初手合わせ
「ちょっと待って…今のは、違う…!」
「そういうのはなしだぜ?女に二言はないだろう?」
彼女は少し悔しそうな顔をしている。
「それとも君は、嘘をつく女なのかい?」
俺はダメ押しをしてみた。
「…。仕方…ない…。」
こうして俺と彼女は仲間になった。
「という訳で早速登録してくるけど…君、名前何てったっけ?」
「…ミラ・オンドル…。」
彼女はそう名乗った。どこかで聞いたことのある名前だった。が、今は思い当たらなかった。
俺はミラと一緒にスライム討伐の依頼を受けることにした。
というのも俺のランクが低いためそれ以外を受けようがないというのが正直な話だ。薬草を集めても仕方ないし…
平原に着くとミラが話しかけてきた。
「まずは…1人で…スライムを倒してみて…。」
俺は言われるがままにスライムに切りかかった。
だが、昨日もそうだったがこれがなかなか当たらない。当たりさえすれば倒せるというのにだ…
「…よく見て…。」
そう言われてもスライムはこちらの動きを読んでいるようで、ひらりひらりと攻撃をかわされる。
…待てよ、読んでいるのなら読ませてしまえばいいんじゃないか?
俺は動きにフェイントを入れてみた。
すると、俺のフェイントに反応してスライムは避ける動作をとった。そこですかさず俺は剣を振り下ろした。
「キュウ…」
当たった。昨日と同じくスライムは一撃で葬り去られた。
「正解。」
ミラの方を見ると静かに微笑んでいた。
その後も俺は次々とスライムを討伐していった。
最早スライム程度では俺の腕は満足しなくなっていた。
「よし、これで15匹目だっ!」
俺は剣を振り下ろし、15匹目のスライムを討伐した。
「ミラちゃん見てよぉ~、俺こんなに強くなったぜぇ~」
俺が自らの腕の上達っぷりに誇らしくなっていると、
「…わかった、次は私と手合わせ…。」
と、彼女は立ち上がって言った。
「お、いいねぇ~。今の俺は強いよ?」
10秒後、俺は気付けばこてんぱんにされていた。
「何、何!?怖い怖い!ちょっとは手加減してよぉ~…。」
と、俺は彼女に泣きついた。すると
「こんなことではダメ…もっと強くならないと…。」
彼女は静かに言った。
「私に負ける度にこの平原1週ね…?」
彼女は更に言い放った。
何…だと…!?俺は愕然とした。異世界におけるレベル上げってこんなに鬼畜なの?
「え?じ、冗談ですよね?ミラさん?」
彼女の顔は全くの真剣だった。