第四話 行き先、決めましょう
「というわけで、これから旅行計画を立てたいと思います」
「海の事なら、俺にまかせてくれ」
「「「わー!」」」
わーわーぱちぱちと歓声と拍手が上がる。
とりあえず高橋さんと親父にも参加してもらうため、急きょ村に来てもらった。
ついでに新潟のガイドブックも買ってきてもらった。
写真があれば、話も早いからね。
そしてリザードマンの高橋さんには、アドバイザーになってもらっている。
元々海に暮らす人達なわけなので、とても詳しい。
日本の海も大体行ったことがあるらしいので、アドバイザーとしては適切じゃないかと思う。
「暑いので、かき氷が食べたい人は遠慮なく言ってください」
「「「はーい」」」
俺、親父、ユキちゃんはかき氷係で、皆にかき氷を配っていく。
氷菓で涼をとりながら、ぼちぼちと旅行計画を立てて行こう。
「皆さん憧れの沖縄の海はちょっと難しいですけど、近くにある新潟の海なら行けます」
「にいがたです?」
「うん。お隣さんで、自分達も色々お世話になっている地域なんだ」
北信なら、特に物流は新潟にかなり依存してるかな。
海運の輸送効率は、陸運じゃ逆立ちしても勝てない。
ガソリン代も、長野と新潟じゃリッター十円違うなんてのは普通だ。
新潟に行って給油すると、割とショックを受ける。
新潟は、長野県民の中では侵略したい隣県ナンバーワン(俺調べ)だね。
「タイシ、ハナたち、どうやっていけばいいです?」
「皆で乗れる、おっきな乗り物を使うよ。バスって言うんだ」
「そんなのりもの、あるです!?」
「それがあるんだよ。そのバスに乗って行けば、朝から出て昼前には到着しちゃうね」
「すごいです~!」
二時間もあれば、直江津に到着しちゃうんじゃないかな?
直江津にまで到達出来れば、そこから海水浴場はよりどりみどりだ。
「なんだか、すごいのりものがあるみたいですね……」
「みんなのれちゃうって」
「かっこよさそう」
ヤナさんや他の皆さんも、まだ見ぬバスに興味深々なご様子だ。
でも、レンタルで借りられるのは二十九人乗りのマイクロバスまでなんだよね。
大型バスは、旅客業者から運転手つきでないと借りられない。
道路運送法が、そうなっている。
だから、マイクロバス二台で行くことになるとは思う。
「大志、バスならうちにある大型貸すぜ? 五十七人乗りだ」
「え? 良いの?」
「ああ。燃料代はそっち持ちな」
マイクロバスかなあと考えていたら、高橋さんから提案が来た。
確かに身内から白ナンバーを借りるなら、法律には引っかからない。
自家用車だからね。
あと、任意保険はどうかな?
「任意保険は大丈夫?」
「ああ。運転者の対象は社員とパートだけど、そのときだけ大志をパート登録しておく」
「じゃ問題ないな」
無保険で車に乗るのは、嫌だからね。
「それじゃ、高橋さんのバス、有り難くお借りします」
「おう」
よし、これで足は何とかなったな。
どうせなら、皆で一緒に移動したほうが楽しいだろうし。
バスの中で、皆一緒に盛り上がれる。楽しい移動が出来そうだ。
「タイシさん、いま、ごじゅうななにんのり、とかきこえましたけど……」
足の問題が片付いて一安心していると、ヤナさんがぷるぷるした感じで聞いてきた。
まあ、そのまんま定員五十七名の観光バスだね。
おんぼろ中古バスを安く買い取って、いろいろいじくり回してあるらしいけど。
「そのまんま五十七人乗れますよ。この村の人全員が乗っても、まだ余ります」
「そんなのりものが……」
「やべえ。こっちののりもの、やべえ」
「ふるえる」
この村の人全員が乗っても余ると聞いて、皆さんぷるぷるし始めた。
でもまあ、乗ってみたらきっと楽しいんじゃないかと思う。
バスの窓から、地球の街並みを見る。
ただそれだけでも、盛り上がるのではと。
「道中いろんなものがありますので、きっと楽しいですよ」
「いいかもです~」
「どんなのがあるんだろう」
「きっとふるえる。ぜったいふるえる」
移動手段を話しただけで、もう大盛り上がりだけど……。
まだ、目的地も決めてないんだよね。
目的地を決めても、あと何をするかも色々あるし。
これ、決めきれるかな?
まあいいや。ひとまずどこに行くかを話し合おう。
「移動手段はこれ位にして、次はどこに行くかを話し合いますか」
「あえ? うみにいくですよ?」
「そこはもう、きまっていますけど……なにかあるのですか?」
目的地を決めようとしたら、ハナちゃんヤナさん首を傾げた。
……海に行くのは確かに決まっているね。
でも、海と言っても色々あるわけで。
海水浴場一つとっても沢山あるから、どこにするかを決めないと。
まあ、海で何をしたいかにもよるね。まずそこを詰めようか。
「ところで皆さん、海で何をしたいですか?」
「およぐです~!」
「わたしは、おさかなをたべたいですね」
「おれは、つりがしたい」
「うみをながめて、のんびりしたいな~」
海で何をしたいか聞いたら、次々に要望が出てきた。
基本的には泳ぎたいみたいだけど、他にも釣りやら海産物やらのんびりしたいやらと、結構人それぞれな要望が出てきた。
どれも、普通の海水浴場で実現できるね。
海の家、新潟では浜茶屋って呼んでるけど、そこに行けば大体間に合う。
「それなら、一番近い海水浴場で出来ますね。問題ありません」
「たのしみです~」
「そのかいすいよくじょうというのは、いくつかあるんですか?」
「幾つもあります。浜辺で焼き肉できたりできなかったり、それぞれ規則はありますけどね」
「ほほう」
まあ、浜茶屋利用なら谷浜で良いんじゃないかな。
遠浅で透明度も高い。浜茶屋も沢山あるし何より近い。
ガイドブックの写真を見せてみようか。
「私が考えている候補地としては、ここですね」
「あや! ひとがいっぱいです~」
「あのしゃしんとはちがいますけど、けっこうきれいですね」
「うみのいろ、なんかちがう?」
まあ、日本海だからね。沖縄のビーチみたいな、遠浅でエメラルドグリーンな海とは違うかな。
なんせ北の海だからね。黒に近い青とかだ。
流石にそこら辺の違いは許容してもらいたい。
それに、日本海だってなかなか良いんだから。
この谷浜とかは、北陸随一の広い砂浜らしいし。
順徳天皇が谷浜の夕日を見て、超感動したとか書いてあるね。
ほぼガイドブックの受け売りでございます。
「ここの海水浴場はおすすめですよ。自分も家族で良く行きました」
「タイシ、いったことあるです?」
「大体ここに行ってたかな。ここなら、日帰りできるからね」
「ひがえりできちゃうですか~」
個人的には勝手知ったる海水浴場だけに、安心できるという面もあるね。
「ほかにも、いろいろあるです??」
「次のページとかには、別の海水浴場の写真とかがあるよ。皆で見て、どこが良いか選んでね」
「あい~!」
ハナちゃんと他の皆さん、ぺらぺらとガイドブックを見始めた。
ここがいいかな、ここもいいなと賑やかだ。
「……なあ大志、俺的におすすめの所があるんだけど」
「高橋さんのおすすめ?」
「ああ、イチオシの所がある」
今まで静かに様子を見ていた高橋さんから、おすすめがあると来た。
しかし、イチオシの所ってどこだろうな。
「なあ。皆で――佐渡に行かねえ?」
「え? 佐渡? 離島だよそこ」
「だから良いんだよ」
……高橋さんのイチオシは、佐渡か。
正直、佐渡は行ったことがないから、そのお勧めの理由がわからないな。
詳しく聞いてみるか。
「して、その理由は」
「まず離島だから人が少ない。時期をずらすと、プライベートビーチみたいだぜ」
「ぷらいべーとびーちです?」
お、ハナちゃんが参加して来た。
プライベートビーチの意味がわからないみたいなので、ちょっくら説明しておこう。
「えっとね……他に人が居なくて、まるで自分たちの貸切みたいな砂浜なんだ」
「あや! かしきりです!?」
「時期もあるから、必ずそうなるとは限らないけどね」
「なるほどです~」
プライベートビーチの意味はわかってもらえたようだ。
しかしそうだな、時期によっては貸しきり状態か……。
悪くないな。
「後は、浜辺でキャンプ出来る海水浴場が結構沢山ある」
「お、それは良いね。浜辺で寝泊まりできる海水浴場、あまりないからね」
「テントをはっても、いいのですか?」
「許可されているところは、問題ないですね」
「たのしそうです~」
でもまあ、それなら別に佐渡でなくても探せば有りそうな気はするけど……。
「それにな、佐渡は沖合だから海が綺麗だぞ。沖縄にも負けん」
「え? 南国にも負けてないの?」
「ああ。重要なのは、南国かどうかじゃなくて、沖合かどうかなんだよ」
高橋さんが一枚の写真を指さしてくれたけど……確かに綺麗ではある。
これなら、エルフ達のイメージにも近いかもしれない。
少なくとも何の情報も無しに見せられたら、日本海だとは思えない透明度と色だ。
ビーチの浅瀬はエメラルドグリーンで、その先はコバルトブルー。
……佐渡の海、なかなか凄いじゃないか。
「きれいです~」
「けっこういいかんじですね」
「よさそう」
エルフ達も、佐渡の海水浴場の写真を見て好感触な様子だ。
確かに悪くない。
「さらにだ。海の魚もてんこ盛り、カニも食えるぞ」
「カニか。良いねえ」
「あえ? カニです?」
カニは魅力的だな~と思ったら、ハナちゃん首をこてっと傾げた。
カニを知らないのかな?
「カニというのは海にすむ生き物だよ。ほらこれがカニ」
「これ、ユキのわすれものにもあったです~」
「そうそう。あのハサミの付いてる生き物が、カニっていうんだ」
「これがカニっていうんですね」
「たべられるんだ」
皆さん、カニの見た目自体は、写真を見て知っていた様子だ。
名前がわかって、食べられることもわかって、すっきりした顔だ。
「タイシタイシ、これっておいしいです?」
「そりゃもう。美味しいよ」
「あや~。カニ、たべたいです~」
「たべてみたいですね」
「かたそうだけど、おいしいんだ~」
カニは美味しいと伝えると、皆さんじゅるりとなった。
確かに美味しいけど、皆のお口に合うかどうかはわからない。
それはまあ、食べてみてのお楽しみという所か。
「佐渡、よさそうですね」
「聞いた話じゃ、悪くない感じはするね」
ユキちゃんもガイドブックを見ながら、佐渡に魅力を感じてきているようだ。
……へえ、シュノーケリングも出来るんだ。これは俺もやってみたいな。
「シュノーケリング、よさそうだね」
「い、一緒にしてみます?」
「お誘いいただけるなら、ぜひとも」
「ふ、ふふ……順調」
ユキちゃん、えらくご機嫌になったな。順調って何だろう?
「何が順調なの?」
「あ! いえ、こちらの話しです」
「そう?」
「え、ええまあ」
まあ良いか。シュノーケリングは、時間を忘れて出来るからね。
皆も誘って、楽しくシュノーケリングが出来たら良いな。
そうしてご機嫌なユキちゃんが「ふふふ」となっている横では、高橋さんがガイドブックのなんかの施設を指さして来た。
「おまけに色んな温泉もあるわけだ。これとかこれ」
「あや! おんせん、あるです!」
「お金を払う必要はあるけど、いくつもあるぞ」
「おんせん、いいかも」
「おはだ、すべすべになるかしら」
温泉と聞いて、女子エルフさん達が反応した。
いやでも、温泉イコール美肌じゃないわけで……。
色んな効能があるので、何とも言えないというか。
しかし、人が少なくて海が綺麗で、海産物も沢山あって温泉もある。
……これ、最適かもしれないな。
「な、佐渡良いだろ?」
「よさげです~」
「きいたかんじだと、いいかなとおもいますね」
「ここでいいんじゃね?」
「そだな」
高橋さんの猛プッシュで、皆さん佐渡行でほぼ固まったようだね。
俺も、佐渡自体は素晴らしいと思う。
――でも、佐渡に行くためには一つ懸案事項が。
佐渡は、離島なわけで。
「……でもさ、ここに行くなら、船に乗らないとだめだよね?」
「まあ、そこだけがネックだな。交通の便が悪い。それが利点でもあるけどさ」
離島で交通の便が悪い。船でしか行けない。
でも、そのおかげで人で溢れない。
……難しいところだな。
「あえ? ハナたち、フネあるですよ?」
「おれのじまんのフネ、みせるときがきた!」
船でしかいけないのがネックだなあ……と話していたら、エルフ達にわかに盛り上がる。
そしておっちゃんエルフが取り出したるは、小さめの、木製のカヌー。
……もしかして、それで海を渡るつもり?
そして、それどこにどうやって仕舞ってたの?
「わたしたち、おさかなをとるとき、これをつかったりするんですよ」
「かわにうかべて、おさかなとるです~」
「たまにひっくりかえるけどな」
エルフ達はカヌーを取り囲んで、キャッキャしているけど……。
さすがにカヌーじゃ、佐渡までは行けないかな……。
無理すれば行けそうだけど、アレする可能性大だ。
「タイシ、これにのって、いけるです?」
「がんばって、こいじゃうよ」
「ひさびさに、フネにのるな~」
もうやる気満々の皆さんだけど、無理だから。
アレするから。
直線で六十キロメートル強あるからね。
「……さすがにそれでは、距離的に無理かと思います」
「あえ? むりです?」
「そうなの?」
「そんなにとおいの?」
ハナちゃんはカヌーに乗り込んで、もうやる気十分だけど。
今乗っても意味は無いからね。やる気は買うけどね。
具体的な距離を伝えれば、無理だと理解してくれるかな?
「あの洞窟から皆さんの元いた村まで、往復してもまだ少し遠い位の距離を、その船で移動できます?」
「……むりです~」
「アレしますね」
「そんなにとおいんだ~」
うん。伝わったようだ。ちいさめなカヌーじゃ無理な距離だね。
俺や高橋さんなら、普通に泳いでいける程度だけど、海で泳いだ事がないエルフ達では、無理だろう。
「とおいです~」
「またもきびしい、げんじつ」
「やっぱりふるえる」
そしてエルフ達、体育座りでどんよりモードに。
ハナちゃんも、カヌーに乗ったままどんより。
……いやね、カヌーじゃなくてちゃんとした船があるからね。
佐渡のページに、カーフェリーの写真があるので見て貰おう。
ときわ丸って書いてあるかな?
「こういう船にのって、海を渡るんですよ」
「あえ? これ、フネです?」
「船だよ。これに乗って、朝から昼前くらいの時間をかけて渡るんだ」
「ふしぎなかたちしてる~」
「これって、ひとがのれるの?」
皆さん船の写真にかぶりつきになったけど、こういう船は見たことが無いようだ。
比較対象になる物が無いから、大きさもイメージ出来てないね。
「これ、なんにんくらいがのれるのですか?」
そしてヤナさんが興味深そうな様子で、乗船可能な人数を聞いてきた。
「船に乗れる人数ですね。えーと……」
「こっちののりものだから……さんじゅうにんくらいは、のれそうなきがしますが」
大勢乗れるのは確かだけど、船の情報はあるかな……あった。
船の写真の下に色々書いてあるな。最大旅客定員は……千五百人か。
「千五百人です」
「えっ?」
「千五百人です」
「……え?」
ガイドブックに書いてあることをそのまま回答したら、ヤナさんがぽかーんとなった。
「せんごひゃく?」
「千五百人です」
「……」
他にも船の諸元が色々書いてあるから、これも説明しとくか。
「他にも、私が乗ってきているような自動車も一緒に、百六十台ほど運べるようですね」
「…………」
「それと、全長が百二十五メートルだから……ここから温泉までの道のりの、半分よりもうちょっとくらいの大きさの船ですね」
「………………」
……あれ? エルフ達が動かなくなったぞ?
「……さんじゅうにんとか、そんなはなしじゃなかった」
「せんにんいじょうのれちゃうとか、おかしい」
「おれのじまんのフネ、しまっときますね」
硬直したまま、青ざめるエルフ達。
彼らにとっては想像を絶する大きさだったようで、衝撃も相当だったようだ。
そしておっちゃんエルフ、いそいそとカヌーをしまおうと苦戦している。
……ハナちゃん乗ったままだから、ハナちゃんを降ろしてからしまおうね。
「これ、そんなおおきいフネなのか……」
「やばいなんてもんじゃ、ないぞ」
「そんなフネがあるとか、ふるえる」
お、今度はぷるぷる震えだしたね。
「これがフネですか~……あえ?」
ハナちゃんも船の写真を見てぷるぷるしていたかと思ったら……こてんと首を傾げた。
そして、カヌーから降りてこっちにぽてぽてとやってくる。
「……タイシ、タイシ。これ、ハナたち……のれるです?」
ハナちゃん、期待に満ちた目でクイクイと服の裾を引っ張って、そう聞いてきた。
もちろん、お金を払えば乗れるね。
料金は……と。団体料金で、子供千飛んで三十円の、大人二千飛んで四十円か。
往復で子供二千六十円、大人四千八十円だね。
「お金を払えば乗れるよ。子供二千円、大人四千円で往復乗れるね」
「このおかねで、のれるです?」
ハナちゃんが、五百円玉を握りしめて居るけど……。
まあ、乗れるね。
「もちろん乗れるよ」
「ほんとです?」
「ほんとだよ」
「――すごいです~! おっきなフネに、ハナたちものれちゃうですか~!」
本当に乗れるという事が分かったからか、ハナちゃん大喜びだ。ぴょんぴょんしている。
……そして、もうじゃらじゃらお金を出しているけど……まだ早いからね。
まだ、佐渡に行くって決まってないからね。
「……のるしかねえ」
「こんなのにのれるとか、すてき」
「おれのじまんのフネ? なにそれしらない」
ああ……他の皆さんも五百円玉をじゃらじゃら取り出し始めた……。
これもう、船に乗って目的地を目指すのでは無く、船に乗ること自体が目的になってないかな?
おっちゃん自慢のカヌー、なかった事にされてるし……。
しかも、この船に乗るなら直江津港ではなく、新潟港まで行かないと行けない。
新潟港は、ちょっと遠いんだよなあ……。
「こっちの船なら、これより小さい船ですけど、乗り場も近くてずっと早く着きますよ?」
「ハナ、このおっきなフネにのりたいです~」
「おれも」
「でっかいふね、たのしみだな~」
……そうなんだ。
船に乗るのが目的になっているから、大型船で時間がかかる方が良いのね……。
手段のためなら、目的を選ばず、になってるね……。
「そんじゃ大志――佐渡行きで、決まりだな!」
高橋さんの言うとおり、もう佐渡で決まりだね。
しかし、決め手が「船に乗りたい」なのか……。
「船が決め手とはね……」
「船旅、良いじゃないですか。私も結構ワクワクしてますよ」
「俺も佐渡は行ったこと無いから、良い機会だな」
ユキちゃんも親父も、佐渡で良いようだね。
そして――。
「タイシ、ここがいいです~!」
「みんなも、ここでいいかな?」
――ハナちゃんが佐渡行きに同意し、ヤナさんが他の皆に問いかける。
他の皆は……。
「もんだいなし。ここにいきたい」
「ふね、のりたいわ~」
「おさかなー!」
うん。皆も、佐渡で良いようだ。
――よし! 目的地は佐渡で決定!
海に魚に温泉に、そして船旅に。
たっぷり楽しみましょう!
それでは、佐渡行きに決定したことを、宣言しましょうか。
「それでは皆さん、一緒に佐渡へ行きましょう!」
「「「おー!」」」
皆元気に返事をする。その目はもう、キラッキラ。
楽しみで仕方が無いようだ。
まあ……これでようやく、目的地は決まった。
次は旅行プランを練らないとな。
プランを練らないと――予算が作れないからね。
さて、エルフ達のご予算で、どこまでのことが出来るかな?




