雨宿り、のちカンチガイ。
「ねえ風弥、今日部活の時間、何時終わり?」
「えーと、確か18:00終わりだったかな?昨日試合だったから調整練で早く終わるって」
「ホント!?うちもその位に終わるよ?じゃあ、一緒に帰れるね!」
(よっしゃきたぁ!)
いつもだったら、終わる時間違いすぎて待てないことが多いんだけど、久々に一緒に帰れる!と思って心の中でこぶしを握りしめる私。
別に話しするならスマホでも良いんだけど、やっぱ顔見ながら、体温感じながらの方が良いじゃん?
……あ。
今日は月曜だから風弥の制服からいつもの柔軟剤のニオイがする。このニオイがすると、風弥と一緒にいる感じがするのよね。
いや、別にニオイフェチじゃないけど?
……なーんて思ってたら、 帰り始めてすぐに雨が降ってきた。
おーまいがー!
神様のイジワルっ!
もう少し位ガマンしてよね!
せっかく一緒に帰ってたのに、ツイてないなぁ。
でもどうしよう?
二人とも傘なんて持ってないよ!
あーあー。
どっちか持ってたら二人で一つの傘に……って王道シチュもあったのに!んでもって「雨に濡れるから仕方ないよね?」とか言いながら腕組んで密着して………!
なんて妄想かましてたら雨が本降りに。
おーまいがー!
どうしよう!?
あ。
ここ、空っぽのテントガレージがある!
「ちょっとココのガレージで雨宿り、させてもらおうよ」
「他人んちのだけど……本降りだし、仕方ないな。ちょっと入らせてもらおう」
あ~あ……髪の毛も制服もけっこう濡れちゃたなぁ。せっかく前髪セットしてたのに、ホントついてない。
……って思ってたら。
「ほら沙希、髪の毛ふいてやるから。これ洗いたての新品で、今日は使ってないやつだから大丈夫だろ?」
風弥がふわりと頭にスポーツタオルがかけてきて、そのままくしゃくしゃくしゃっと髪の毛をふいてくれた。力加減とタオルの感触がなんだか心地いい。
あと……例の柔軟剤のニオイが……!
コレ、風弥に包まれてるって錯覚しちゃう!ヤバい!
それで、なんだかぽーっとなって、目を瞑っていたら……
んっ……………
んんっ?
待って?
これ、この唇の感触って………!?
「……何、してんの……?」
私は自分の顔を風弥の胸に押し付けながら声を絞り出した。でも自分の声より胸の音がうるさい。
「あ、や、その、上向いて目をつぶってたから、良いのかなーって、思って……つい」
「……………つい?」
「ごめん!勘違いだった?」
そんな言い訳をする風弥の心臓の音もドコンドコンうるさくて、雨の音がかき消される。
……あーもう!バカ!
顔がほっぺたが熱い!
まともに顔見れないじゃん!
さっきのは別に良いけど!
でもね、ちょっとだけ納得いかない。
「……もっかい、やり直し」
「え?」
「最初のが勘違いとか、ヤダから」
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雨が小降りになって来た。
でも、もう少しこのまま雨宿りしてても、良いかな。




