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新たな種族

人族の村もほぼ落ち着きを見せて、それぞれ麦の作付けを始めた頃、事件が持ち上がった。

東の山裾に人型の魔物が現れた、とギルドに連絡があったのだ。

人型の魔物は、特に忌避されている。

悪賢く、素早く、徒党を組んで襲ってくる。強くは無いが、人族の農民には、戦う術が無い。

その村には警備の為の初級の冒険者が2人いたが、魔物の数が多いので、応援を求めて来たのだ。

その魔物はまだ、人族の村には襲ってこず、遠巻きに此方を見ているという。気味が悪い。

早速僕と、トト、ミミ、ヨウゼフが派遣された。


僕は天眼を開いて、魔物達の様子を覗った。しかし、魔物の反応は天眼で診ても感じられない。

彼等は人なのか?鑑定の結果、精霊族と出たのだ。僕はビックリしてしまい、

「精霊族って鑑定で出たんだが。彼等は人間なのか?精霊なのか?どっちだ!」と大声で言ってしまった。

周りでその答えを知っている者は居なかった。

急遽ギルド長を呼び、彼等との接触を図ることになった。

      ☆

オレオは昔話に出てくる精霊の話を、僕に教えてくれた。しかし彼も真逆、昔々のお伽噺に出てくる精霊族なるものが存在しているとは信じていなかった。

彼等と慎重に話をしてみるが、彼等の言葉は、ギルド長には通じなかった。僕は魔法言語に似ている彼等の言葉を少し理解した。まだ、街にいたマリア魔導師に来て貰い、一緒に力を合わせて魔法言語で話しかけると、彼等はやっと話が通じる者が現れた事にホッとしていた。


彼等の話を要約すると、突然、妖精の道が開かれたので此方に来たのだという。

妖精の道。ラノベではよく聞いた。妖精はこの道を通り、離れた処でも一瞬で移動出来ると言う話だ。

確かに彼等を見ると、見た目はゴブリンのようだが知性を感じる。緑色の肌。とがった耳。矮躯。だがきちんとした服装をしていて、身体は頑健そうだ。毛深い様子を見ると、ドワーフにも似ている。


彼等も、伝承にあった、人族や獣人族を見て驚いた、と言う。

彼等は兎に角、国に戻ってこの事を皆に知らせたいと、直ぐに帰って行ってしまった。


この知らせを聞いた各国の首脳陣達は色めき経った。

何故なら、魔境の外は人が住めない、恐ろしいところと言われていて、誰も行ったことは無かったからだ。

僕達は、この狭い世界に押し込められて居たのだろうか。本当は広い世界がもっとあり、住みやすい魔物がいない処もあるのだろうか。僕は天眼を開いてみても、以前と同じ、山の向こうは霧に被われ、山裾は濃い緑色の筋がグルリとめぐらされていた。






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