三つ子と初対面
人族の石壁作りの仕事は、すでに僕達の手を離れ、それぞれの場所では入植者達も一緒になって建屋作りをしている。皆お腹いっぱい食べて元気になったようだった。
獣人達のコロニーは大分前に入植者が終わらせていて、もう普通に暮らしていた。
僕とトム兄は初めてコロニーの中に入らせてもらえた。こう言う事は珍しいことなのだとか。
此処はトム兄の奥さん、リリさんのコロニーだ。
「良く来たね。奥にお入り。」おばば様が僕達を招き入れる。
リリさんはもう床上げしていてとても元気にしている。赤子に乳を飲ませていた。
立派なおっぱいを堂々とさらけ出し、にこやかに此方を向く。
「見てやって。この子達を」と、言ったので僕に鑑定を頼んだのだと思い、早速鑑定を掛けようとすると、
「なあにやってんだい。普通に赤ん坊を見てやるんだよ。」おばばに叱られてしまった。
寝床には2人の子・・二匹?とっても小さな猫と熊がいた。ふぎゃ、ふぎゃと力なく泣いている。
「か、可愛い!」僕は前世からもふもふしたのが大好きだ。手のひらよりやや大きいくらいの2匹は今にも壊れそうで、気楽に触れない。
「もう、獣化している!大丈夫なのか!死んで仕舞わないのか?」
「縁起でも無いこと、言うんじゃあないよ!全く。赤子は皆こうして生れてくるのさ。暫くしたら、段々人間らしくなる。生れて五月はこのままだけれどね。」
「でも・・」僕はリリ姉さんの抱いている赤子を見て、おばばを見た。
「ああ、この子は人族の血が濃いみたいだ。もう人の子に見える。でも,よく見てみな。耳と尻尾があるだろ。」言われてみてみると、小さな耳がピョコンと動いた。口から乳首をポロンと離し、大きくあくびをする。リリさんが慣れた手つきで肩に赤子を乗せて、ポンポンと背中を叩いた。
「ゲフッ」げっぷを上手にした。寝床に寝かせられ、次の子を抱き起こしながらリリさんは、こう言う姿が人族に狙われたのよ。といった。
トム兄は最後の子を抱き上げ、リリさんの隣に寄り添った。
「ミミ達の時は、隠すのが大変だった。直ぐ歩き始めてどこにでも、走って行ってしまってね。」
マケンローの彼等の借りていた家はかなり厳重な造りをしていた。確かにあれくらいしないとだめだったのだ。




