林間学校 二日目 山登り
【明け方】
剛志は人の気配で目が覚めた……。
「山岡……さん?」
本屋のレジの髪型だ♪
「委員長……!」
いきなり、剛志の胸に恵子が飛び込んだ!
「好きだ!」
剛志は恵子を抱きしめながら言った!
「私も……!」
何故か、
抱きしめたまま、
剛志の後ろの方に倒れ……。
重い……!
く……苦しい……(@_@)
剛志は目覚めた!
あ゛?
何で上に一誠が乗っかって、
俺ら抱きあってて、
しかも一誠の顔が、
今にもキスしそうに迫って( ̄□ ̄;)!!
「起きろ〜!
一誠!」
寝ぼけた一誠の顔を外そうと、
剛志は懸命にもがいた(^_^;)
「あれっ?
山崎さんは?」
「寝ぼけてんじゃねぇ〜よ(-_-;)」
剛志と一誠は、
自分達の寝床に戻り、
深いため息をついた(+_+)
「夢……か〜(ToT)」
【猪鼻嶽山登山】
猪鼻嶽山は、
林間学校の宿泊施設から歩いて、
登れる山だ♪
朝の集いで、B組が国旗等を掲揚したが、
剛志達のように上手くいかなかった(>_<)
ラジオ体操をしたら、
食堂で普通の朝ごはんを食べて、
お昼のお弁当を配られた♪
自然散策と、山登りが二日目の内容だ♪
「山登りか〜(^_^;)」
女子の部屋では、
あまり気乗りしていていない……。
「日焼けしそう〜」
佐久間さんは、
元々色黒めなのに言った!
「日焼け止め有るよ♪」
平山さんが、
ポーチから日焼け止めを取り出した。
色々な化粧品が、
OL並みにポーチに詰まっている……(^_^;)
「スッゴい〜!
コスメ一杯だね(^O^)」
坂本さんが驚いて言った!
「え〜、
普通じゃない?
これくらい……(=^_^=)」
平山さんは得意げだ!
「高そうな化粧品だねぇ〜」
谷口さんは言った(^_^;)
化粧落とした平山さんを皆始めて見たが、
微妙に別人みたいだった……。
学校にバレない程度の化粧はしていたのだ……!
だからと言って、
平山さんが男子にモテるかと言うと、
恵子みたいな噂一つ無い!
コロンや化粧品の香りが意外とダメな男子もいることに、
全然気づかないのだ……。
「ありがとう♪」
佐久間さんは日焼け止めを塗って返した!
「日焼け止めは持って来たけど、
コスメ見せて♪」
坂本さんと、谷口さんは化粧品に興味津々だ♪
佐久間さんと、化粧品を手に取って、
何に使うのか、
楽しそうだが……。
恵子と由理は興味ないようで、
近寄らなかった……(^_^;)
恵子は自分の持ってきた日焼け止めを由理に貸していた。
「山岡さん、山崎さんは?
せっかくだから、
コスメしない?」
坂本さんは、
リップを塗ってもらってご機嫌だ♪
「眼鏡外したら?」
坂本さんが、額の上に恵子の眼鏡をずらす……。
「あれ〜!
山岡さん、
眼鏡外したほうが、
可愛い〜!」
坂本さんの声に、
皆が注目した!
「付けまつげ要らないじゃん!
まつげ長い♪」
平山さんは、化粧したくてウズウズしているみたい……(^_^;)
「コンタクトにしなよ〜!
倦怠期の旦那も惚れなおすって!」
誰が倦怠期ですって!
ちょっとムッとしたが、
恵子はムキになったら、
色々からかわれるのが目に見えたので黙ってた!
「お化粧は、肌弱いから、
かぶれちゃうんで、
やめとくわ……。
それに、
コンタクトは、あまり好きじゃないのよ。」
恵子が言った。
「もったいない〜!」
皆は言った。
由理は黙っていた。
「じゃ、山崎さん♪」
坂本さんが前髪を書き上げると、
鼻から額に傷あとが!
「小さい時に怪我しちゃったから、
隠してるの……。
肌もアトピーだから、
なかなかパッチテスト合格しないんで、
私もやめとくわ……。」
平山さんは、
アトピーと聞いてこれ以上勧めるのをやめた。
「そう、パッチテスト合格したファンデーション見つかったら、
隠せると思うわ……。」
「そう、ありがとう……。」
恵子と由理は、皆が再び化粧品で盛り上がっている間、
二人でトイレに行った。
★☆★☆
鏡の前で恵子は、
「傷、描いた?」
フッと、由理は笑って、
うなずいた。
「アトピーは、
本当……(^^)」
腕を爪でさっと引っ掻いたら、
爪の跡が白くなった。
そして、そこをこすると、
ボンヤリ紅くなった。
「古傷みたい……。
カドが立たない断り方ね♪」
由理はうなずいた。
★☆★☆
いよいよ、山登りだ!
クラスごとに二列に並んで、
出発した!
背の順だから、
恵子と剛志は、
一番前だった……(^_^;)
二人とも、なんとなく、気まずいから、
黙って歩いた。
時々目があったら、
慌てて反らす事を繰り返した(^_^;)
恵子は、わざと、
前を向いて見ないふりをした。
視界に実は剛志が入っている……(^_^;)
剛志は、やっぱり、
ちらちらこっちを見ていた……(=^_^=)
剛志は、今朝の夢を思い出しながら、
ついつい見てしまうのだった。
眼鏡っ娘も、なかなか、
これはこれで可愛いのでは……(=^_^=)
「委員長!」
恵子が腕を引っ張った!
いきなり何!?
「ぶつかるわ(^_^;)」
小枝の先が、
剛志の顔をかすめた!
「あ……、
ありがとう……(=^_^=)」
ヤバっ!
よそ見してて気が付かなかった〜!
って、
何で、前見ていた山岡さんに、
見えたんだ??
「私、あんまり、
山登りとか、
得意じゃないんだ……(^_^;)」
恵子が言った。
「俺は久しぶりだから、身体なまってそうだよ〜!」
剛志は言った。
「へぇ〜意外……。」
部活とかは、
体育系ではなく、
剛志は科学倶楽部だったから、
アウトドアのイメージではなかった。
「昔は、夏は山道トレッキングで、
冬はスキーに毎年行ったんだ……。」
剛志は恵子に普通に話せた(^^)♪
「へぇ〜、家は行った事無いわ……(^_^;)
家族で?」
「いんや〜、
一誠や、尚、俊、浩、亮、
あとハッシーも、
大体幼稚園から小学生ぐらいまで、
一緒に行ってた♪」
「あら?
小学校や幼稚園、
皆一緒じゃないわよ?」
「習い事が一緒だったんだ!」
「ふーん、たまたま部屋が一緒になったのね(^^)」
だから変に盛り上がっていたんだわ♪
恵子はちょっと納得した!
猪鼻峠に茶屋があって、
社会の教科担任の先生が、
牛乳を配っていた!
一応、水筒も有るのだが、
ここで休憩しながら、
牛乳を飲んだ!
「まだまだ登る山には、
たどり着かねぇ〜な……(^_^;)」
一時間半は歩いた……!
牛乳を飲みながら、
富士山を眺めた♪
「そろそろ行くぞ!」
再び二列に並んで、
歩き出す!
車通りの多い車道から、林道に入った。
そして、やっと、
猪鼻嶽山入り口に到着した!
「ここから山登りだが、
けっこう急な山なんで、
リタイアする場合、ここに松永先生がもう少ししたらいらっしゃるから、
必ず声かけて、
今来たルートで帰るように!」
「は〜い!」
登る前からリタイアは無理かな?
と、一部の生徒は考えた……(^_^;)
★☆★☆
「山岡さん……。
私、山登りすると、
何故か早く歩いちゃうの……(^_^;)」
由理が言った。
「わかったわ!
気にせず、先に行って(^^)」
恵子は言った。
私もリタイアするかもしれないな……(^_^;)
確かに、先生のおっしゃる通り、
道が険しい。
階段みたいに、木で土を止めてはいるが、
ちょっと滑りやすい……。
谷口さんや、坂本さんがくたびれてきて、
汗を拭いたら、
タオルにメイクがはげて付いた!
「私限界〜!」
平山さんは、
あぶらとり紙では、
対応出来ない汗をかいて、
結局、メイクがタオルに付いてはげちゃった……( ̄□ ̄;)!!
「リタイアする?」
「しよう!」
佐久間さんと平山さんにつられて、
谷口さんも坂本さんも引き上げた。
★☆★☆
けっこう険しい山道なのに、
由理は早い。
恵子には追いつかない。
だけど、もう少し、登ってみたいな……と思って、
頑張ってみた。
★☆★☆
「あ♪
山崎さん(^O^)」
身軽にどんどん山道を登る由理は、
一誠達に追いついた。
「一人?
山岡さんは?」
由理は振り返って、
「私、山登りすると、
連れを置いて先に行っちゃうの……(^_^;)
まだ下の方だと思う……。」
「え!」
剛志は下の方を見た。
「ちょっと見てくれる?」
由理が言った!
「俺らは頂上で待ってるから、
委員長、頼むぜ!」
剛志組、一誠組の連中は、
ニヤニヤして言った( ̄ー ̄)
「分かった!」
★☆★☆
剛志は引き返してしばらく行くと、恵子が見えた。
山道の脇に腰かけて、
恵子が登ってくるのを剛志は待った。
「あら?
委員長!」
恵子がちょっと驚いて言った。
「山崎さんが、見てくれって、
置いて来ちゃったから……(^_^;)」
「そうなんだ♪
山崎さん、早いよね!」
「意外だよな!」
恵子の後ろには、
もう誰も登って来ない。
皆リタイアして、
下山しちゃったからだ(^_^;)
「先に登って、
あわせるから……。」
剛志も先に行っちゃうと思ったから、
恵子の後ろを登ることにした。
恵子はうなずいた。
「あっ!」
恵子はちょっと滑った!
慌てて右手で木の枝をつかんだら、
向きが変わった!
咄嗟に剛志は恵子を受け止めた!
「……あ……ありがとう(*^^*)」
スッゴい、カッコイイ〜!
恵子はドキドキした!
「大丈夫?」
剛志は明け方の夢みたいな展開に焦っていた!
倒れないようにしなくっちゃ!
とっても危険な状態だ!
だけど、
意外と胸があるんだとか、
女のコの柔らかい感触をこのまま楽しみたいな〜
なんて、
一瞬感じて、
却下した……!
坂道では無理だな(-_-;)
「けっこう滑りやすいわね……(=^_^=)」
恵子は再び登り始めた。
「そうだな!」
剛志は恵子の後ろから登りながら、
また滑らないかな?
ちょっと期待していた♪
★☆★☆
由理は崩れやすい岩場も、
ひょいひょいと、
登って行く、
一誠はなかなか追いつかない……(^_^;)
だけど、一誠は他の連中よりも早く登っている方だった!
由理が山頂に着いたのは、
一番乗りだった!
霧みたいな状態で、
山頂の景色は良く見えない……。
山頂の祠に由理は手を合わせた。
しばらくすると、
由理は霧みたいに真っ白な状態の開けた場所に立った。
霧は雲だった……。
風が少し吹いたのか、
山頂に雲が迫って、
通り過ぎてゆく……。
★☆★☆
やっと一誠が山頂に到着すると、
人影が見えた!
流れる雲の霧に包まれて、
現れた由理と
もう一人、
由理の隣に立っていた!
珍しいなぁ〜♪
山伏だ!
山伏は一誠に手招きした!
一誠は山伏と由理の間に立って、
「山崎さん♪
本当早いね!」
と言った!
由理は、ぐらっと一誠の方に倒れこんだ!
「山崎さん!?
どうしたの!」
一誠は由理を受け止めた!
気を失ってる!
雲が流れて、晴れてきた。
由理が気がついた!
「梅田くん!
あれ?
私、どうしちゃったかしら?(=^_^=)」
「倒れてきちゃったよ……(*^^*)
大丈夫?」
「うん、
あっ、見て!」
由理が指差した方には、富士山が見えた!
「スッゲ〜♪」
いい眺めだ(^O^)
「あれ?」
さっきの山伏はいなくなっていた!
「山伏いたよね?」
「えっ?
誰もいなかったわ(^_^;)」
「気のせいかな?」
「たぶん……。」
そういうと、由理はしばらく黙っていた……。
ちょっとうつむいて、
上目遣いで由理は言った。
「梅田くん、
もう大丈夫だから……。
ありがとう(=^_^=)」
由理は一誠の腕の中から離れた。
不覚にも、気を失ってしまって、
一誠に抱きとめられていたから、
これ以上、好きになってしまったら、
嫌われる時が来るのが怖くなって、
距離をおきたくなった……。
★☆★☆
「スッゲ〜♪
富士山だ(^O^)♪」
次々に後から皆が、
一誠達のいる場所に集まって来る!
「登ってみて、良かったぁ〜♪」
皆でしばらく富士山を眺めた(^^)
「もう1時だから、
弁当にしていいぞ!」
先生が言った(^_^;)
出発したのは8時半ぐらい!
すごく沢山歩いた……。
これ、又同じ距離歩くんだな……( ̄□ ̄;)!!
皆苦笑した。
「委員長達リタイアかな?」
「まさか……(^_^;)
剛志に限って……。」
「ねぇ〜よな!」
と、一誠達がウワサしていたら、
「来た!」
由理が登山道に駆け寄った!
「山岡さん!」
「もしかして、頂上かしら?」
「富士山が見えるわ(^O^)」
「マジ♪」
剛志がスピード上げて、恵子と並んだ!
由理が恵子の手をつかんで、引き上げようとしたら、
急に軽くなった!
剛志が恵子を抱えていた(=^_^=)
「うわ〜♪
良かった!
途中で引き返そうって、思ったけど、
こんな眺めが見えるなんて(o^-^o)」
「猪鼻峠よりもすごくいい眺めだなぁ〜♪」
しばらく富士山を眺めていたが、
「あの〜、お腹空いちゃってるんで、
そろそろ食べませんか〜!」
亮達が言った!
「すまん、待っててくれたんだ(^_^;)」
剛志は、皆の所に駆け寄った!
恵子と由理は二人でレジャーシートに座って、
お昼にした(^^)
「うちのクラスの女のコ、
居ないね〜(^_^;)」
「私がリタイアしちゃったら、
山崎さんだけだったわよ!」
「委員長に頼んで良かった♪」
恵子は、
委員長
と聞いて
頬が紅くなってうなずいた。
【猪鼻嶽山下山】
来たルートで下山するのだが……。
恵子もすっかり疲れが取れた♪
が、
「これ、降りるの……( ̄□ ̄;)!!」
恵子には、
♪行きはよいよい……
下山は怖い〜♪
とおりゃんせの替え歌にしたフレーズが、
繰り返し頭の中で、
流れていた……(>_<)
「そうよ……!
手で岩をつかみながら、足から降りると、怖く無いわ……(^^)」
由理は先に降りて見せた。
「委員長!」
剛志組と一誠組の皆が、
次々に剛志の肩や背中を叩いて促した!
「山岡さん、困ってるぜ〜!」
一誠は、由理を追って降りる直前に言った(^_^;)
「一誠〜!!」
剛志は、叫んだ!
ちょっとだけ紅くなっていた!
「山岡さん、俺が先に降りて、
すぐ下であわせて降りるから、
万が一、滑っても受け止められる!」
恵子にだけ聞こえるように剛志は言った。
恵子はうなずいた。
「なるべく、上の方だけ見て、
下は見ないで!
足で次の岩を探って!」
剛志は、恵子のすぐ下にいて、
恵子の早さにあわせて、ゆっくり降りている。
「鎖が右側にあるから、
これに捕まって!」
「ええ!」
二人の様子は、
すぐ下を行く連中に丸見えだった!
「委員長〜は、副委員長と仲良いな〜(=^_^=)」
「本当、夫婦みたいだなぁ〜(*^^*)」
「いいな〜(^_^;)」
★☆★☆
由理は、また降りる時も、
早かった……( ̄□ ̄;)!!
「山伏みて〜♪」
山で修行した熟練の山伏を見ているみたいだ……(^_^;)
一誠は、由理が山で修行でもしたのかなと思って、
スゴいと思った!
ぐんぐん引き離されてしまった……(>_<)
由理が岩場を抜けて、
水筒を飲んで、休憩していたら、
一誠がやっと降りて来た!
「山崎さん♪
スゴい早いね!」
「えぇ、山登りの時は、
何故か早くなっちゃって……(^_^;)」
「山登り、熟練なんだろ?」
由理の隣に一誠は座って、
水筒をがぶ飲みする。
「全然……!
私、山登りって、
学校の遠足とかしか無いわ……!
私、ちょっと変わっているから、
こういう事、
たまに有るの……(^_^;)」
「あまり経験ないのに!
スッゲ〜(^O^)
それって、スッゴくねぇ〜?」
一誠は無邪気に驚いた!
「じゃあ、先行くから……(-_-)」
由理はすっくと立ち上がった!
「あっ!
待って〜(●^o^●)」
二人っきりだから、
由理の肩に手を置いてみようとしたら、
一誠の腕は、空振りした!
由理は土を木で止めた階段状になっている道を
凄い勢いで降りて行った( ̄□ ̄;)!!
「どう見ても、山道を毎日駆け抜けて来たみたいだ……(^_^;)
きっと田舎の学校で、
遅刻しちゃう〜って、
林道駆け抜けてたに違い無い……(=^_^=)」
由理の後を一誠は追った。
★☆★☆
軽やかに由理が下山してきて、
松永先生が声かけた!
「山崎、リタイアか?」
「いえ、頂上で富士山見て来ました♪」
「そうか、そういえば、そこの脇道に、
富士山を奉る浅間神社があったぞ!」
「あら、浅間神社ですか?
ちょっと見て来ます♪」
由理は軽やかに浅間神社へと向かった!
鳥居をくぐって、
社殿の向こうには、
富士山が望めた。
白装束の富士講の人達が、何人か居て、
由理と社殿を拝した。
由理が拝んでいたら、
白装束の富士講の人達が、
消えていた!
富士講とは、江戸時代に流行った富士山を信仰する修験道の一つだ!
富士山に見立てた築山を築いて、
江戸の街や、江戸近隣の浅間神社に祀られている。
築山を登る事で、
老人や女、子どもも、
急峻な富士山に登ったご利益が有るというので、
古墳やら、
丘などを利用した浅間神社も多い!
富士山が見える地域限定の信仰だ!
富士山に近い猪鼻嶽山も、
天然の築山代わりなのだろう……!
ちなみに高尾山にも、
一番上のお堂の後ろに浅間社があって、
富士講の信仰が続いている……(^O^)
という、「説明しよう!」みたいな解説のナレーションが、
何故か流れ……て欲しい所だ(=^_^=)
「あれ?
山崎さんは?」
一誠がやっと下山した。
「浅間神社を見に行ったよ!」
松永先生は言った。
「へぇ〜、何処に有るのですか?」
「そこの脇道だ!」
「ありがとうございます(^^ゞ」
一誠は走った!
白装束の人が、
一誠を手招きした!
少し行くと、
頂上で見た山伏が、
鳥居の辺りにいて、
境内を指差していた。
由理がしゃがみこんでいた!
「山崎さん!」
また気を失ってる!
一誠はリュックを前にかけて、
由理をおぶった。
背中に由理の柔らかい感触が(●^o^●)
一誠は幸せだった♪
鳥居を出る時に、
一誠は拝殿に向かって、
片手で拝んで一礼した!
神様ありがとうございます(*^^*)♪
由理が目覚めた!
「梅田くん!」
「山崎さん、気がついた?
白装束の人と、
山伏さんが、
知らせてくれたから……。」
あれ?
二人ともいないや……(=^_^=)?
「そう……、
ありがとう……。」
梅田くんにも、
富士講の人達が視えたんだ……(^_^;)
でも山伏って、
「あの、山伏って、
山吹色の装束の、
緑色の梵天付けた人?」
「あぁ、ボンボンが緑色の山伏さん♪
またどっか行っちゃったよ!」
「そう……、梅田くん、
あの山伏とか、白装束の人って、
この世の人じゃあないって言ったら、
信じる?」
「幽霊かオバケ?」
「近いわ!
悪いモノじゃあ無いけど……。」
「俺は見たから、
いるんじゃないの?
オバケだろうが、
幽霊だろうが、
関係ねぇ〜(^O^)山崎さんのピンチ知らせてくれたから、
悪い人達じゃあないさ♪」
「梅田くん……(=^_^=)
もう大丈夫だから、
降ろしてくれる?」
「や〜だ(^O^)
このままがいい♪」
「誰かに見られたら、
恥ずかしい……!」
「そっかぁ……(=^_^=)
残念だなぁ〜」
しぶしぶ一誠は由理を降ろした。
ずっと密着していたかったのに……(>_<)
由理は、ちょっぴり安心した!
本当、梅田くんって、
私が視える事、気にしないんだ(^^)
「一誠〜(^_^;)」
「お前ら早すぎ!」
一誠組と剛志組(剛志はまだ下山中)がわらわらと、
一誠や由理の周りにやって来た!
「剛志達は?」
「あぁ〜、委員長はさ、
イチャイチャしてたぜ〜(^_^;)」
「きゃ!」
俊がわざと高い声を出して、
右足をずって、
ザザ……!
と、リアル効果音を出す!
「危ない!
大丈夫?」
俊を浩が抱きとめる!
「委員長、ありがとう♪」
俊が恵子を演じている(^_^;)
「まぁ〜、見てらんないから、
先降りてきた(^_^)」
尚が言った!
「しっかし、
山岡さんって、
けっこう胸あるじゃん、
剛志は、嬉しそうだったよな〜(●^o^●)」
俊が言った(^_^;)
「あっ、こら!
そういう話しは、
女子の前では、
マズイって!」
尚がツッコむ(>д<)
由理には、
何で一誠が、
ずっと背負いたがったのか、
分かったような気がして、
今さらながら、
両手を組んで
胸を隠すような動作をしていた……(=^_^=)
「おめ〜ら、
わざとだろ(-_-;)」
一誠は、連中を追いかけ回した!
……さっき下山してきたのに、
走り回っちゃって……(^_^;)
由理は、水筒のお茶を飲みながら、
もう少し、休みたいと思った!
山登りすると、体力以上の動きになるから、
非常にくたびれる(>д<)
梅田くんが視たという山伏の装束だが、
たまに夢の中で、
由理がその山伏になっていることがある……(^_^;)
自分が、鏡が無い場所で、
身体が見える範囲、
山伏の装束を着ているから、
一誠みたいに、全身見たことがない……(>_<)
夢の中の自分の姿が、
その山伏だった……の(-_-)?
前世か、主護霊とかいうたぐいなのか、
由理には良く分からない……!
それから、
由理と参拝した富士講の人達は、
行者を助けるサポーターみたいな働きをする連中だと思うが……。
四国八十八ヵ所の観音霊場に、
お遍路さんを助ける、
役割のある目に見えない人達みたいなモノだ!
恵子と剛志がやっと下山してきた……(^.^)
誰が見ても、いい雰囲気……(●^o^●)
由理には、ちょっぴり羨ましかった……(=^_^=)
ふと視線を感じて、見ると、
一誠が、由理を見ていた!
由理と目があったら、
にっこり微笑んだ(^O^)
由理は、ちょっぴり紅く頬を染めていた(*^^*)
【帰り道】
恵子は、由理の隣に座って、
水筒を飲みながら、ちょっと休憩した。
「山崎さん、本当すごかったわ!」
「普段、運動不足だから、後々響くの……(^_^;)
だからずっと休んでいたの……。」
「リタイアしないで、
頂上まで行けちゃった♪」
恵子は剛志を見ながら嬉しそうに言った。
剛志は、一誠組、剛志組の連中にからかわれていた(●^o^●)
「委員長、サポートしてくれたの?」
恵子はうなずいた(=^_^=)
「委員長が助けてくれたから、
登れたわ♪」
「頂上に上がる時に、
抱えてくれたから、
意外と委員長、たくましいんだね!」
「うん、本当〜(o^^o)
何度も滑っちゃって、
そのたび、助けてくれた……(=^^=)」
恵子が紅く頬を染めた。
★☆★☆
「俺らとこのまま、戻ろうぜ、
暗くなる前に戻らないと!」
剛志が言った!
「えぇ、迷子になっても困るから、
行きましょ!
ね!」
恵子が由理に同意を求めた(^^)
「そうね……。
お願いするわ(^_^)」
ここから歩くと、
5時ぐらいになるな〜と、由理は時計を見て思った!
★☆★☆
「はい、あげる♪」
一誠が、由理と恵子に飴を二個ずつくれた♪
「ありがとう(o^-^o)」
もらった飴をなめたら、
少し元気が出て来た!
猪鼻峠の茶屋とかで、
休憩したり、
ちょくちょく休みを
恵子達にあわせて入れてくれたから、
他の男子のみの連中より、
ペースがゆっくり目だった。
やっと帰りついたら、
5時半になっていた……!
ぴろの中学時代に、
登った山をモデルにしていますが、
頂上の光景は、
日光中禅寺湖で見た光景を織り交ぜ、
中学時代曇ってて、
見えなかった富士山を
見て、
ちょっとロマンチックにしました♪
中世から江戸中期までの、
富士塚というのは、
「浅間山信仰」というようで、
江戸中期以降の、
江戸近郊に、
流行した、富士塚という、
富士山を模した築山の事を言います♪
この場合は、
古くからの「浅間山信仰」に当たると思います♪
さて、由理の隣に現れる山伏さんですが、
実は、私が一度だけ、
夢の中で、
本山系山伏装束身に付けた男性の姿になってたという、
不思議な夢を見ました!
見たのは昔だけど、梵天という、
結いげさに付いてるボンボンが、
緑色だったというのが、
印象的で、
つい最近、
資料見たら、
実在していて、
ビックリΣ( ̄□ ̄)!
高尾山下山する際に、
信じられないスピードで、
石段駆けおりたこととか、
私にも、不思議なリアル体験あるので、
由理にやってもらいました♪