忌まわしき記憶
年のころは15,16歳といったところだろうか?
俺は静かに女の子に気づかれないように後ろに回り込んだ。そしておもむろにかがみこんだ。もう少し…
ばっと振り返る女の子
「あんた今私のスカートのぞいたでしょ!?」
「そそそそんなことないですよ!」
思わず忌まわしい記憶がよみがえる。
何度となく連れ込まれたあの空間、何度も見たあの強面…だが待て、ここは異世界だ。異世界に警察は存在しない…!!
「スキル発動!少女よ、スカートをたくし上げ下着を私に見せるのだ。」
俺は魔力をすべて注いでスキルを発動した。
「はぁい♡…って誰がするか!死ね!変態!!」
女の子はそう言うとどこかへ行ってしまった。
変態紳士の称号を得た、というメッセージが表示された。
宿屋に戻った俺は考えた挙句スキルを選んだ。
これで明日の準備は万全だ。
そして時は今に至る。
俺が選んだミッションは森のゴブリン退治だ。
「ゴブリンは群れで襲い掛かってきます。気を付けてください。」
受付のお姉さんはそう言った。
そして小一時間平原を歩いたところで森に着いた。
森には色々な植物が群生していた。
あとで採取系のミッションにも挑戦しようかな。俺がそう考えていると
「敵…構えて…。」
と、ミラがつぶやいた。
見ると、5,6体ほどのゴブリンの一団がいた。そして
俺は全力で後ろに逃げた。
「まさか…敵前逃亡…?」
俺の後ろの方でミラのあわれんだような声がする。
「ちがわいっ!まずは分散すんだよぉっ!まとめて5,6体相手とか、俺死んじゃう…!」
日々のランニングのおかげで足はすこぶる速くなっていた。
ゴブリンがその様を見て俺の後を追ってくる。
「俺はまず1体の相手するから!その他は任せた!」
その言葉を聞いたミラは、1体だけをこちらに逃がし、他は逃がさないようにはからってくれた。
おし!やってやるですっ!俺は1体のゴブリンと対峙した。
え~と?何だっけ?俺はこの前スキルを選んだ際、ファイアアローとやらを選んでいた。
ファイアアロー?要するに火の矢やろ?ということで、ただかっこいいからという理由で選んだのだった。
よっしゃあ!早速使ってやるぜぇ~!俺はそのファイアアローをゴブリンに放ってみる。
速い!結構な速度だ。当たる…当たったぁ!どうだ!?
えぇ~!?全然効いてませんやん!どゆことー!?と俺は心の中で全力でツッコミを入れた。