冒険者
とある村の一角にある質の良さそうな木で出来た一件の酒場。中からはガヤガヤとした喧噪が鳴り響く。
その酒場の中は決して広くはない。
だがかなりの人数がそこにはいた。
中にいるのは八割がた男で皆それぞれ得物を持っている。ロングソードやメイス、バトルアックスに弓など。明らかに漂うのは中世のそれだ。
そんな酒場の一番隅の方で、二人の男と一人の女がテーブルに向かい合いなにやら深刻な表情で話し合っていた。
「んで?結局どうすんだよ。このままじゃ俺達みんな冒険者稼業から足を洗うことになるぜ?ちなみに言うが、俺はまだ諦めてねえからな」と、金髪に短く切りそろえられた髪型の男がビールジョッキをぐいっと飲み干し、木のテーブルにジョッキを叩きつけた。
「わしは反対だ。そんな危険を冒してまで手にいれるものでもなかろう。というか普通に考えて無理じゃろ?わしは自分の命をそんな簡単に投げうる男ではない!」
床に唾を吐きながらずんぐりとした男が言った。「ちょっと~汚いわね。ここは食事をするところなのよ?これだから野蛮な男ってイヤ!」長身でスラリとしたポニーテールの女が顔をしかめて言い、「ちなみに私はやるわよ!こんなおいしい話他にないし、ドラゴンの塒にあるお宝を目の前にしてなにも持ち帰らずに帰るのなんて絶対無理!だからフリント、あんたも観念して諦めなさい。そのご立派なお鬚は伊達じゃなくて?」
「ララノア!本気か?行ったらわしら全員お陀仏じゃぞ!金ならもっと地道に稼げばよかろう。わしはこんな胡散臭い話に自分の命をベッドするのは絶対ごめんじゃぞい!断じてな!!」フリントは背中を仰け反らせて腕を組んだ。
「ねえオルグ、どうせなら二人で行っちゃおうか!意地っ張りのドワーフ様はこの酒場に置いてって」「いーや!ダメだ。行くなら三人で行く。」
オルグは椅子に浅く座り酒場のウェイトレスにビールをもう一杯注文し、肉汁が滴る串焼きを荒々しく食べた。
「俺達一人でも欠ければそれはもう俺達じゃない。行くなら確実にこの三人で行く。その方が成功率が上がる」
ララノアは行儀よく椅子に座りキャベツのみじん切りを食べながら「じゃあこうしましょ。フリントの代わりを探すってのはどう?臆病者のドワーフ様は甲斐性ないしねぇ~」「ははっ!それもそうだな!こんなずんぐりチビよりも腕の立つ奴はごまんといるしな」
フリントは顔を真っ赤にしながら椅子から立ち「もう沢山だ!行けばいいんだろ行けば!ふぅ、まったく近頃の若いもんときたら。ララノア、エルフならもっと慎ましい態度を心掛けよ。オルグ!もっと椅子にちゃんと座れ!!おい!ビールをもう一杯!」フリントは鼻息を荒くしながら鼻をほじり始めた。
「よし!決まりだな!決行は明日の朝。今日は前祝いにパーっとやろう!」
オルグは再びウェイトレスを呼んでビールと肉を頼んだ。フリントがウェイトレスのお尻をつねった。
「バカ!本当にさいてーねあんた。言っとくけど私にその汚い手で触れでもしたら私のロングボウが火を吹くわよ!」
賑やかな酒場の上空で星が流れた。




