第一話 自分
目を開ける・・・
そこは一面白い部屋・・・
・・・ここは、病院らしい
それだけが昨日教えられた唯一の事
ガチャ・・・
女の人が入ってくる
多分看護師さんだろう・・・
「気分はどうですか?」
昨日と同じ質問・・・
「普通です・・・」
そう看護師さんを見ながら今初めてこの部屋に窓があることに気がついた
「あの・・・何故僕は病院に居るんですか?」
そう聞いても答えない・・・
僕も今は問いつめる気にはなれない・・・
それから昨日と同じでいくつか質問された
それに、答えて・・・
「僕は・・・どんな状態なんですか?」
と聞いた
すると
「・・・私から話すことは出来ません。」
そう返ってきた
「それじゃぁ・・・」
質問しようとして・・・止めた
その質問を聞く勇気は今の僕には無い・・・
「何でもありません・・・」
そう言った
僕は窓の外を見た
今日は晴れていた・・・
看護師さんが初めて質問と応答以外の言葉を口にした・・・
「私からは・・・何も話せません・・・でも私はあなたの担当ですから・・・」
「何かあれば遠慮なく言ってください。あなたは・・・今一人ですから。」
それを言うところを見て
僕は・・・さっきの質問しようとしたことの答えを・・・
悟った・・・
僕は・・・一人・・・か
悲しみはわかなかった・・・
というより感情が今僕自身の中で働いているかが分からなかった・・・
「分かりました。何かあったら言います。」
僕が考えていることは分かっていないだろう
僕自身自分が本当は何を考えているのか分からないのだから・・・
ただ・・・一つだけ確認したかったからこう聞いた
「鏡・・・ありますか?」
今・・・自分がどんな顔をしているのか見たかったから・・・
看護師さんは・・・少しとまどったような仕草をして
鏡を僕の顔が見えるように持ってくれた
僕の手は今動かせないから・・・
自分の顔を見て・・・
そこには別の誰かが写ってた・・・
同じで全く違う誰かが・・・
目に・・・光は無く・・・無表情・・・
憂鬱な面持ち・・・そこには光などは無くただ闇のみをまとっていた・・・
僕が
「ありがとうございました。」
と言うと看護師さんは鏡をのけた
「また、様子を見に来ますから。」
そう言うと出て言った
看護師さんが出ていった後
ただ・・・窓からさす光を見ていた・・・
そこだけ・・・明るかった・・・
僕の顔とは対照的なのだろう・・・
そう・・・思った・・・
書いていてこの話はハッピーエンドにはならないと思いました。
それでも良ければこれからも読んでください。