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第10話:共有資産の多重検収:馬車内における強制同期

黒い馬車とか軍服とか黒い手袋とか格好いいですよね

(アレス閣下に引き摺られるようにして、ルーカスが奥の検収室へ消えていく。残されたのは、静まり返ったエントランスと、主たちを運んだ黒塗りの馬車だけだ)


「……さて。じゃあ、僕は僕の仕事をしましょうか」

ランスロットは鼻歌まじりに、新調したばかりの革手袋を脱ぎ捨てた。その指先には、まだ兄様の「甘い成分」がこびり付いている。


「バルトロメ。あとは任せたよ」


「……御意」

影から現れたのは、ランスロットが戦地で見出し、その「空虚」を埋めるために側に置いた若き秘書官、バルトロメ・クォーツだった。


彼は無表情に、主たちが「蹂躙」を終えたばかりの馬車の扉を開ける。

鼻を突くのは、中和剤の薬品臭と、高密度の魔力が衝突した後の焦げたような匂い……そして、一人の男が「全損」させられた痕跡。


(……ああ、あんなに楽しそうな閣下を見るのは、戦地以来だ)

バルトロメは淡々と、ルーカスが流した涙と蜜を拭き取っていく。


勲章を自ら砕き、勝利の美酒にすら「虚しさ」しか感じていなかったランスロットが、今、あんなに無邪気で残酷な子供のような笑みを浮かべている。


その事実に、バルトロメは微かな戦慄と、それ以上の深い心酔を抱き、汚れを丁寧に「清掃リセット」した。


「では、これにて――」


【第10話:共有資産の多重検収:馬車内における強制同期】


本データは、ランスロット侯爵がアーカイブ(記録)しました。

彼のプライベート・コレクションにて、公開されています。

[次回の検収(第11話)を待機してください]


軍事省電法検閲官:「えっ」

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