雨の日に告白されたけど、今はそれどころじゃない
「好きです! 付き合ってください!」
雨の日の放課後、隣のクラスの高田くんからいきなり告白された。
高田くんはカッコ良くてスポーツ万能で勉強も出来るハイスペック男子だ。
彼を狙ってる子も多いと聞く。
そんな高田くんがいきなり私に告白してきた。まさに奇跡としか言いようがない。
でも私は彼の告白よりも気になってることがあった。
「……ごめん、高田くん。今の私にはあなたの気持ちに応えられる余裕がないの」
まさかフラれるとは思ってなかったのか、高田くんは「え?」という顔を私に向けた。
「ど、どういうこと?」
「今あなたとは付き合えないってこと」
「それは……鈴木さんは僕のことなんとも思ってないっていう意味?」
「なんとも思ってないこともないけど……今は無理なの」
正直、高田くんみたいなキラキラした人と付き合えたら素敵だなとは思ってた。
私みたいな地味な女の子には王子様みたいな人だったから。
でも私は今、それどころではないのだ。
「教えて。僕のどんなところがダメかな? 直すから」
「直す直さないの問題じゃないの。私の都合だから」
さよなら、と言って帰ろうとする私の腕を高田くんはつかんだ。
「待って! せめて、せめて理由だけでも教えて!」
16歳にして多くの女の子を虜にしてきた高田くん。
でも彼の浮いた話は一切聞いたことがない。ということは、もしかしたら私への告白は人生初告白だったのかもしれない。
だとしたらフラれた理由を知りたいのは当然だろう。
でも……。
「ホントにごめんね! 今は無理なの!」
私は声を荒げて言った。
だって本当に今それどころではないのだから。
切羽詰まった私の表情を見て、高田くんは諦めたようにスルッと手を離した。
「……そっか。ごめんね、急に告白なんかして。迷惑だったでしょ? 今日のことは忘れて」
「ううん、私の方こそごめんね。告白してくれてありがとう、嬉しかった」
「うん」
それじゃあね、と私は手を振ってその場から逃げるように駆けだした。
降りしきる雨は容赦なく私の身体を打ち付ける。
喜びと悲しみといろんな感情がごちゃ混ぜになる。
ああ、まさかこんな時に雨が降るなんて……。
天気予報では雨の確率10%と言ってたのに。
私は全身ずぶ濡れになりながら叫んだ。
それはもう心からの叫びだった。
「ああー! 早く帰って洗濯物取り込まないとー!」
雨のバカー!
雨が降ると焦るよね。
お読みいただきありがとうございました。
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