表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
7/24

魔法文字と漢字

ヨウゼフの一日


朝早く目覚める。起きて直ぐ走る。スキルを限界まで使って木に打ち込む。

午後、兄貴に魔法理論の読み聞かせをして貰う。

夕食後、魔法文字の暗記。

就寝前、兄貴に鑑定を掛けられ,残ったマナの処理を,強制される。


もう、限界だ。俺には向いていない!何度も兄貴に泣きつくも,その度にボコボコにされる。言葉で。

俺は拳で解決する方が合って居る。口では適わない。

全く!たった3ヶ月で根を上げやがって。見た目ゴリラなのに、直ぐ泣きやがる!赤ん坊かお前は!

僕は彼を罵倒し,けちょんけちょんにする。すると彼は,恨みがましい眼で僕を見た後、諦めて、また自分の修行に取り組んでいく。

毎日これの繰り返し。魔法文字の暗記が一番苦手のようだ。

確かに、この魔法文字と言う奴は、面倒だ。僕もかなり苦労した。

獣人ミミは何故か余り苦労せずに、感覚で理解してしまう。知力は彼と同じなのに不思議だ。


そのまま丸暗記する。何故こうなると考えてしまうと,先には進めない。。そこでつまずいて仕舞えば魔法文字はなかなか難しく思えてしまうのだ。彼は,考えて仕舞うタイプのようだ。

そこで一計を案じた僕は、漢字の小辞典もどきを造ってみた。小学校1年で習う漢字の更によく使うものの抜粋。其れも漢字の成り立ちになった絵入りだ。時間が掛かった。

漢字は象形文字だから,絵と照らし合わせるとおもしろく,理解しやすい。例えば、木が二つで林。木が三つで森。などだ。この字の組み合わせで意味が違ってくる。魔法文字もこれに似ている。

公式みたいな物が,頭の中に入ってしまえば理解がすすむのでは?と考えたのだ。

魔法の基本文字さえ覚えてしまえば、後はその組み合わせで文字が出来ているのだから。


彼はこれを見て眼を輝かせた。一気に魔法文字の理解が進んだ。

「兄貴。この字はどこの国の字っすか?」

「僕の創作だ。・・意味は無い。」一寸焦った。


それからは苦労せずに暗記していった。この時点で1年経っていた。

だが、半年後には土魔法の発現が出来てしまった。凄くないか?

師匠にその事を報告すると、「この知力でか!」と驚いていた。

魔法理論などの本はまだまだ読むのに時間が掛かるが、基本文字の小冊子と見比べながらゆっくり読んで行けば良い。魔法の発現は、他の適性魔法が残っている。後は自分で研鑽していくしか無いのだ。

滑り出しは遅れたが、なんとか他の魔法士のスタートラインに追いついた。


僕はヨウゼフに、今後どうするか尋ねた。

魔法士になって士爵になったのだ。故郷に凱旋するもよし,王都に行って貴族のお抱えになっても良いのだ。彼は生まれは貴族なので、それほど苦労はしないだろう。

しかし彼の希望は、このまま魔法士冒険者として、僕に付いていきたいと言った。

困った。僕はまだ、ソロで活動しなければいけないのだ。

仕方が無いので、取り敢えず,暫くケビンの元で鍛えて貰うことにした。

「すべての適性魔法を発現出来たら、その時もう一度考えてやる。」と言って送り出した。

ケビンなら、僕も世話になった。彼は面倒見の良い奴だ。快く引き受けてくれるだろう。

困った時の、ケビンだ。(丸投げしたとも言う)

僕の元を去るとき、ヨウゼフは名残惜しそうに振り返り、捨てられた子犬のような眼をして、去って行った。







評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ