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エピローグ
真実が明るみに出て、森下は静かに会社を去っていった。
味方のふりをして近づき、巧みに人を操っていた彼女は、最後は誰にも手を伸ばされることなく――。
奈々子は、心の奥にぽつんと残った痛みを、そっと撫でるように思った。
人の言葉ひとつで、救われることがある。
でも、同じように――たったひと言で、傷つけられ、信じていた世界が壊れてしまうこともある。
言葉は刃にも、光にもなる。
だからこそ、自分の目と心で、ちゃんと見て、感じて、選びとっていきたい。
なにが真実で、なにが作られた嘘なのか――その違いを、見失わない人になりたい。
そう、強く願った。
そして――月曜の朝。
鳴り響く電話のコール音。
ほんの少しざわつきながらも、会社はいつものように動き始めている。
何事もなかったように、けれど確かに、なにかが変わった空気のなかで。
奈々子は、背筋を伸ばし、自分のデスクに向かった。
また、新しい一日が始まる。
誰かの言葉に揺れ、迷いながらも、自分の心で真実を見つけていく。
奈々子の物語が、あなたの心にそっと寄り添えたなら嬉しいです。




