


「むふむふ、むふ~」

「むずかしいながらも、しあわせそうなひょうじょうだね」

「おんなのこだもの」


 ヤナさんとカナさんも、そんなハナちゃんをふむふむとみている。

 でも、女の子なのは関係ないような気がする。


 そうしてしばらく、二人でむふむふとやっていると――。


「――あや! いいことおもいついたです~!」

「あ、ハナちゃんどこに?」

「タイシちょっとまっててです~!」


 どうやらハナちゃん、何か思いついたようだ。

 ドップラー効果を残しながら、じぶんちの方にてててっと走っていってしまった。


 そして裏口を開けっ放しにして、家の中に入っていく。

 ……ハナちゃんちに、なにかあったっけ?


 首を傾げていると、手に何かを持ったハナちゃんが勝手口から出てきた。

 かなりの大きさのそれを、ハナちゃん一生懸命んしょんしょと運んでいる。


「タイシタイシ~! これ! これつかえるとおもうです~!」

「あ! それはみんなでつくった、おうちのもけい!」


 そうしてハナちゃんが持ってきたものは、ログハウスの模型だった。

 五月にふとした拍子に村で大流行した、建築模型作りのアレだね。

 ヤナさんが驚いているけど、みんなで作ったんだ。


 ……確かにこの建築模型、使えるかも。


「タイシ、どうです?」


 そうして模型を抱えて俺の前までんしょんしょ持って来たハナちゃん、そろーりと地面に置いた。

 ……うん、上手に出来てるね。

 大きさも……このスケールなら、妖精さん達が過ごすには問題なさそうだ。

 いけるかも。


「ハナちゃん、これ使えるかも。さっそく試してみよう」

「あい~!」


 使えるかもというと、ハナちゃんもっとにっこにこだ。

 では、さっそく妖精さんたちに中を見てもらおう。


「みなさん、これは木で作ったちいさな家なのですが……中を確かめてもらえませんか?」

「おうち? はいる~!」

「おもしろそ~!」

「わたしもはいる~!」


 正面のドアを開けて中を確かめてと言ったら、妖精さん殺到する、の巻。

 みんな入口でつっかえて、でもそれが楽しいのかきゃいきゃい始めた。


「あ、一人か二人で入ってください。他の方は順番待ちで」

「わかったー!」

「まだかな、まだかな!」


 俺の言う事を素直に聞いてくれた妖精さんたち、ぴこぴこ飛びながら順番待ちを始める。

 そして、最初に入った妖精さんたちはというと……。


「このおうち、いいかも! いいかも!」

「がんじょうかいてき、ゆめみたい~!」

「ほんと? ほんと?」


 最初に入った二人組は、窓から顔をだしてきゃいきゃい大はしゃぎだ。

 気に入ってくれたかな?


「おつぎのかた、どうぞ~!」

「おじゃましまーす!」

「きゃー! いいかんじー!」


 そうして次々に建築模型の中を確認しに、きゃいきゃいと入っていく。

 家の中ではキャーキャー大騒ぎし、なぜかぽろりと窓から出てきて、羽根を楽しそうにキラッキラ光らせる。

 うん、問題ないみたいだね。


「ハナちゃん、これ使えるよ。良い事考えたね」

「ハナたちのおうちとそっくりだから、いけるとおもったです~」

「ハナちゃんえらいね~。えらい子にはなでなでしちゃうから!」

「うふ~」


 妖精さんたちが建築模型できゃいきゃいしている横で、褒められたハナちゃんうふうふだ。

 耳もでろんと垂れて、たれ耳うふうふハナちゃんの出来上がりだ。


 実際に住んでもらうには屋根や外壁に多少の防水加工は必要だけど、アスファルトでも敷くかな?

 まあ、ちょっとした手間で出来るから特に問題は無いな。


 よし、この建築模型をもっと用意して、妖精さんたちの家を作ろう。

 どれだけの戸数が必要になるかは、聞けば良いか。


 戸数がわかれば、あとはネットで注文すれば――。


「――タイシさん、このちいさなおうちなんだけど……」

「ちょっとそうだんしたいことが」


 ん? マッチョさんとおっちゃんエルフが、なんだか相談ごとがあるようだ。

 建築模型についてだよね? なんだろ。


「相談ですか。一体どのような?」

「このおうちに、ようせいさんがすむの?」

「今のところ、その予定ですね」

「たりないぶんは、やっぱりかってくる?」

「そうですね。どれくらい必要かは、まだ分かりませんが」


 マッチョさんたち、だいたい俺の行動パターンを学習したっぽいね。

 足りなきゃ買ってくる。お金でだいたい解決しちゃう。楽ちん!

 ……んで、それを聞いてどうするのだろうか?


「まあこんな感じの、いつも通りのやり方ですけど」

「それなんだけど……このちいさなおうち、おれたちでつくりたいなって」

「おれのじまんのもっこうざいくで、ぶひんつくるのだ」


 おお! 建築模型を自作すると!

 マッチョさんは建築に興味があるし、おっちゃんエルフは木工が大得意だ。

 良いかもしれない。


 買ってきた方が手っ取り早いけど、自分で作っちゃダメという理由もない。

 ここはぜひ、挑戦してもらおう。


「良いと思います。まずはお試しで一つ作って見てはどうでしょうか?」

「いいの!? おれ、がんばる!」

「おれのじまんのもっこうざいくで、いいおうちをつくるのだ」


 マッチョさんとおっちゃんエルフ、やる気十分だね。

 お任せしちゃって、大丈夫だな。

 ただ、せっかく作るなら妖精さんたちに合った設計にもしたいよね。

 彼らは大きな羽根を持っているだけに、今ある建築模型だと家から出入りするのが大変そうでもある。

 最初にみんなが殺到したとき、入り口で詰まったのもそれが原因だ。


 妖精さんたちの体格や特徴に合わせて、色々手直しできれば……なお良いのでは。

 提案してみよう。


「どうせ作るのですから、妖精さんたちに合わせて家の設計を改良してみませんか?」

「そんなこと、できるの?」

「もちろん出来ますよ。模型の組み立て説明書に図面も載ってますから、それを基本とすれば良いかと思いますが」

「ずめんのかきかた、タカハシさんからちょこっとならったけど……」

「まあまあ教えたな。机くらいなら図面は引けるようにしてあるぞ」


 マッチョさんはちょっと自信なさげだね。

 でも、この小ささの家なら構造計算しなくとも強度十分に作れるから、俺はいけると思う。

 高橋さんが言うには、机が作れる程度の図面は引けるようだし……いけるんじゃないだろうか。


 高橋さんが顔を出したときにちょいちょい教えてもらいながら、図面を書いて行けばなんとか。

 自分たちで図面を書き上げ、自分たちで部品を作り、自分たちで組み上げる。

 例え模型の家だとしても、それはとても良い経験になる。


「まずはやってみて、それでもダメなら別の手立てを考えるのはどうです?」

「でも、そうするとようせいさんのおうち、いつまでたってもできないのでは……」

「その間は、買ってきた建築模型に住んでもらえば良いと思いますよ。仮住まいですね」

「なるほど~」


 市販の建築模型は仮設住宅として、まあ仮住まいにすれば当面はしのげる。

 ただ、妖精さんに合わせた構造ではないので、多少の不便はあるけどね。

 ずっと住む訳ではないから、しばらくはそれで凌いでもらおう。


「タイシさん。それならわたしたちがもってるおうちのもけい、かりずまいとして……つかえませんか?」


 ん? ヤナさんが模型を指さして言っているけど……。

 これを作るのは結構大変だったはずだ。家族のみんなで作ったらしいから、思い出もいっぱいつまった模型だよね。

 それ、使っちゃって良いの?


「え? みなさんの持ってる物ですか? 使っちゃって良いのですか?」

「ええ。みんなおうちのもけいつくってますので、ようせいさんのおうちができるまでつかっていただけたらと」

「おれのもいいぜ!」

「わたしんちのも、つかって!」


 ほかのみなさんも、口々に使ってと言っている。

 みんな、一生懸命作った建築模型、使わせてくれるんだ……。

 それはとてもありがたい。

 足りない分を買ってくるにしても、大幅に数を減らすことができるね。

 それにもう出来ているから、作る手間も大幅に省ける。

 ほんとにありがたい。このみんなの好意、受け取ろう。


「それではみなさんが作った模型ですけど、お借りしちゃいますね。とても助かります」

「もともと、タイシさんからもらったものですので」


 まあそうだけど、もうエルフたちの所有物だからね。

 でも、ヤナさんもにこにことしている。提供することに問題はないみたいだ。


「かざっておくより、だれかがすんでいたほうがいいじゃん?」

「わたしのつくったおうち、ちっちゃかわいいひとがすむとか、すてき」

「おれのじまんのおうちのもけい、みっつもあるのだ」


 他の方々も、にこにことしている。

 自分たちの作った物が、何かに役立つ。

 それが嬉しいのかも知れないな。俺だってそうなったら嬉しいし。


「ハナたちがつくったおうち、やくだったです~!」

「そうだね。みんなの模型のお家、ありがたく使うよ。妖精さんたちに、住んでもらっちゃうから」

「うふ~」


 ハナちゃんも、エルフ耳をぴこぴこさせてにっこにこだ。

 やっぱり、誰かの、何かの役に立てるのが嬉しいのかな?


 なんにせよ、ハナちゃんの案がとっても楽しそうな方向に転がった。 

 マッチョさんとおっちゃんエルフの作る家も楽しみだし、それまではみんなの作った模型で妖精さんが過ごす姿も見られる。

 夢のある話しで、とっても良いね。わくわくしてきた。


「それで大志、家自体はどうにかなったとして、設置場所はどうする?」

「あ、それがあるね……どうしようか」

「地面に置いたり、木に設置するのは止めとくか。大雨や台風が怖い」

「そうだね」


 親父から設置場所について聞かれたけど、ノープランだね。

 そして設置場所については同意だ。

 地面に置くと大雨が怖いし、木に設置したら台風が怖い。


 冠水を避けられて、かつ木でないところ……。

 地形的に丘っぽくなっている箇所があるから、そこで良いか。

 ただ、基礎や土台は作る必要があるね。

 平らじゃないから、整地も必要だ。色々工事は必要になってくるな。


 ……あれだ、どうせつくるなら、そこも森の拡張予定範囲内にして――妖精さん居住区でもつくっちゃおうか?

 エルフの森の中に、妖精さんたちの居住区というか――村を作る。

 エルフの森の中にある、妖精さんの村……。


 ――凄く楽しそうだ!


「タイシタイシ、なにかおもいついたです?」


 お、ハナちゃんが俺の思いつきに気づいたようだね。教えておこう。


「もういっそのこと、これから拡張する森の中に――妖精さんたちの村を作っちゃおうと思ってさ」

「あや! ちっちゃいひとたちのむら、つくっちゃうです!?」

「そうそう。森の中に……ちっちゃな人たちが過ごすちっちゃな村ができちゃったら――楽しくない?」

「あい~! たのしいです~! ちっちゃなむら、いいかもです~!」


 ハナちゃん、にっこり笑顔でおててを広げて、大賛成してくれた。

 森の中にある妖精さんの村を想像したのか、すごいわくわくした様子だ。

 それじゃこの案、地球側のみんなにも相談してみよう。


「みんな良いかな。いっそのこと、森の拡張予定地のところに、妖精さんの村をつくっちゃわない?」

「妖精さんの村……わあ、たのしそうですね!」

「良いんじゃないか? どの道、どこかに居住区を作る必要はあるわけだし。良い場所選んであげよう」

「整地するときは言ってくれ。重機貸すから」


 地球側のみんなも問題ないようで、協力してくれそうだ。

 エルフたちはどうかな?


「というわけで、森を広げてその中にこの方々の村をつくっちゃおうと思います。どうですかね?」

「もりがにぎやかになって、いいですね。わたしたちもおてつだいします」

「かわいいむらに、なりそうですね!」

「すごいたのしそう~」

「わたしもてつだうわ~」


 みなさん乗り気で、楽しそうだ。手伝ってもくれるようなので、遠慮なく手を借りよう。

 これでこっち側の確認は全て完了だね。

 あとは――妖精さんたちだ。この案を受け入れてくれるだろうか。


「みなさん、しばらくこのお家で過ごしてもらっても大丈夫ですか?」

「こんなおうち、もらえるの!? もらえるの!?」

「そのうち、もっとすごいお家も出来ますよ」

「すごいおうち! おっきなおうち! だいじょうぶ! だいじょうぶ!」

「もんだいないよ! うれしいよ!」


 どうやらこの建築模型は気に入ったようで、妖精さんたち大喜びだ。

 目と羽根をキラキラ輝かせて、大はしゃぎしている。

 それじゃ、次は妖精村だね。居住区を作って問題ないか確認しよう。


「あとは森の中に、これらのお家を置いてみなさんが過ごせる村を作ります。これも良いですか?」

「すてき! すてき~」

「もりでのんびりくらすよ、くらすよ!」

「うれしいな! たのしいな!」


 妖精さんたち、きゃいきゃいと大喜びで飛び回る。

 羽根を痛めたあの子も、ちこちこと走り回って喜んでいるね。

 よし、みんな問題ないようなので、これで行こう。


 エルフの森に――妖精さんの村、作っちゃいましょう!


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