谷口さんの家に
二〜三日欠席しているクラスメートに、
プリントを届ける事になった恵子。
【プリント】
下駄箱で靴を履き替えながら、恵子が言った。
「今日は谷口さん家に寄って行かないと、
いけないんだわ〜!」
「私、一緒に行ってもいい?」
由理が言った。
「構わないわ、
山崎さん、
引越しして、
あまりここら辺知らないんでしょ?
寄り道ついでに案内するわ♪」
「えっ、本当!
ありがとう(^^)」
★☆★☆
恵子と由理は、商店街を抜けて、
坂道を登った!
都営住宅や、
マンションが立ち並ぶ中、
大きな一軒家が、
二軒並んで建っていた……!
「スゴい門だわ!」
二軒は似たような門だったが、
向かって右側には、
お屋敷まで、
西洋風の庭が良く手入れされていて、
すっきりしている。
「谷口さん家は、左の方よ!」
恵子が、左側の家の門に向かう。
大谷石の塀に二つのインターフォンが並んで有り、
片方は谷口と書いてあった……!
谷口さん家は、
門のそばに、
屋根付き駐車スペースがあって、
二台はとめられる。
奥に、ベンツがとまっている。
良く見ると、奥にも一軒家があった!
隣の洋風の家とそっくりだった!
しかし、駐車スペースの横は、
日本家屋があった!
「はい、どちら様?」
「牛込仲之中学の山岡と山崎さんです!
谷口さんにプリント届けに参りました!」
「あら、わざわざありがとう(^^)
鍵開けましたから、
手前の日本家屋です♪」
「はい……。
お邪魔します。」
人が出入り出来る通用門が開いた。
恵子はつぶやいた!
「私、ここ知ってる……。」
「えっ?」
「後で話すわ……。」
由理はうなずいた。
玄関のチャイムを鳴らすと、
谷口さんが玄関口までやって来た!
「山岡さん、山崎さん、ありがとう(^^)」
「もう良くなったの?」
谷口さんがうつむいた……。
「せっかくだから、上がって♪」
「お邪魔します♪」
玄関は、東京のマンションやアパート暮らしの二人には、
広く感じられた……。
あがりかまちには、
腰かけるのにちょうど良い高さに、
低く段差がとってあった。
廊下には、ソファーが置かれ、
庭が眺められる!
庭には、五葉松やツツジなどの盆栽棚があり、
庭木の緑ととけこんで見えた。
「素敵なお庭ね(^^)」
「父の趣味で、
盆栽が沢山あるの〜(=^_^=)
若いのにお爺さんみたいでしょ?」
「都会でこんなに緑があって、羨ましいわ〜(^^)」
と恵子は言った。
あれ?
山崎さん?
由理は、庭を凝視していた!
「こっちは弟が使ってるから、
私の部屋はこっちなんだ……。」
畳の部屋だが、なんだか暗い。
昼間なのに部屋の電気をつけた。
畳に机が二つ並んでいる!
「父の書斎兼私の寝起きする部屋なの」
長机に座布団が置いて有り、
そこに三人は座った。
谷口さんが、
サイドボードから、
受け皿付きのティーカップを取り出して、
長机に並べた!
ティーポットに紅茶の茶葉を入れ、
ポットのお湯を注いだ!
クッキーが用意されていて、
谷口さんがすすめてくれたので、
二人は手をつけた。
「ここ数日、偏頭痛が起きるの……(^_^;)
学校に行こうとすると……(+_+)」
「病院に行ったの?」
「色々検査したの……(+_+)
でも原因不明って、
多分精神的に多感な頃だからって、
薬飲んでるんだけど、
朝から二時ぐらいまで、
全然駄目……(T_T)
今はおさまってるの……。」
「だから学校に来れないんだ……。」
由理は部屋の一点を見つめていた……。
日本家屋の和室にふさわしい床の間には、
掛軸はなかった。
その脇に、何か棚があった!
「あの仏像と神社のお札、一緒に祀ってるの?」
「うん、仏像はおばあちゃんのお土産品だって〜。」
「ふ〜ん……。」
「実は、お願いがあるの……。」
谷口さんが、切り出した!
「何?」
「私休んじゃって、
勉強遅れてるから、
教えて欲しいの!」
「良いわよ!」
「調子良いうちに、やる?
学校帰りだから、
今日の分なら教えられるわ!」
「勉強会しましょうか♪」
谷口さんが恵子に数学を教わっている間に、
谷口さんの国語のノートに由理が、
休んだ分のノートを書き込んだ。
「昨日、一昨日の教科は、後で写メするわ!」
「画像が見にくかったら、連絡しても良い?」
「もちろん♪」
勉強が終わった!
「そろそろおいとまするわ!」
「ありがとう(^^)
助かったわ!」
恵子がトイレを借りている間、
由理は、谷口さんにお守り袋を渡した。
「これをあげるわ!
偏頭痛が治まるといいね!」
「ありがとう(o^-^o)」
谷口さんは受け取った。
谷口さんは、門の前まで見送ってくれた。
すると老婦人が門に近づいた。
「こんにちは(^^)」
谷口さんと、一緒に恵子と由理はあいさつした。
「こんにちは、お友達?」
「はい、クラスメートです!」
「あら……よろしくね!」
「こちらは、大家さんで、
家は借家なの♪
大家さんは、あの奥の洋館(^^)」
「素敵なお家です……。」
「そう、ありがとう(^^)
じゃあ、失礼するわ!」
三人は、谷口さんの大家さんに会釈した。
「谷口さん、お邪魔しました!」
「ごちそうさま♪」
「こちらこそ、ありがとう(o^-^o)
またお願いするわ!」
「明日調子良くなったら学校で、
来れないようならまた寄るわ!」
「ありがとう♪」
こうして二人は谷口さん家をあとにした。
★☆★☆
「で、谷口さん家知ってるって……。」
「あぁ、そうそう、
親戚の伯母が、
再婚して、
住んでいたんだけど、
伯父さんが亡くなって、
マンションに引越したの……。」
「へぇ〜!
えっ(*_*)?
大家さんって……。」
「伯父さんの兄弟の親戚でね、
伯父さんが亡くなって、
伯母が、あの家、出たのよ(+_+)
親戚が同じ敷地にいると、
色々あったらしくて……(^_^;)
若夫婦にあの家使うから、
譲って欲しいって言われて、
伯母は引越したんだけど、
谷口さん家が引越しする数ヶ月前に、
大家さん所、
旦那さんが亡くなったっていうから、
若夫婦も結局同居のままって話し……!」
「山岡さんの親戚って事!?」
「そうよ!
向こうは覚えてないと思うわ!
街で会っても無視していたから……(+_+)
伯母が再婚するの反対していたらしいし……。」
「複雑なのね〜(^_^;)」
「遺産問題じゃあないの?
自分達の取り分が減るから、
来て欲しく無かった……ってね!」
「そうなの……(+_+)」
だから、山岡さんが来て、
空気が少し変わったんだ……。
あんなに黒いモノが渦巻いていたんだけど……。
由理は、他の誰にも見えないモノを思い出していた。
「明日は谷口さん、
学校に来れると思うわ!」
「だと良いね!」
「あら?」
一誠がやって来た!
「山崎さん♪
山岡さん♪
こっちで会うって珍しいな♪」
「谷口さん家にプリント届けて来たの♪」
「あぁ、俺ん家は、
谷口ん家の隣のアパートだから(^^)
ちなみに剛志は俺ん家の隣の部屋だぜ(o^-^o)」
誰も聞いて無いけど、
ってツッコミたくなるが、
山岡さんにわざと話したのかな?
由理は、また一誠が面白いと思った(^^)
「勝手に教えるなよ(-_-;)」
剛志がちょうど通りかかって加わった!
「お二人さんが仲良く欠席でもしない限り、
来ること無いと思うわ!」
恵子が言った。
「そうかな?」
一誠が笑った!
「剛志よりも俺、
二人にプリント届けて欲しいから♪
なっ!」
一誠が意味ありげに剛志の両肩に手を置く!
「なんだよ〜!」
剛志は焦った!
由理は笑った。
「梅田くんって面白い♪」
恵子も笑った。
「本当ね(^^)」
「一応聞いておくけど、アパートってなん号室?」
由理が笑いながらたずねた!
「B棟の202号室だぜ♪
こいつは201号室(^^)」
一誠が答えた。
「馬鹿!」
剛志が焦った( ̄□ ̄;)!!
「聞いてみただけ(o^-^o)」
由理が笑って言った!
「じゃあ、お前何処なんだよ!」
剛志はからかわれたと、
頭に来て言った!
「秘密♪」
「じゃあね〜(^O^)/」
「ほ〜い(o^-^o)/」
一誠は能天気に手を振ってる。
山岡さん、今日店にいなかったのは、
こっちに来ていたからなんだな……(^_^;)
剛志の本音は、
席が隣なのに全然話さないから、
ちょっと話せて嬉しかったが、
本屋での一件以来、
なんだか恥ずかしかった……。
この話は、
山崎由理の原案漫画の
山崎由里の話が元々の
ホラーな漫画でしたが、
高校生ぐらいに書いた話でしたf(^_^;
由理と由里が違うのは、
別ワールドなので、
区別しました(^^;)
と、言っても、
ぴろからコピー機で自主製本された漫画とかもらった(コピー代実費で買ってくれたともいう)事のある数名しか、
知らないんですが……(;^_^A
山崎由理の不思議ちゃんが、
今後も少しずつ、
増えてゆきます(^^ゞ
久々に蔵出しキャラなので、
由理と、間違えた……のが、
真相だったりして( ̄* ̄)
でも、イメージ全然違うのは、
某アニメの声優さんの声で、
脳内変換しながら打ち込みしているせいかも知れません♪