第四話 消火訓練? 点火訓練?
翌日、親父はツテを頼って調理器具の調達をしてくれるとこのとで、朝から出かけていった。
高橋さんは元族長さんの荷車を確認しにいった。
そして残る俺は、ヤナさんが結成した消防団の方々と面通しすることになった。
「タイシさん、しょうぼうだんをけっせいしました。かれらがだんいんです」
ヤナさんが引き連れてきたのは全員若い男衆で、ヤナさんを始めマイスターとマッチョさんも団員のようだ。
メカを見るたびかっこいいを連呼する彼もメンバーのようだ。
この中で団長は誰なんだろう?
「団長はどなたですか?」
「いちおうわたしがやりますが、いずれはふくだんちょうにひきつぎます」
「おれがふくだんちょうだから、そのうちだんちょうになるのか~」
マッチョさんが副団長なのか。ヤナさんは暫定的な団長で、いずれマッチョさんに引き継ぐと言うことだね。
「指揮系統は分かりました。それで、皆さんの消防団はどういう活動をするのですか?」
「ひがでたらしょうかするのはもちろんですけど、ねないでみはりをしたり、みまわりもします」
「消火は当然として、不寝番と巡回もするわけですね」
「そうです。ちあんいじもかねているので、わるいことをしたらつかまえるやくめもありますね」
おお、治安維持の役目もあるんだ。警察と消防が一体となった組織みたいだな。
「こっちでは消防と治安維持は別の組織がやっていますけど、そちらでは兼任なんですね」
「わけるほど、やることないですから」
「だいたい、ひまする」
「わるいことったって、ぬすみぐいとかだもんな」
「かじだって、ごくたまにボヤさわぎがあるくらい」
「おれらがでていくまえに、だいたいかいけつしちゃってるんだよなあ」
……どうやら、あっちの世界では暇な組織のようだ。
それは良いことなんだろう。
「まあこんなかんじのあつまりなので、あんまりにんきがないんですよ」
「ほうしゅうは、たま~にたべものがもらえるくらいだし」
「よるのみまわりがけっこうきついけど、みんなのためっておもってやってる」
ほぼボランティアの組織だね。こっちの消防団と同様、郷土愛で支えられている組織なんだな。
まあ、人数と活動内容は分かった。そのうち彼らの装備を揃えよう。
「とりあえず消火や防火、また水難救助のための装備を整えます。そのうちになりますけど」
「すいなんきゅうじょですか?」
「そろそろ釣りも始めようと思いますので、万が一を考えてですね」
「なるほど、せきにんじゅうだいですね」
「おさかな、いっぱいつらなきゃな」
「じゅるる」
元族長さんの援助物資とこちらで用意した食料、それに家庭菜園の野菜があるから、そう急いで食料調達をする必要はもうない。
ただ、せっかく各家庭で料理をするようになるのだから、食材にもうちょっと彩りを付けてあげたい。
主に釣りをするのは暇しているお年寄りだから、あまり負担になることも無いだろう。
「釣りはまた後日するとして、さしあたっては消火訓練でもしますか?」
「くんれんがひつようなのですか? であればおねがいしたいです」
「消火のための道具があるのですよ。ほら皆さんの家にあるあの赤いやつです」
「ああ! あれってそういうどうぐなのですか」
「かざりだとおもってた」
「わりとうつくしいかたち」
皆は飾りだと思っていたようだけど、消火器の事を教えてないから当然か。
まあ、使ってみせれば一発だ。倉庫に予備の消火器があるから、それで実演しよう。
「それじゃ、畑のそばの平地でやりましょう。準備はこちらでします」
「わかりました。じゅんびができたらこえをかえてください」
さて、消火訓練の準備を始めよう。
まあ、火を点けて消すだけだ。延焼しないよう気をつけよう。
◇
消防団だけで訓練をやろうと思ったけど、好奇心旺盛な皆さんも見学することに。
エルフ達全員が見学に来た。ユキちゃんも救護班として参加だ。
実際に訓練するのは消防団員だけだけど、見るだけでも勉強にはなるかな?
準備はもう出来ているので、消火器の説明をしてから実際に火を消して貰おう。
「今皆さんの家には、この大型の消火器と小型の消火器が置いてあります」
「しょうかきっていうんだ」
「なまえをきくと、なんかすごそう」
「あかくてきれいだな~っておもってた」
置物だと思っていた物が、実は有用な道具だと知ったエルフ達だ。
興味津々な様子で消火器を見ている。
「こっちの大きな物なら、それなりの火を消すことができます。小さい方は、天ぷらで火が出たときや家の中のちょっとした火災に対応できます」
「このちいさいのでだめだったばあいは、おっきなほうをつかうのですか?」
「まあそうなりますが、火が出たらとにかく大声で人を呼んで下さい。まずそれです」
「わかりました」
「かけつけるぜ」
「さけびごえならまかせて」
消火はとにもかくにも人手だから、なりふり構わず人を呼ぶ。
これはエルフ達も理解出来たようだ。
実際、あっちでも似たような事はしていただろう。
「他にも注意事項は有りますが、それは消火の実演が終わった後説明しましょう」
「おお、とうとうくるか」
「みずをかけるんじゃだめなのかな」
「みずをくむのが、まずじかんかかるだろ」
天ぷら火災でもなければ水をかけてもいいけど、ここには水道が無い。
水を汲んで持ってくる間に火が広がってしまうので、やっぱり消火器は必要だ。
とりあえず、この消火器がどうやって火を消すのかの仕組みを説明しておこう。
「この消火器には消火液という薬品が詰まっていまして、それを吹きかけて消します。こっちの小さいのは粉末式で、粉を吹きかけて消します」
大きな方はカリ塩系の中性強化液を使った消火器なので、ご家庭の普通火災ならこれが一番優れている。
小さい方はスプレー型のエアゾール式で、小規模火災には大体対応できる。
「特に天ぷら等の沢山の油を使っているときに火災が起きた場合は、水をかけずに消火器で消して下さい」
「みずをかけちゃだめなの?」
「またなんで」
天ぷら料理は何回もやっているから、エルフ達も理解しているね。
でも、水をかけちゃいけない理由までは分からないようだ。
口頭だけの説明しかできないけど、知っておいて貰いたい。
「煮えたぎった油に水をかけると、水が一気に蒸発して爆発し、灼熱の油と炎が飛び散り大火災につながります」
「こわ……」
「やばすぎ」
「まじで」
実際に見るともっとヤバいけど、ヤバいだけに実験もし辛い。
本当は実演したいところだ。
まあ、知っているだけでも大きく違う。ここは口頭の説明だけに留めておく。
「というわけで、天ぷら火災などの油火災は消火器を使って欲しいのです」
「なんだかヤバそうなので、そうします」
「そうすべそうすべ」
ぷるぷる震えだした皆さんだけど、気を取り直して次に行こう。
次は実際に、消火器を使ってたき火を消す訓練だ。
最初に俺が実演した後、消防団員にも体験してもらう。
「それでは小さい方をまず実演しましょう。ここに火を点けて、消して見せます」
「あい」
ハナちゃんがいつの間にか隣にいる。さっきは向こうに居たよね?
一瞬で十メートル以上移動してない?
……まあ、ハナちゃんに火を点けて貰うつもりだったので、ちょうど良いのだけど……。
もういつものアイテムを構えてやる気十分なので、早速頼むかな。
「それじゃハナちゃん、ここに火を点けてほしいな」
「まかせるです~!」
数本の薪を指さしてお願いすると、ハナちゃんはてててっと走って火を点けにいった。
「つけるです~」
あっという間にしゅぼっと火がつき、パチパチと燃え始める。
……おかしいな、速攻でパチパチと燃え始めたけど、薪ってあんなに簡単に燃えないぞ?
「いつみてもみごとだな~」
「おれらじゃ、まねできねえ」
「ええええ……大志さん! 今! 今一瞬で火が! なんかボッって!」
ハナちゃんの火起こしを見て関心するエルフ達と、錯乱気味のユキちゃんだ。
うん、アレを初めて見たら驚くよね。
なだめとかないと。
「落ち着いてユキちゃん、何時ものことだから」
「何時もの事って……」
ユキちゃんが愕然としている間に、ハナちゃんがぽてぽてと帰ってきた。
「ハナ、いっぱいひおこしのれんしゅうしたです~」
「練習でどうにかなるの……?」
「俺には無理だったかな」
「あきらめないことがたいせつです~」
木の板と棒を構えて、ユキちゃんに火起こしフォームを伝授し始めるハナちゃんだ。
未だかつてそれを習得出来た人は居ないんだけど。
……まあ、そろそろ本題である消火に入ろう。
「それでは、あの炎を初期火災、燃え始めとたとえて実際に消火してみます」
「タイシ、がんばるです~」
「あっという間に消えるので、よく見てて下さいね」
スプレー缶を構えて、プシューっと薬剤を噴射する。
「あややや! なんかでたです!」
「ぷしゅーとかいってる!」
「おい! ひがきえていくぞ!」
ハナちゃん達が驚いている間に、たちまち薪は粉末に覆われて火が消えていった。
これ位の火災なら、簡易消火具のこれだけでも結構いける。
「おもってたよりすげえ」
「あんなちいさいのでひがきえるとか、すてき」
「すなをかけるのと、にてるのかな?」
消火された薪を見ながら、ワイワイと盛り上がる皆さんだ。
「ここを押すと粉末が吹き出しますので、その粉末を火元に向かって吹きかけるんです」
「かんたんでいいですね」
「これなら、だれでもすぐにつかえますね」
ヤナさんはスプレー缶を見ながら、ふむふむと頷いている。
消火器具がどういう物かは、これで大体掴めたはずだ。
それじゃ次は、大物をやろう。
「小さな火災はこれで何とか出来ることもありますが、大きくなるとダメです。そういう場合は、これを使います」
「でかいのきた」
「さっきのであれなら、おっきなほうはもっとすごいんだろうな」
「かっこいい」
スプレー型でも結構驚いていた皆さんなので、大きな消火器がどんなことになるのかワクワクとした顔で見ている。
それじゃ、使い方を説明しながらこれも実演しよう。
「ハナちゃん、今度はあっちに火を点けてくれるかな?」
「あい~! きあいいれるです~!」
小さなキャンプファイアくらいに積み上げられた薪を指さすと、またもやハナちゃんは木の板と棒を構えて、てててっと走って行った。
俺もハナちゃんの側に控えておこう。
「それじゃハナちゃん、しゅぼっと行こう」
「あい! いくですよ!」
ハナちゃんはふしゅ~ふしゅ~と、棒をバットのようにしてゆっくり振っている。
……え? なんか気合い入れすぎじゃない? フォームからして普段と違うよ?
普通にボッってやってくれれば良いんだよ?
「――つけるです!」
普通で良いよ、という間もなくハナちゃんが、綺麗なバッティングフォームで棒をひゅいんと振り、棒の先が薪にかする。
その瞬間、積み上げてあった薪が――。
――ゴオオッと炎柱に包まれた!
「あえ? ……ちょっともえすぎたです?」
一瞬で炎に包まれた薪を見て、ハナちゃんこてっと首を傾げた。
そして火柱はすぐに治まり、あとは良い感じに燃えるたき火のできあがり。
……何というかね、うん、すごい。
何が凄いって、周りの下草燃えてないんだもん……。
狙った薪だけ綺麗に燃えてるのね。
おかしくない?
「すげえもえた」
「いきなり、いいかんじのたきびができちゃった」
「てんかというか、ほのおにつつまれたかんじ?」
「ひばしらがゴオっとかいってたよな」
他のエルフの皆さんも、あっけにとられている。
…………。
「ハナちゃん凄いね~。でも普段はもうちょっと手加減してね~」
「あい~! てかげんするです~」
とりあえず、ハナちゃんをなでなでしておこう。
たぶんこれでいいはず。
「うふ~」
「あわわわわ……」
なでられてご機嫌なハナちゃんの隣では、ユキちゃんが驚きで固まっていた。
……うん、驚かせてしまってごめんね。
でも、俺だってこんなに燃えるとは、思ってなかったんだよ……。
◇
そうして、火柱ゴオオ事件はあったけど無事に消火器の実演を終えた。
ヤナさんはじめ消防団の方々にも、実際に消火器を使って貰った。
そのたびにハナちゃんの火起こしが炸裂したので、消火訓練なのか発火訓練なのか良くわからなくなったけど……。
「……」
そしてユキちゃんは驚きすぎて固まってしまったので、俺がおんぶして村に戻った。
救護班が救護される、の巻。
やわらかかった。
……まあ、とりあえず訓練は出来た。
あとは装備の調達と支給、それと消防団活動の報酬を考えておこう。
お酒を報酬として支給すれば、良いかもしれないな。
聞いてみようか。
「消防団の方々には、報酬としてお酒を支給しようと思うんですけど、どうでしょう?」
「おさけ! それでおねがいします!」
「おさけがのめる~」
「やったー! しょうぼうだんはいってよかったー!」
消防団の皆は嬉しそうな顔になったので、それで良いみたいだ。
じゃあ、団員のためにちょこっと良いお酒を見繕っておこう。
消防団は防火に消火に寝ずの番に、そして巡回もしてくれる。
これから頑張らなければならない彼らには、良いことがあるようにしてあげたい。
消防団の結束を強める為に、ちょくちょく飲み会でも開けるぐらいには援助しよう。
「こっちのお酒はものすごい沢山種類がありまして、甘い物や辛い物、香りが良かったりものすごく強いお酒もありますよ」
「あまいおさけ! それ、のんでみたいです!」
「ものすごくつよいおさけってのも、きょうみあるな」
「おれがおさけをつくると、だいたいすっぱくなるんだよなあ……」
団員の皆さんは、甘いお酒と強いお酒に興味があるようだ。
杏露酒とかが良いかもな。
あと、酸っぱくなるのはもうそれ、酢になってませんかね?
「ほかには、苦いのですけど香りが良くて、口の中でパチパチ弾けるビールとかがあります」
「にがいのですか」
「でも、それが美味しいんですよ。お風呂上りとかに飲むと病み付きになりますね」
「ほほう」
「私の父は主に日本酒といって、例のコメから作ったお酒が好きですね。これも持ってきますよ」
「いいですねえ。たのしみです」
消防団の皆さん、お酒の味を想像してほんわか笑顔だ。
割と大変な消防団の活動を行う上での、心の支えとなればいいかなと思う。
「タイシタイシ、シロウがかえってきたですよ」
お酒の話で盛り上がっていると、ハナちゃんが耳をぴこぴこさせて親父の帰還を知らせてくれた。
……車の音でも聞こえたかな? 俺には全然聞こえないんだけど……。
「ヤナさん、聞こえました?」
「いえ、とくには」
「おれもきこえない」
「おれも」
他の皆さんも聞こえてないみたいだけど、ハナちゃんには聞こえているんだろうか。
ちょっと耳を澄ませてみよう。
「あ、きこえました。じどうしゃがちかづいてきてますね」
「おれもきこえた」
「おれも」
今度は他の皆さんにも聞こえたようだ。
俺にはまだ聞こえない。
……。
…………。
そうしてしばらく耳を澄ませていると、かすかに自動車のエンジン音が聞こえて来た。
――うちの車の音だ。
「あ、聞こえました。確かにうちの車の音ですね。ハナちゃんすごいな」
「ハナ、みみはいいですよ~」
「わたしらもわりとみみにはじしんがありますが、ハナはわたしらからしてもみみがいいほうですね」
「ハナちゃんのみみ、よくうごくもんな」
「ぴこぴこしてて、可愛いですね」
「えへへ」
可愛いと言ったら、てれてれになるハナちゃんだ。
へにょっとたれ耳になって、もじもじしている。うん、可愛いね。
しかし皆耳が良いなあ。エルフだもんな。その中でもハナちゃんは特に耳が良い方みたいだ。
確かに他のエルフ達でも聞こえていないくらいの、わずかな音を真っ先に察知した。
俺が村に来るときも大体お出迎えしてくれるけど、こうやって音を聞いて察知してるのかな?
――と、そうこうしているうちに車が広場に入ってきて、親父が下りてきた。
「大志、調理器具八世帯分調達してきたぞ。最低限は揃ってるはずだ」
「どれどれ……十分じゃないかな?」
車から降りてきた親父が、車に積んである箱を指さして言った。
無事調理器具を調達できたようで、箱の中をのぞくと普通の料理なら十分な種類の調理器具が揃っている。
「あや! おなべとかフライパンとか、たくさんです~」
「わああ」
「すてき」
俺と同じように箱をのぞき込んだハナちゃん他奥様方も、ピカピカの調理器具を見て目を輝かせている。
これはさっそく配るとして、あとはこれらの調理器具と薪で料理することに慣れてもらう必要があるな。
今日の夕食から、ローテーションを組んで調理してもらおう。
朝昼晩と練習すれば、三日もあれば一巡する。
お料理上手な奥様を指導役にして、ちょっとしたお料理教室みたいにしよう。
「それじゃ、今日の夕食から薪とその調理器具を使ってみようか。練習も兼ねて、毎食交代でやってみようと思うんだけど」
「もともと薪で料理してた人達だから、まあいけんだろ」
「まえに肉祭りやったときは、結構火加減上手かったからな。大丈夫だと思うぞ」
高橋さんと親父も、それでいいようだ。
それじゃ、この方針をヤナさんから皆に伝えてもらおう。
「ヤナさん、今言ったやりかたで問題ないですかね?」
「ええ。もともとはそうしてましたので、とくにこまることはないですね」
「それじゃ決まりで。通達お願いします」
「わかりました」
これでとりあえずの方針は決まったな。
あとは様子を見て、大丈夫かどうか判断しよう。
それと……練習するなら、やっぱり指導役は必要だよな。
お料理上手な人を募って、講師役をして貰おう。
お料理教室みたいにするのが良いかな?
「せっかくだからお料理教室みたいにしましょう。お料理上手な方を講師にしたいと思っています。立候補したいかたおられます?」
「いいですね。わたしがやりますよ」
「わたしもまかせて」
「うでのみせどころよ~」
「いまぐきっていったわよ」
カナさん含む、何時もの奥様方が早速立候補してくれた。
そして腕グキさんは、袖まくりをして気合いを入れすぎたのか、グキっと負傷した。
講師役、大丈夫かな?
「おりょうりきょうしつです!? ハナもさんかしたいです~!」
お料理教室と聞いて、ハナちゃんぴょんぴょん跳ねながら参加希望だ。
ハナちゃんはどうもお料理大好きみたいだから、上手くなりたいんだろうな。
実際に料理の腕は割と良い。
つたないところもあるんだけど、勘所を外さないというか、大きな失敗をしないというか。
ハナちゃん、無邪気な様子とは裏腹に、結構堅実なんだよな。
「あらハナ、おりょうりしたいの?」
「おりょうりしたいです~!」
「それじゃいっしょにやりましょうね」
「あい~!」
カナさんが了承したので、ハナちゃんのお料理教室参加決定だね。
ハナちゃん大喜びで、くるくる回り出す。
「おかあさん、おりょうりのコツってあるです?」
「いっしゅんのすきをみて、つまむの。こう――さりげなく」
「つまみぐいです?」
そこ、つまみ食いの技術を伝授しない。