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エルフのハナちゃん  作者: Wilco
第十章  えるふのなつやすみ
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第五話 かみさまのはこびかた


 行先が決まったので、今度は日程を組むことになった。

 高橋さんのおすすめスポットを中心に、皆が行きたいと思う所を決めて行こう。


「まず宿泊地だけど、こことここ、あとここは海水浴場にキャンプ出来る場所がある」

「とりあえず候補に入れとこう」

「うみをみながら、ねとまりできるんですね」

「たのしみです~」


 代表的な海水浴場みたいで、高規格キャンプサイトがあるね。

 料金を確認しておこう。


「それと、ここの洞窟はカヌーで入って行ける。お勧めだ」

「あや! ハナたちのフネみたいなのがあるです!」

「こっちにもこういうフネ、あるんですね」


 高橋さんが指さしたのは、竜王洞というらしい。

 なるほど、ここににカヌーで入って行けるのか。


 ハナちゃんとヤナさんは、自分たちのフネと似たカヌーを見て喜んでいる。

 似たような道具をこちらの世界でも使っているのを知って、自分たちの道具に自信が持てたのかな?


「おもしろそう」

「フネでどうくつにはいれるとか、すてき」

「おれのじまんのフネ? もちろんありますよ?」


 皆さんこのアクティビティには乗り気のようだ。予定に組み込んどこう。

 あと、おっちゃんエルフがまたカヌーをチラ見せしている。

 ……さっき無かったことにしたよねそれ。


「それと、この尖閣湾ってところでも船に乗れるぞ。なんと船に乗りながら、海の中を見られるんだ」

「あえ? うみのなか、みられるです?」

「フネの中に透明な窓、ほらそこにある窓みたいなのが付いているんだよ」

「あや! そんなフネがあるです!?」

「それがあるんだよ。乗るとこんな感じになるみたいだよ」


 船の中から海の中を見られると聞いて、ハナちゃんびっくり。

 写真を見ながら、お目々まんまるにして驚いている。


「やっぱりこっちのフネ、やべえんじゃね?」

「のってみたいわ~」

「これも、わたしたちでものれたりします?」


 皆さん写真を見て、興味を持ったようだ。予約すればもちろん乗れるね。


「お金はかかりますけど、もちろん大丈夫ですよ」

「のるです~!」

「きまりだな」

「わくわくしてきた」


 船に乗る系は、現代人でも結構わくわくするイベントだね。

 俺もこのアクティビティはやってみたい。

 尖閣湾クルージングも、予定に追加だね。


「大志さん。シュノーケリングするならここが良いみたいですよ」

「お。よさそうだね」

「確かにそこは良いぞ。俺としてもおすすめだ」


 そして、ユキちゃんはシュノーケリングおすすめポイントを見せてくれた。

 それほど深くもなく浅くも無く、なかなかよさそうだ。

 高橋さんもおすすめらしいので、これも予定に組み込もう。


「シュノーケリングをするなら、シュノーケルもあらかじめ用意しないとね」

「良いのがあるか、調べてみます」


 レジャー用のシュノーケルとは言え、数千円はするんだよな。

 その辺りはユキちゃんに調査をお任せしよう。


「ここの温泉も良いぞ。海水浴場からも近い」

「おはだ、すべすべになるかしら?」

「うつくしくなれる?」

「トゥルットゥル?」

「た、多分……」


 高橋さんがお勧めの温泉を指さしたら、美肌に余念がない女子エルフさん達に囲まれてしまったようだ。

 ……まあ、効能に美肌って書いてあるから大丈夫じゃないかな。


 こうして、皆でワイワイとプランを練って行った。

 ここで出た要望を元に、日程をくまなくちゃな。



 ◇



 大まかな要望をまとめて、大まかな日程を組んでみる。

 大体四泊五日もあれば、何とかなるんじゃないかという感触だ。


 まず初日。

 バスに乗って新潟港まで向かい、新潟港付近のキャンプ場で一泊。

 これは、高速道路が使えないためだ。

 

 本当は高速道路に乗って、一気に新潟港まで行きたいところではある。

 ただ、自動車に初めて乗るエルフ達をいきなり高速に乗せたら……。

 絶対ぷるぷるする。

 時速百キロで移動なんて経験したことは無いだろうから、刺激が強すぎて無理だと判断した。


 と言うわけで、下道の海沿いを走ってのんびり新潟港まで移動する。

 道の駅に寄ったり、皆で外食をしたりとこまめに休憩をとって、初めての乗り物長距離移動を楽しんで貰いたい。



 二日目。朝九時のカーフェリーに乗って、ぷるぷるしながら佐渡へ。

 昼頃佐渡に着くので、キャンプ場隣接の海水浴場に向かう。

 そして夕方くらいまで泳ぎまくり、海を堪能する。

 その後夕日を見ながらバーベキュー。カニを食べます。

 あとは近くにある温泉にはいって疲れを癒やし、お休みなさい。


 三日目。アクティビティ体験を中心に行う。

 クルーズをしたり、カヌーをしたり、シュノーケリングをしたり。

 要望があれば景勝地を見に行ったりも出来たら良いなと思う。

 この辺はいくつか候補があるけど、絞り切れていない。

 まあ、現地に行ってからも決められるので、まだ決めなくても良いよね。


 四日目。フリー日程。

 二日目と三日目を通して、再度体験したい物があったらリピートする。

 それか、現地に行って急遽したくなったアクティビティを行ったり。

 当日出たとこ勝負の日程となる。


 そして五日目。村に帰る。

 午後のフェリーに乗って新潟に向かい、新潟到着後は海沿いをのんびり走って村に帰る。

 この時エルフ達が自動車での移動になれていたら、高速道路を使っても良いかも。

 まあ、帰宅日程なので時間的縛りは殆ど無い。

 フェリーの時間さえ守れば、あとは適当でも何とかなる。


 大まかにこんな日程を組んだ。

 かなりアバウト、ゆるゆる計画だ。

 というかこれ位ゆるくないと、エルフ達がついて来れない。

 現代人のように、分単位で管理されたスケジュールで行動、なんてのは無理だ。

 そういう理由もあって、マージンを取り過ぎるくらい取った枠組みを作った。


 ただの枠組みなので、この枠組みをどう飾り付けるかはエルフ達にお任せする。

 宿泊は全部キャンプだけど、この日は宿に泊まりたい、とか変更してもらってかまわない。


 という風に枠組みを考えて提案した。

 皆の反応はというと――。


「ハナは、それでいいとおもうです~」

「じゆうどめっちゃたかい」

「ほかになにをしようか、まようわ~」


 という感じで、おおむね問題なさげな様子だった。

 さて、これからエルフ達は、旅をどんな風に飾り付けをしてくれるか楽しみだ。



 ◇



 目的地も決まり、日程も枠組みは出来た。

 あとは参加者を確定すれば、必要となる予算が大まかに算出出来る。


 というわけで、参加者確認だ。

 全員参加だとは思うけど、念のためだね。


「それでは、参加希望の方は手を上げてください」


 というと、全員の手が上がった。まあ、そうだよね。

 手を上げられない小さいお子さんも参加って事で良いだろう。

 お母さんが手を上げているからね。

 他には、俺と親父、高橋さんとユキちゃんもだね。

 これで全部かな?


「これで全部ですかね?」

「タイシタイシ、ひかってるですよ?」


 ……ん? ハナちゃんが何かを指さしたけど……。

 あ、神棚がめっちゃ光ってる。ぴっかぴか光ってる。

 物凄いアピールしてる感。


 ――え? 神様も参加したいの?


「……神様も参加希望なのかな?」

(できれば)

「それっぽいです?」


 ……うん。謎の声も出来ればって言ってるね。

 参加者一名? 追加だ。


「……それでは、神様も参加されるという事で」

「かみさまもいっしょです~!」

(やたー!)


 神社がさらに光り出したね。

 まあ、神様が参加しても予算的にはほぼ影響が無いからね。

 お料理やお土産が、一人分増えるくらいだ。


「神様も参加出来ちゃうんですね……」

「旅行に神様連れて行くなんて、初めてだな」

「普通経験ないと思うぜ」


 ユキちゃんは驚いた様子だけど、親父と高橋さんはもう慣れた物だ。

 ゆるい神様だから、連れ回す事くらい普通に出来ちゃうね。

 拠点にどっしり構える、という神様では無く、フットワークは軽いぽいし。


 ただ……どうやって連れて行くかだよな。

 ……神社をそのまんま抱えていくか?

 いやしかし、けっこうでかい上に、運搬を考えた作りじゃない。

 ちと厳しいな。


「……参加してもらうにしても、神社をそのまま持っていくのは無理かも」

(え?)

「むりです?」

「運ぶことを想定した作りじゃないからね」

(そんな~)

「あや! じんじゃどんよりです~」


 心底残念そうな謎の声が……。

 ああ、神社もどんよりとしちゃったよ……。


(おるすばん、してます~……)


 いやいや、連れて行かないって話じゃないですから。

 諦めるの早すぎですから。

 方法はこれから考えますから。


「タイシ、なにかよいほうほう、ないです?」

「ちょっと考えてみるよ」

(たのんます~)


 ……というか、神社に縛られているわけでもないよね。

 そのまんま、ついてきて貰っても良いんだけど……。


 でも、神社を持って行けないと言ったら、どんよりしちゃった。

 もしかして、何らかの拠点は必要なのかな?

 そういうのがないと、疲れちゃうとか存在が薄れちゃうとか?


 だとすれば……「ここに神様がいるよ!」と何か明確化する物が必要なのかも知れない。


 となれば……。


 ――あ、神様を運ぶ良い方法、あるかも。


「……方法、見つかったかも」

(およ?)

「ほうほう、あるです?」

「うん。こっちでは、神様を運ぶ方法がいくつかあってね」

(なんと)


 ハナちゃんとやり取りしている裏で、どんより神社がちょっと光を取り戻した。

 とってもわかりやすい。


「どんなほうほうです?」

(はよはよ)


 どうやるか、ハナちゃんも謎の声も早く聞きたいみたいだね。

 まあ、方法は簡単だ。


 なんたって、こっちには神輿があるからね。


「こっちには、神様用の乗り物があったりするんだ」

(きたー!)

「あや! そんなのりもの、あるです!?」

「それがあるんだな。神輿って言うんだけど」

(なにそれすごそう!)


 やけに乗り物に食いつく謎の声だけど、乗り物欲しかったのかな?

 ここの所、村には色んな乗り物が出てきたから、欲しくなったとか……。

 まあ、神様自家用の乗り物、あっても良いよね。


「海に行くときは……神様に神輿に乗ってもらって、一緒に来てもらおう」

(のるのる! みこしのる!)

「そうするです~」

「じゃあ、神輿を作らないとね」

「ハナもてつだうです~」

(わーい!)


 神社もほよっほよ光りはじめたから、これで大丈夫だね。

 それじゃあ、ミニチュア神輿手作りキットを注文しとこう。


 ……旅行が始まる前までに、完成させないといけないな。

 間に合わなかったら、また神社どんよりしちゃうからね……。


「旅行に間に合うように、神輿を頑張って作ろう」

「つくるです~」

(のりものー!)


 海に行くために神輿が必要になるとは思わなかったけど、謎の声は乗り物が手に入るのに大喜びっぽいからね。

 頑張って作ろう。


(うみ、たのしみー!)


 楽しみにしていてください。

 でも、神様って……海、泳いだりできるの?



 ◇



 目的地、日程、参加者が決まったので、会は一応解散となった。

 後は予算を作る段階なので、俺とヤナさんとユキちゃんで話し合えば良い。


 と言うわけで、ヤナさんちで数字とにらめっこが始まる。


「ざっくり見積もりすると、八十万円もあれば何とかなりますね」

「しょくひが、おおきいですね」

「ほぼ外食することを想定しています。食材を持って行ったり、現地で上手く調達出来ればもっと減らせますね」


 やりようによっては、食費も半額くらいに減らせる。

 ただ、旅先で食費を抑えすぎても、それはそれでさびしい。

 せっかく現地ではカニが安く食べられるのだから、多少お金はかかっても夕食にカニ料理を組み込みたい物だ。


「まあ、ちょっとは食べ物を豪華にしましょう。せっかくの旅行ですから」

「おいしいもの、たくさんたべるです~」

「……それがいいですかね」


 ヤナさんも、やっぱり旅に出て食費を削りすぎるのはさびしいと思っていたようだ。

 あっさり折れる。

 滅多に無いことだ。ちょっとくらいは奮発するのも良いよね。


 そうして食費に関して調整をしていると、ユキちゃんが手を上げた。


「大志さん、他にも水着や日焼け止め、出来ればラッシュガードなどの装備も必要ですよ」

「ああ、水着は要るよね……」


 そうだ。水着も要る。

 俺はもう持ってるから、そこんところ忘れていた。


「みずぎです?」

「こっちでは、泳いだりする用途専用の服があるんだ」

「そんなの、あるですか~」

「わたしたちは、ぬのをまくだけですね」


 ヤナさんがなにやら布を取り出したけど、ほんとに布だ。

 ……水着の購入は必要だね。


「男性用水着は安くて、五千円あれば大抵の物が買えますが……」


 男用のサーフパンツなんて三千円だ。何とかなるんじゃないかな。

 しかし女性用水着の相場が分からないな。

 ここはユキちゃんに聞いてみよう。


「ユキちゃん、女性用水着の相場ってわかる?」

「女性用水着は、一万円くらいは見ておいた方が良いですよ」

「たかいです~!」

「けっこうしますね……」


 水着で一万円と聞いて、ハナちゃんヤナさんびっくりのご様子。

 ……村の物価からすると、相当高価に感じるだろうな。

 俺たちからすると、十万円くらい支払う感覚かな?


「みずぎって、わたしたちでつくれませんかね?」

「ちょっと無理ではないかと」

「むりですか~」

「だめですか……」


 男性用なら何とかなるかもしれないけど、それでも体にフィットする物だからね。

 運動することを前提にしないといけないから、割と難しい。

 脱げたりしたら、困るし。


「まあ、男性用は安いので何とか出来ます。ただ、女性用は……」


 エルフ達の体格を見るに、男性用は見た目でSMLを決めて通販すればほぼ問題ないだろう。

 柄だけ選んで貰って、後はネットで買うだけだ。


 ただ、女性用は何をすれば良いか分からない。

 と言うことでユキちゃんに丸投げだ。


「女性用はユキちゃんに一任するけど、問題無いかな?」

「お任せ下さい。今度集会を開きます」

「おねがいします。カナにもてつだわせますので」

「ハナもてつだうです~」


 水着の予算は、その集会が終わってからでないと組めないな。

 まあ、ちょいペンディングとしとこう。


「しかし、結構な額になりますけど、村の今後の予算に影響しませんか?」

「えいきょう、ありますね……」


 村の共益費で色々やりたいこともあるだろうけど、ここでドカっと減るわけだ。

 そこは何とかする目処を付けておかないとな。


「何か、村の産品で売れそうな物があれば良いですけど」

「くんせいを、ぞうさんしますかね」

「良いですね。最近欲しがる人が増えてまして」


 この村特製の燻製は、仲間内で評判が良い。

 口コミで広がってきていて、発注量もじわじわと増えている。

 ワサビちゃんと並ぶ、この村の主要な収入源だ。


 ただ、外部に売れる物はそれしか無いとも言う。

 もうちょっと他に、何らかの産品は欲しいところだ。


 いっそのこと、新たな産品の開発を提案してみようかな?


「他にも、何か新しい産品を開発するのも良いですね」

「そうですね。なにかみつけたほうがいいですね」


 ヤナさんも同意見のようだ。

 ただ、そう簡単に商品開発は出来ない。

 なにか良い物があれば良いけど……。


「さしあたって、よさげな物とか思いつきます?」

「う~ん……。これといって……」


 ヤナさんは心当たりが無いようだ。

 俺も無いので、どうしたものか……。


「タイシ、あのはなのみつは、つかえないです?」


 ヤナさんと二人でうんうんと悩んでいると、ハナちゃんがぴろっと手を上げて提案してきた。

 ……あの花の蜜というと……キャラメル味のあれかな?


「あの白い花の蜜だよね?」

「そうです~。あれはあまくて、みんなだいすきです~」

「確かに、良いかも知れないね」


 あの花の蜜は確かに美味しかった。

 それを集めることが出来れば……あとは子猫亭に丸投げできる。

 試してみる価値はあるな。


「それでは、蜜の採取に人手を借りることになりますが、やってみましょうか」

「ええ。いっていただければ、みんなをあつめます」

「たくさんあつめるです~」


 よし、これで一つ産品開発の品目が出来た。

 他にも無いか、色々聞いてみよう。


「他にもありますか?」

「あのしろいはながつけるきのみですけど、とろけるようにおいしいですよ」


 お、あの花は実を付けるんだな。果実というところかな。

 しかし、とろけるように美味しいか。


「良いですね。ただ……いつ頃果実になります?」

「それがよくわからないんですよ。いつのまにか、くだものができていて……」

「よくわかんないです~」


 いつ頃結実するかは分からないのか。

 これは、マイスターにも聞いてみる必要があるな。

 まあ、今は出来てないから試すことも出来ない。

 情報収集はするとして、具体的にどうするかは実が出来てから考えよう。


「あとはですね……」

「こんなのがあるです~」


 こうして、旅の計画を進めると同時に、予算確保のため商品開発も進めることとなった。


 ◇



 旅の予定も決まって、予算も作って、商品開発も進める。

 これから大忙しになるな。


 特ににエルフの森産食品の開発は、これから先に繋がる。

 これは上手くいって欲しいものだ。


 それと同時に、森を広げる事も考えよう。今のままでは小さい。

 個人的には、今の倍くらいに広げても良いんじゃないかと思っている。


 今までは森を広げることに慎重だったけど、考えが変わった。

 あの森も村の仲間であって、ただそこに生えている植物ではない。

 そして生き物であって、成長したがっている。


 この間花が満開になった森を見て、生命の輝きを感じた。

 あの輝きを、もっと広げることが出来たら……。

 きっと、もっと輝く。


 そして同時に、森に住む動物たちや森に寄り添うエルフ達も、輝くことに繋がる。

 それは、きっと良いことだ。

 そう思うようになってから、森を広げることに抵抗はなくなった。


 それに、今回エルフ達は……海を見たいと言って来た。

 今までは凄い遠慮がちに自分を抑えてきた人達なのに、今回は自ら願った。

 これは、心の余裕を取り戻したからだと思う。


 海を見たいと願って、行動を始めるまでに――余裕を取り戻すことが出来たんだ。


 そして、この心の余裕を生み出したのは、森が花満開になった事が原因かと思う。

 森に花が咲いて――未来を感じられた、からではないだろうか。


 未来を感じられたなら、夢だって芽生える。

 当たり前のことだ。


 森の成長によって、これからの未来に希望を持てたから――夢を叶えたくなったんだと思う。

 ただ花が満開になったのではなく……エルフ達の心にも、花が咲いた。

 その結果、海に行こうと思うことができたのでは、と。


 そして、森を広げたら、もっと心の余裕が生まれるかも知れない。

 そうしたら……きっと、なにかが動き出す。


 海から帰ってきたら、森を広げる事業を提案してみよう。

 きっと皆、賛成するだろうね。


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― 新着の感想 ―
[良い点] 口が悪くて申し訳ないけどこのアホエルフ達マジで尊いわぁ〜廃れ切った日々のストレスが浄化されていく〜 アホやけど明らかに俺よりハイスペックだけどねエルフちゃんたち 後作者の三人称視点の絵…
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