第1話【虐げられる3人】
そこはとある中学校の朝の廊下だった。まだ授業ははじまっていず、生徒たちは『おはよう』とあいさつをかわしながら自分のクラスの教室に入っていった。
そんな中、暗い表情の3人組の男子生徒たちがいた。彼らは無言で廊下を歩き続け、ため息まじりに1年4組の教室に足を踏み入れた。
そのときである。彼らを待っていたのはいつもどおりの野次と白い目だった。
「おー、今日も蟹座トリオがやってきたぜ」
「おまえら蟹座の分際でよく生きてられるな」
「蟹座はこっちに近寄るんじゃねーぞ」
他の男子生徒に差別を受けている3人組。なぜ彼らは差別を受けているのか?理由は彼らの星座が蟹座だからである。たったそれだけの理由で3人は、他の男子たちからゴミのような扱いを受けているのだ。
給食は牛乳しかとることを許されず、クラスの集合写真のときは3人だけ50メートル離して撮られ、サッカーのときは3人は必ずゴールキーパーとセンターバックをやらされていた。そんな毎日に3人のうちのふたりは鬱に近い状態になっていたが、ただひとり蟹村玉夫(略してカニタマ)だけは現状を変えたいと思い続けていた。