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幼少期 4
学校ではユリは表向きは普通に過ごしていた。
しかし、自分の母親が明らかに異常であることは幼いながらに理解していた。
それでも、誰かに相談することは考えられなかった。
こんな話をしても信じてもらえないだろうし、仮に信じてもらえたとしても、外面が良く周囲に愛想を振りまく母親のことだから、簡単に周りを丸め込んでしまうだろう。
そうなればユリの立場は更に悪くなり、じょうはより深刻なものになると分かっていた。
外では誰にも気付かれないように笑顔を作り、家に帰ると母親の顔色を伺う日々。
そんな二重生活の中で、ユリは少しずつ感情を押し殺すことを覚えていった。