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エルフのハナちゃん  作者: Wilco
第八章  エルフ産業
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第十七話 計画と準備をしましょう


 観光地化計画において、まず重要なのがお金の話だ。

 世知辛いね。

 でも、難民援助と違って観光客なわけで、無償援助するわけには行かない。

 と言うわけで、お金に換えられる何かを持ってきて貰わなければならない。


 この辺り、事前にメールで元族長さん達が何を持ってきたかは教えて貰っている。

 これからユキちゃんに査定してもらって、あっちの森エルフ達の予算を確定させる。


 その際、こういう物を持ってきてくれると嬉しい等の意向も伝えよう。

 そうすれば、せっかく来てくれたのに無一文、という事態は減らせるかなと思う。



 ◇



「それでは、持ち寄って頂いた物品の査定を始めたいと思います」

「おねがいします」

「きれいないし、たくさんもってきたの」

「よくわからないから、かたっぱしだけど」

「リアカーとじてんしゃとカメラとソーラーライトほしい」

「おれはおさけ」


 皆さん不安と期待が入り交じった様子で、査定を待っている。

 一部、もの凄い物欲オーラが漂っているけど……。

 まあ、始めましょう。


「それではまず、こちらのお金と交換できる物を選り分けます」


 そう言って、ユキちゃんがてきぱきと物品を選り分けていく。

 ほぼ換金出来る物ばかりだね。まずは一安心だ。


「これ、だめなんだ~」

「ぴかぴかしてて、きれいなのに」

「でも、こっちはいいのね。みためはにてるのに」


 その結果を見て、ちょっと残念そうな顔のエルフ達だ。

 換金出来ないのは……ああ、なるほど。


「これ、黄銅鉱かな?」

「そうですね。これはこれで価値はありますけど……銅に精錬しないと値段がつきません」


 見た目は似てると指さした方は……(きん)だろうね。

 似てるけど価値は全然違うわけだ。

 でも、この黄銅鉱だって綺麗な結晶だから、そういう用途で売れないかな?


「これ、鉱物コレクター向けに売れないかな?」

「可能かと思いますけど、そうするといつ売れるか、いくらになるかはちょっと難しいですね」


 そうだな。黄銅鉱としてみると、どうにもならないか。


 ……異世界黄銅鉱だから、実は相当な価値があるんだけど。

 なんせ地球外物質だ。それだけでもレアなのに、異世界の物だからね。

 本当なら値段がつけられないくらいの価値はある……。


 でも、幾ら貴重だからって、公にしてないから値段が付くわけもないか。

 諦めるしかないかな……。


「……あ、魔女さんなら可能性があるかも知れません」


 諦めかけていると、ユキちゃんが何か思いついたようだ。

 ……例のマジカル野沢菜の魔女さんかな?


「魔女さん? お友達の?」

「ええ。鉱物は力を蓄えているとかで、魔法に使ったりするそうですよ」

「それだと異世界鉱物だから、相当なレアモノで売れそうじゃない?」

「かもですね。聞いてみます」

「頼んだ。……でも、お友達の魔女さん、お金あったっけ?」


 増幅石を買うために、アルバイトしていると聞いたけど……。

 そんなにお金を持っていないのでは?


「お友達の魔女さんはあんまり……ですけど、その魔女さんから他の魔女さんに当って貰おうかと」

「なるほど、魔女さんネットワークを使うんだね」

「ええ。誰かしらは興味を持ってくれると思います」


 とすると、換金不可能カテゴリに入った物は、いったん保留しておこうか。

 換金不可能とされた物は、だいたい鉱石そのまんまの物ばかりだし。


「ちなみにこれって、なんの鉱石かな?」


 俺じゃ良くわからない鉱石がいくつかある。

 これとか、灰色に光る部分があるから、なんかの金属かな?


「これは銀鉱石、これはプラチナ鉱石ですね。含有率はわかりませんけど」


 ユキちゃんがすいすいと回答していくけど、良くわかるな……。

 なんかコツがあるのだろうか?


「これ、見分けるコツってあるの?」

「私の家系はこういうの得意でして。眼に秘密がありますが――内緒です」

「内緒なんだ」

「ええ。秘密ですから」


 そういってウィンクするユキちゃんだ。可愛いね。

 でも、眼を見た限りじゃ普通の黒目だけどなあ……。

 お? 瞳孔がめっちゃ開いて来たぞ?


「あ、あの……あんまり見つめないで頂けると……」


 おっと、ガン見してしまった。ユキちゃん真っ赤だよ。

 年頃の娘さんの目を見つめるとか、ちょっとまずいよね。

 謝っとこう。


「ごめんごめん。秘密と言われるとついね」

「見た目じゃわからないですから……」


 まあ、気分を悪くしては居ないようなので良かった。

 それじゃ、話の続きをしよう。


「やっぱり査定は難しいかな?」

「そうですね。貴金属として見ると……やっぱり精錬されてないと査定は難しいです」


 まあそうだよね。原石を渡されても、そのままだと無理だね。

 製錬できるところにアテはあるけど、でもちょっと勿体ない。

 せっかくの異世界鉱物だから、プレミアつけたいよね。


「それは仕方ないね。……これも魔女さんに聞いてみるの?」

「はい。それなりの値がつくかも知れません」


 それなら……いったん保留として、魔女さんがどうするかを見てからにしよう。

 魔女さんもこちらと同じ神秘側の人間だろうから、何らかの価値を見出すかもしれない。


「それじゃ、これらは保留としておこう」

「分かりました」


 保留という第三のグループが出来た。

 これで、換金不可能な物品は無くなったかな?


「これらは今すぐ換金出来る物では無いので、保留とします」

「わかりました」

「皆さんの滞在中に換金出来なかった場合は、お返ししますね」


 さて、それじゃ次は換金出来るよグループの、金額面の査定と行こうか。

 まずは……このすぐにわかる(きん)だね。重量で分かっちゃう。


 ユキちゃんが早速比重計で測っているけど……どうかな?


 いったん重量を量って、安定したらENTERを押す。

 その後水の中に入れ、また安定したらENTERで比重が出る。

 ユキちゃんが、ぽちぽちと比重を測っているその計測結果を見ると――。

 「19.437」と表示されている。


 続けて試金石で削り取ったサンプルに薬品を塗って検査したり、感触を確かめているな。

 慎重に査定しているのが分かる。


「――この金粒は、K二十四ですね」

「純金だね。今日の交換レートで換金しよう」

「はい。それでは各自持ち寄られた重量ごとに、査定します」


 ちまちま査定し計測し、一つ一つ値段を計算していく。

 一つ一つもそれなりの値段になったけど、合計額としては幾らかな?


「合計で幾らぐらいになるの?」

「全部で四百二十五グラムですので……二百飛んで七万五千七百円ですね」

「それは……どれくらいのかちですか?」

「よくわからない~」

「すごいの? すごいの?」


 二百万円弱のお値段になったので、凄い額だね。一人頭十万行かない位かな?

 彼らに分かり易く伝えるとすると……。


「あの三輪自転車が四十台買えますね。一人頭で、二台になるかならないか、というところですか」

「ほんとですか! それはうれしいですね!」

「じてんしゃかえるんだ~!」

「わーい!」


 自転車が買えると聞いて、皆さん大喜びだ。

 持ってきた金の量で個人間に差は多少出るだろうけど、村での滞在と欲しいものをそれなりに買う分には大丈夫だろう。


「この金というものは、こちらでは価値があります。皆さん持ってきて頂けたらと」

「そうなんですね。わたしらのほうでは、ごくたまにひろえます」

「こっちのは見た目が似ているのですが、金ではなく黄銅鉱ですので気を付けてください」

「なるほど……さわればわかりますね。ピリっとくるかんじがちがいますから」


 ごくたまに拾えてこの分量なら、結構あるんじゃないかな?

 でも、毒草の見分け方と同じで、ピリっとくるかどうかの違いでわかるんだな。


「これがおかねになるのか~」

「ひろわなきゃ!」

「たしかにさわったかんじ、ちがうな」


 金が価値のあるものと分かったので、皆さんほっと一安心のようだ。

 でもこれで、交換できる物が無くて指をくわえる、という事態は避けられそうだな。

 良かった良かった。


「でも大志さん、この金を換金するのって難しくないですか?」

「まあ、普通にそこらの店に持って行ったら通報されるね」

「ですよね?」


 一安心していると、ユキちゃんが金の換金性について指摘をしてきた。

 確かに金取引は厳しく管理されていて、刻印の無い金塊なんて現金化は困難だ。

 金粒や砂金ですら、最近ではかなり警戒される。マネーロンダリングや盗品を疑われるんだよね。

 出どころの定かではない金は、それ単体では持て余すわけだ。

 でも、まあその辺りは心配無用だね。


「異世界の人って、大抵金をくれるんだ。だから、家は先祖代々金を扱うノウハウを受け継いでるよ。現金化もそのノウハウの一つかな」

「どうやるかは、聞かない事にします……」

「合法だから安心して欲しい。ちなみにユキちゃんちのお婆ちゃんが持ってる硬化純金の法具、あれ親父が作ったんだよ」

「えええ! あれ志郎さんが作ったんですか!?」

「俺も手伝ったけど、仕上げは親父だね」


 家が金細工も副業でやってるのは、知らなかったようだ。

 ユキちゃんめっちゃ驚いている。


 うちがそんな物を作っているのは、ご先祖様が金を持て余した結果だと言い伝えにはある。

 なぜそれで法具を作るようになったのかは、記録をもうちょっと詳しく調べないと分からないけど。

  

「純金だと簡単に曲がっちゃうから、あえてチタンとか混ぜて硬化純金にしてるけど」

「その辺もノウハウなんですね……」

「そういう事。ちゃんと混ぜ物してあるよって言ってあるから、相手も納得済みだよ」

「……あ、ここら辺界隈の法具が充実してるのは、もしかして……」

「御高名な方からも依頼は来てるね」

「誰が作っているか気にしてなかったですけど、世の中狭いですね……」


 ……とまあ、そういうわけでひと手間かけて現金化してるわけだ。

 ご先祖様、市場開拓してくれてありがとうだね。

 他にも現金化の方法はあるけど、まあやっぱりひと手間かかる。

 これはもう、どうしようもないね。


「……とりあえず家の副業の話はこれくらいにして、次に移ろう。これはどうかな?」

「はい。これはサファイアですね」

「けっこうでかい原石だね」


 カットすれば、相当な価値になりそうだけど……。


「サファイア原石としてみてもそれなりの価格になりますね。でも、魔女さんに異世界サファイア原石として売った方が価値が出るかも知れません」

「それじゃ、保留ゾーンに入れとこう」

「分かりました」


 次は……ああ、増幅石だね。あっちの世界特産品だ。


「これはグラムで判断します。この小さいのは一つ十二万円で――」


 こうして、なんとかあっちの森エルフ達は、現金を獲得したのだった。

 ただ、全部小銭で用意するのは、とてつもなく大変だった……。



 ◇



 そして、お金を手にした皆さんは早速お金を使い始めたわけだけど……。


「めだまやきとくんせい、それとおさけをください」

「わたしも」

「おれはオムレツがいいな」

「おんせんたまご~!」


 食いしん坊な皆さん、お金を握りしめて村唯一のお料理屋さんに殺到する、の巻。

 のんびりこぢんまりやっていたお店、大繁盛だ。

 材料を慌てて買い揃えてお店に提供したけど、追加が必要になるかもしれないな。


「おかあさん! こっちできたわ!」

「あらららら? あらららら?」

「おさらがたりないです~!」


 そして細々と運営していたお店にお客が殺到したため、小さなお料理屋さんは修羅場と化す。

 オフィス街にある飲食店の、昼時の様子とそっくりだね。

 しかし、このお客さんの数ではとても三人だけ、かつキッチンストーブ一つでは賄えない。


 腕グキさんは「あらららら?」とてんてこ舞いだし、ステキさんは調理の熱で汗びっしょりだ。

 そしてハナちゃんはお皿が見当たらず、「あえ~? あえ~?」と右往左往している。


 そんな三人の様子はとても可愛らしいので、待たされているお客さんもにこにこしていた。

 ……でも、このまま放置すると三人ともヘトヘトになっちゃうので、対策を打つ。


「――というわけで、おてつだいにきました」

「まかせてなの」

「ハナちゃん、食器沢山用意したから安心してね」

「タイシありがとです~!」

「みんな、てつだってくれるの?」

「ありがとうね~」


 いつもお料理をしてくれていたメンバーを招集し、臨時アルバイトとした。

 報酬も出るから、お手伝いの奥様方はやる気十分だ。

 食器は割れない奴を沢山持ってきたので、これでなんとか足りるだろう。


「でも、すわるばしょがないわ~」

「おうち、ぎゅうぎゅうづめ」

「そこは俺にまかせとけ」

「おれもてつだったぞ」

「おれのじまんのもっこうざいく、うでをふるったぜ」


 お店の広さが足りない分については、オープンテラスを作って対応だ。

 運動会で良くある、あの三方幕付きのテントも用意したので、雨が降っても大丈夫。

 仮設食堂のできあがりだ。

 設備としては、高橋さんとマッチョさん、それとおっちゃんエルフの三人でテーブルとイスを作ってくれた。

 屋台用のガスコンロも持ってきたので、お料理に関しても何とかなるだろう。


「ようやくおちついたわね……」

「たすかったわ~」

「おてつだいがひつようなときは、いってください」

「かけつけるの」


 こうして、観光客のお食事に対応出来る施設が出来上がった。

 良かった良かった、と思っていたら、今度は――。


「せっけんください!」

「カメラもほしいな~」

「ラーメン、ここでたべられるの?」

「もんじゃやき、おいしそうだな~」


 ――駄菓子屋兼雑貨屋にも殺到した。分かる。気持ちは分かる。


「ふが~!」

「あらあら?」

「けいさんがたいへんだ~」

「てつだいにきたぞい」

(にぎやか~)


 お店番のお年寄り、大忙しになった。

 これも臨時に増員して、四人体勢でなんとかする。


 そして、謎の声は人が大勢来てなんだか嬉しそうだ。

 ……神棚の神社がほよっほよ光っているね……。

 せっかくだから、お参りして貰おうか。


「こちら、神様が奉ってあります。よろしければ、お参りしていって下さい」

(およ?)

「かみさまだって」

「ほんとに?」


 神様が奉られていると聞いて、皆さん興味津々だ。

 この神様がなぜ奉られているか、説明しておこう。


「この神様がいらっしゃらなければ、村の皆さんはここには来れませんでした」

(それほどでも~)

「たいへんだったってきいた」

「おれらも、しょくりょうあつめたもんな」

「たいりょうのしおになってかえってきたから、おおよろこびだわ」


 皆さんしみじみと話を聞いてくれる。

 食料援助をしてくれた方々なので、経緯は大体知っているよね。

 謎の声はいつも通りだけど……。


「村が今こうなっているのも、神様のおかげでもあります。なので、感謝の意味も込めて、お参りして頂ければと」

(それほどでも~)

「なるほど」

「どうやるの?」


 やっぱりいつも通りの謎の声に続いて、皆さんもお供えしてくれそうな感じだ。

 なので、あっちの森の皆さんの前で、お供え物を供えてお参りをしてみせる。


(ありがと~)


 即座に消えるお供え物のお菓子。元気いっぱいで何よりです。


「わわ! おそなえものがきえたわ!」

「ほんとにいるんだ!」

「かみさまに、かんたんにおそなえできちゃうんだな」


 そしてそれを見ていた皆さん、びっくりだ。

 でも、神様の存在はあっちの世界では認知されたものなんだな。

 どちらかというと、簡単にお供え出来ることに驚いているみたいだけど……。


「たしかにかみさまだな。おれもおそなえしよう」

「わたしも」

「おれはこのおかしをおそなえしちゃうよ」

(わーい! みんなありがと~!)


 お買い物と併せて、観光客がお参りしてくれるようになった。

 神社光りっぱなしである。


 これも一つの観光名所、なのかな?


(おそなえもの、いっぱい~! きもち、いっぱい~!)


 ……喜んで頂けて、何よりです。

 あ、めっちゃ光強くなった。



 ◇



 お金を手にした皆さんは、積極的に欲しいもの、食べたいものを買ってくれる。

 でも、お金には限りがあるわけで。


 お金が無くても楽しめる施設や、アクティビティという物も用意してあげたいなと思った。


「というわけで、何が良いか相談したいなと」

「それなら、あのへいちにおいてあるじてんしゃとかどうでしょう?」

「じてんしゃ、たのしいです~」

「きっとハマるわ」


 早速提案が出てきた。なるほど自転車か。

 まあ、乗り物アクティビティだね。


「それじゃ観光客の皆さんに、乗り物を解放しましょう」

「タイシ、オオカミさんたくさんいるです。リアカーにのせてはこんであげたら、いいかもです?」


 しゅぴっと手を上げて、ハナちゃんからの提案だ。

 確かにフクロオオカミは今沢山遊びに来てるね。

 いつまで居てくれるかは分からないけど、居てくれる間は協力して貰うのも良いかもな。


「面白そうだね。フクロオオカミにお願いしてみよう」

「あい~! ハナがおねがいしてみるです~」

「それじゃ、ハナちゃんにお任せしちゃいましょう!」

「まかせるです~!」


 それじゃ乗り物系アクティビティはすぐ出来るね。

 あと他には無いかな?


「他には無いでしょうか? こちらの自然も珍しいと思うので、これを利用して何かできたらなと思いますが」


 せっかくだから地球の自然も見て欲しい。

 特にこの村のある地域は、自然環境豊かだ。全然開発されてないからね。

 地球人相手にも観光地となるくらい、風光明媚ではあるのだ。


 ちなみに冬になると豪雪と極寒で、地獄と化すけど。

 ……まあそれは良いとして、なんか無いかな……。


「はいはーい! つりやりたい! さかなつりたいじゃん!」


 マイスターがものっそい釣りアピールをしてきた。

 ……でもそれ、自分がやりたい事アピールだよね?


「おお、つりはいいですね」

「ハナもおさかなつり、したいです~」

「いろいろあって、あとまわしになってたな~」


 他の皆さんも、どうやら釣りがしたいようだ。

 確かに色々ありすぎて、後回しにしてたな。

 元々は、ご老人を引きこもりにしない為のアイディアだったんだけど……。


 ――でも、良いかもしれない。

 エルフ達はお魚も好きっぽいし、釣り自体も楽しめそうだし。

 こっちの自然を活かした遊びだから、観光としての目的も果たせる。

 あとは――こっちでやってる事も参考にしてみるか。


「親父さ、俺が子供の頃に、蓼科(たてしな)に家族で遊びに行ったよね?」

「ああ。渓流釣りしてバーベキューして、色々やったな」

「あれってここでも出来そうかな?」


 ようは、あのリゾートのサービスを真似ちゃおうと言うことだけど。


「炭とバーベキューコンロセットを貸し出しすれば、良いんじゃ無いか?」

「釣り具も貸し出しで良いかな?」

「ああ。道具揃えりゃすぐにできるな」

「よし、それで行こう」


 渓流釣りをして、釣れた魚はその場でバーベキュー。

 うん、現代人でもやってるアクティビティだね。

 俺も参加したい位だよ。


 ……じゃあ、催し物として釣り大会とバーベキュー大会やっちゃおうか!

 俺も遊びたいからね。

 観光イベント兼、皆で遊ぶ会にしちゃおう!


「タイシ~、いいことかんがえたです?」

「うん、皆で楽しめる催しを考えてみたよ」

「あや! ききたいです~」


 ハナちゃんがかぶりつきで迫ってきた。

 ペカっと笑顔で、わくわく顔だね。エルフ耳もピコン、と立っている。

 皆で楽しめる催し、と言うところにビビっと来たようだ。


「皆で釣り大会をして、釣れた魚をその場で焼いて食べたら楽しいかなって」

「たのしそうです~! やりたいです~!」

「いいですね! あっちのもりのひとたちも、たのしめます」

「つりだ~! おさかなだ~」

「おもしろそう~」


 観光客の為の催しを考えていたけど、俺たちが楽しんじゃいけないわけでも無い。

 便乗して一緒に楽しんでも良いよね!

 皆さんも乗り気だし、釣り大会を観光イベントとして開催しちゃいましょう!


「それでは、宿泊施設の設置が完了した後、釣り大会を催しましょう!」

「じゅんび、てつだうです~!」

「がんばるぜ」

「おさかな~、おさかな~」

「たのしみ~」


 こっちで用意する無料イベントはこんな物かな。

 あとは、観光客の皆さんに話を聞いて、何が楽しかったか確認しよう。

 思いがけない楽しみも、あるはずだ。

 そうしてコツコツと、イベントを増やそう。


 いやはや、楽しくなってきたな。

 観光客の予算も決まった、イベントも決まった。

 よーし、宿泊施設の設置完了と共に、観光業を本格的に始動させよう!

 


これにて本章は終了となります。お付き合い頂きましてありがとうございます。

次章も引き続きお付き合い頂ければと思います。

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