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プロローグ
私の目の前で必死になって、治癒魔法をかけている栗毛の青年は、何者だろう?
私が、パーティーの最後の一人になろうというこの時、突然現れ、助けに来てくれた青年。
魔物を、一人であっという間に蹴散らし、死にそうな仲間達の介抱をしてくれている青年は、一体何処から現れたの?
「もう大丈夫だ」
と、こっちを見つめる瞳の色は、薄青と灰色のオットアイだった。
一見、同じ色に見えるがこんなに近いとハッキリ分かった。
若しかして、この青年も転生者?
此処に生れて95年。順調とは言わないが、それなりに充実した人生だった。
約束された私の時間は、もうすぐ終わる。
今頃こんな処で巡り会えるなんて。私は、つい言ってしまった。
「貴男は、転生者ですね?」