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魔導伯爵の死

トム兄がいま家に来ている。トトとミミのお迎えだ。

トトが魔法の発現を果したので、無事,魔法士になった。トト・ククルスと言う名前にした。

僕は一寸複雑だ。ククルスの名前の由来が、トトには合わない気がするが、トトはこれが良いという。

まあ、それでいいなら、好きにすれば良い。

彼らは、アフロマのレモートに帰って行った。


僕は24歳になった。トト達も帰って行った。

毎日3つのダンジョンを回り、コアの状態を観察する日々だ。たまにケビンの所に行って、ヨウゼフの成長も確認する。以前ミミに気を遣わせて寂しい思いをさせていたので、ヨウゼフに対しては、気にかけるようにしている。


この頃北のダンジョンにしばしば、不穏な動きが見られる。もう直ぐ、スタンピートが起きる。

僕は師匠に、「北のダンジョンが始まりそうです。一月以内だと・・」と、報告した。師匠は、

「責任は,私が取る。君に依頼を出そう。コアを潰してくれ!」

僕は、了承した。師匠は,正式に冒険者ギルドに依頼を出した。王都は大騒ぎになるだろう。マケンロー公爵は怒り狂うかも知れない。


北のダンジョンに、入る。

監視の奴らがいるので、転移は使えない。しかしダンジョンの,あまりの苛酷さに彼らは直ぐに根を上げ離脱していった。

良かった。これで直ぐ転移出来る。

僕は直ぐ,コアの近くに転移した。コアは慌てている。まるで、人間の様な思考が伝わってくる。

魔物が僕の周りに湧いてきた。僕はそれに構わず、コアの正面に転移し、直ぐにコアを一刀両断した。

此処はもう、終わった。このダンジョンはゆっくり閉じて行くだろう。

後、二つ・・・


       ☆

師匠が 逮捕され投獄されてしまった。

僕は早速、師匠に面会を申し込んだが、受理されずに逆に僕も投獄されてしまった。

国益を損なった罪で、処罰されるのだろう。

別に構わない。覚悟は出来ていた。もう、この国に用はない。

師匠を連れて、アフロマに転移しよう。転移の魔法もかなり成長したから、2,3人位なら行けるはずだ。

       ☆

師匠は王都の外れの高い塔の中に軟禁されていた。

「師匠」

「!・・何処から来た?・・・もしや、転移か!!」

僕は其れには答えず、師匠に、

「師匠。北は潰しました。他のダンジョンは未だ、1,2年は持つと思いますが、どうしましょうか?」

「マケンローの奴は、何も聞こうとはしない!自分の領地なのに見に行きもしない。王都にいて自分の利権のために動いてばかりだ。このままだと領民がダンジョンに喰われて仕舞う。」と言って嘆いていた。

「師匠。アフロマに一緒に行きましょう」

「行ってどうなる。逃げ出しても、何も変わらん。私はここで、王に意見し続ける。君は行くと良い。その前に・・・ダンジョンを片付けてくれないか?君が投獄されているのなら,丁度良い。今なら誰も君の仕業だとは思わんだろう。どうかね?今の君にはできるだろう?」

僕は、了承した。言われた通り、残った2つのダンジョンを潰し、そのまま、コッソリ自分の投獄された牢に戻った。


僕は一月、投獄されていた。

その間、マケンロー公爵領ではいつの間にかダンジョンが閉じていたので,大騒ぎになっていたらしい。

僕はお咎め無しになって牢から解放されたが、国外追放になった。一月以内の国外退去だ。

師匠とは音信不通になってしまった。牢を出てケビンの処に顔を出すと、

「師匠は殺された。」と、知らされた。僕は,悔し涙を流した。

国の為にあれほど尽くした師匠が、闇に屠られてしまった。その理不尽さに憤った。

「あのままに,しておけば良かった」

と、叫んだ。そうすれば、馬鹿な貴族も思い知っただろうに。師匠の要請に素直に応じ、コアを潰して回ったのだ。そのままにしておけば、国はコアに吸い尽くされて、荒野となっただろう。自分たちの強欲さで、自分たちの首を絞めただろう。

「奴らが、何故生きているんだ!奴らが死ねば良いんだ!!!」

怒りに任せてそう叫んだ後、無辜の民のことが頭をよぎった。チイの面影や農民達、冒険者達。

師匠は、そんな人達の為に自分の命を懸けたたのだ。僕は一人恥じ入った。

怒りに任せて,復讐を考えるなど、師匠はそんなことは求めてはいないだろう。













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